フューチャーカード バディファイトデッド   作:スラ☆K

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今回はファイトシーンありませーん。


第21話 影に潜む者

〜相棒学園 地下洞窟〜

 

「よっ…と。上手くいったじゃん、カース」

 

『まだまだ扱いきれていないがな』

 

『あうっ!』

 

「いてっ!」

 

2人ほど着地に失敗したが、無事に3人はゲートを通じて地下洞窟に来た。物音1つ立たない、とても静かな場所だ。

 

「で?何しに来たの?」

ヤイバを担いでいるケンヤは事情を何も知らないため、リンに聞いた。

 

「地下にいるから来て、っていう声が聞こえてきたんだよ」

 

『ヤイバ君を助けられると思ってさ』

 

「助けられるっていうか…そんなひどいの?」

 

『ヤイバ君がさっき使ってた秘剣奥義は、秘剣奥義の中でもかなり負担がかかるの。放っておくと命の危険が…!』

 

「よく分かんないけど、相当マズいみたいだね。早く声の主探さないといけないね…!」

 

「でもあれから全然声が聞こえないんだよね…」

 

「もしかして手掛かりゼロ?」

 

「かも…」

 

『もー!案内するなら場所まで教えてよー!』

 

ギィィィ…

3人の後ろの壁から扉の開くような音が聞こえた。しかし、後ろを振り返ってもあるのはただの壁だ。

 

「今ギィィィって音しなかった?」

 

『うん、聞こえた!』

 

「私も聞こえたけど…扉なんてどこにも…」

リンが辺りをキョロキョロと見回す。

 

「あ、あのぅ…」

丁度リンが後ろを見た瞬間に、壁から出てきた女の顔と目が合った。見ただけでかなりの寝不足だと分かるほどのひどいクマができていて、ぼさぼさの真っ黒な前髪が少しだけ目にかかっている。

 

「キャアアアア!!」

「ヒィィィ!!!」

リンがビックリして悲鳴をあげ、その悲鳴によって壁の女もビックリして悲鳴をあげた。

 

「か、壁から女の子ゾンビがあああ!!って…顔色悪いだけかぁ。ご、ごめんね…?」

 

「だだ、大丈夫です…。と、とりあえず…こ、ここ…とと、通り抜けられるので…ききき、来てください…」

そう一言だけ言って女の子の顔は壁に吸い込まれていった。

 

「すっごい怯えてたなぁ」

 

『ケンヤ君、リンちゃん。行こう』

3人が壁の中に進んでいった。壁はホログラムで、本当はただの空洞。進んで行った先には、大きな真っ黒な扉が少しだけ開いていた。

 

「さっきの音源はこれかぁ。おじゃましまーす」

先頭を歩くケンヤが半開きの扉を開けた。中は中央にテーブルと椅子、天井には照明があり、まるでリビングのような部屋で、扉が4つあった。ただ、壁や天井は岩なので地下洞窟の一部だと思わされる。

 

「とと、特に何も無いですが…ゆ、ゆっくりしていってくださいね…」

先程の女の子が立っていた。白黒のボサボサ髪で黒いワンピースを着ている、かなり背が小さい子だ。

 

『テーブルに椅子を始めとした数々の家具…。もしかしてここで暮らしてるの?』

 

「あ…は、はい…。そそ、そうですが…」

 

『人間ってこんな所でも暮らせるんだ…。あ、そう言えば…名前は?』

 

「なな、名前…!?え、えぇっとぉ……

か、影下(かげもと)…め、冥鈴(めいりん)…です…」

 

『冥鈴ちゃん!あなたならヤイバ君を助けられるんだよね!?』

 

「かか、可能性があるだけですよ…!」

 

『十分だよ!お願い!ヤイバ君を…!』

 

「わ、分かりました!分かりましたので!あの…その…そんなにグイグイ来ないでくださぃ…

 

『嫌だった!?ごめんね…?』

 

「わ、分かってくれたのでしたら…それで…。でで、では…こちらへ…」

冥鈴と皐月は右手の手前の扉を開け、中へ入った。その部屋は薄暗く、ベッドが1つ中央にちょこんとあるだけの部屋だった。

 

『ちょっと暗い…』

 

「え、えぇっと…そ、その担いでいる方をベッドに…」

 

『寝かせるだけ?』

 

「は、はい…そうです…」

冥鈴のその言葉に対して皐月は頷き、担いでいたヤイバをベッドに寝かせた。

 

『後は任せていいのかな?』

 

「大丈夫です…と、というか…ささ、作業中は絶対に中には入らないでください…。き、気が散ってしまうので…」

 

『じゃあその間に部屋を見回ってもいい?』

 

「い、いいですよ…。終わったら教えるので…」

 

『はい!』

皐月が部屋を出ていった。

 

「あ、皐月ちゃん。ヤイバ君、助かるといいね」

 

『うん。あ、作業している間はその部屋には入っちゃダメなんだって。あと、他の部屋は見て回っていいって』

 

「そっか。暇だしそうしようかな…」

 

「なんかリンちゃん元気無くない?」

 

「シノンちゃんが心配で…」

 

「シノンちゃんはどうしたの?」

 

「白馬カイトのバディモンスターであるヴァルズァックをコールした途端、高熱で倒れちゃって…。JOKERって人に任せたんだけど、それでも心配なんだ…」

 

「高熱で倒れる、ねぇ…?シノンちゃんもやっぱり人間なんだなぁ」

 

「シノンちゃんが聞いたら怒るよ?」

 

『この場にいないからって人の事そんな風に言うの良くないと思うなぁ?』

 

「ごめんごめん。無意識でも言っちゃいけない一言だったね…」

 

ガチャ

いきなり入口から見て右手の奥側のドアが開けられた。

 

「勝手にドアが開いた!?」

 

「ボクたち以外に誰かいるっぽいね…」

 

『冥鈴ちゃんの家族かもしれないよ?』

 

「もう少し静かにできないですか?貴方たち」

ドアから出てきたのはJOKERだった。顔は隠れているため分からないが、なんだか疲れているように見える。

 

「JOKER!?何でここに!?」

 

「誰?」

 

『トリックとか言って平気で人体蘇生するようなすごい人かな?』

 

「人体蘇生!?それはまた…とんでもない人だね…」

 

「私の話はいいんですよ。それよりも、貴方たちの会話が全部こちらに筒抜けなんです。患者がいるので静かにしてもらいたいものです」

 

「患者…そうだ!JOKERがいるなら!」

リンはJOKERからその言葉を聞いた瞬間、一目散にJOKERが開けた扉の向こう側に走った。

 

「リンちゃん急にどうしたの!?」

 

「最も信頼している人がいるんですから、当然気になりますよ」

 

3人はリンの後を追い扉の中を覗くと、リンがベッドで体だけ起こしているシノンに泣きながら抱きつき、シノンはリンの頭をさすっている。

 

「無事でよがっだよぉ〜!!」

 

「心配かけて悪いわね。私は大丈夫よ」

 

『いくらなんでも高熱でそこまで心配するかな?」

 

「確かにリンは、心配しすぎな所はあるわね」

 

「リンちゃんから話は聞いたけどさ、大丈夫?」

 

「大丈夫よ。それよりもケンヤ、あなたに1つだけ言いたいことがあるわ」

 

「ん、なぁに?」

 

私 は 人 間 よ ?

 

「はい…、ごめんなさい…」

 

「分かればいいわ」

 

(シノンちゃんって、こんな怖かったっけ!?)

 

「? 皐月がいるのにヤイバがいないじゃない」

 

『今、ヤイバ君は隣の部屋で様子を見てもらってる』

 

「何かあったのかしら?」

 

『ヤイバ君が使った秘剣奥義で体がボロボロになってたところを、カイト君の必殺技で…』

 

「待って」

 

『何?』

 

「秘剣奥義が使ったら危険なのは知ってるわ。でも、何で白馬カイトの必殺技まで危険みたいな言い方をするのかしら?」

 

「恐らくは、ヴァルズァックの力でしょう」

 

「どういうことよ?」

 

「ごくまれにですね。現れるんですよ。特定のカードの力を具現化する事ができるモンスターが」

 

「ごくまれに…?」

 

「はい。どういう法則かは分かりませんがね。ほら、ヒカリのバディ、アルゼータもそうじゃないですか。ギャラクシアフィールドという領域の中でのみ、一部力が具現化しますよね?」

 

「具現化っていっても、肉体じゃなくて精神の方に衝撃がくるけど、確かにカードの力を具現化してた!痛かったよ!」

リンが当時の痛みを思い出しながら言った。

 

「恐らくはそのせいでヤイバも…おや?」

JOKERが一旦話をやめ扉に目をやると、慌てた様子の冥鈴がいた。

 

『ヤイバ君は…!?』

 

「た…!たたすたすたす…!ままっくろくろくろ…!たすけてけろぉーー!!」

冥鈴が急に意味不明な事を言い出し、1番近くにいた皐月に泣きついた。

 

『え、えぇ!?どういう事!?』

 

「冥鈴さん、落ち着いてください。まずは深呼吸です」

 

「ハッ…は、はいっ…。スゥー…ハァー…スゥー…ハァー…。ふぅ…お、落ち着きました…」

 

「何があったのか、ゆっくりでいいので私達に理解できるように説明してください」

 

「は、はい…。隣の部屋で作業していたのですが…突然、『影魔竜』と名乗るモンスターが現れて襲ってきたんです…」

 

『それじゃあヤイバ君を置いてきたって事!?』

 

「す、すすみません!ほほ、本当に突然の事だったので…!」

 

『だからって…!』

 

「そんな攻めない。冥鈴ちゃんもやむを得なかったんだ」

 

『ケンヤ君……。そうだよね。ごめん、冥鈴ちゃん』

 

「い、いえ…。そそ、それよりも!取り残されたあの方が…」

 

「冥鈴ちゃん、後ろ!」

 

「え…?」

冥鈴が振り返ると、そこには真っ黒なドラゴンがいた。冥鈴の影から上半身だけを見せており、右手には先端に1つの目玉、その両側面に黒い翼が生えている杖を持っている。目玉と翼は動いてない辺り、ただのデザインのようだ。体の大きさから推測するに恐らく人間と同じくらいだろう。

 

「ヒィィィィ!!!」

冥鈴は腰を抜かしてしまった。

 

『誰!?』

 

『私の名はグラディ、《影魔竜 グラディ》。ヴァルズァック様に仕えし者』

 

『ヴァルズァックの部下…!ヤイバ君をどうしたの!』

 

『ヤイバ…?あぁ、さっきのニンゲンか。私の術で捕らえさせてもらっている』

 

『早く開放して!』

 

『そうだな…。死乃峰シノンをこちらに渡してくれれば、今私が捕らえている貴様の大事な人も返してやろう』

 

『シノンちゃんを…?』

 

「………」

シノンは黙ってこの状況を見ている。

 

『どうする?』

 

「ボクとファイトしようよ!」

ケンヤはポケットからコアデッキケースを取り出した。

 

『いきなり出てきてファイトをしろ。だと?』

 

「ボクが勝ったらヤイバ君を返してもらう。キミが勝ったらシノンちゃんを渡す。そういう条件でのファイトだよ」

 

『ほう…。いいだろう』

 

「早く始めようよ!もうファイトしたくてたまらないんだよねー!」

 

『だがこの場は狭い。場所を変えよう』

グラディがそう言うと冥鈴の影の中から下半身を出し、自身の影を部屋全体を覆うように伸ばしていくと、瞬く間に部屋は暗黒に包まれた。隣の人どころか自分自身さえ見えなくなるほどの暗黒に。




時間が無いんで、これからの投稿頻度は多分このレベルになるんでよろしくお願いしやす。
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