「ここがタンジアの港か。」
船から降りた俺はタンジアの港のギルドマスターに話をしに行くことにした。
初めてきた場所、といっても転生前の世界で画面越しに見たことはある。しかし、実際に来てみると行きかう人々、商人たちの熱気がすごい。
気になるものが色々あったが寄り道をせず、ギルドに向かう。
ここ、タンジアの港のギルドは酒場の一画を借りて営業している。
「ギルドマスターは…あの人か。」
俺は船に乗っている間に船長から総司令が書いた手紙を預かっている。この手紙をタンジアの港のギルドマスターに渡してくれと頼まれている。
ギルドの受付の上に座り、酒を飲んでいる竜人族のギルドマスターに話しかける。
「すみません。あなたがここのギルドのギルドマスターで合っていますか?」
「ん?おぉう、その通り。儂がこのギルドのギルドマスターじゃ。で、お前さんは誰じゃ?」
「俺は新大陸から一時的に帰還してきたカイキです。調査団総司令から手紙を預かってきました。」
「新大陸からじゃと!?どれ、手紙を渡してくれ。」
ギルドマスターに手紙を渡すと一心不乱に読み始め、読み終えたのか突然笑い始めた。その後、落ち着き俺のほうを見ると、
「お前さん、相当の腕前のハンターなのじゃな。」
「まぁ古龍種であれば何度か狩ってますから、ある程度の実力はあると思います。」
「がはははははっ!そうかそうか!お前さん、自分の力量は知っておかねばいかんぞ。古龍種を狩るということはある程度の実力があるではすまんからな。お前さんは一流のハンターじゃ。自分の実力くらい自信を持てるようにならんか。」
「分かりました。ところで、手紙には何と書いていましたか?」
「そうじゃったそうじゃった。危うく忘れるところじゃった。お前さんは今日から2年間、タンジアの港のハンターの一員となる。もし新大陸で何か起こった際はお前さんをすぐに向かわせることになっておる。それと、お前さんには弟子を取ってもらう。」
「弟子、ですか?育ててほしい子がいるというのは聞いていましたが弟子ですか。」
「なんじゃ?不満か?」
「いえいえ、不満はありません。ただ、人を育てるということをしたことがないもので。」
「なぁにこれも経験になる。まずはやってみろ。それでだ、お前さんに紹介したいのは、おーい!メリカはおらんか!」
「はい!ここです!」
酒場のテーブルでほかのハンターと話していた少女がこちらにやってきた。
「紹介するぞ。この子はメリカ、儂の子供じゃ。」
「…え?ちょ、ちょっと待ってください。」
「なんじゃ?…あぁわかったぞ。誰との子ということを聞きたいのじゃな?この子は儂の養子じゃ。」
「はい!養子です!ですがお父さんの子供です!」
「いや、気になっているのはそういうことじゃなくて。」
「ではなんじゃ?」
不思議そうな顔でこちら見つめる二人を見て、少しだけ息を吐く。
「その、何と言いますか。メリカさんはハンターとして何かクエストを受けたりしましたか?」
「なんじゃ、そんなことか。がはははははっ!ないぞ。」
「…えっと、ハンターとしての資格は…」
「それはある。じゃが実際に大型モンスターを狩猟したことは一度もない。」
「そ、そうですか。本当に一から育てあげるということですね。」
「そういうことになるな。」
俺は少しだけ考える。本当にたった2年で一人前のハンターに育て上げることができるのか?………いや、やるしかない。
「あの、私を弟子にしていただけますか?」
メリカさんは心配そうに俺を見つめる。
「………はぁ~わかりました。メリカさん、あなたを弟子にします。」
「おぉ!よかったのぉメリカ。」
「はい!これからよろしくお願いします!えっと、お名前は?」
「俺はカイキといいます。あなたを一人前のハンターに育て上げます。」
「はい!」
その日はメリカに師匠が決まった祝いとしてギルドマスターが酒場にいるすべての人に奢ることになり、お祭り騒ぎになった。
「明日からメリカさんを鍛えないといけないなぁ………となると、やっぱり最初は」