ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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第9話 “潜入作戦”

鈴々と趙雲が手合わせをする事になり、鈴々は丈八蛇矛を、趙雲は“龍牙(りゅうが)”という槍を構え対峙する。

 

「始め!」

 

「うおりゃーーーーー!」

 

公孫賛がそう叫ぶと同時に、鈴々は仕掛ける!

 

「っ!」

 

振り下ろされた鈴々の一撃を趙雲は正面から受け止める!

 

「―――ほう…!」

 

そして、蛇矛を受け流すように振り払う!

 

「うりゃりゃーーーーー!」

 

躱された鈴々は次々と攻撃を放つ!

 

「―――っ!」

 

「!」

 

しかし趙雲はそれらを全て、必要最低限の動きで躱す!

その動きに愛紗は驚く。

 

「ヒラヒラ逃げてばかりなのだ!」

 

「どうした?もう降参か?」

 

「そんな訳ないのだー!」

 

そう叫び鈴々は蛇矛を振り上げるが―――

 

「鈴々!そこまでだ!」

 

「⁉」

 

愛紗に止められる。

 

「どうしてなのだ愛紗!鈴々はまだやれるのだ!」

 

「わかっている。だが……私も戦ってみたくなったのだ」

 

「?」

 

「ほう…」

 

 

 

 

 

 

そして、鈴々に代わり愛紗が趙雲と対峙する。

 

「…………」

 

「…………」

 

両者は互いに動かず、しばらく睨み合い…

 

「…成程、よくわかった」

 

「「「「!」」」」

 

趙雲が構えを解いた。

 

「本当に強い相手なら、戦わずともわかるものだ。公孫賛殿、関羽殿の実力、しかと見届けました」

 

「うむ」

 

「ふう…」

 

「ししし!」

 

「はにゃ?」

 

 

 

 

 

 

手合わせを終え、5人は再び席に着いたが…

 

「む~~…」

 

鈴々が不機嫌そうにしていた。

 

「どうした鈴々?」

 

「そんな膨れっ面して?」

 

「…さっきのだと、なんだか鈴々だけ強くないみたいなのだ…」

 

「いや張飛とやら、お主の強さは本物だ。ただ、その強さを上手く使えていないだけだ」

 

「?」

 

趙雲が説明するが、鈴々はよくわからなかった。

 

(…………ん?)

 

その直後、趙雲は鈴々の言葉のある事に気が付く。

 

(“鈴々()()”…?あの男は…?)

 

そんな事を考え、ルフィを見るが…

 

(荷物持ちか何かだから、比べる相手に入れてないだけか…)

 

そんなふうに考え、口にはしなかった。

 

「?何だ?」

 

「…いや何でもない。そういえば公孫賛殿、この間お話した例の件ですが…」

 

「ああ、あれか…」

 

「例の件?」

 

「何かあったのか?」

 

「実は山賊退治に少々手こずっていてな…。

これまでの状況からみて、連中の根城は赤銅山(しゃくどうざん)にある様なのだが、いくら山を探してもそれらしき砦が見つからなくてな…。

討伐隊を出すこともできんのだ…」

 

「そこで私が一計を案じてみたのだ」

 

「その作戦とは?」

 

「偽の隊商をしたてて、その荷物に中に潜り込み、わざと荷物を賊に奪わせる。そしてそのまま賊に直接隠れ家に連れて行ってもらう、という訳だ」

 

「おおー!頭いいなお前!」

 

「しかし、賊の巣窟に単身で乗り込むなど…」

 

公孫賛はその作戦に反対している様だった。

 

「“虎穴に入らずんば虎子を得ず”です。そもそも武器を手にし、戦に身を投じた時点で、危険は覚悟しておかねばならぬもの」

 

そう言うと趙雲は愛紗の方に向き直る。

 

「どうですか関羽殿、私と一緒に賊の隠れ家を訪ねてみませぬか?」

 

「引き受けた」

 

愛紗がそう言い…

 

「よし!おれも行くぞ!」

 

「鈴々も行くのだ!」

 

ルフィと鈴々も協力を申し出るが…

 

「お主達は駄目だ!」

 

趙雲にきっぱりと断られてしまう。

 

「え~⁉」

 

「どうしてなのだ⁉」

 

「よいか?荷物の中に潜み、賊の隠れ家に着くまでは、ずっと息を殺し、じっとしていなければいけないのだぞ。

お主達のように根が騒がしくできている人間には無理だ。

きっと半刻もじっとしていられまい」

 

「ああ、そりゃムリだな」

 

じっとしているのが苦手、というより嫌いな自覚があるルフィは引き下がるが…

 

「そんな事ないのだ~~~!鈴々はやればできる子なのだ~~~!」

 

鈴々は大声で叫び、猛抗議する。

 

「ほう…では今ここでやって貰おうか」

 

若干、ニヤニヤしながら趙雲がそう言い…

 

「お安い御用なのだ!こうやって、じっとしているだけでいいんだから簡単なのだ!」

 

そう言って鈴々は腕を組み、胡坐をかいて座り込む。

 

 

 

 

 

 

1分が経過した。

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

やがて5分が経過し…

 

「…………っ」

 

 

 

 

 

 

そして10分後…

 

「~~~~っ!」

 

「……おい、鈴り…」

 

ボカァァァァァン!

 

「はにゃ~~~~~⁉」

 

「鈴り~~~ん⁉」

 

「爆発したァ⁉」

 

じっとしていた事により、体内に溜め込み過ぎた何かが爆発した鈴々は、真っ黒コゲになり倒れこんだ…。

 

「おい鈴々!しっかりし―――熱ィッ!スゲェ熱だ!」

 

「公孫賛殿!医者を!早く!医者を!」

 

ルフィと愛紗は慌てふためき、趙雲は気にする事なく茶を啜り、公孫賛はその様子を苦笑いして見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、愛紗と趙雲で作戦を決行する事になったが…

 

「この中に隠れるのか…」

 

「少々窮屈だろうが、仕方あるまい」

 

賊が荷車を運搬した際に怪しまれない為には、愛紗達が隠れる(ひつ)の他にも積み荷を乗せ、荷車全体をある程度の重くする必要があった。

その為、2人が隠れる櫃は2人がギリギリ入れる大きさになってしまった。

さらに万が一、中身を見られた場合に備え、衣服や反物を一緒に入れた為、かなり狭くなった。

 

「これでは相当身体を密着させねばならないな」

 

「なァに問題ない。私はそのケが無くもないのでな。むしろ大歓迎だ」

 

「そうか。なら安し……⁉」

 

全く安心できない愛紗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かくして、公孫瓚の兵が変装した商人に運ばれ、2人は出発した。

 

その道中…

 

「ちょ、趙雲殿…」

 

「しっ!いつ賊が現れるかわからぬのですから、静かに」

 

「で、ですがその…先程から…」

 

「…何ですか」

 

「趙雲殿の…膝が…」

 

「……膝がどうかしましたか?」

 

「あ、当たって…」

 

「おお、失礼。ではこうして…」

 

「ひゃんっ!こ、今度は手が…」

 

「おお、いけない。では手をこっちにやって…」

 

「ふぁっ…!ちょ、趙雲殿…わざとやっておりませぬか?」

 

「ハテサテ何ノコトヤラ…」

 

「ぼ、棒読みではないですか!や、やはり…あっ!あんっ!」

 

「「「「「…………」」」」」

 

後に、その時商隊に扮していた兵士達は口を揃えてこう言った。

『ある意味これ以上に大変な任務はなかった』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、公孫賛の執務室にて―――

 

「公孫賛様、報告です」

 

「何だ?」

 

「例の商隊が賊に襲われました」

 

「そうか。…して首尾は?」

 

「はい。同行していた者に怪我はなく、荷物の方は全て賊の手に渡ったとの事です」

 

「そうか、ご苦労だった。後は二人が上手くやってくれると良いのだが…」

 

因みににその頃、ルフィと鈴々は…

 

「…ヒマだな」

 

「…ヒマなのだ」

 

公孫賛の屋敷の庭で寝転がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同刻、赤銅山のとある場所―――

 

「今回の戦利品はこれで全部だな」

 

「あ~重て~…」

 

そして、賊は最後の荷物を少々乱暴に床に置く。

 

「キャッ!」

 

「ん?」

 

「どうしました頭?」

 

「今、女の声がしなかったか?」

 

「何言ってんですか?」

 

「あまりに女に飢えてるから、幻聴が聞こえたんじゃないですか?」

 

「そうかもな。じゃあ今日も村の娘に酌させるか」

 

そう言って賊は倉庫を出て行った。

 

「……よし、大丈夫だな」

 

櫃の蓋を少し開け、外の様子を確認した後、趙雲は外に出てきた。

その後から愛紗が少しのぼせた様子で外に出る。

 

……一体何があったのか?

 

「………どうやらここは地下の様だな」

 

少し周りを見渡して、趙雲がそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

倉庫らしき部屋から通路に出た2人は、周囲の様子を見渡す。

 

「どうやらここは昔、鉱山だった様だな」

 

「その時の坑道を、そのまま隠れ家にしていたという訳か。道理でいくら砦を探しても、見つからない筈だ」

 

そして2人は、隠れ家の場所を公孫賛に知らせる為に、少し探索してみるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思っていたより広いな…それに道も複雑だ。これでは出口を探すのも、一苦労だな」

 

「しかし、敵陣の中で得物がコレだけとは…少々心細いな…」

 

懐から取り出した短剣を見て、愛紗が呟く。

 

「しかたあるまい。お主の乳が邪魔で、それ以上の大きな武器は入らなかったのだから」

 

「⁉な、なにも邪魔だったのは私の乳だけではあるまい!」

 

「…そうだな。乳だけではなく、お主の尻も邪魔だったかもしれんな」

 

「なっ⁉」

 

「!しっ!」

 

「?」

 

趙雲に言われ、愛紗は口を閉じる。

 

すると、そう離れていない場所から大勢の笑い声が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人が声を頼りに少し歩くと、広い場所に出た。

 

そこでは大勢の賊が宴会をしていた。

頭領らしき男は1人の娘を侍らせている。

 

「や…やめて下さい!これ以上は…!」

 

「いいじゃねェか、減るもんじゃねェし」

 

「い、いやァ!」

 

頭領は強引に娘を抱き寄せ、身体を触る。

 

「おのれ無体(むたい)な…!成敗してくれる!」

 

その様子を見て愛紗は怒り、身を隠していた岩陰から今にも飛び出そうとする。

 

「関羽!何をするつもりだ?」

 

「決まっているだろう!あの娘を助けに行く!」

 

「しかし、相手はあの数。それに我らの役目はこの隠れ家の場所を…」

 

趙雲が言いきらないうちに、愛紗は飛び出し―――

 

「ハァッ!」

 

「ぐあっ⁉」

 

頭領の頭に蹴りをくらわせ気絶させる!

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい…ありがとうございます…」

 

「何だテメェは⁉」

 

「我が名は関羽!地下に巣くう外道ども!まとめて青龍偃月刀の……⁉」

 

そこまで言って、関羽は自身の手に青龍偃月刀がない事を思い出す。

 

「まとめて……どうする気だ?」

 

「き、貴様らなどこれで十分だ!命が惜しくない奴はかかってこい!」

 

そう言って愛紗は自身の後ろに娘を隠し、短刀を抜いて構える。

 

「その台詞…そっくりそのまま返すぜ」

 

しかし山賊達は自分たちの有利を確信し、愛紗達を取り囲む。

 

(くっ…!)

 

愛紗の方も強がっているものの、自分が不利である事はわかっていた。

 

後ろに守らなければならない娘がいる為、あまり大きく動く事ができない。

その上、手にしている得物も普段の武器とは形が大きく異なるため、使い慣れていない。

 

いくら愛紗が強くても、この状況で数十人の相手をするのは分が悪かった。

その為、ジリジリと距離を詰めてくる賊の大群を前に、身動きが取れなかった。

 

その時―――

 

ガタンッ

 

「「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」」

 

何かが倒れる音が響き、辺りが真っ暗になった。

 

「な、何だ⁉」

 

「明かりをつけろ!」

 

突然の事に賊達が混乱する中―――

 

「関羽殿、こっちだ!」

 

「趙雲殿⁉」

 

趙雲が愛紗に駆け寄り、声を掛けた。

 

愛紗が飛び出した後、趙雲はしばらく様子を見ていた。

そして賊が愛紗に気を取られている隙に、小石を投げつけて篝火(かがりび)を倒し、明かりを消したのである。

 

趙雲に案内され、愛紗は娘を連れてその場を離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どうやら追って来てはいないようだな。全く…猪武者なのは義妹だけかと思っていたが、お主もかなりのものだな」

 

「はは…申し訳ない。…ただ、どうしてもな…」

 

「?」

 

「自分で救える者なら、必ず救うとそう決めていたもので、つい…」

 

「…そうか」

 

「あ、あの…」

 

「「?」」

 

「助けていただき、ありがとうございます…」

 

2人が話していると、先程賊に捕まっていた娘が礼を言った。

 

「いえ、当然の事をしたまでです」

 

そして娘は賊に捕まった経緯を話し始めた。

 

「私はこの山の付近の村に住んでいたのですが、子供達と山菜採りに山に入った時、偶然ここへの出入り口を見つけてしまい…」

 

「それで捕まってしまったのか」

 

「はい。その時一緒にいた子供達も、捕まってここの地下牢にいるのです。もし私が逃げ出したら、あの子達がどんな目に遭うか…」

 

「…どうする気だ?」

 

少女の話を聞き、趙雲が愛紗に訪ねた。

 

「無論、助ける」

 

「…だろうな」

 

愛紗の言葉に趙雲は、困ったような顔をするのだった。

 

 




ワンピース原作では、手配書が出回ってるからこそ、ルフィは警戒されていますけど、何も知らないで外見だけ見ると、やっぱり強そうに見えませんよね。
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