「カイキさん、起きていますか?」
俺は昨日からハンターズギルドの宿泊施設に泊まっている。そんな俺の部屋の扉をノックの音と誰かの声が聞こえてきたため、扉を開ける。
「あ、カイキさん。おはようございます。」
扉を開けると、昨日俺の弟子となったメリカさんがいた。
「おはようございます。メリカさん、こんな時間にどうかしましたか?」
メリカさんが訪ねてきたのはまだ日も昇っていない深夜だった。俺としては追い返してもよかったが何か心配事でもあるのかと思い、話を聞くことにした。
「あの、カイキさんのことを師匠と呼んでもいいでしょうか?」
「構いませんが。」
「あと、弟子の私に敬語は不要です。素の状態で話していただけると助かります。」
「そ、そうか。えっと、もしかしてだけどそれを言いに来ただけとか?」
「違います。その………今日、どのようなことをするのかと思いまして、その…」
「気になって眠れないってところか。」
「…はい。」
メリカは恥ずかしがりながらも返事をする。
俺は溜息をつく。おそらくメリカは大型モンスターの狩猟をするとでも思っているのだろう。しかし、今日、メリカにやってもらうことは違う。
「今日はやることはお前が何の武器を使うのか、どれだけ動くことができるのか、その確認。あとやることは回復薬などの調合がうまくできるか確かめるだけだ。」
メリカは驚いたような顔をすると、
「それだけですか?モンスターを狩りに行くのではなく?」
「そうだ。お前が期待しているようなことはないからな。俺はお前のことを全く知らない。弟子といっても昨日会ったばかりだ。そんな奴をいきなり危険な場所に送り込めるか。」
「…わかりました。おやすみなさい。」
メリカは少しだけ不満そうにしながらも、挨拶をして帰っていった。
その日の朝
「おはようございます。」
「おはよう。さて、今日はギルドマスターに頼んで訓練場を借りている。そこで、どんな動きをするのか見せてもらうからな。」
「はい!」
メリカとともに訓練場に移動する。その間にメリカの装備を軽く確認すると、アロイシリーズにスラッシュアックスのワイルドアックスを装備している。
「スラッシュアックスを使うのか。」
「はい!私、スラッシュアックス以外の武器だとうまく扱えないんですよね。」
「ほかの武器にも慣れておいたほうがいいとは思うが今はスラッシュアックスだな。」
「ところで、師匠はなんで装備を着ていないんですか?」
「え、いや、狩りに行く時以外は基本脱いでるぞ。」
「そうなんですね。」
そういった話をしながら訓練場に到着した。訓練場は武器に適した的があり、壊れてもすぐに訓練場担当のアイルーが交換にやってきてくれる。
「さて、メリカ。お前の動きを見せてもらうからな。とりあえず、あの的に一通り攻撃をしてくれ。」
「わかりました。」
どんな動きをするのかな。
そんなことを考えながら動きを見ているのだが、
「ちょ、ちょっと待ってくれ。」
「どうかしましたか?」
「えっと、本当にスラッシュアックスが得意な武器なのか?」
「そ、そうですけど、何かまずいところがありましたか?」
「そうだな。なんでスラッシュアックスの斧モードしか使わないんだ?」
「え?斧モード?スラッシュアックスって斧以外の姿もあるんですか!?」
「…ちょっと貸してみろ。」
俺はメリカからスラッシュアックスを借りると的に攻撃を始めた。
まず、斧モードで軽く的に攻撃をするそして、突進斬りから剣モードに移行する。そこから属性開放突き、最後にフィッシュを決めて終了する。
「どうだ?スラッシュアックスはほとんど使ったことはないがこんな感じだ。試しにやってみろ。」
「はい!」
メリカにスラッシュアックスの基礎的な知識、動きを教えた。その後、モンスターからの攻撃を避けるための回避方法を教えたり、調合がうまくできるかどうかの確認も行った。調合はかなりの腕前だったため教えることはなかった。
「さて、今日はここまでだ。」
「ありがとうございました!」
「俺は今から酒場に行くが、メリカ、お前はどうする?」
「私は家に帰って今日、教えていただいたことを復習します。」
「そうか。ほどほどにしろよ。あと、二日間は今日と同じことをするからな。」
「わかりました!」
「今日はここで解散!お疲れさま。」
「はい!お疲れさまでした。」
スラッシュアックスの使い方を理解していなかったことには驚いたが育て甲斐がありそうだな。
そんなことを思いながら酒場に向かうカイキだった。