「バディ…モンスター…?」
リンがカイトの発言に疑問と恐怖を抱き、恐る恐る聞いた。
「そうだと言っているでしょう?」
「でも、カイト君には…」
「私にバディがいる事は隠してました」
リンが聞きたい事を予想してカイトは答えた。
『おい、カイト』
リンとカイトの会話をしばらく聞いていたヴァルズァックが口を開く。
「おや?どうしましたか?」
『貴様、いつまで善人ぶっている気だ?』
「善人ぶっている?一体どういう…」
「はぁ…ファイトするまではいいだろ?ズァック」
カイトは突然、別人のように口調も声のトーンも変えた。
(カイト君、さっきとは別人みたい…)
『我には隠す意味が分からん』
「俺はいろんな所で準備をしてた。俺の事を見たやつもいるだろう。そのままの口調・性格だと、いくら姿を隠していてもバレるだろ?それが嫌だっただけだ」
『そうか』
ズァックはいかにも興味が無さそうな反応を見せた。
「さて、死乃峰シノン…。今すぐこの俺とファイトしろ」
ヴァルズァックと話していたカイトは、ふいにシノンの方を向いて言った。
「いいわよ。私が勝ったらそのドラゴンにはまた封印されてもらうわ」
「待て、死乃峰シノン。カイトの相手は私がする」
シノン達の後ろにゲートが開かれ、ヤイバとクロスが現れた。
「ヤイバ君!もう用事は終わったの?」
「ああ。バッツ、早く未門牙王の元に行け」
『もういいのか?』
「問題ない。2人を助けてくれた事に感謝する」
『俺は牙王の言う通りにしただけだ。じゃあな』
バッツは破壊された天井から外に飛んでいった。
「さて、カイト。私がシノンの代わりにファイトをしよう」
「ヤイバか……まぁいいだろう」
「カイトの相手は私がするって…」
「お前ではカイトに勝てない」
「何で言い切れるのよ」
「…勝てんものは勝てん」
「だから何でって…」
「いいから私に任せてお前は下がっていろ」
ヤイバは強引にシノンを退かせた。
「ズァック」
『分かっている。集え、我が
ズァックが片腕を掲げると、10個のゲートが開かれた。
「俺の力となるがいい…」
カイトが手を広げた途端、ゲートから大量のカードがカイトの手に集まっていき、やがてそれは1つのデッキとなった。カイトはそれを隠し持っていたコアデッキケースに入れた。その瞬間、全てのゲートが静かに閉じていった。
「そろそろ始めるとするか。パル子!観客達を非難させろ!今から始まるファイトは外野に危険を及ぼしかねん!」
「え?あ、はい!みなさん!至急帰宅をお願いします!とても危険なようなのでー!」
パル子が観客達を避難させた。
「私たちも行こう!シノンちゃん!」
「ダメよ。私はこのファイトを見届けなければいけないわ」
「どうして!?」
「きっとヴァルズァックは私の過去と何か関係しているわ。それにヤイバが代わりにファイトしてくれるのは、カイトが使うカードの情報を私達に教えるため。情報無しで勝てる相手じゃないのよ。きっと」
「シノンちゃん…」
「ほら!私達は少し離れたところでファイトを見るわよ!」
と言ってシノンはリンの腕を掴み、観客席へと走っていった。
「まさか、お前とまたこうしてファイトをする時が来るとはな」
「こんな形でなければ嬉しいんだがな…」
《 この奈々菜パル子!いかなる理由があろうとファイトしているなら実況します!早速ルミナイズしちゃってください! 》
「皐月、パル子はああ言ってるが危険だ。頼む」
『うん』
皐月が了解すると、すぐさまクロスの姿となり、瞬時にパル子の元へ移動した。
《 うぇ!?な、何ですか!? 》
「申し訳ありませんが…」
ザンッ
クロスが後方に剣を振ると、ゲートが現れた。
「あなたにも避難してもらいます!」
《 え、あの…うわああ!! 》
クロスがパル子の首を後ろから掴み、ゲートに投げ入れた。そして、ゲートをすぐに閉じ、ヤイバの元へと瞬間移動した。
「すまんな」
『私も正しい選択だと思っています』
「邪魔者はこれで消えたな。さぁ、始めよう!」
「“ 屈するがいい、下等生物どもよ。
この俺こそが頂点に立つ、絶対強者なり!”
ルミナイズ!【カイザーズ・ドミネイション】!」
カイトのコアガジェットが光ると、たちまち金と銀の装飾が施された赤色ベースの玉座となり、カイトが悠然と座った。
「“愚かな者を滅するため、ここに秘剣の力を解放する”
ルミナイズ、【秘剣抜刀】」
《 バディー…ファイッ!! 》
「「オープン・ザ・フラッグ」」
「カタナワールド」
「ドラゴンワールドだ」
「私のターンドロー、チャージ&ドロー。ダブル装備、《秘剣刀 閃光》、《秘剣刀 闇影》」
ヤイバ
【ライフ 10→7】
【手札 7→5】
【ゲージ 3→0】
「初手に揃っているとは。運がいいな」
「閃光の能力。《秘剣技ー「双撃」》をソウルに入れる。闇影の能力。ドロップゾーンの《秘剣亡霊 妖刀》をソウルに入れて1ドロー」
ヤイバ
【手札 5→6】
【ゲージ 0→1】
閃光
A5000 打3
闇影
A5000 D5000 打1
「裏影をセンターにコールし、その能力で《秘剣巻物》を手札に加え、設置する」
裏影
S2 A6000 D4000 打3
ヤイバ
【手札 6→5】
【ゲージ 1→0】
「ヤイバはいつも通りね」
「何で手札事故にならないんだろう?」
「秘剣巻物の能力発動。手札の《秘剣技ー「刺殺」》を捨てて1ドロー、さらにゲージを1プラスする。裏影、カイトにアタックだ!」
ヤイバ
【ゲージ 0→1】
ズバッ
裏影が刀を抜き、カイトに斬撃を与えた。
カイト
「想定内だ。ダブルキャスト、《ドラゴニック・インデュア》、《ドラゴン・チェイス》」
【ライフ 10→7】
【手札 6→4】
【ゲージ 2→1】
ダメージを受けたカイトが手札から2枚のカードを手に取った。
「いきなり2枚もカウンター魔法を!?」
リンがカイトのプレイに驚いた。
「どちらもダメージを受けた時に使用できるカウンター魔法。ドラゴニック・インデュアはゲージを3プラスし、ドラゴン・チェイスは相手の場の魔法かアイテム1枚を破壊できる…」
「さすがはヤイバだ。よく知ってるな。俺が破壊するのは闇影だ」
「ソウルガード!これで私のターンは終了だ」
闇影
〈ソウル 1→0〉
カイト
【ゲージ 1→4】
「俺のターン、ドロー!チャージ&ドロー!センターに《鍛造竜 ダリス》、ゲージ2を払いライトに《偵察竜 グラード・ヴァイン》をコール!」
センターエリアにハンマーと剣を持った真っ赤なドラゴン、ライトエリアに縦向きの楕円状の体に、腕、足、尻尾が生え、胴体に大きな目玉が3つ縦に並んだ赤色のドラゴンが現れた。
カイト
【手札 5→3】
【ゲージ 4→2】
ダリス
『武器ならなんだって作ってやるぜ?』
S1 A3000 D5000 打2
グラード・ヴァイン
『やるか…』
S2 A6000 D6000 打2
「グラード・ヴァインの能力発動!登場時に相手のデッキの上から3枚を確認し、その中から1枚をグラード・ヴァインのソウルに加える!」
グラード・ヴァインの眼から赤いレーザーがヤイバのデッキに向かって放たれた。放たれたレーザーはクネクネと奇妙な動きをしながら、ヤイバのデッキから3枚のカードを持ち出していった。
「ほぅ…。俺は、《秘剣騎士 クロス》を選択」
『では、頂こう』
グラード・ヴァインのレーザーを放っていた眼が真っ黒になり、カードを吸い込んだ。吸い込み終わると、グラード・ヴァインの眼は元通りになり、残った2枚のカードもヤイバのデッキへと帰って行った。
グラード・ヴァイン
〈ソウル 0→1〉
「ヤイバ君のカードが食べられちゃった!?」
「グラード・ヴァインは自身のソウルにあるカードがモンスターならば『2回攻撃』を、モンスター以外ならば『移動』を得る。グラード・ヴァインの能力で奪った《秘剣騎士 クロス》はモンスター。よってグラード・ヴァインは2回攻撃を得た」
「たとえソウル内であろうと自分が使うワールドと別のワールドのカードは全ての情報が失われるはず…」
「グラード・ヴァインのソウルにあるカードは俺が使うワールドと異なったとしてもその情報が失われる事はない」
「別ワールドであるのにも関わらず情報が失われないだと…!?」
「続けてダリスの能力。登場時にデッキからあらゆるアイテム1枚を手札に加える事ができる。俺は手札に加えたこのアイテムを装備する!」
カイトがデッキから1枚のカードを取り出し、上空に投げ飛ばした。
「これぞ、
《帝竜剣 カタストロフソード》!」
ドスッ
投げ飛ばしたカードは、剣先までがドス黒い色の大剣となって、カイトが座る玉座の真横の地面に深く突き刺さった。その瞬間、大剣に無数の眼が開眼した。眼の1つ1つが生きているかのように辺りを見回す。
「この武器は場のカードのワールド名の種類分、打撃力が上がる。今はお前の場と合わせて、ドラゴン、カタナの2ワールド。打撃力は2上がる」
カタストロフソード
A 10000
打 2→4
「すごい不気味な剣だね…」
「………」
「あれ、シノンちゃん?」
(私は…あの剣を見た事がある…)
「おーい、シノンちゃーん」
(でも、どこで見たかしら…?)
「シノンちゃん!」
「ひゃっ…! な、何かしら…?」
「もう、ずっと黙ってどうしたの?」
「あ、いや。何もないのよ?ボーっとしてただけ」
「本当?何か隠してない?」
「本当に何でもないわ。それより、ファイトちゃんと見ないとヤイバが代わりにファイトしてる意味がないわ」
「そうだね…(絶対何か隠してる…)」
「カタストロフソードの能力。常に俺の場のドラゴンワールドのモンスターの攻撃力が10000プラスされる!」
カタストロフソードから禍々しいオーラが放たれると、ダリスとグラード・ヴァインの目が赤く光り輝いた。
「それ実質自分が使う全部のモンスターの攻撃力が最低10000あるって事じゃん!」
「『現状は』な」
「現状は…?」
「やれ、グラード・ヴァイン!センターを開けろ!」
『任せろ…』
グラード・ヴァインは眼から赤いレーザーを放った。レーザーは裏影の胴体を貫通し、破壊した。
「2回攻撃だ!」
ヤイバ
「ぐっ…!」
【ライフ 7→5】
「ダリスも続け!」
ヤイバ
「ぐああ!」
【ライフ 5→3】
「これでトドメだ!カタストロフソードはセンターにモンスターがいようともアタックできる!」
玉座から立ち上がったカイトは、すぐ隣に突き刺さっている邪悪な大剣を手に取ると勢いよく振るった。瞬間、大剣から斬撃が放たれ、それは空を裂き、ヤイバに一直線に飛んでいった。
「キャスト!《秘剣 うつせみ》!」
ヤイバ
【手札 5→4】
【ゲージ 1→3】
「想定内だ。お前は1ターンでやられるような弱小ファイターではないからな。ターン終了だ」
「私のターン、ドロー。チャージ&ドロー。閃光の能力発動。《秘剣技ー「受け流し」》をソウルに。闇影の能力発動。ドロップゾーンの妖刀をソウルに入れて1ドロー」
ヤイバ
【手札 5→6】
【ゲージ 4→5】
閃光
〈ソウル 1→2〉
闇影
〈ソウル 0→1〉
「キャスト、《秘剣術ー「一刀両断」》。このカードを秘剣巻物のソウルに入れて2ドロー。さらに、《秘剣術ー「精神統一」》、《秘剣術ー「瞑想」》をキャスト。それぞれ巻物のソウルに入れ、ゲージとライフを3プラスする」
ヤイバ
【ライフ 3→6】
【手札 6→5→7→5】
【ゲージ 5→4→7】
秘剣巻物
〈ソウル 0→3〉
「《秘剣武者 鬼神》をセンターにコール。そして今コールした鬼神と閃光のソウルの双撃をソウルに入れて、ライトにバディコール!」
『任せてください!』
ヤイバの隣で待機していたクロスがライトエリアに移動する。
ヤイバ
【ライフ 6→7】
【手札 5→3】
【ゲージ 7→5】
クロス
『ヤイバ様の勝利のため、我が剣を振るいましょう』
S3 A10000 D8000 打4 ソウル2
「クロスの能力発動。ゲージ1を払い、ドロップゾーンの《秘剣技ー「刺殺」》をソウルに入れる。これでクロスは貫通を得た。行け、クロス!ダリスにアタックだ!」
『了解です!はぁっ!』
『グガァッ…!』
「貫通だ!」
カイト
「ぐぅっ…!」
【ライフ 7→3】
「破壊されたダリスの能力でデッキから帝竜の設置魔法を手札に」
カイト
【手札 3→4】
「2回攻撃!」
『終わりです!』
「あぁ…。
お前らがなぁ!
キャスト!《魔皇帝の波動》!相手の場の全てのカードをレストし、以降いかなる場合にもスタンドする事ができなくなる!!」
カイトが使用した魔法から紫の触手が無数に飛び出て、クロス、閃光、闇影を完全に縛りつけた。
カイト
【手札 4→3】
「何だと…!クロス!」
『ぐ…ああっ…!か…らだ…が…!』
クロスは必死に抵抗する。しかし、抵抗すればするほど触手はより強くクロスを縛りつける。
「この邪悪な触手は…まさか!」
「そうだ。ズァックの細胞から生み出された暗黒の触手だ。放っておくとどんどん生命エネルギーが奪われていくぞ?」
『ぐっ…うぅっ……』
「私はこれでターン終了だ。(まずい、早くクロスを解放しなければ…。クロスはモンスターであっても生命エネルギーは並みの人間以下だ…!)」
「俺のターンドロー、チャージ&ドロー。その目に焼き付けるがいい!これこそが世界を支配する力を持った、頂点の名に相応しい者だ!ゲージ4を払い、センターにバディコール!!」
カイト
【ライフ 3→4】
【手札 4→3】
【ゲージ 4→0】
カイトがバディコールを宣言すると、後ろにいたズァックが4枚の漆黒の翼を広げ、センターエリアに移動した。
「《
ヴァルズァック
『グオオオオオ!!!!!』
S3 A50000 D10000 打3
「魔皇帝竜ヴァルズァック。
サイズ3、攻撃力50000、防御力10000、打撃力3。魔皇帝竜の力、見るがいい!!」
「何故、サイズ3が出たのにライトにいるグラード・ヴァインがサイズオーバーにならない…?」
「ヴァルズァックの能力。ヴァルズァック以外の俺のモンスターはどんなサイズであっても全てサイズ0となる!」
「味方のモンスターのサイズを0にする能力か…!」
「さらにダリスで手札に加えていたこの魔法を設置させてもらう!設置魔法、《理の支配》!バディがズァックである場合にしか使う事が許されない設置魔法だが、このカードはあらゆるカード効果を受け付けない!」
カイト
【手札 3→2】
「つまりあの設置魔法は破壊できないの!?ズルだよズル!シノンちゃんもそう思…」
ドサッ
「え?し、シノンちゃん!!」
リンが目にしたのは苦しそうに息を荒くして倒れているシノンの姿だった。
「ハァ…ハァ…」
「どうしたの!?シノンちゃん!」
「あの…モンスターが…出てから…体が熱く…なっ…て…ハァ…ハァ…」
「どど、どうしよう…!このままだとシノンちゃんが…!」
パチンッ!
指を鳴らす音と共に、世界の時が止まった。
「え?世界が止まった…。これはまさか…」
「様子を見に来てみれば、これは何事ですか?」
少したった後、目の前にJOKERが現れた。
「JOKER!お願い!シノンちゃんを助けて!…私の大事なお姉ちゃんなの!」
リンはJOKERが現れるや否や、JOKERが着ているスーツの袖をギュっと掴んだ。
「そうは言われましても…」
「お願い…お願いだから…」
リンは泣きながら顔を伏せた。
「……分かりました、シノンの事は私が何とかしましょう。リンはこのファイトを見守ってください。そして少しでもヴァルズァックの力を、カイトの力をシノンに教えてあげてください」
「うん。ありがとうJOKER」
「それでは」
JOKERがパチン!と指を鳴らすと、再び時が戻り、JOKERも姿を消した。
「ズァック!ヤイバの息の根を止めろ!」
『いいだろう。我もこいつは邪魔だと思っていた!』
「キャスト!《秘剣 千里眼》!このターン、私の場のソウルに秘剣がある限り、私はダメージを受けない!」
ヤイバはヴァルズァックの攻撃を目を瞑りながら回避した。
ヤイバ
【手札 3→2】
「何!?」
「さらに!相手の手札を全て確認する!」
ヤイバが目を見開くと、カイトの手札が透けて見えた。
カイトの手札
・ドラゴンシールド 青竜の盾
・ドラゴンシールド 火竜の盾
「2枚ともドラゴンシールド…!」
「俺はこれでターン終了だ」
「私のターンドロー!チャージ&ドロー!クロスのソウルから鬼神を捨てて能力発動!借りるぞクロス!」
ヤイバはクロスから剣を受け取った。
「秘剣光波斬!」
ヤイバが剣を振ると、光り輝く斬撃が放たれた。
『グハァッ…アアアアッ!?』
斬撃はヴァルズァックに命中し、その胴体を真っ二つにし、破壊した。
「やったか?」
『ヴァルズァック様ー!我が肉体をお使いください!』
次の瞬間、グラード・ヴァインは後ろから突然出てきたヴァルズァックの腕に握り潰された。そして、その腕からヴァルズァックの体が再生していった。
『クハハッ…!』
「な…!味方を…!」
「ズァックの2つ目の能力。俺の場の帝竜か俺の手札を1枚糧とし、ヴァルズァックの破壊を無効化する」
「つまり、あと4回破壊しなければいけないのか。今の私ではヴァルズァックは倒せない。だがカイト、お前自身を倒す事は可能だ!ファイナルフェイズ!」
「何!?」
「秘剣巻物の能力発動!ソウル3枚以上のこのカードをドロップゾーンに置く事で、デッキから秘剣奥義を手札に加える!そしてこの秘剣奥義は、相手のセンターにだけモンスターがいる時しか使えない」
ヤイバ
【手札 3→4】
「ぐっ…!」
「ゲージ2を払い、キャスト!」
ヤイバが閃光を握ると、閃光が輝き出し、触手が灰となって崩れた。
ヤイバ
【手札 4→3】
【ゲージ 6→4】
「秘剣奥義…日輪閃光斬!!」
ヤイバは抜刀し、そこから目も開けられない程の光が迸った。
「ぐ、ぐおおお!!!!」
ヤイバが放った必殺技はカイトに直撃した。辺りはその衝撃で砂煙が舞っている。
「やっと、倒したか…ゴハッ…!」
秘剣奥義を使ってしまったヤイバは、その肉体に信じられないほどのダメージが入った。
「大丈夫か?ヤイバ?俺が手当てしてやろうか?」
「この声は…!バカな!」
砂煙が晴れると、そこには必殺技を受け、やられたはずの白馬カイトの姿があった。
「俺はカウンター魔法で生き延びた」
「カウンター魔法だと…!だがこの必殺技はダメージを減らせない。火竜の盾では防御できないはずだ!」
「クククッ…。俺が使ったカウンター魔法は《ドラゴンシールド 火竜の盾》ではない」
カイトは使った魔法をヤイバに見せた。
「《百鬼魔導 バッドトラップ》だ!」
「バッドトラップ…だと…!そんなカードお前の手札には…ぐっ…!」
ついにヤイバは膝をついてしまいそのまま倒れそうになるが、刀を地面に突き刺して体を支えた。
「あぁ、無かったさ。だが無いなら……カードを変えればいいだろ?」
「何だと…!」
「理の支配の能力。マジック・ドミネイション!1ターンに1回、手札の魔法を別の魔法へと変化させる能力だ!!」
「別の魔法に、変えるだと!?だが、そのカードはダークネスドラゴンワールドの魔法だ!ドラゴンワールドを使っているお前は使えないはずだ!」
「よく見るがいい。俺のフラッグはドラゴンワールドではない」
カイトが頭上のフラッグに指を刺す。反射的に指が刺された方向に目をやったヤイバとリンは、とんでもないものを見た。
「う、嘘!?」
「な…に…。カイトのフラッグが…」
「ダークネス…ドラゴンワールドに…なってる…」
カイトのフラッグが先程までのドラゴンワールドではなく、ダークネスドラゴンワールドになっていたのだ。
「ズァックの能力。ワールド・コントロール!1ターンに1回、俺のフラッグを別のフラッグにする事ができる!特殊フラッグにはできないがな」
「フラッグを変えるだなんて…」
「ヴァルズァック、カタストロフソード、そして理の支配。ダークネスドラゴンワールドになっても場に残っているのは、まさか…」
「そうだ。これらのカードはバディがズァックなら、全フラッグで使用可能なカード達だ!ヤイバ、もうお前にはできることがないだろう。はやくターンを終了するがいい。それとも、バディが苦しむ姿がそんなに見たいのか?」
『うっ…ぐっ…ああっ…!』
長時間縛り続けられていたクロスはもう限界だった。
「クロス!ターン…終了だ…」
「俺のターン、ドロー!チャージ&ドロー!まずはズァックの能力発動!フラッグをドラゴンワールドに戻す!そして、マジック・ドミネイション!手札の青竜の盾を《ドラゴニック・チャージプラス》に!そしてキャスト!俺のライフが5以下のため、ゲージを5プラスする!」
カイト
【手札 2→1】
【ゲージ 1→6】
「ズァック、ファイターにアタックだ!」
『魔眼邪光!』
ヴァルズァックの体中の眼が見開き、紫の光を放った。その光がヤイバの体を貫く。
ヤイバ
「ぐああああ!!!」
【ライフ 7→4】
「これで、トドメだ!ファイナルフェイズ!」
「必殺技…か…!」
「出でよ!世界を揺るがす我が
カイトが前方に手を広げると、カイトの後ろに巨大な魔法陣が現れ、そこから無数の眼が広がった大剣が出現した。それはすぐにヤイバに振り下ろされた。
カイト
【手札 1→0】
【ゲージ 6→2】
「必殺!ドミネイト…パニッシャー!!」
ヤイバ
【ライフ 4→0】
既に秘剣奥義で消耗していたヤイバは、カイトの必殺技を受けて気絶してしまい、ファイトが終わった事で、クロスも解放され、皐月の姿に戻った。だが、皐月もかなり生命エネルギーを奪われたため立つ力も残っておらず、倒れてしまった。
「行くぞ、ズァック。次は、死乃峰シノンだ!」
カイトがカードを掲げると、目の前にゲートが現れ、カイトとズァックはゲートの中に消えていった。
「ヤイバ君!皐月ちゃん!」
リンはカイトが消えたのを確認すると、すぐさま2人の元へ走った。
「2人とも、何でそこまでして私達に…」
『そ…れは…死乃峰シノンと…星見リン…。あなた達だけが…ヴァルズァックに対抗できる…からだよ…』
倒れていた皐月がゆっくりと体を起こした。
「皐月ちゃん、大丈夫?」
『うん…。でも、私より…ヤイバ君の方が…しんぱ…うっ…』
皐月は急に口元を抑えながら後ろを向いて、ゲートを開いた。
「どうしたn…」
『おえぇ…』
「絶対大丈夫じゃないよね!?」
ゲートに吐いた皐月を、リンはあまり見ないように背中をさすった。
『ハァ…ハァ…ありがとう。もう大丈夫』
と言って皐月はゲートを閉じた。
「無理しなくてもいいよ?」
『本当に大丈夫だから。それよりもヤイバ君をどうにかしなきゃ。でもどうしたら…』
皐月は、意識を失い、しばらく目を覚ましそうのないヤイバを見た。
こここ、こっちでです…
「今声が!どこから!?」
ああ相棒学園のちちち地下…
「相棒学園の地下?そんなのあったの?」
『私、聞いた事あるよ!どこかの教卓の下に地下に繋がる通路があるって!』
「よし、順番に見て行こう!」
「そんな事してたら、時間の無駄だよ?」
2人の真後ろから声が聞こえてきた。
『「え?うわああ!!お化けぇぇ!!」』
パァン! ドゴッ!
後ろを振り向いたリンと皐月は2色の光が見えたため、ふいにそこにいた人物にリンがビンタを、皐月が腹パンを喰らわせてしまった。
「痛っt…ぐふっ!」
2人の攻撃を受けてその人物は頬とお腹を抑えた。
「って、ケンヤ君?」
「や、やぁ。途中から話を聞いてたけど、地下に行きたいんだよね?」
「うん。でも情報があまりにも無くて…」
「僕、行き方知ってるよ」
「本当!?」
『どこに隠し通路があるの?』
「知らないよ?」
「え?」
「でもわざわざ隠し通路なんて使う必要無いよ。あ、やっと来た」
ケンヤが上を見上げると、何かが回転しながら降ってくるのが見えた。
「ん?何アレ…?」
リンも見上げて確認した次の瞬間、それはいきなり落下速度を上げた。
ドスゥッ!!
「『うわあっ!』」
それは勢いよく地面に突き刺さり、その衝撃でリンと皐月が飛ばされてしまった。
「遅かったじゃん」
『すまない。ゲートを開けるが中々難しくてな』
「いたたた…今日はよく降るなぁ…今度は一体誰が…」
リンが起き上がって確認すると、そこには剣が1本刺さっていた。全体が灰色の細い剣だ。
『何で上から剣が降ってくるの?』
『ゲートを通ってきたらたまたまこのファイティングステージの上空になってしまったからだ。本当は上空ではなくこの場に出てくるつもりだったのだがな』
刺さった剣から機械音のような声が響いた。
「うわっ!剣が喋った!?」
「こいつは《無彩色の魔剣 カース》。ボクのバディさ」
「バディ!?バディレア当たったんだ…。いいなぁ…!」
「まぁね。それよりも、地下に行きたいんでしょ?」
「そうだった!地下から私達を呼ぶ声が聞こえるんだよ!」
「よし!それじゃあ行こっか!」
『でもどうやって…』
「カース、頼んだ!」
『うむ』
カースと呼ばれる剣は軽い返答をした後、刺さっている床を中心にかなり大きなゲートを開けた。カースと3人の体が宙に浮いた。
「『え?』」
「そんじゃ行こー!」
そして全員、重力に従ってゲートの中に落ちていった。
「『きゃああああ!!!!』」
その後ゲートはすぐに閉じ、ファイティングステージには、誰もいなくなった。
「いろいろ大変なことになっちゃったよぉ…。あ、今日はシノンちゃんがお休みらしいから私1人でやるよー!」
「今日の最強カードはこれ!」
「《魔皇帝竜 ヴァルズァック》!」
魔皇帝竜 ヴァルズァック
モンスター|ドラゴンW|帝竜|サイズ3|
A50000
D10000
打3
◻︎このカードは特殊フラッグ以外の全てのフラッグで使える。
◻︎【コールコスト】ゲージ4を払う。
◻︎このカードの能力は無効化されない。
◻︎【対抗】【起動】“ワールド・コントロール”
特殊フラッグ以外のフラッグ名を1つ宣言してよい。宣言したら、君のフラッグのカード名とフラッグ能力は宣言したフラッグとなる。この能力に対して相手は【対抗】できない!「ワールド・コントロール」は1ターンに1回だけ使える。
◻︎このカードがセンターにいるなら、このカードは他のエリアに置かれず、君のライトとレフトのモンスターのサイズは0になる。
◻︎このカードが場を離れるなら、このカード以外の君の場の《帝竜》1枚を破壊するか、手札1枚を捨ててよい。そうしたら、このカードを場に残す。
『ソウルガード』
「カイト君のバディ、ヴァルズァック!ほぼ全てのワールドで使用可能なモンスター!味方のモンスターのサイズを0にしたり、場か手札のカードを犠牲にして自身を守ったりと、能力がめちゃめちゃ!まず、サイズ0にするモンスターが帝竜のモンスター限定じゃないのってダメじゃない!?
そして、ワールド・コントロール。フラッグを変える能力。もう勝てる気しないんですけど…。それじゃあ、今日はここまで!じゃあねー!」
ーーーーー
ようやく出せた。このキャラを。後何話になるかなー。原作リスペクトで50話ちょいまでにしたいけど、後30話以上も書くってなるとなー…。どうしよ。