「俺だってチートが欲しかった〜ブサイクデブなおっさんの魔法陣」   作:雨天 蛍

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「……は?」

 

「敵か味方かといえば、味方です。私は彼女の敵になるつもりは無いので」

 

 現状は、だが。

 

 別に問題も無いような気がするし。機械文明時代がどんな時代なのかは不明だが。

 

 色々禁忌に手を出したとは聞いたが、それが悪いことなのかは正直分からないし。

 

 亜人目線からすればそりゃあ悪だろうけどさ。被害者は俺じゃないのだ。

 

 ブサイクデブ的には同情するけど美少女の味方なのだ。

 

 俺は世界を敵に回しても美少女の味方をするね。

 

「……そうだったのですか」

 

「別に彼女が問題を起こした訳では無いですし、遺跡を見るにあれを取り戻させるのは危険でしょうが、だからといって他の人の手に渡るのも避けた方がいいことですし」

 

 むしろ俺以外の奴が機械文明の遺産を手にするのは避けたい。特に男。

 

 絶対戦争起こすからね。ネット小説で前時代の機械文明に手を出すと大抵は国を相手に戦争を始める。

 

 俺は戦争しないから。この世界に特に恨みも無いし。

 

 だけど、ああいうのって調子に乗った貴族とか国のトップが偉そうに奪おうとしてくる展開が多いんだよな。

 

 まあ、そうなったら国の上層部だけを取り払えばいいか。

 

 わざわざ圧倒的戦力差を見せつけて「我々は選択を間違ったのだ……」とか後悔させる必要は無い。

 

 なぎ払われた兵士が可哀想じゃんね。

 

「そもそも、機械文明の遺跡は魔力で動くようになったから、エルフではもう動かせないのでは?」

 

 そう聞いたはずだ。

 

「それがそうもいかなくなったのです。エルフ達でも使える、誰でも魔法を操れる方法があるので」

 

「……魔法陣ですか」

 

 俺も魔力を練れないからすぐに思い至った。魔法陣は確かに魔力無しで使える技術だ。

 

 そもそも昔の技術と聞いていたのだが、それが今更出てきたのか?

 

「魔法陣の発見事態は最近の出来事です。ただ、古い時代にあった技術だというだけで」

 

 そうだったのか。

 

「だからこそ、予算を回さなかったのに……あなたが来てからは全てめちゃくちゃですよ。彼らの天敵である始祖の遺体を見つけたはずなのに、どこかに行ってしまうし、あなたが魔法陣や遺跡の研究を始めますし……」

 

 なんか苦労させていたらしい。それは申し訳ないわ。

 

 一応俺は始祖に近い存在らしいし、それで許してくれないだろうか。

 

 ブサイクデブはエルフ特攻あるんじゃないかな。倍率一、五くらい。二倍はオーク。

 

 始祖の遺体に関しては、俺のせいじゃない。

 

「……そういえば、よく見たらハナダさんいつも箱を背負ってますよね」

 

「ああ、これですか」

 

 これはいずれ魔法陣で復活させる予定のミイラであり、俺のヒロインである。俺だけの禰豆子だ。

 

「その箱、どこで拾いましたか? 中身はなんですか?」

 

「ああ、それならこの魔術師ギルドの四階で見つけましたよ。ミイラが入っていたのには驚きましたが、これは魔法陣の実験にも使えるかなと思い回収したのが最初ですね」

 

「……」

 

「……」

 

 沈黙が流れる。

 

「お前かああああ!!!」

 

「す、すみませんでした! これがまさかその始祖だったんですね!」

 

 襟首掴まれて前後に揺さぶられる。これは悪かった。幼女エルフから許可を貰っていたが、まさか無許可で荷物置いていたことが巡り巡ってこうなるとは。

 

「僕がどれだけ探したと思っているんですか! 毎日毎日魔術師ギルドのあちこちや街の中を全力で探し回ってたんですよ!」

 

「ああ、だから忙しそうにしていたという」

 

 全部俺のせいやんけ。

 

 そして、今気付いたんだが、長老ってもしかして俺が背負っていた始祖の気配を俺だと勘違いしたのでは?

 

 だから俺は全く縁のない始祖に似ているとか言われたし、亜人だと勘違いされたんだと思う。

 

 あの長老目が見えないって言ってたしな。

 

 めちゃくちゃこれみよがしなため息をついたイケメンは、俺を睨みつけながらも襟首から手を離した。

 

「はぁ……はー! ……まあいいです。普段から肌身離さず持っていたようですし、なにか目的があって持ち出した訳でもなさそうですし。問題は無いでしょう」

 

「すみませんでした」

 

 これは俺が全面的に悪いと思った。

 

「それに、頑張って探し出した始祖は今やただの屍ですからね。それでもなにかあるかもしれないから持ってきただけですし」

 

 いざという時の予備みたいなものです。とイケメンは笑った。

 

「それで、あなたはエルフに対してなにか考えでもあるんですか? 味方をするにしても、この情報を渡すというのなら、あなたはここで死にますし、そうでなくとも、エルフに利するのなら、それは私の敵だ」

 

 じゃあなんで教えてくれたのだろうか。

 

「何もしないですよ」

 

 出来ない。というのが正しい。俺には何かを成せる力はないし、誰かを動かせるようなものは持っていない。

 

 まあ、俺はそもそも中立に近い立場であるつもりだ。魔術師ギルドなりなんなりの居場所が壊されるのならばどうにかするのも考えるが、そんなこと起きないだろうし。

 

 と、そんな思考がフラグとなったのか、突如地面がゴゴゴゴ……と揺れ始めた。

 

 地盤緩いのか地震それなりに多い印象がある。この街。

 

 呑気に考えていたら、イケメンが大急ぎで立ち上がった。

 

「何をぼーっとしてるんだ! この地震は非常事態だぞ!」

 

 え、まじで?

 

 確かに揺れるとは思っているけど、それは塔の上だからじゃないの?

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