IS -other world order-   作:3×41

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第6話 機影

 2330時 中東とあるビル内

 

 

 少年は、ビルの一室で一人横たわっていた。

 あたりの壁面はボロボロに崩れ、そばにネズミがはっている。

 

 少年はそのネズミにしっしと手を振って退散させると、再びうずくまった。

 

 そこは廃街の廃ビルの中だった。

 死んだ街、自分以外はネズミ以外いない。

 近くの町まで数時間かかる。身を隠すにはうってつけだった。

 

 少年は泥棒だった。

 そのビルにはパンやチーズが貯蔵されている。ネズミは天敵だった。

 うずくまった少年は、しばらくして再びまどろみはじめた。

 しばらくしてほとぼりがさめたら、また町にもどって一仕事はじめよう。

 

 そのとき、突然、ビルが激しく揺れた。同時に、轟音。

 まるで断続的に雷が鳴り響くように爆音が響き続けた。

 

 なんだ?何がおきた!?

 

 寝転んだ少年はあわててばたついた。

 地面の石ころは少年と同じように震動でブルブル震えている。

 

 少年は今までとなえたこともない神の名を呼びひたすらきつく自分の体を抱きしめた。

 

 

 

 その廃ビルの外、清掃した長い道路の前に、数人の男たちが集まっていた。

 それに加え、巨大な機械が道路に並んでいる。

 その男たちの中で、長くアゴヒゲを蓄えた男が合図をした。

 

「では、はじめろ」

 

 すると轟音とともに、機械が駆動を始める。

 よしよし、男はアゴヒゲを何度もなげてそれを眺めていた。

 これでいい。世界はひっくりかえる。この汚れた世界。どこまでも汚れている。

 しかしこれでいい。世界は再び秩序を取り戻す。

 

「神の名のもとに」

 

 アゴヒゲをたくわえた男は、次に男たちに合図して、

 近くに併設した施設に引き上げた。

 これでもうとまらない。世界は神の手に取り戻される。

 

 

 

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 0200時エジプト東部上空

 

 

 

 エジプトの空を二機の戦闘機が飛行していた。

 エジプト空軍兵がロシア製戦闘機ブローツァを操縦して暗い空を切り裂いて疾走している。

 

 周りは平穏だった。いつもどおりだ。オーマイゴッド。

 こんな日に夜勤だとはついていない。昨夜は空軍のみなはパーティに行っていたに違いなかった。

 男はパーティに行ったであろう気に入りの女のことを思い浮かべた。ちくしょう。どこかのクソ野郎になびいてやいないだろうな。

 

 戦闘機が空を切って滑空する。

 空気が切り裂かれる音がほとんど強化ガラスに跳ね返されてコックピットに入ってくる。

 戦闘機はかなりの高度を高速でとんでいるだけあって、コックピットでゆれる男の体に冷気がかみついてきていた。

 

 今日は冷える。早く帰りたい。自宅が恋しかった。早く家に帰って、熱いシャワーで体を熱してから、冷えたイェールをのど奥に流し込みたい。

 

 

 

 ビーッ!ビーッ!ビーッ!

 

 

 

 異常、空軍兵がはねるようにブローツァのディスプレイを確認する。

 ディスプレイを見た空軍兵は今度こそ神の名を叫んだ。

 

 ロックドオン? ロックドオンだと!?

 

 ブローツァの管制システムはこのブローツァがミサイルのレーダーにロックされていると告げていた。ありえないことだった。このエジプトの上空でいったい何にロックオンされるというのだ?

 

 男は事態を飲み込めず。しかし訓練の動きに脊髄反射的に叫んだ。

 

「メーデー!メーデー!管制室!現在当機はロックされている!メー・・」

 

 爆音。二機のブローツァにほぼ同時にミサイルが着弾し、爆炎に翼がちぎれとんだブローツァはきりもみ回転したあと爆発して四散した。

 黒く塗りこめられた空の中に二つの小さい赤い火がともる。

 

 そのそばを8つの影が高速で飛びさっていった。

 

 

 

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 2機のブローツァが撃墜されたのとほぼ同時に、東部のエジプト空軍基地から8機のブローツァがスクランブル発進した。

 

 エジプトの黒い夜空を揺らして8機のブローツァが高速で疾走する。

 

 そのブローツァの中のコックピットの中でパイロットが言った。

 

「通信、エジプト東部を哨戒中のブローツァが正体不明の戦闘機に撃墜された」

 

 別の戦闘機の中で男がうめいた。

 

「やってくれた。いいか、神にかけてそのパイロットは八つ裂きにしてやる!!」 

 

 

 8機のブローツァがバーニアを加速して夜空を疾走する。

 

 突然、レーダーが正体不明機の機影をとらえた。

 ブローツァのパイロットが怒りが込められた声で通信する。

 

「通信、レーダーが糞野郎の機影を2機とらえた。まもなくミサイルの射程圏内に・・・」

 

 

 次の瞬間、爆音。

 8機で編隊を組んでいたブローツァがその中の3機が突然吹き飛んだ。

 

「なんだ!?何がおこった!?」

 

 状況を飲み込めず混乱しながら叫んだ男のブローツァの正面から、高速でミサイルが疾走し、そのブローツァに突き刺さり、ミサイル内の信管が作動、ミサイル内の爆薬が調合され、瞬間的に火を噴き爆発し、その爆炎で装甲と機体を貫通し、揺れるブローツァをその爆炎で粉々に引き裂いた。

 

「散開!散開しろ!!」

 

 叫んで、4機のブローツァがチャフフレアを撒いて散開する。

 

 そこに2機の戦闘機が加速してつっこんできた。

 

「2機!?2機でブローツァ4機とやろうっていうのか!!」

 夜空で高速でブローツァを旋回させながら男が怒りをふきだすようにうめいた。 

 

 しかし先ほどのミサイル攻撃だ。ブローツァがミサイル射程に入れる以前にミサイルがブローツァに着弾した。それは向こうのミサイルの射程がブローツァよりはるかに長いことを意味する。

 ロシア製のブローツァの有効射程を上回るのは、ユーロファイターか、あるいはF18か、準最新鋭機に限られる。

 

 仰向けになって旋回するブローツァの後ろに戦闘機がつける。

 

「くそっ!尻につかれた!!」

 

 パイロットがうめいて、さらに加速する。

 ブローツァの描く円の軌道がバーニアの加速で半径を長くした。

 

「ふりきれん!!」

  

 ブローツァがランダム移動しても、後ろの敵機はピッタリついてくる。

 その不気味な機影はぴったりブローツァの後ろにつけたまま重機関銃を掃射した。

 6銃身のガトリングが高速回転し、砲身の中でライフル弾が着火、爆発し、あまたの強力な20mmライフルが超音速で嵐のように発射される。

 

 超高速の質量弾が前方のブローツァの翼につきささり、そのブローツァは機体を傾かせ、風圧で羽を折り、きりもんで爆発、四散した。

 

 それと同時に、もう一方の敵機にブローツァが2機撃墜されていた。

 

 残った1機のブローツァのパイロットが揺れるコックピット内で悲壮な声色で叫んだ。

 

「なんで、なんでこの空にF18が飛んでるんだ!!?」

  

 そのブローツァにはるか遠方からミサイルが着弾。

 ブローツァを爆散させた。

 

 細切れに爆散したブローツァが地面に突き刺さったころ、先行していた2機のF18と合わせてあとから後続してきた6つのF18が、空中を併走して8機編隊を組み、さらにエジプトの夜の空を加速した。

 

 

 

 

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 同時刻0210時 飛行学園艦アレクサンダー内 司令室

 

 

 

 アレクサンダーは中東地域を横切って航行していた。

 中東の大地からは、夜空にさらに巨大な建造物が夜空をさらに黒く切り取って動いているのが見えるだろう。

 

 その飛行艦の司令室では、千冬が司令官のイスに座り。何事もなく航行できるように祈りながら、夜通しで警戒を指揮していた。

 

 

 突然、司令室前方の情報官が声を張り上げた。

 

「織斑指令!エジプト上空で異常を感知しました!」

 

 千冬が抜け目のない目でそちらを見て続きを促した。

 

「続けろ。なにがあった」

 

 千冬が情報官に言うと、情報官が続けた。

 

「所属不明の戦闘機、F、F18が8機!エジプト東国境を越えて飛行中です!警戒中のエジプト空軍所属機ブローツァが2機撃墜されています!」

 

 事態に冷静さを失った情報官が続ける。

 

「さらにエジプト空軍は即時発進できる戦闘機を8機スクランブル発進させましたが…2機のF18に全機撃墜された模様です!」

 

 千冬は指令の椅子に座って冷静に、迅速に思考をめぐらせた。

 ブローツァでF18の相手をするのは難しいだろう。

 そしてF18が?なぜアメリカ製の準最新鋭戦闘機が8機もエジプト上空を飛行している?

 

 千冬はすばやく顔を上げて情報官に告げた。

 

「中央ディスプレイに映像を映せるか?F18の進行先に何があるか調べろ」

 

「はっ、映像映します!」

 

 千冬に言われて、情報官がマニピュレーターを操作する。

 

 すると司令室の中央の10m四方の立体映像装置から8機のF18の映像が映る。

 上空から確かに夜の闇をとどろかせて疾走する8機の戦闘機の映像が映された。

 

 分析を続けていた別の情報官が報告した。

 

「出ました!F18の予測進路先にはエジプトの大都市がすう箇所…加えてその先に、核実験施設があります!」 

 

 ぐらりと傾くような感覚に襲われる。核実験施設?

 千冬の右下に位置する副指令席に座っていた山田が心配げな表情で千冬に言った。

 

「このF18は、エジプトの核実験施設を攻撃するつもりなのでしょうか?」 

 

 さすがに、千冬の体をつめたい感覚が下りる。

 

「エジプトの核実験施設を、所属不明のアメリカの戦闘機が爆撃するだと?」

 

 世界がひっくりかえる。

 

「織斑先生、どうしますか?」

 山田が尋ねる。 

 

 聞かれて、千冬は逡巡し、すみやかに言った。

 

「F18を阻止する。情報官。F18はあとどれくらいで核実験施設をミサイルの射程に入れる?」

 

「F18が施設を射程にとらえるまであと30分と予測されます!」

と情報官。

 

 千冬は考えをめぐらせ続ける。時間がなさすぎる。

 

「織斑先生。チハを準備しますか?」と山田。

 

 千冬はめまぐるしく考えをめぐらせる。

 

「いや、チハの速度では今からじゃ間に合わない。至急ラウラ=ボーデヴィッヒとセシリア=オルコットを起こせ!」

 

 

 

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 0220時 飛行艦アレクサンダー内寝室0341号室

 

 

 

 電気が消えた室内。その暗い寝室のベッドの上で寝巻きのセシリアが寝言をつぶやきながら寝返りをうっていた。

 

 「…さん、いけません。いけませんわ…わたくし、わたくしは…」

 

 ビーッ!ビーッ!

 

 室内に警報音が響く。その音を聞いてベッドで眠り込んでいたセシリアが目を覚ました。

 

「んにゅぅ、なんですのぉ?今何時ですのぉ?」

 

 セシリアはムクリと上体を起こして寝ぼけて目をこすった。

 ボーッとした頭であたりを見回す。

 まだ眠りから覚めてすぐでトロンとした目つきだった。

 

『起きろオルコット!緊急事態だ!至急第一兵器ドックに向かってブルーティアーズを装着しろ!内容はおって説明する。大至急だ!』

 

 艦内放送から響く千冬の声を聞いてセシリアは飛び起きた。

 

「は、はい!了解しましたわ!」

 

 

 

 

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 0225時 飛空学園艦アレクサンダー第一ドック

 

 

 

 セシリアが急いで兵器ドックの扉を開けると、広いドックの中ですでにラウラ=ボーデヴィッヒが彼女の専用ISシュヴァルツェア・レーゲンを装着しているさいちゅうだった。

 

 ドックに到着したセシリアに司令室の千冬から通信が入った。

 

『内容は今言ったとおりだ。可及的速やかに専用ISを着装したのち、エレベーターのカタパルトとドッキングしろ』

 

 セシリアは専用ISブルーティアーズを装着し、兵器ドックの中央にある巨大な柱のエレベーターに向かった。

 

 ラウラがセシリアに言った。 

 

「セシリア、私はF18の所属を確かめるためにアルバニを1機つれていく。所属不明のアメリカ機がエジプト上空を飛んでいるだけで火種としては十分すぎるという教官の判断だ。セシリアとハースニールは先にF18をおえ」

 

 ハースニール?

 セシリアがそうラウラにいわれて中央柱を見ると、すでに専用ISグラビティカを着装したサラ=ハースニールが中央柱の第二エレベーターとドッキングしているのに気づいた。

 

 サラは頭部だけ露出した黒い全身鎧のような専用ISの機体に身を包んでいる。

 

「話は聞いたよ。私も協力を申し出させてもらった」とサラ。

 

 中央柱の近くでは、アルバニたちが話し合っていた。

 

『あわわわわ、F18がもし核施設を爆破して、核爆発がおこっちゃったら、、これって戦争だよね』

 とアルバニ1号

 

『世界を巻き込んだ戦争になるかもしれないよ。下手をすると第三次世界大戦。アルマゲドンだよ』

 とアルバニ5号

 

 自律思考戦車たちが話すのを聞きながらセシリアはブルーティアーズを第一エレベーターとドッキングした。

 

「ブルーティアーズ、ドッキング完了しましたわ。佐藤田さん、カタパルトに送ってくださる?」

 

 女性士官がマニピュレーターを操作すると、ゴウンゴウンと音をたててエレベーターが上昇しはじめた。

 専用ISを装着しエレベーターとドッキングしたセシリアの頭上にしだいに兵器ドックの高い天井が近づいてくる。

 兵器ドックの天井が開き、さらにエレベーターが上昇すると、上からカタパルト甲板がすこしづつ見えてきた。

 

 ガウン、と音を立ててエレベーターがあがりきると、セシリアの眼前に200Mあるカタパルト甲板が広がった。

 薄暗い夜の甲板が誘導ライトで10m間隔で照らされその先には深い夜の闇が広がっている。

 

 セシリアはブルーティアーズの脚部がカタパルトに接続していることを確認する。

 確認すると、次にISの起動を始めた。

 ブルーティアーズの第一戦闘モードを起動、シールドを展開、ブースター機能をスタンバイ。

 

 ドキン ドキン ドキン

 

 眼前に広がる薄暗い滑走路を前に、セシリアの心臓は締め付けられるように収縮を繰り返した。

 そしてすぐにセシリアの隣20Mのところにサラ=ハースニールの専用ISグラビティカがエレベーターであがってきた。

 

 そのサラに兵器ドックから佐藤田が通信した。

 

『本当に発射していいの?その専用ISにはブースター機能がないんでしょう?』

 

 通信にサラが応答する。

 

「問題ありません。もし高速射出してそのまま落下しても、ケガなんてしませんよ」

 

 サラのいったとおりである。ISのエネルギシールドは高い位置から落下したくらいで傷ひとつつくことはない。

 

「それとセシリアさん」

 

 サラがカタパルトの隣のセシリアに通信する。

 

「向こうについたら私のISの半径50M内には入らないでくれるかい。巻き込むとわるいからさ」

 

「?…ええ、了解しましたわ」

 

 

 セシリアは前方を見てグっとかまえた、目の前には200Mの滑走路とその先には暗い空が広がっている。

 

「セシリア=オルコット。ブルーティアーズ発進しますわ!」

 

 スイッチを起動する。

 カタパルトが爆発的な推力で加速し、それにおされて高速でブルーティアーズの機体が加速していく。

 滑走路の誘導灯が高速で後ろにすぎていった。

 ブルーティアーズは弾丸のように加速すると、飛行艦の滑走路から暗い空へ第二速度で射出された。

 

 ブルーティアーズの機体が高速で暗い夜空を疾走する。

 ブルーティアーズのブースターを起動さらに加速していく、ほどなく第三速度に到達するだろう。

 夜の闇を切り裂いて高速で飛んでいく、眼下では中東の大地が高速で後ろに過ぎ去っていった。

 

 突然、隣にサラの専用ISグラビティカが併走してきた。セシリアはその事実に驚いた。セシリアのブルーティアーズの速度についてこれるISはそれだけで稀有だからである。

 セシリアがサラのグラビティカを見るとまったくブースターが起動している形跡は見られなかった。

 

 サラがセシリアに通信した。

 

『私のグラビティカは重力操作に特化してるんだよ。高度慣性制御機能によって運動エネルギーを減じさせることがほとんどない』

 

 そういったあと。高速で滑空するグラビティカの足の先にリンゴほどの黒い球が発生し、サラのグラビティカはISの人口筋肉をうならせ、それを斥力を発生させながら強力に蹴ってさらに加速した。

 ブルーティアーズのさらに先に飛行し、セシリアはブルーティアーズをさらに加速させた。

 つまりグラビティカは重力に引かれることなく空を走っているのである。このISに飛行ブースターは必要ないのだ。

 

 二つのISはミサイルのようなスピードで空を飛翔しエジプト上空を高速飛行するF18を追った。

 

 

 

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 0240時 エジプト上空

 

 

 

 

「見えましたわ!!」

 

 エジプト上空を高速飛行するセシリアのブルーティアーズとサラのグラビティカのセンサーがF18をとらえた。8機のF18はすべて無人機で遠隔操作されているようだった。どこかから誰かが数人であの8機のF18を操作している。エジプトの上空では電子ハッキングをしかけることもできなかっただろう。

 高速飛行する8機のF18の先にはすでにエジプトの核実験施設の明かりが見えている。

 セシリアはブルーティアーズをさらに加速させた。

 

『先に行くよ』

 

 サラから通信がくると、ブルーティアーズの隣を併走するグラビティカの脚部に大きい黒球が出現し、それをISで強化された両足で斥力を発生させながら蹴るとサラのグラビティカがさらに加速し、弾丸のような速度でF18に迫った。 

 

 サラのグラビティカが核実験施設に迫るF18を高速で追い抜く。

 

 その瞬間サラのグラビティカが通り過ぎた瞬間近くを高速飛行していた二機のF18に縦に大きな縦穴があき、二機のF18は制御を失って大破した。

 

 同時に、残りの6機のF18が前方の核実験施設に向けて12発のミサイルを発射した。

 12発のミサイルが推進剤の炎で尾を引きながら前方の核実験施設に疾走した。

 

「撃ちましたわ!」

 セシリアが叫ぶ。

 

 ブルーティアーズがさらに加速し、F18を追い抜くと超高速で12発のミサイルに併走し、ブルーティアーズの背部から青いチャフフレアを発射した。

 

 高速で飛行する12発のミサイルの前方に青いチャフフレアが撒かれた。

 4機のミサイルが青いチャフフレアで対象をロストし上空にそれて爆発した。

 

 赤いミサイルの爆炎に照らされながらブルーティアーズはさらにビームライフルを抜き青いビームを発射した。

 核施設に殺到する二機のミサイルをブルーティアーズの青い光が打ち抜き、爆発させた。

 

 しかし6機のミサイルが核実験施設に向かう。

 その間にサラのグラビティカが高速飛行していた。 

 

 4機のミサイルがサラのグラビティカの付近をとおりすぎると、突然その4機がすべて消失した。

 

 グラビティカである。サラのグラビティカが付近に超重力加速場を発生させてミサイルを叩き潰したのだ。

 

 グラビティカのはるか下方の地面で平たくプレスされたミサイルの爆発が起こった。

 

 グラビティカはさっきの二機のF18も超重力加速場をすれちがいざまに形成して、F18の機体を円柱状に叩き潰し、こそぎとったのである。

 

 次にグラビティカは重力子ライフルを抜き、一機のミサイルを打ち抜いた。

 さらに黒い右腕に重力子を発生させながら左に反転しそれで強力に目の前の空間を殴りつけると、グラビティカの右腕から高速ではなたれた重力子がはるか遠方で高速飛行するミサイルで炸裂しそのミサイルを消失させた。 

 

 サラの専用ISグラビティカが殺到する6機のミサイルを一瞬ですべて消失させたのだ。

 

 

 

 核実験施設の上空がミサイルの爆発で明るくてらされる。

 核施設の上空をブルーティアーズで疾走し横顔を赤く照らされながらセシリアがつぶやいた。

 

「すごい…サラさん」

 

 そのセシリアのはるか眼前には6機のF18が高速飛行している。

 

 サラのグラビティカはすでに背部の球体型のビットを二機射出していた。

 

 その2機の球体のビットは高速移動するF184機にそれぞれ併走し、強力な重力加速場を発生させると、その重力加速場にF18の機体がこそぎ取られ、大きなたてあながあいて墜落、大破した。

 

 残るF18は2機である。その1機をセシリアのブルーティアーズの青いビームが撃ちぬいた。

 

 セシリアのブルーティアーズとサラのグラビティカに通信が入る。

『こちらシュヴァルツェア・レーゲンのラウラ=ボーデヴィッヒだ。アルバニを連れてきた。所属不明のF18の1機は武装だけ無力化してくれ』

 

 核研究施設の上空をF18にラウラのシュヴァルツェア・レーゲンが迫る。レーゲンの両足をアルバニ1号の手がつかんでいた。

 

『ラウラちゃん。もげる、手がもげちゃう~』

 シュヴァルツェア・レーゲンの足をつかんだアルバニ1号が危機を伝えている。

 

 F18が最後のミサイルを二機発射すると、瞬間にサラのグラビティカが重力加速場を発生させ二つのミサイルを消失させた。

 

 ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンは高速でF18と併走し、アルバニ1号をF18に乗せた。

 

『うわ~すごい風。んーそれじゃぁちょっと失礼してーっと』

 

 F18に乗ったアルバニの右腕からコードがのび、F18とドッキングした。

 アルバニの電子制御でF18の電子情報を探す。アルバニはしばらく戦車前部の機械質の丸い単眼をくるくる回して情報を探し続けた。

 

『んー、んー。わかりましたー!このF18は宗教武装団体カザーフのデータの痕跡を残しています!アレクサンダーに転送しますねー』

 

 情報を送信しアルバニ1号が再びラウラのシュヴァルツェア・レーゲンにつかまると、ほどなくしてF18が自爆した。

 

 

 

 夜の闇の中、エジプトの核実験施設の上空を3機のISが飛行していた。

 

 しばらくしてアレクサンダーからスクランブル発進していたチハ38式とユーロガイツⅡが数機むかえにやってきた。

 3機のISにアレクサンダーから通信が入る

 

『アレクサンダー司令室の織斑だ。よくやった。データは整理したあと日本に送信する。全員速やかにアレクサンダーに帰投しろ』

 

 

 

 

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 0320時 飛空学園艦アレクサンダー内

 

 それぞれアレクサンダーに帰投しブルーティアーズを兵器ドックに設置して佐藤田に整備を頼み、通信で千冬に明日は予定通りの起床だと告げられ、サラに健闘を讃えられたあと。

 セシリアは寝室にもどりベッドに倒れこむと、ほどなくして寝息をたてはじめた。

 

 

 上空をいく飛行艦はまもなく地中海にさしかかろうとしていた。

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