「俺だってチートが欲しかった〜ブサイクデブなおっさんの魔法陣」   作:雨天 蛍

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 親切な亜人さんに助けてもらった翌日。俺は幼女エルフを連れて再び遺跡へと訪れていた。

 

 最近はあまり外に出ている様子もなかったからか、幼女エルフもテンションが高い。

 

「昨日びしょびしょで帰ってきた時はまた何かしたと思ったんだけど、フーリーと一緒に出てたのね」

 

「ええ、それで遺跡の調査も行ったんですが、少しだけ気になることがありまして」

 

 朝イチで幼女エルフから遺跡調査のレポートをもらったのだが、その内容は材質だとか苔の生え方とかから推定したどれくらい昔の建造物なのかといった情報だけだった。

 

 遺跡が何なのかは知らない様子だった。

 

 俺が幼女エルフのレポートを借りて、知りたい情報が得られなかった時点で、ここに来ることは必定だ。そして、仕事をする俺を手伝ってくれるのも、幼女エルフしかいなかった。

 

 そういう訳で、人妻になる予定の幼女エルフとここに来たのだった。

 

 ロリは好きなのだが、リアルで別に男のモノになっている女の子にまで興味は抱けない。

 

 なんか、どうしても萎えるのだ。

 

 ピュアな童貞心を理解して欲しい。

 

 でもぶっちゃけ外見は好きなんだよな。

 

 世の中の煩わしいもの全部捨てられたらいいのに。

 

 あいつとあいつがどんな関係でとか関係なくなってしまえばいいのに。

 

 後ろめたさを感じずに見抜きがしたい。大義名分が欲しい。

 

 エルフ耳触りたいよエルフ耳。

 

 そんなこんなで遺跡調査。その道のプロと一緒に研究だ。

 

 外は昨日確認したので、今日は内側を探ることにした。

 

 内側もまたさっぱりしていて、物が置いてあったのかもしれないが、そういった道具などは全てどこかに持ち去られているのだろう。何も無かった。

 

 扉も無いので、既に壊れているんだと思う。

 

 もしくは、埋まっているか。

 

「すみません、ミトさん。これを掘り起こすことって可能ですか?」

 

「私が今すぐって意味なら土魔法使えば出来るわよ。でも、この手の施設付近で魔法使うのってご法度なのよね」

 

「それは、どうして?」

 

「えっと、旧文明の遺産の多くは、動力に魔力を使っているらしいの。それで、こういう場所で魔法を使うと、場合によっては遺跡の機能が生きていて、大惨事を引き起こすのよね。だから地道に掘り返すんだけど、ウチにはそんな余裕無いし……」

 

 世知辛い。自力で掘っていた方が良さそうだった。

 

 幼女エルフがスコップを持って来ていたので、それを借りて適当に掘り進める。この部屋の全貌さえ見れればそれでいいので、俺だけでも時間はかかるが可能だろう。

 

 地面は粘土質だが水を吸っていて重い泥になっている。固くは無いし纏まっているので掘りやすいといえば掘りやすいのだ。

 

 腰が痛くなってくる。冬に会社で行われる雪かきを思い出す。

 

 上司はやらない。タイムカードも切れないクソ業務だった。でもサボるのは許されない。電車通勤とか関係なしに手伝わされる仕事。

 

 雪国とか東北とか、日本海側は大変なんだろうな。お疲れ様です。

 

 そんな気持ちで適当に内側の地面を掘り返していると、あっという間に硬いものにぶつかった。

 

 タイムマシンの床である。いや、傾き方からすれば、壁だろうか。

 

 少し傷付いてしまったが、深さも分かったので、床が露出するまで作業を続けた。

 

 掘る。掘って、掘り返す。

 

 日も天頂に登ることに、作業が終わった。途中から幼女エルフも手伝ってくれた。

 

「結局何も無さそうね」

 

「いえ……ありましたよ」

 

 床の一箇所が、手で開けられる金属の蓋となっていた。少し歪んでいたのか引っかかったが、無事に開けられた。

 

 コンソールである。

 

 動力切れなのだろう。うんともすんとも言わなかったが。

 

 とりあえず、ここがなんの部屋かもある程度分かったのでいいとしよう。

 

 レポートはまとまりそうだった。

 

「ありがとうございます。ミトさん。これで遺跡のレポートも書けそうです」

 

「ほんと? なら良かったわ」

 

 ただ地面を掘り返しただけなのだが、それでも幼女エルフは我がことのように嬉しがってくれた。

 

 いい子だろう? 婚約者いるんだぜ?

 

 というか、明日は傭兵ギルドで大作戦があるのに、どうしてこんな重労働したんだろう。

 

 絶対筋肉痛だよ明日。

 

 妙な達成感と虚しさを同時に味わいながら、無駄に今日という一日を過ごした。

 

 翌日。

 

 傭兵ギルドの一角で、俺とトールさんは一緒にいた。

 

 ネヴィアさんやフレイ君。ナタリアさんはいない。少しだけ遅れて来ると言い残してどこかに行ってしまったのだ。

 

「おせーなぁ」

 

「まあ、傭兵ギルド挙げての一大事ですからね。準備も相応なのでしょう」

 

「とはいえ、俺たちは裏方だぜ? そんなに用意することもないっての」

 

 あるんじゃないかな。ほら、決戦前夜の語らいとかさ。

 

 気分盛り上がって告白とかさ。死ぬ前に捨てておきたいものとかあるじゃん?

 

 もしもの為だよ。でも、無いともいいきれない。

 

「ごめん。おまたせ!」

 

 ネヴィアさん達が急いだ様子でやってきた。衣服に乱れはない。

 

 というか、乱れるほどの布面積が無い。

 

 フレイ君を見る。

 

「……今日はよろしく」

 

 衣服に乱れはなかった。

 

「早速全員揃ったところで、向かいましょうか」

 

「……フレイが男気を見せれなかった」

 

「なるほど」

 

 ナタリアさんが答えを教えてくれた。

 

 俺達は、これから亜人討伐作戦に参加する。

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