ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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涼州編、簡潔です。




第85話 “英雄は英雄を知る”

空丹達が去った後、ルフィ達と月達、そして霞は改めて自己紹介をした。

 

「ルフィさん、先ほどは危ないところを助けていただき、その上天子様達まで助けていただき、誠にありがとうございました。

関羽さん達も、今回の一件でご助力いただき、本当にありがとうございました」

 

月は深々と頭を下げる。

 

「白湯達に頼まれてやっただけだ。それにお前もチョッパーの事助けてくれから、そのお礼だよ。気にすんな」

 

「ルフィの言う通りです。我々は巻き込まれて、結果的に皆様にご助力しただけです。頭を上げてください」

 

「寛大な心遣い、感謝します。お礼代わりと言っては何ですが、後ほど我が城で、もてなしをさせて下さい」

 

「では、お言葉に甘えて」

 

「…それで賈駆、長安の復興の手筈は?」

 

「はっ!すでに兵士達に伝令を出し、武威郡より人手を回すように通達しております」

 

「よろしい」

 

「あの…董卓さん」

 

「何でしょう劉備さん?」

 

「董卓さんは長安の復興もするつもりなんですか?」

 

「はい。李傕と郭汜が去ったとはいえ、この街は未だに無法地帯も同然。

住民への奉仕はもちろん、政権の立て直しなど、やらなければいけない事は山ほどありますから」

 

「それ、私達にも手伝わせていただけないですか?」

 

「え⁉」

 

「いいですよね?皆さん?」

 

「おう、いいぞ」

 

「当然です」

 

「ま、乗り掛かった舟だしな」

 

「この状態の街を放置して行くのも、後味が悪いですしな」

 

「私も、お料理や医学の心得も多少はありますので」

 

「もちろん、おれも手伝うぞ!」

 

「鈴々もなのだ!」

 

「ウチもや。この街の事は最後まできっちりやらせて貰うで」

 

ルフィと愛紗を始め、ゾロ、星、朱里、チョッパー、鈴々、霞も賛同する。

 

「私もいいわよ」

 

「あの…ナミさん、さすがにここでお礼を要求するのは…」

 

「するか!私だって空気くらい読むわ!それに…」

 

「?」

 

「理不尽な支配を受けてきた人達は、放っておけないから…」

 

(…何か自分か知人に重なる部分でも、あったんでしょうか?)

 

気にはなったが、ブルックはそれ以上問い詰めなかった。

 

「…皆さん、ありがとうございます」

 

こうして、一同はしばらくの間長安にとどまり、復興を手伝うことになった。

 

月、詠、ねねが政権の再建を行い、ナミ、桃香、朱里は住民への給仕を、チョッパーは病人とケガ人の手当てを、ブルックは音楽で住民達の英気を養い、残りの者達は街の警備や家屋の修繕、田畑の耕起などを手伝った。

 

李傕と郭汜の悪政に加担していた者達は全員打首か身分・財産の没収といった処罰を受けた。

残りの者達から新しい政務官が選ばれ、その者達には月が呼び寄せた董卓軍の兵士達が貸し与えられた。

 

董卓軍の兵士達は、長安の兵士とは比べ物にならないほど強く、規律にも厳格であったため、兵士達による住民への暴行もなくなった。

 

長安が治安を取り戻したのを確認して、一行は武威郡にある月の城へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「董卓様、お帰りなさいませ」

 

「賈駆様、華雄将軍、呂布将軍、陳宮殿、遠征お疲れさまでした」

 

城に入ると、大勢の住民が月達を出迎えた。

 

「董卓さん、住民の皆さんから慕われているんですね」

 

その様子を見て、桃香も嬉しそうにする。

 

「…………」

 

「張遼殿?どうかされましたか?」

 

住民の様子をじっと見る霞を見て、愛紗が訊ねる。

 

「あ、いや…何でもあらへんで…」

 

「?」

 

「チョッパー殿ー!お帰りなさいませー!」

 

「チョッパー殿のお薬で、この間息子の病気が治りましたー!ありがとうございます!」

 

「へェ…」

 

「チョッパーさんも慕われていますね」

 

「さすがチョッパーね」

 

「仲間が人気者だと嬉しいな」

 

住民がチョッパーを慕う様子を見て、麦わらの一味の面々も嬉しそうにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一行は、城内にある宮殿の門に着いた。

 

「あー…あらかじめ言っておくけど、たぶんびっくりするから覚悟しておいてね…」

 

「「「「「「「「「?」」」」」」」」」

 

詠の言葉にルフィ達は首をかしげる。

 

「開門!」

 

詠の掛け声で門がゆっくりと開いていく。

 

すると…

 

「ワンワン!」

 

「バウバウ!」

 

「ニャー」

 

「ミ~」

 

「ブヒ…ブヒ…」

 

「フゴフゴ…」

 

「モ~…」

 

「アオ~ン!」

 

「グルルルル…」

 

「ヒヒ~ン!」

 

「クワックワッ…」

 

「コケコッコー!」

 

「メ~…」

 

「メ゛ェェ~…」

 

犬、猫、家畜、猛獣、鳥、とにかく大量の動物達が出迎えた。

 

「こ、これは…?」

 

一同があっけにとられる中、何とか星が言葉を絞り出す。

 

「全部恋が拾ってきた動物達なんだ」

 

「みんな捨てられたり、怪我してたりしてた」

 

チョッパーと恋が説明する。

 

「みんな美味そうだな~…」

 

「っ⁉」

 

動物達を見渡しながらそう言うルフィに、恋は冷や汗をかく。

 

「る、ルフィ!みんな恋の家族で仲間だから、食ったらダメだぞ!」

 

チョッパーが必死に止める。

 

「ああ、わかってるよ。仲間なら食わねェから安心しろ」

 

口でそう言っているが、思いっ切り涎をたらし、腹からぐぎゅるるると大きな音がしているため、恋はあまり安心できなかった。

 

「ワン!」

 

不意に首に赤い布を巻いた子犬が恋によって来た。

 

「セキト、ただいま」

 

恋はその犬を抱きしめ頬ずりする。

 

「わふっ!」

 

「張々、ただいまなのです」

 

ねねも張々と抱き合い、体の毛に顔をうずめている。

 

「…いいなァ…」

 

「愛紗さん?どうかしましたか?」

 

「い、いやっ!何でもないぞ!」

 

「その犬、セキトって言うのか?」

 

ルフィが恋に話しかける。

 

「うん。恋の一番の友達」

 

「へー…」

 

…と、セキトに手を伸ばすルフィ。

 

「ワン!(がぶ)」

 

「痛ェー!」

 

しかし、セキトはルフィの手に噛みつく。

 

「セキト、その人噛んじゃ駄目」

 

「クウ~ン…」

 

「…ルフィさんって、犬との相性が悪いんでしょうか?」

 

「所謂『犬猿の仲』というヤツではないか?」

 

その様子を見て、朱里と星はそんな事を言うのだった。

 

「ちょ、ちょっと皆さ~ん!助けて~!」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

ブルックの悲鳴が聞こえ、一同が見てみると…

 

「わんわん!」

 

「キャンキャン!」

 

「ワウワウ!」

 

ブルックは大量の犬に追いかけられていた。

 

「な…何だあれは?」

 

「犬に好かれやすい人ってたまにいるけど…」

 

「アレはいくら何でも好かれすぎじゃないですか?」

 

「たぶん、単純に餌だと思われてるんだと思います」

 

「「「「「「「「「「成程」」」」」」」」」」

 

朱里の言葉に全員が納得するのだった。

 

「助けて~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、一同は謁見の間に移動した。

 

「…それで月、悪いんだけどおれは…」

 

「いいえ、大丈夫ですよ。チョッパーは皆さんと一緒に行ってください」

 

「ありがとう、月」

 

「…董卓殿、ウチから頼みたいことが一つあるんやけど」

 

チョッパーの話が終わると、霞が前に出てきた。

 

「何でしょうか?」

 

「ウチをあんたんとこで雇ってくれへんか?」

 

「え?」

 

「張遼殿⁉」

 

「関羽、あんたの言う通りやったわ」

 

「!」

 

「長安で李傕、郭汜と戦った時、ハッキリわかったわ。

ウチは弱いモンを守るために戦いたいって、自分でも気付かへんうちにそう思っとたわ。

それでここの住民達の様子を見て確信した。

あんた所のでやったら、大事なもん守るための戦いができるって。

董卓殿!この張遼文遠をあんたの部下にして欲しい!この通りや!」

 

そう言って霞は頭を下げる。

 

「……わかりました。張遼さん、我が愛する民のために、あなたのお力を私に貸してください」

 

「!ありがとうございます!」

 

「詠ちゃん、今夜はチョッパーの送別会と張遼さんの歓迎会で、宴会を開こうね」

 

「はい、喜んで!」

 

その夜、月の計らいで大宴会が開かれた。

そしてチョッパーが月達の下を離れる手筈が整うまで、ルフィ達は宿泊することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長安の一件から数日後―――

 

「董卓殿、本当にお世話になりました」

 

月、詠、恋、ねね、霞、華雄、そしてセキトと張々に見送られ、ルフィ達は出発することにした。

 

「それじゃあ月、詠、恋、雪羅、ねね、セキトに張々も元気でな」

 

「チョッパーも元気でね」

 

「ほんとあんたにはお世話になったわ」

 

「またいつでも遊びに来い」

 

「また、どこかで」

 

「達者でなのです」

 

「わん!」

 

「わふ!」

 

月達にお別れを言うチョッパー。

 

「ルフィさん、関羽さん達も本当にありがとうございました。皆さまのような英傑に出会えて、本当に良かったです」

 

「こちらこそ、董卓殿のような方とお目通りでき、感激でした」

 

「はい。もし董卓殿に力が必要であれば、僅かではありますが、我々は喜んでご助力いたします」

 

「はい!頼りにさせていただきます!」

 

「おう!任せとけ!」

 

挨拶をする桃香、愛紗、月、ルフィ。

 

「お互い苦労が多そうだけど、頑張りましょう」

 

「ここ数日一緒に過ごしてわかったけど、あんた達も本当に大変ね…」

 

「全くもってその通りで…」

 

「あはは…」

 

苦笑いするナミ、詠、星、朱里。

 

「ほな、翠にもよろしく言うといてな。あと、どっかであったら季衣にも頼むわ」

 

「おう、お前も達者でな」

 

「今度会ったら、是非お前達と手合わせをしたいものだな!」

 

「恋も」

 

「ヨホホホ!これは手ごわそうですな!」

 

霞、ゾロ、華雄、恋、ブルックが挨拶をする、その隣で…

 

「…陳宮!」

 

「?」

 

鈴々がねねに声を掛ける。

 

「これ、やるのだ!」

 

そう言って鈴々は一つの袋を差し出す。

 

「え?」

 

ねねが中身を確認してみると…

 

「これ…」

 

それは、鈴々が美羽の城下町で買った犬のストラップだった。

 

「やっぱりいらなくなったから、お前にやるのだ!」

 

「…!あ、ありがとうなのです!」

 

「…?何?」

 

二人のやりとりを見て、訊ねる恋。

 

「な、内緒なのです!」

 

「ケチ」

 

「後でのお楽しみなのです!」

 

「よし!じゃあ行くか!」

 

 

 

 

 

 

「月~!みんな~!またな~!」

 

すでにだいぶ小さくなった月達に向かって、チョッパーは振り返って腕を振る。

 

「絶対また遊びに来てね~!」

 

月達も腕を振って返していたが、やがて声も聞こえなくなり、一行は本格的に歩き出す。

 

「…張飛ちゃんって優しいんだね」

 

しばらくして、桃香が呟いた。

 

「なっ⁉」

 

「はい、鈴々ちゃんはとっても優しいんですよ」

 

「な、何を言っているのだ⁉鈴々はわがままで!大飯食らいで暴れん坊で…ぜ、ゼッタイゼ~ッタイ優しくなんかないのだ!」

 

朱里の言葉を、鈴々は真っ赤になって否定する。

 

「…そうだな鈴々。お前は本当にわがままで大飯食らいで暴れん坊だな」

 

「え、おい…!」

 

「チョッパーさん」

 

何か言おうとするチョッパーをブルックが制止する。

 

「何だよブルック?」

 

「関羽さん、優しくないってのいうは肯定していないでしょう?」

 

「あ…そうか…」

 

「な、何言ってるのだ愛紗!鈴々にだって、ちょっとぐらい良いところはあるのだ…!」

 

「…ってどっちなのよ」

 

ナミを始め、思わず笑いだす一同。

 

「ま、それはさておき、これで当面の目的は全て達したな」

 

星が呟く。

 

「どうする?来たついでに、翠の妹達のところにも寄ってみるか?」

 

ゾロが訊ねる。

 

「うーむ…しかし、翠がいないのに我々だけで行くというのもな…」

 

「そうね。それはまた別の機会に、翠さんと一緒に来た時にしましょう」

 

愛紗とナミの言葉に全員頷き…

 

「よし!それじゃあ桃花村に帰るか!」

 

まっすぐ東に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ルフィ達を見送った月達は、すぐに城へと引き返した。

 

「でも本当に良かった。チョッパーがちゃんと仲間に再会できて」

 

「ボクはあまり素直に喜べないけどね…」

 

「あの船長の下で働くなど…チョッパーが気の毒なのです…」

 

「何を言う。強くて頼もしい男だったではないか」

 

「せやせや。それなりに腕も立つんやし…」

 

「それなりにじゃない」

 

「?恋殿?」

 

「「「「?」」」」

 

恋の言葉に、月達は思わず足を止め、恋の方を見る。

 

「あの人たぶん………恋の五倍くらい強い」

 

「「「「「⁉」」」」」

 

 

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