ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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恋姫原作やっていると、稟って呉や蜀ルートの方がカッコ良く見えるんですよね。
魏ルートだと、どうも鼻血噴いてばかりな印象があって…。




第89話 “逆鱗”

「先ほどはお恥ずかしいところをお見せしました…」

 

しばらくすると、稟と呼ばれていた女性は意識を取り戻し、起き上がった。

 

「驚いておへそが飛び出しそうになったのだ」

 

「あの…血溜りが出来ていましたけど、本当に大丈夫なんですか?」

 

朱里が心配そうに訊ねる。

 

「心配はいらん、アレはただの鼻血だ」

 

星が代わりに答える。

 

「鼻血って…」

 

「あー…こほん。私は“郭嘉(かくか)”、字を“奉孝(ほうこう)”と申します」

 

桃香の言葉をさえぎり、稟は自己紹介をする。

 

「こちらは共に旅をしている…」

 

「ぐー…」

 

「…って風!起きてください!」

 

「おおっ!これは失礼。風は“程昱(ていいく)仲徳(ちゅうとく)”と申します。…で、風の頭の上にいるこれが…」

 

『“宝譿(ほうけい)”ってんだ。みんなよろしくなー』

 

「おう、よろしくなー」

 

「よろしくなのだー」

 

返事をするルフィと鈴々。

 

『おおっ⁉』

 

「どうしたのですか宝譿?」

 

『いや、人形のおれに普通に挨拶を返してくれる奴ってあまりいないから、ちょっとびっくりしちまったぜ…』

 

「まーウチにも似たようなのいるからなー」

 

「人形が喋るなんてすごいのだー!」

 

「なァ星、アレは腹話術でいいのだな?」

 

「その通りだが、どうした愛紗?」

 

「いや、その…本当に喋っていてもおかしくないような気がしてきてな…」

 

「成程…」

 

そんな会話をしながら、2人はチョッパーとブルックを横目で見るのだった。

 

「そういえばそちらにも、随分と変わった方や可愛らしい方がいるようですねー」

 

そう言って風はチョッパーの方を見る。

どうやら彼女は可愛い動物が好きなようだ。

 

「私とこちらの風は、孫氏の兵書を始め数多の書物を読み、知識を蓄えました。

そしてゆくゆくは志ある方に軍師として仕え、世の乱れを正したいと思い、仕官先を求めて旅をしていたのです」

 

「星ちゃんとはその途中で出会い、一時(いっとき)共に旅をしていたのですよ」

 

「そうだったのですか」

 

「それで少し前に曹操様の話を聞き、『治世の能臣、乱世の()雄』と呼ばれるあの方こそ、我らが主にふさわしい人物!

…と思い、召し抱えて貰おうと、向かっていたところだったのです」

 

「…とまァ、この通り稟ちゃんは曹操様の熱狂的な信奉者なのです」

 

「あ…いえ、別に信奉者というワケでは…」

 

「でも好きなのは本当なんですよね?」

 

「ふ、風!まだ会った事もないのですよ!ですから好きというか、憧れというか…」

 

「可能ならば軍師として曹操様のおそばに仕え、身も心も捧げたいと思っているんですよね?」

 

「っ!べ…別にそんな…身も心もだなんて大胆な……でも、もし本当にそうなったら…」

 

稟は顔を赤らめる。

 

「いっ…いけません!私は軍師としてお仕えするのであって、決してそのような…!」

 

身をくねらせ、妄想の世界に入る稟。

 

「あ、あの…程昱さん、郭嘉さんのこれは一体?」

 

ブルックは訊ねるが…

 

「ぐー…」

 

「ちょっと起きてくださいよ!」

 

「おおっ⁉申し訳ありません。ポカポカと心地よかったので、ついウトウトと…。

…で、何があったのでしょうか?」

 

『稟が自分の世界に入っちまったんだよ』

 

「全部わかっとるやないか!」

 

「わかっていたのは宝譿で、風ではないですよー?」

 

「…………」

 

「諦めろ真桜…」

 

「た、たしかにっ…身も心も捧げるとは申し上げましたが、それはそういう意味では…!」

 

その間にも稟の妄想はどんどん進んでいく。

 

「い、いえっ!決して嫌だというワケではなく、むしろ願ったりかなったりで…!ああっ!で、でもいきなりそんなに激しく…!」

 

「なァ星…」

 

「私にもコレはどうにもならん」

 

愛紗が言い切る前に、バッサリと却下された。

 

「ああ~!そ、そんなっ…そんな強引に~!で、でも…その乱暴な指使いが私を奮わせる~!」

 

「何かエロコックと似たようなバカさを感じるが…」

 

「サンジ君が女だったら、こんな感じになるのかもしれないわね…」

 

「ああんっ!そんなところまで…!こ、これ以上は本当に…!も、戻れなくなって…!」

 

「どうやら相当過激な妄想をしているみたいですね…」

 

「放っておいていいんでしょうか?このままだと消されたり、停止させられたりしませんか?」

 

顔を赤らめながら朱里と桃香はそんなことを言う。

 

その直後…

 

「ああーーーっ!だっ…ダメェーーーッ!ブーーーーーッ!」

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

限界を超えた妄想が大量の鼻血と化し、滝のように流れ出した。

 

 

 

 

 

 

「ま…またまたお恥ずかしいところを…」

 

しばらくして、稟はまだのぼせている様だが、鼻つっぺをして何とか出血は止まった。

 

「い、いえ…おかげで先ほどの血溜りの謎が解けました…」

 

苦笑いする朱里。

 

「でも…いくら鼻血でも、あれだけ流れれば致死量になると思うんだけど…」

 

「あ、ああ…おれもそう思うが…」

 

医学に詳しい2人は驚きを隠せずにいる。

 

「きっと血の気の多い方なのだろう」

 

「凪ちゃん、その言い方は語弊があると思うの…」

 

「お前らホンット面白れェな!」

 

皆が静まり返る中、ルフィは一人、腹を抱えて大笑いしている。

 

「おおっ⁉」

 

『どうした?風?』

 

「いえ、大抵の人は風達のお相手をすると、疲れるとか面倒くさいとか言いますから、面白いという好感的な受け止め方をしてくれた人が珍しくて…」

 

「まァ、ウチの船長はあんたらみたいなのが気に入る人間だから…」

 

「成程、それでルフィ殿のお仲間は皆濃い方ばかりなのか」

 

「言っとくがお前らも大概濃いからな…(特に(お前)には言われたくねェ…)」

 

そう言い返すゾロであった。

 

「そ、それはともかく…それほどの熱意があれば、あの曹操殿のことだ。きっと喜んで迎え入れてくれるであろう」

 

…と、愛紗。

 

「そう言われるところを見ると、曹操様をご存じなのですか?」

 

「ご存じどころか、ルフィ殿は曹操が唯一真名を預けた異性で、愛紗は曹操に股間のしっとりツヤツヤを狙われているからな」

 

「せ、星!」

 

「ゆ、唯一真名を預けた異性…⁉そ、それに股間のしっとりツヤツヤ…⁉フハッ!」

 

先ほどの量には及ばないが、稟はまたしても顔を赤らめ、鼻血を噴出した。

 

「おやおや稟ちゃん、トントンしましょうねー。トントーン、トントーン」

 

(星の奴、狙ってやったな…)

 

ゾロを始め、ほとんどの者達が密かに確信していた。

 

「に…二度ならず三度までも…お恥ずかしいところを…」

 

顔面ダブル鼻つっぺ状態になり、稟は起き上がる。

 

「何はともあれ、こうして曹操さんのお知り合いと出会えたのは好都合。

良ければ曹操さんに紹介していただけるとありがたいのですが…」

 

「構いませんよ」

 

「何を隠そう、ウチらも曹操様に仕官しようと思うてな」

 

「このお兄さん達に紹介して貰うとこだったの」

 

「一緒に参りましょう」

 

「おれも曹操殿にお目通りするところだしな」

 

「そうだなーおれも桃花村の事で華琳にお礼言いてェし、一緒に行くか」

 

「それじゃあ、決まりですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一行は、華琳の城下町に到着した。

 

「賑やかな街ですね」

 

「袁術のとこや長安とはえらい違いだな」

 

「領主である曹操さんの政が、上手くいっているんでしょう」

 

活気のある人で溢れかえる街を見て、桃香、ゾロ、朱里は感嘆の声を漏らす。

 

「おれは、このまま曹操殿を訊ねるが、関羽殿達はどうする?」

 

「そうですねー…」

 

「っ⁉は、腹が減っては戦はできぬと言いますし、まずは腹ごしらえをしようかと…!」

 

風が答える前に稟は慌てて言う。

 

『そんな事言って、本当は今になって腰が引けてんじゃねェのかー?』

 

「っ!」

 

「これ宝譿。そういうのは図星なのですから、わかったとしても口にしてはなりませんよ」

 

「~~~っ!」

 

「まァでも、おれも腹減ったし、先にメシにしようぜ」

 

「鈴々もお腹空いたのだ~…」

 

「ヨホホ~私もホネペコ~」

 

「ウチらもや」

 

「では我々は昼食を済ませてから、曹操殿に会いに行くとしよう。そういうワケで華佗殿、いずれまた後で」

 

「そうか、わかった」

 

こうして、ルフィ達と華佗は別行動をとることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」」」」」

 

一行は街にある飲食店で食事をとることにした。

 

「うめェ~~~!」

 

「美味しいのだ~!」

 

「これは味付けも焼き加減も素晴らしいな」

 

「ほ~!凪がそこまで言うとはな~!」

 

「楽進殿は食通なのか?」

 

「凪ちゃんは沙和達の中で、一番料理に詳しいの!」

 

「さ、沙和!」

 

「この狼のお肉、美味しいですね~」

 

「こっちの肉もうめェな!」

 

「それは羊の肉ね」

 

「このチンジャオロースもうめェぞ~!」

 

「ヨホホ~!こちらの玉子スープも美味ですね~!」

 

「この麻婆豆腐も美味しいですね~」

 

「こちらのメンマも中々だな」

 

「こりゃ酒に合う味だな」

 

『な~おれにも一口くれよ~』

 

「宝譿はその飴で我慢しなさい」

 

賑やかな食事の時間が過ぎていく。

 

「あむあむ…むぐむぐ…お代わりなのだ~!」

 

「鈴々、そんなに慌てて食べては、また腹を壊すぞ」

 

「そしたらまた華佗のおじちゃんに…チクッ!ピキューン!ハッ!ってして貰うから平気なのだ!」

 

「鈴々…『おじちゃん』って…」

 

「それ聞いたら、華佗さんきっと落ち込みますよ…」

 

苦笑いする愛紗と朱里だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、華佗のおじちゃんはというと…

 

「おれはおじちゃんではない!」

 

「⁉ど、どうしたのよ急に叫んで⁉」

 

「あ…い、いや…何でもない…」

 

ちょうど華琳と謁見しているところだった。

 

「…というワケで、今説明した通りなのだが…」

 

「まさか『太平道』がそんな事になっていたとはね…。

けど、安心してちょうだい華佗、私はそんな外道と手を組むつもりは毛頭ないわ」

 

「そうか、関羽殿達が言った通りだな」

 

「!あなた、関羽の事を知っているの?」

 

「ああ。旅の途中で知り合ってな、後でここにも訪ねてくるだろう」

 

「それじゃあ、関羽と一緒に藁で編んだ帽子を被った男がいなかった?」

 

「ああ、ルフィ殿のことか。一緒にいたぞ。彼も関羽殿と一緒に訊ねてくるつもりのようだ」

 

「そう…それは楽しみね…」

 

「ところで、どうして『太平道』の事を探っていたのだ?」

 

「!……実は、最近体の調子が良くないのよ…。色んな薬を試してみたのだけれど、どれも効果が無いみたいで…。

だから、藁にも縋る気持ちで…」

 

「『太平道』の妖術を試してみようと思ったワケか…」

 

「その通りよ」

 

「しかし…見た所、重い病を患っているようには見えないが…一体どうしたのだ?」

 

「その……無いのよ…アレが…」

 

華琳は顔を赤らめ、恥ずかしそうに言う。

 

「?何が無いのだ?」

 

「だから…その……アレが無いのよ…!」

 

「“アレ”が無い?………ああ!心配するな!それは病気ではない!むしろ、おめでたい事で…」

 

「違うわよ!」

 

「⁉」

 

「私の閨には、まだ一度も男は入っていないのだもの!孕むワケないでしょう!」

 

「じゃ、じゃあ一体何の事だ?」

 

「あ、アレっていうのはそっちじゃなくて…」

 

「どうした?おれは医者だ。恥ずかしがらずに言ってみろ」

 

「だから…えっと…その……お通じが…」

 

「ああ!便秘か!」

 

「っ⁉大きな声で言わないで!」

 

「しかし糞詰まりくらいで大袈裟な」

 

「だから大声で言わないでって言ってるでしょう!それに、そんなに楽観視しないでちょうだい!

このところアレの頻度が極端に少なくなったせいで、食は進まないし、肌は荒れてくるし、何よりイライラして、何事にも集中できなくて…!」

 

華琳はいかにも不愉快そうな様子で言う。

 

「ふむ…どうやら相当重症のようだな…。思い切って腹を切り裂いて、溜まっている物を絞り出せば解決するが?」

 

「何言ってるのよ⁉腹を切り裂いたりなんかしたら、死んじゃうじゃないの⁉」

 

「それは大丈夫だ。針麻酔を打てば、しばらくの間は何をされても痛みを感じなくなる。

不安なら、おれが調合した薬“麻沸散(まふつさん)”を服用して、眠って貰えばいい。

治療した後で傷口を縫い合わせれば、大して傷跡も残らないから安心だ」

 

「…ほ、本当に大丈夫なんでしょうね?」

 

「…………勿論だ」

 

「ちょっとォ!今の間は何よ⁉今の間はァ⁉」

 

「そこまで不安か。それなら……曹操殿は“後楽草(こうらくそう)”というのは知っているか?」

 

「ええ。それで作った薬はもう試してみたわよ」

 

「実は、後楽草には一般的な薬剤とは別に、より効果を高めた物があってな。

それには調合される前の薬草が必要なのだが…」

 

「そうだったの⁉けどあいにく、私達が所持している後楽草は全て使ってしまったわ」

 

「そうか。なら、針を打つ治療方法を試してみるか?」

 

「へェ…そんな方法もあるの。それはどうやるの?」

 

「まず《ピーーーッ》を摩擦して血行を良くしてから《ザーーーッ》に針を刺し、それを振動させて適度な刺激を与えつつ、《ガーーーッ》を《ガシャーン》して、続けて《パリーーーン》に《表示できません》して、《R18用語》を《規制対象》した後、最後に《下ネタダメゼッタイ》にこの黄金の針を深々と刺して、そこに気を流し込めば治療完了だ!」

 

その治療方法を聞き華琳は…

 

「そんな事…………できるかァーーーっ‼」

 

当然激怒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華琳の宮殿の庭にある円卓。

 

そこで2人の女性が飲茶をしていた。

 

「季衣、このメンマ美味いな!」

 

「でしょう⁉滅多に手に入らない秘伝のメンマなんですよ!」

 

一人は曹操軍の主力将軍である春蘭で、もう一人は以前ゾロと大食い大会で対決したことがある季衣である。

どうやら彼女は、曹操軍に入ったようだ。

 

「ん?季衣、この壺、底の方にメンマを作った奴の名前が書いてあるようだぞ?」

 

「あ、本当だ!どれどれ……“趙”……う~ん、あとは擦れていて読めないですね…」

 

「そうか…。しかし、このような美味いメンマを作ってくれた“趙”殿には感謝せねばなるまいな」

 

「そうですね~。…あれ?あれって華琳様?」

 

「む?」

 

春蘭が見てみると…

 

「待ァァァてェェェーーーっ!」

 

「ヒイィィィーーーッ!」

 

憤怒の形相で得物を振り回しながら、一人の男を追いかける華琳の姿があった。

 

「華琳様ー!」

 

「どうしたんですかー⁉」

 

当然2人は華琳に駆け寄る。

 

「春蘭!季衣!この男を捕まえて首を刎ねなさァい!」

 

「はっ!直ちに!」

 

「了解しました!」

 

命令を受けた2人はどこからともなく得物を取り出し、その男―――華佗を追いかける!

 

「うわあああァァァーーーっ!」

 

「待てェーーー!」

 

「逃げるなァーーーっ!」

 

3人は砂煙を上げ、どこかへと走り去っていった。

 

「全く…!何なのよあのヤブ医者は⁉」

 

華琳は少し落ち着いたが、まだ怒りが収まらない様子で言う。

 

「あ!華琳お姉様!ここにいらしたのですね!」

 

「!どうしたの柳琳?」

 

「関羽さんとルフィさんがお目通りを願ってきたのですが、どうしましょう?」

 

「え⁉あの二人が⁉」

 

華琳はたちまち上機嫌になる。

 

「はい。関羽さんは仕官を希望している者を紹介したいと、ルフィさんは桃花村の件でちゃんとお礼を言っておきたいと」

 

「わかったわ。それじゃあすぐに謁見の間に……いえ待って!」

 

「?」

 

「いい事思いついたわ…♪」

 

華琳は頬を赤らめ、どことなくいやらしい笑みを浮かべるのだった。

 

 




今回の話、ギリギリ大丈夫ですよね?

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