アクタージュ 暗殺者(になるはずだった)ルート   作:朕好こう

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「おかえり」を貴方に

 前回はアキラくんが恋歌ちゃんの手を握るというセクハラで終わりましたが、何とか切り抜けましたね…なんだったんでしょうか。涙流してたんで優しくすることを心掛けてました。マジで謎ですね。

 

 >貴女は楽屋に戻ると、ネットニュースを確認する。そこには巌裕次郎の訃報が掲載されている。

 

 これ見て毎回思うんですけど、巌裕次郎生存ルートとかあるんですかね。舞台俳優だと有るのかな?やる気は全く有りませんが。取り敢えず、銀河鉄道の夜組も無事終わったみたいです。それじゃ評価タイムですね。舞台はこの後何日も続きますが、初日が一番肝心なので、これが成功していればその後は安定してます。

 

 S来い、S来い、S!S!

 

 S…

 

 S+!?来たァァァァァァ!!勝ちましたねぇ!景ちゃんに勝ちました!いやぁ、ちょろかったですよ。恋歌ちゃんの演技ステータスなら行けると思ってました(大嘘)

 

 でもぶっちゃけ、他の役者も和歌月ちゃんも異様な程成長してたんですよね。アキラくんが1番成長してました。というか成長より変質というか…いつの間にか脇役としての才能を失って、主役としての才能へと変質してるんですよね。おかしいなぁ…

 

 まぁ、難しいことは考察班に任せて、今は勝利の余韻に浸りましょうかね!!

 

 次回からは“普通の女子高校生”編ですね。あぁ…やっと舞台編終わったぁ……

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 “銀河鉄道の夜”にはアリサさんが行った。私は恋歌ちゃんの“星の王子さま”を見に行けと言われたので、快く了承した。

 

 劇場には子供連れや女性が多かった。演劇に関する有識者は少なかった。まぁ、大体はスターズという看板やアキラ君目当てだろう。“星の王子さま”を見に来ている人は少ない。

 

 照明が暗くなる。舞台の幕が開いて、アキラ君が立っている。彼は鼻高々に、色鉛筆で書かれた絵を大人達に見せる。その姿はまるで18歳には見えない。本当に子供のようだ。

 アキラ君とは付き合いが長いから分かる。彼はあんな演技をする人では無かった。まるで別人のように、夜凪さんのような演技をする。

 

 他の役者もそうだ。舞台である程度有名な人も居たが、あそこまでレベルが高かったかと聞かれれば否だ。全員が感情の籠った表現力の高い演技をする。そして観客も舞台での感情に合わせて涙を流したり、笑を零したりする。

 

 その中心に居るのは、彼女だ。この舞台を発案してアリサさんに絶対成功させると叩きつけた少女。私が振り向かせたい少女。頭鬼恋歌。

 

 アキラ君が羨ましい。彼女は他の役者を伸ばす演技をする。それは私を天使として更なる高みに登らせてくれる筈だから。見るのも勉強になるけど、1番は一緒に共演することだから。

 

 舞台は終幕に近づく。原作では王子さまが星へと帰り、“ぼく”はそれを見送るシーンだ。だけど、アキラ君は引き止めた。

 “星の王子さま”を知る人達は困惑する。あれはアドリブかと。でも今までの完璧な流れを崩すアドリブは作品の評価を悪くする。

 …本当にあれは演技か。アキラ君から流れているのは嘘の涙か。いかないではもしかして本心なんじゃないか。

 アリサさんが言っていた、夜凪さんのようなメソッド演技をしているせいで、現実に戻って来れないのでは無いか。

 

 そんなことを考えていると恋歌ちゃんがアキラ君を抱き寄せた。そして諭すように語る。離れていても一緒だと。また会えると。そして離れて、王子さまは笑顔で自分の星へと帰っていく。

 

 最後に“ぼく”のその後の話で幕が閉じ、カーテンコールに拍手が鳴り響く。アキラ君は戻ってこれた。これから彼は忙しくなるだろう。何せ本当に主役としての才能が開花したのだから。でも他の役者たちはどうだろうか。この舞台で成功してしまった彼らは、恋歌ちゃんに戻されることなく終わってしまった彼らは…果たしてこれ以上の演技をすることが出来るのだろうか。

 

 

 舞台が終わって、夕暮れになる。私は巌裕次郎の訃報を報じるネットニュースを見ながら彼を待つ。

 

「…千世子君、来てたのか」

「うん、来てたよ」

「恥ずかしい所を見られてしまったね」

 

 恥ずかしいどころか、あの行為は私にとっては万死に値するのだけど、彼が戻ってきたことに免じて殺すのだけはやめてあげる。後で美味しい焼肉を奢らせるのは確定しているけど。恋歌ちゃんも誘おうか。でも、取り敢えず彼に言わなきゃ行けない事がある。

 

「アキラ君」

「ん?なんだい」

「おかえり」

「…?」

 

 彼は首を傾げる。だけどそれでいいんだ。帰って来ないよりはずっとマシだから。





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