ONE PIECE エピソードオブ恋姫†無双 無双の姫たちと九人の海賊   作:HAY

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第6席編です。




第91話 “何の肉?”

華琳に凪達の紹介を済ませた、その日の夕方。

 

「……お、あそこの様だな」

 

華琳との謁見を済ませたルフィと愛紗は、街でゾロ達がいる宿を探していた。

そして部屋の窓から、朱里の帽子がかかった鈴々の蛇矛が出ている宿を見つけ、その中へと入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここに指を入れると…じゃーん!“橋”!」

 

「わー!」

 

「ここをこうすれば…“定軍山(ていぐんざん)”!」

 

「すごいのだ!」

 

「劉備さんって手先器用なのね」

 

「はい。生まれてからずっと莚や草鞋を編んでいたので」

 

宿の中では桃香がナミ、鈴々、朱里にあやとりを披露し、チョッパーは持っていた薬草で薬の調合、ブルックと星は武器の手入れ、フランキーは自分の身体のメンテナンスをしていた。

ゾロは無論寝ている。

 

「ただいまー」

 

ルフィ達が部屋に入って来た。

 

「おう!帰って来たか!」

 

「意外に遅かったな。……む?」

 

2人に近づいてきた星は、くんくんと匂いを嗅ぐ。

 

「……風呂にでも入って来たのか?」

 

「ああ、か…むぐ」

 

「あ、ああ!い、色々あってな…!」

 

ルフィが余計な事を言う前に、愛紗は口を塞ぐ。

 

「ほほう…」

 

しかし、星はすでに大方の事情を察したらしく、ニヤニヤしていた。

 

「…で、楽進達の事はどうなったんだ?」

 

一時とはいえ、妹分のような存在だった為気になるのか、フランキーが訊ねる。

 

「ああ。楽進殿、李典殿、于禁殿は部将、程昱殿と郭嘉殿は軍師として召し抱えられる事になった」

 

「そっか。そいつは良かった」

 

「あれ?そういえば華佗はどうしたんだ?」

 

今度はチョッパーが訊ねる。

 

「ああ、華佗殿の事は…詳しくは聞けなかったのだが、どうやら曹操殿を怒らせてしまったようでな。

街の外に逃げ出したようだ…」

 

「それは心配だな…まだ首と胴がくっついていると良いが…」

 

星がそういった時、ルフィの腹から腹の虫が鳴く音がした。

 

「ま、心配だけど私達が考えてもどうしようもないし、とりあえず夕食にしましょ?」

 

…とナミ。

 

「賛成なのだ~!鈴々はお腹が減って、背中とお尻がくっつきそうなのだ~!」

 

「鈴々ちゃん…そんな事になったら背中の骨が折れちゃいますよ…」

 

苦笑いしながら朱里が言う。

 

「だからそうならないように、早く晩ご飯を食べるのだ~!」

 

「お昼を食べたあのお店、美味しかったですし、またあそこにしませんか?

私、あのお店の狼の肉の炒め物が気に入っちゃって」

 

桃香が提案する。

 

「そうだな、あそこのメンマは絶品だった」

 

「鈴々は羊の肉が気に入ったのだ~!」

 

「麻婆豆腐も美味しかったですよね~!」

 

「おれはチンジャオロースが好きだな!」

 

「ヨホホ~!私は玉子スープが大好きです~!」

 

「わかった。では、またあの店に行くとしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、城の外の森の中にて―――

 

「季衣、どうだ?」

 

「駄目です、見失っちゃいました」

 

「逃げ足の速い奴め…仕方がない、ここは一旦引き上げるぞ」

 

「はーい」

 

春蘭と季衣が撤収するのを、華佗は近くの茂みの陰から見ていた。

 

「…なんとか助かったな…」

 

緊張が解けた華佗はその場に座り込む。

 

(曹操殿に協力を頼むのは失敗だな…それにあの様子じゃ、しばらくは目の敵にされそうだ…。

今後は可能な限り、陳留や曹操殿からは距離を取って行動した方が無難だな…)

 

そんな事を考えながら、華佗は夜空を見上げる。

 

空には無数の星が輝いており、その中の北斗七星が華佗の目に留まる。

 

(北斗七星…『太平道』の旗印…。奴らは今どこで何をしているんだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」」」」」

 

ルフィ達は昼間と同じ店で、食事をとっていた。

 

「やっぱりここの羊のお肉は最高なのだー!」

 

「狼の肉も美味しいですよ~!」

 

「麻婆豆腐も侮りがたい味ですよ」

 

「チンジャオロースうめ~!」

 

「玉子スープの温かさが腹にしみわたります~!私腹ないんですけど~!」

 

「このメンマの良さがわからぬとは…皆まだまだだな…」

 

一同は昼間と同様、鈴々の好きな羊の肉、桃香の狼の肉、朱里の麻婆豆腐、チョッパーのチンジャオロース、ブルックの玉子スープを注文し食べていた。

 

「星さんって本当にメンマが好きよね…」

 

呆れ気味に言うナミ。

 

「うむ。実は私の母型の祖母がメンマでな…」

 

「え~⁉メンマから人間って生まれるのか~⁉」

 

「あ、いえ…チョッパー殿…今のはちょっとした冗談で…」

 

「……可愛いなァ…」

 

「?どうしたんだ愛紗?」

 

「な、何でもありませんよ⁉」

 

…と、慌てた拍子に愛紗は自分の湯吞を倒してしまう。

 

「あ…劉備殿、申し訳ないのですが、そこの手拭を取って貰えませぬか?」

 

愛紗はお願いするが…

 

「…………」

 

「?」

 

桃香は返事をせず、不機嫌そうに頬を膨らませる。

 

「劉備殿?」

 

「関羽さん、私達は姉妹なんですから『劉備殿』じゃなくて『お姉ちゃん』って呼んでください!」

 

「い、いや…それはルフィと鈴々が…」

 

「いいじゃねェか、()()ももう仲間なんだしよ」

 

「そうなのだ。()()()()()()()は鈴々達に真名を許してくれたのに、愛紗が呼ばないなんて失礼だと思うのだ」

 

「し、しかしですな…」

 

今の会話からわかる通り、桃香はルフィ、愛紗、鈴々に対しては自分を真名で呼ぶ事を許しており、ルフィと鈴々は桃香を真名で呼んでいる。

また、愛紗はまだだが、鈴々は桃香に真名を預けたのだった。

 

 

 

「炒飯大盛りできましたー!…あれ?あの人達って…」

 

その時、店の厨房で働いていた一人の少女が、ルフィ達に気づいてその様子を見ていた。

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「ごちそうさまでしたー!」」」」」」」」」」

 

しばらくして、一同は食事を綺麗にたいらげた。

 

「ここの料理は庶民的だが、どれも一工夫してあって侮れんな」

 

「お値段も良心的だし、量も多めだから文句なしね」

 

愛紗とナミは絶賛する。

 

「ぶへ~…食った食った~…」

 

「鈴々大満足なのだ~…」

 

「全く…美味し過ぎてこの二人には勿体ないくらいだな」

 

「食事の評価をメンマでしかしない星さんも、あまり人の事言えないと思うんですけど…」

 

「何を言うか朱里!飲食店の質は、その店のメンマの質で八割が決まると言っても良い程…」

 

「わ~綺麗に食べてくれたんですね!」

 

「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」

 

そんな会話をしていると、店員らしき少女が声を掛けてきた。

年齢は鈴々と同じくらいで、緑色の短髪をしており、頭に青いリボンをつけている。

 

「お主は?」

 

「ああ、突然すいません。私、この店で料理人をしている“典韋(てんい)”と申します」

 

「ほう!それではこの料理はお主が作ったのか!」

 

「はい!それで…皆さん、昼間もここに来てくれましたよね?」

 

「気付いていたのか?」

 

「はい!よく目立つ格好でしたし、注文した物が同じだったので!」

 

「そ、そういえばそうですな…」

 

「「「「「「「…………」」」」」」」

 

「「「?」」」

 

愛紗を始め、一同は思わずチョッパー、フランキー、ブルックに視線を送る。

 

「それであのー…ちょっと待っていて頂けませんか?」

 

「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

しばらくすると、典韋は店の厨房から蒸籠(せいろ)を持って来た。

 

「良かったらコレ、食べみて貰えないですか?」

 

そう言って典韋がふたを開けると、中には美味しそうな肉まんが入っている。

 

「うまそーだなー」

 

「よろしいのですか?」

 

「はい。今度、お店に出そうと思っている新商品で、食べて感想を聞かせて欲しいんです。

一日に二度も来てくれた皆さんへのおまけという事で、お代の方はいりませんから」

 

「そういう事なら遠慮なく」

 

…と、星を始め全員肉まんに手を伸ばす。

 

「うめ~!」

 

「肉汁がたっぷり入っていて美味し~!」

 

「おれはちょっと熱くて、舌火傷しそうだな…」

 

「お肉も柔らかくて食べやすいですね~!」

 

「ほんろにおいひいのら!」

 

「鈴々ちゃん、口に物を入れたまま喋るなんてお行儀が悪いですよ」

 

「いい塩加減だな!出汁も効いている!」

 

「これなら十分商品としてやっていけるわよ!」

 

「だが…これ、何の肉だ?」

 

「確かに…豚とか牛じゃなさそうだが…」

 

「典韋よ、これは一体何の肉だ?」

 

「何のお肉か当ててみてください!」

 

典韋に言われ、全員考え込む。

 

「鹿や猪でもないみたいですけど…」

 

「ほら、わかりませんか?頭に“に”が付く二本足の動物ですよ?」

 

「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」

 

その言葉にルフィと鈴々以外の頭に、「に」で始まり「ん」で終わるひらがな4文字の動物が浮かび、顔が青ざめる。

 

「あ…頭に“に”が付いて…」

 

「二本足の動物…」

 

「そ、それって…」

 

「ひょっとして…」

 

「に…にん……」

 

皆が冷や汗をかいていると…

 

「ああ!ニワトリか!」

 

…と、ルフィ。

 

「「「「「「「「「⁉」」」」」」」」」

 

「はい!正解です!」

 

「「「「「「「「「だああァァァっ⁉」」」」」」」」」

 

典韋の言葉を聞き、ルフィと鈴々以外の全員がずっこけた。

 

「お…脅かすな…」

 

起き上がりながら愛紗が言う。

 

「「「?」」」

 

「いや~…まさに人を食った…いや食わなかった話だな…」

 

「星さん…無理に上手い事言わなくていいですよ…」

 

苦笑いする朱里。

 

「ビックリした~…おれてっきり共食いしちゃったのかと思ったよ…」

 

「チョッパーさんの場合、それは共食いになるんでしょうか?」

 

…と、ブルック。

 

「つーか、あの状況でニワトリが浮かぶって…」

 

「相変わらず肉と食事に偏った頭してるわね…」

 

呆れるゾロとナミだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、食事を終えたルフィ達が宿で休んでいると…

 

「失礼します」

 

「これは曹純殿」

 

柳琳が訊ねてきた。

 

「どのようなご用件で?」

 

愛紗が対応する。

 

「華琳お姉様から伝言を預かってまいりました。お姉様が明日、皆様をお招きしてお礼をしたいと言いまして…」

 

「お礼を?」

 

「はい。当家では月に一度、お姉様が自ら腕を振って客人をもてなす『美食の会』というのを開いております。

明日の昼よりそれを催しますゆえ、本日刺客から救っていただいた事や度々窮地を救って頂いたお礼として、是非お二人とお連れの皆様をお招きしたいと…」

 

「“びしょくのかい”って何をするのだ?」

 

「“美食”っていうのは美味しい物を食べる事ですから、何かご馳走してくれるんじゃないでしょうか?」

 

「ご馳走⁉」

 

「美味ェモン食えるのか⁉」

 

「やったーなのだー!」

 

朱里の言葉にテンションが高くなる3人。

 

「こら鈴々!ルフィに劉備殿も!はしたないぞ!」

 

「いかがでしょう?我が主のお招き、受けて頂けるでしょうか?」

 

「では、お言葉に甘えて…」

 

「明日の朝ご飯はお代わりを三杯までにして、お腹を空かせておくのだ!」

 

「ししし!楽しみだなー!」

 

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