「1ヶ月ぶりですね、皆さん。今日はホワイトデー。バレンタインの日に女性からチョコレートを貰った男性がホワイトチョコレートをお返しとしてプレゼントするイベント。今回はある2人の男性の様子を見ていきましょう」
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〜霧山道場〜
「………」
ヤイバはいつものように瞑想をしていた。
「……。今日はもういいか…」
瞑想を終了したヤイバは立ち上がり、着替えようとして私服を置いていた場所に移動した。そして、ふと壁に貼られていたカレンダーに目がいった。
「そういえば、今日は3月14日、ホワイトデーの日だったな。……私はあいつのように料理の才能はない。仕方ないな…、無いよりかはマシだろう」
私服に着替えたヤイバはそのまま出かけて行った。
〜スイーツショップ ミルミル〜
「しかし…何がいいのか分からんな…」
ヤイバはたくさん並んでいるスイーツを眺めながら悩んでいた。
「むぅぅ……ん?これは…何だ?『ホワイトデー限定!ダブルマシュマロチョコレート』?」
ヤイバが目を付けたのは、ハート型のかなり大きなホワイトチョコレートだった。しかもあと1つしかないようだ。
「ふむ。ホワイトチョコの中にノーマルとイチゴの2種類のマシュマロが入っているのか。たしか皐月はかなりのマシュマロ好きだったな。これでいいだろう。さて、値段は……高いな…。買えない事もないが…まぁ、いいか」
ヤイバはダブルマシュマロチョコレートの値段を確認した後、店員を呼び、何とか無事買うことに成功した。
「あー!ヤイバくぅーん!一足遅かったぁー!!」
ヤイバが購入した直後に、ケンヤが滑り込んで来た。
「お前は…藤丸ケンヤか。どうした?」
「それ狙ってたんだよねー…」
ケンヤが残念そうにヤイバが持っているダブルマシュマロチョコレートが入った箱を指差した。
「渡さんぞ?」
「さすがに横取りはしないよ。潔く諦めるさ。代わりに何か探さないとなぁ…」
「誰に渡すかは知らんが、いい店を教えてやろうか?そこには私が買いたいと思った品が無かったからやめたが、品揃えは中々いいぞ」
「え!本当!?是非教えて欲しいな!」
ケンヤが目を輝かせた。
「この店を出てから左に曲がり…」
そのあと、ヤイバはしばらく店の行き方を教えていた。
〜数分後〜
「なるほど…。ありがとう!じゃあねー!」
ケンヤは感謝の言葉を述べ、手を振りながら走っていった。
「さて、帰るか」
ヤイバは店を後にした。
〜霧山道場〜
「帰ったぞ」
『あ、お帰り!どこ行ってたの?デッキも置いてってさぁ』
ヤイバが帰宅すると、皐月が出迎えた。
「皐月、これをお前にやろう」
ヤイバは買ってきたダブルマシュマロチョコレートの箱を皐月に渡した。
『何これ?』
疑問を抱きながらも皐月は箱を受け取った。
「私はとりあえず手を洗ってくる。箱の中身は食べても構わんぞ」
ヤイバはそう言い残して洗面所に向かった。
『食べる?ん〜?』
ヤイバの言ってる意味が分からない皐月だったが、箱を開けた瞬間に理解した。
『もしかしてこれって…!ありがとうヤイバ君!』
「ここまで聞こえてくる…。相当嬉しかったようだな」
洗面所で手を洗っていたヤイバは皐月の感謝の言葉を聞いた後、丁度手を洗い終えてリビングへと向かった。
「どうだ、美味いか?」
『うん!とっても!もぐもぐ…』
皐月は大きなホワイトチョコレートを頬張っていた。食べられたホワイトチョコレートの断面にはぎっしりと2種類のマシュマロが詰め込まれており、甘党にとって最高の1品であるだろう。
「私はいらないから、遠慮なく食べるといい」
『今までこんな事無かったな…』
ホワイトチョコレートを飲み込んだ皐月が両手で待っているホワイトチョコレートを見つめながら言った。
「どうした?急に」
『これ、きっとバレンタインチョコのお返しでしょ?今日はホワイトデーだし』
「あぁ、そうだ。何か不満だったか?」
『いや、すごく嬉しいよ。でも、私が……あ』
皐月はふと何かに気付き話すのをやめた。
「『私が…』なんだ?」
『ううん、やっぱり何でもない』
「そうか。私はお前が満足してくれればそれでいい。さて、私は素振りでもしにいこう」
ヤイバはリビングを後にした。
『……私のための、ホワイトチョコレート。本当にありがとう』
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「ヤイバはいつも塩対応ですが、バディを想っているんですね。もしや、彼のあげたチョコレートはただのお返しではないのではないですかねぇ。
…おや、こちらはこころ。屋上で誰かと待ち合わせしているようですね。誰を待っているかは分かりきっていますが…」
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〜相棒学園 屋上〜
ガチャン
「ごめん!待ったかな?」
ケンヤが待ち合わせの時間に少し遅れて屋上の扉を開けた。全速力で走ってきたのだろう。かなり息があがっている。
「まま、待ってないよ!今来たばかりだし…!」
待ち合わせしていたのはこころだった。少し緊張している様子。
「え、え〜っと…」
「何…かな?わ、渡したいものがある…って言ってたけど…」
「これだよ!きょ、今日はホワイトデーだからね!バレンタインのお返しだよ!」
ケンヤは白い長方形のあまり厚さのない箱を渡した。
「あ、あ〜!それか!そうだったね!今日はホワイトデーだったねー!じゃ、じゃあ早速開けてもいいかな!?」
こころは顔を真っ赤にしてテンパっていた。
「もちろんだよ」
「何かな〜?……小さいね」
こころが白い箱を開けると、8つの部屋が作られるようにしきりがされており、各部屋に1つずつまんまるの小さなホワイトチョコレートが入っていた。
「一口サイズの小さなチョコがいいかなーって思ってさ。でも、さすがに小さすぎるよね…」
「これって手作り?」
「手作りじゃないよ。ちょっといい店で買ってきたものなんだ。ボクにはチョコを作る才能なんてないからさ。ごめんね」
「いいよ。手作りでも、買ったものでも、
「そっか、良か……ん?ちょっと待って。好き…?」
「あ…!いや!そういう事じゃ…!これは…その………そう!チョコ好きな人からって意味!」
こころは慌てて訂正した。
「なーんだ、そういう事か〜。でもボクはチョコ好きって言うほどではないと思うよ?」
「あれ〜?そうだっけ〜?どこで聞いたんだろう?(セーフ…!)」
「とりあえず食べてみてよ。ボクは食べてないけど、きっとおいしいよ」
「あ、うん」
こころは小さなホワイトチョコレートを口に入れた。
「どう?」
「こんなの食べた事ない…!すっごく美味しい!」
「残り全部食べてもいいよ」
「ケンヤ君はいいの?」
2つ目を口に入れてこころが聞いた。
「実はホワイトチョコレートが苦手で…。食べられないんだ」
「そうなんだ…(ケンヤ君はホワイトチョコレートが苦手なんだ…。他に苦手なものとかないかな。でもそんな事聞いたらバレそうだよね…)」
「そ、その…こころは…何か嫌いな食べ物とか…あるの?」
ケンヤが少し照れながら聞いてきた。
「うぇ!?わ、私は…辛いものが苦手かな…!舌が痛くなるし…!」
「辛いものが苦手なんだ…(容易に想像できるなぁ…)かわいい…」
「え!?かわ…!?」
「え?あ、いや!何でもない!ごめん、忘れて…」
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「おやおや。この2人が繋がるのも遠い話ではなさそうですねぇ?
…ふむ。シノンとリンはバレンタインでお互いにチョコレートをあげたため、お返しのホワイトチョコレートはあげないようですね。ヒカリは…さすがに囚人からは貰えないでしょう。では、これにて今回は終わりです。では皆さん、またいつか」