「俺だってチートが欲しかった〜ブサイクデブなおっさんの魔法陣」 作:雨天 蛍
『擬人化銃』
素敵な響きだ。擬人化。実質ケモ耳美少女とかが生み出せる最高の技術。
なんだこれ、エルフ最高かよ。
っていうか、今気づいたんだけど。エルフの作った物って擬人化技術とキメラ技術と時間巻き戻し装置なんだけど。
なんかロマンあるものばっかり作ってませんかね。エルフ実はオタク説をこの世界で提唱するぞ俺は。
擬人化かぁ。良いよね。今のところ擬人化させる対象はトカゲさん達しかいないけどさ。
っていうか、もしかしてそれ用に作られたとかあるんじゃないか?
亜人の地位向上とか。抜ける見た目にしようとか。
やっぱりオタクだったんじゃないかなぁ。
フーリーさんが手に持った銃を幼女エルフに渡す。
「これで、これで、皆を助けに行くための足がかりが出来たのよ!」
無理じゃないかな。
「あなたにも感謝するわ! 魔法陣という技術を応用すれば、魔力を代用することが可能だっていう事を知れたんだからね!」
幼女エルフへの情報規制を俺が破ってしまったらしい。
そして、幼女エルフが銃を構える。相手はイケメン。ポケットから取り出した魔法陣に血を垂らし、触媒を置いて引き金を引いた。
銃は起動した。真っ白なビームがイケメンに迫り、直撃する。ドーンという音と共にイケメンの周辺が煙に包まれた。
そして、何も変わらないイケメンがそこに倒れていた。
美少女になることは無いらしい。TS機能は無しと。
イケメンは気絶している。これだけ見れば、確かに銃として使えそうだ。
「アハッ……アハハハハ! 私はこれでお母様の願いを果たせるのね!」
大喜びな様子の幼女エルフ。今すぐに、あの銃の本来の使い方を教えて表情を曇らせたい。
涙目になって欲しい。
「ミトさん」
「なによ、あなたもこの男みたいに邪魔するの? 近所のお兄さんにだって勝手に誤解させるストーカー男なのよこいつは!」
思いっきり馴染んでいるご様子。この調子だとイケメンに恨みはあっても街を滅ぼすことはなさそう。
「……婚約者だと聞いたのですが?」
「そんなの親が勝手に決めたことよ! お母様だって反対してたのに、お父様同士が友達だったからって勝手に婚約者にしたのよ!」
複雑そうな関係。そしてエルフ側に陰謀の気配はない。
イケメン野郎。お前最初から最後まで勘違いしてたらしいぞ。
同時に俺は安心感でいっぱいだ。
既に貫通済みの幼女エルフとか、イケメンに性教育されていた幼女エルフなんてものは無かったみたいだ。
やっぱり幼女だもんな。普通は手を出さないでしょ。
フーリーさんとイケメンの思想の深さに対しての幼女エルフの浅さよ。
俺は彼女のそういう所に安心感を抱くんだ。
「フフ……確かに起動したわね。そして何の危険も無さそうな、ただの兵器」
その時だった。フーリーさんが動き出して、幼女エルフの手から銃を奪い取る。
そして幼女エルフに突きつけた。
「何してるんだよ? 仲間割れか?」
トールさんはようやく入れそうなタイミングを見つけて声をあげた。
トールさん偶に不安そうな顔してたからね。え? ここに私いていいの? みたいな顔してたもんね。
「仲間? そんなわけないじゃない! 私は最初からこれが目的だったのよ!」
気だるそうな雰囲気を捨てて声を張り上げるフーリーさん。
「このエルフ達の遺産さえあれば、私の故郷に大手を振って戻ることが可能なのよ!」
「きゃあ!」
「ふふ……ミトちゃんには随分お世話になったわ。機械文明の遺産の情報。遺跡は使えないにしても、この銃は使えた。これを足がかりにして、私の故郷が、私が、世界を支配するのよ!」
それご本人の目の前で言っていいのかな。幼女エルフはすっかり裏切られた顔だ。
「機械文明の幾つかは、魔力だけじゃ動かない……。この銃だってそうだった。だけど、エルフがいれば、起動することが可能なのよ! もうミトちゃんは用済みよ。故郷に戻ってエルフの奴隷を使えばいいんだから」
エルフの遺産には認証機能があった模様。そして階段まで幼女エルフを人質にして俺達を釘付けにするフーリーさん。
階段で幼女エルフを投げ捨てて逃げ出して行った。
「ううっ……」
「大丈夫ですか?」
得意気だった顔が一転して絶望の表情。目尻が涙でいっぱいだ。
もうすごく興奮する。この若干のメスガキムーブが俺の絶妙な所を刺激する。
メスガキ奴隷エルフ欲しい。今すぐにわからせたい。
そしてめちゃくちゃに甘やかして幸せになりたい。
「……なあ、結局エルフも亜人も人間もどうなってんだ? 私は誰の味方をすりゃあいいんだろうかな?」
「多分、今回の敵は人間だっていうことですよ」
トールさんの質問に答える。
亜人とエルフは過去はともかく、今は悪い奴じゃない。
いつの世も、人間の敵は人間なんだってことだろう。