それだけ成長していると思えば当たり前と言えば当たり前ですが、それでも完結出来たのは支えてくれた読者の皆様のおかげです。
今更ですがタバサのTS物語を読んで下さりありがとうございました。
これからもタバサのTS物語、そしてこのマルクの異世界物語をよろしくお願いいたします。
僕が悶絶していると、地下水が声をかけてきた。
『坊主も懲りねえな……』
うるさいよ、地下水。それよりもタバサの情報を抜き取った?
『あたぼうよ。とりま、嬢ちゃんの情報を渡していくぜ』
地下水からタバサの記憶が送られ、僕はそれを認識していく。あまりにも情報量が多いと頭がパンクしかねないけど地下水はその加減を知っていて、僕に合わせている。
痛みがなくなり、キュルケに外を出るような促す。
「キュルケ嬢、僕達は主従交流するけど君はどうするの?」
「そうね、あの【ゼロ】のルイズの使い魔も人間みたいだから見てくるわ。それじゃお二人さん、ごゆっくり」
キュルケが立ち去り、この場に残されたタバサと僕。タバサの性格上、喋らないことは明らかなので僕から語っていこう。
「タバサ、君は母君を助けたい?」
「っ! どうしてそれを!」
「質問を質問で返したら駄目だよ。それでどうしたい?」
「……っ、助けたい。だけど母様を助けるにはあの男の手元から引き剥がさないといけない」
「言っておくとタバサ一人の力だと無理だよ。タバサのいうあの男は君の伯父であり、ガリア国王ジョゼフ一世でしょ」
それに頷くタバサ。やはりというべきか、戦いたくない人が敵になるというのは嫌なものだ。
「ジョゼフ一世は【無能王】として知られており、それは本人も自称しているけど無能なのは魔法だけで実際には違う。魔法以外も無能ならタバサ一人の力でとっくに解決している。政治に関しては歴代の王でも抜けていて、特に外交においてはエルフとの交易をしていることからかなり優秀と言える」
これはタバサの記憶を読み取った限りの情報でこっちの世界でも変わらない。やはり伯父様は優秀で、敵に回したくない。
「エルフ……!」
「言っておくけど君にとってはエルフよりも彼の方が厄介だよ。彼の影響力は絶大だ。生半可な謀略じゃ却ってこっちが潰される」
少なくともこの世界の
「……」
「タバサ、復讐を止めて母君を救うことだけを優先するなら方法がある」
「それはもう──」
「やっていないよ。今のタバサは只の奴隷だ」
経緯はどうあれこの世界でもタバサは北花壇騎士団に入団しており、その任務をこなしている。しかし僕の場合とは異なりタバサは任務をこなすことで信頼を得ようとしているが、ジョゼフからしてみればタバサは
「ジョゼフ一世に立ち向かうにはエルフとの交易を絶たせた上でハルケギニアで包囲網を作らないと無理だし、無駄に戦費が嵩む上に死人の出る戦争が起きてしまう。復讐の為に無駄に死人を出すのは望ましくない」
僕が伯父様に勝つとしたらそれくらいのことを前提にしないと勝てない。というかそれですら危ういくらいだ。
「ガリアで孤立させるのは?」
「甘いよ。ガリアで孤立させても貴族達が粛清される。むしろその影響力は増していく一方だ」
「ならどうするの?」
「夢から覚まさせるだけでいい」
「……どういうこと?」
「少なくともジョゼフ一世はシャルル・オルレアン公が生きていた頃、寡黙ではあったが精神は破壊されてなかった」
ちなみに僕の世界の伯父様も精神を壊されており、元々歪んでいたものが良い方向に向いただけだ。
「……」
「他人から【無能】と侮蔑され、優秀な弟と比較され続けてきた。普通ならどこかで爆発するはず……それでもある時までは爆発しなかった」
従姉にあたるイザベラも魔法が優秀とはいえないのだから尚更だ。父親に似てしまったとか魔法が使えないのは父親が【無能】だからとかそういう話が出回るのは無理もない。
「もしかしてジョゼフが祖父様に認められなかったから爆発したの?」
タバサの認識では
「いや先代国王というよりは劣等感を持っていたシャルル・オルレアン公に原因があったんじゃないのかな」
「父様に?」
「考えてみなよ。自分が何にも出来ないのに弟は魔法も完璧、自分の得意分野のはずの勉強も出来る、そして寡黙な自分とは違い社交的で性格まで完璧と来たら劣等感を持つ。そんな兄は何としてでも弟にギャフンとか言わせて悔しがる姿を見たい」
「……まさか、本当に父様じゃなくあの男が国王に認定されたの?」
流石異世界の僕。頭の回転が早い。
「そうだろうね。もしシャルル・オルレアン公が国王に選ばれたのなら悔しがる姿を見る為に敢えて殺さないだろうし」
そうキッパリと告げるとタバサがしばらく無言になる。捕らえる過程で抵抗が激しくやむを得ず殺したってのも可能性としてあるだろうけど、シャルル・オルレアン公の死因は弓矢による射殺。最初から殺す気でなければそれは出来ない。
だから考えられる可能性としてそれはなくなく、ジョゼフ一世が国王に任命され、それを称えたシャルル・オルレアン公に嫉妬して狂ったとしか考えられない。
「それは理解した。でもどうするの?」
一分後、ようやく口を開けるタバサ。理解はしても納得してないのがよくわかる。しかしそれを一々口にする必要もない。
「シャルル・オルレアン公も完璧超人ではなく只の人だったと証明すればいい」
「……どうやって?」
流石にそこまでは頭は回らないか。こればかりは年の功だ。
「実の兄弟であり、しかも非凡なジョゼフ国王だからこそ証明出来る方法がある。その為にはガリアに行って彼に直接話さないとね」
「貴方にその方法があるならそれに委任する」
「それじゃ、公欠届けを出して行こうか。僕は外で待っているよ」
無口とはいえ
地下水、
『まあ出来ないことはないが、それは坊主の交渉次第だと思うぜ。そもそもあのおっさんの使い魔、誰だかわかっているのか?』
……それを考えると無理か。あのデコでしょ? 確か神の頭脳だっけ?
『まあな。ルーンによる影響があまりにも大きいが、俺のことなんか一発で見極められちまう。情報を抜き取るなんてのは無理だ』
じゃああの手しかないか。幸いなことに魔法の属性は同じようだしね。これで実は魔法の属性が違いましたなんて言われたら地下水に出来るからラッキーと言えるけど。問題は魔法の属性が違うのにデコを呼び出した時だ。それさえなければどうとでもなる。
『そうならないように願うしかねえよ。もちろん運にな』
「準備万端」
タバサが声をかけ、僕が頷く。
「それじゃ、行く前に脱ぐから──痛い痛いっ!」
タバサがガンガン杖をぶつけ僕が全裸になるのを阻止させる。
「脱ぐ必要はない」
「あるよ! 僕の二つ名【氷竜】の由来にも関わることなんだから」
そう言われてタバサが渋々取り下げる。全くいくらタバサが僕の全裸を見たくないとはいえそこまでする?
「さ、そういうことだからあっち向いていてね」
「……ん」
タバサが振り向いたのを確認すると地下水を取り出し、魔力を込めると徐々に姿を変える。それまでタバサよりかマシ程度の小柄だった身体が巨大化し、身体から翼が生え次第に口、手足、顔と竜そのものの姿となった。
「もうこっち向いて良いよ」
そしてその姿をタバサに見せると絶句した。この世界のタバサはどうかは知らないがこの姿はシルフの本当の姿を模写したものでその威圧感はトリステイン史上最強軍人【烈風】カリンに勝るとも劣らないほどだ。そんな奴と対峙してプレッシャーを感じないはずがない。
「なっ──」
唖然とするタバサを見て、僕は満足している。この変身魔法を身につけることが出来たのは韻竜の身体の一部を自分の身体の一部に取り込んでいるのが大きく、ED治療過程で得た魔法の一つと言って良いだろう。
「お姫様お待たせしました。この【氷竜】のマルクめがお姫様をお城までお届け致しましょう」
そう声を渋く出すとタバサがしかめっ面で「普通の声にして」と不満を漏らしてきたので元の声にする。この渋い声気に入っているんだけど何故か女性陣から不評なんだよね。
後書きらしい後書き
次こそは女装シーン出す……!フラグとか言わない!
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マルクの女装シーンはどのくらいの頻度がいい?
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なし
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数話につき一回
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2話につき一回
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1話につき一回
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上記以上