マルクの異世界物語~タバサのTS物語外伝~   作:ディア

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出してやったよ……半年以上の前の小説の投稿と女装シーンをなぁぁぁっ!


第5話

「そうか、お前が可愛い姪の使い魔か!」

 

 そう愉快そうに高笑いする青髭の男、ジョゼフがそこにいた。

 

「ははっ、【氷竜】のマルクにございます」

 

 口調を変え、ジョゼフと相対する。こういう小細工でもしないと交渉において勝てる気がしないからだ。

 

「二つ名があるということはメイジか。これは愉快だ。まさか姪が俺と同様、人を召喚するとはな……それも姪にそっくりなメイジを!」

 

 もしかしてこのジョゼフはタバサのことを駒かなんかと思っているんじゃないのか。僕の世界であれば非情に見えて優しいところがあるからよく分かる。

 

 

 

「陛下、ご質問がありますが発言の許可をお願いします」

 

「許す。何だ?」

 

「陛下が国王として任命された時、陛下の弟君、シャルル・オルレアン公は祝福しましたか?」

 

「ああ、したとも! 俺の弟は出来すぎた弟だ! もし俺であれば耐えられんだろうな!」

 

「私が聞いた限りではオルレアン公はそこまで出来た弟とは思えませんが」

 

 不敬罪に問われても仕方ないがここに来た時点で命を懸けている以上、何も恐れることはない。

 

 

 

「なんだと?」

 

「もしオルレアン公が国王として任命されたら、どれだけ立腹されても陛下は表面上は祝福するのではないでしょうか?」

 

「……かもしれんな」

 

「陛下がそうされるかもしれない……それはオルレアン公にも言えることです。オルレアン公も表面上では取り繕い、裏では荒れていたかもしれません」

 

「あり得んな。シャルルはそんなことをする──」

 

「もし、オルレアン公が貴殿に対して劣等感を持ち、陛下を欺いていたとしたら?」

 

「あり得ん! 弟は、シャルルは──」

 

「国王になるのに魔法はあるに越したことはありませんが絶対に必要という訳でもありません。魔法が必要になる時はそれは式典の時か、追い込まれた時のみ。前者は取っ払えば良いだけですし、後者に至っては魔法を使わざるを得ない状況まで国を追い詰めた無能な王でしかありません。それを他の貴族ならともかく聡明なオルレアン公が理解出来ないはずがないのです」

 

 あの変態(僕の父親)はともかくオルレアン公(タバサの父親)はそれを理解出来るだけの頭脳の持ち主だ。30を超えていない僕にだってそれが理解出来るのだから尚更だろう。

 

 

 

「……」

 

「そして陛下が当時の国王として必要とされていた能力、つまり優れた内政と外交能力を兼ね備えていたのをオルレアン公は見破っていた。軍事力を象徴する魔法ではそれに敵わない。だからこそ人身掌握をし、あたかも王としての器に相応しいかの様に振る舞って──」

 

「黙れ! その口を閉ざせ!」

 

「オルレアン公は亡くなりました。手の込んだ自殺でね」

 

 手の込んだ自殺──ようするに他殺や事故に見せかけた自殺だ。この場合だと目の前にいる不器用なジョゼフを煽り殺させた。彼がそうしたかったのかは不明だが少なくとも僕にはそう見えた。

 

「シャルロット!」

 

「黙ってて」

 

「ーっ!!」

 

 息がピッタリ合う例え──阿吽の呼吸の如くタバサに杖で金的を殴られ悶絶して暫くすると手汗が酷くなるのと引き換えに冷静になったジョゼフが僕の肩を掴む。

 

 

 

「マルクと言ったな?」

 

「は、はぃぃぃ……」

 

「お前に聞こう、お前は俺が怖くないのか?」

 

「陛下が怖くないと言えば嘘になります。しかしそれ以上に陛下達をお救いしたい気持ちがあります」

 

「救うだと? ……笑わせるなよガキが」

 

 ドスの効いた声がその場に響き、殺気に当てられたタバサが怯む。無理もない。この殺気は僕の使い魔のシルフと同じくらいでタバサが今まで受けてきた殺気とは比較にならない。

 

「笑いたければ笑えばいいでしょう。しかし陛下、オルレアン公も人間であり貴方に対して劣等感を抱いていたのは紛れもない事実です」

 

「ならばそれを証明して見ろ」

 

「王家に伝わるオルゴールとルビー、そして陛下自身。それが全てを解き明かす鍵となります」

 

「始祖のオルゴールと土のルビー、そして俺か。本当に真実が身近にあるとでも言うのかお前は?」

 

「陛下、間違いなくそれらが鍵となっています。始祖に誓いましょう」

 

「ふ……よかろう。だがそれが偽りであった場合、わかるな?」

 

「私の首でも身体でも好きなようにしてください。ご主人様、それで構いませんね?」

 

「ダメ、貴方が死ぬことは私が許さない」

 

「安心しろシャルロット、こいつが肉体的に死ぬことはない。男娼として売り飛ばすだけだ」

 

 元の世界だったら事実上の死刑宣告だ。王族ということもあるが、それ以上に容姿端麗であることで僕の知名度が高い。王子を名乗る前に僕をモデルにした春画が出回っているくらいには知れ渡っており、それを老若男女問わずほぼ全員が持っている。そんな僕が男娼にされたらどうなるだろうか? 間違いなく即座に買い手が決まり毎日が性欲発散の対象になるだろう。

 

 元の世界程ではないとはいえ、僕の容姿は少女、下手したら幼女そのもので男受けする。その手の趣味の貴族によって穴という穴を掘られ開発されることになる。

 

「タバサ、使い魔としての我が儘を聞いて欲しいな」

 

「……これで最後」

 

「イエスマム。これで僕が死んでも陛下を殺さないでほしい。殺したら全て台無しになるから」

 

「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………わかった」

 

 かなり長い間があったが頷きそれに承諾する。彼女にとってはかなりの葛藤だったんだろう。

 

 

 

 

 

 そしてその数日後、僕はメイド喫茶のメイドさんとして働いていた。

 

「なんでぇぇぇっ!?」

 

「自業自得」

 

 客として来ていたタバサが軽蔑するような目でそう呟いた。




後書きらしい後書き
女装シーンは嘘じゃなかっただろう?
……はい、ふざけてました。申し訳ございません。シリアスな場面で女装シーンなんて書けなかった為、こんな唐突な場面変更しか書けませんでした。次こそは書き上げます。

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  • 数話につき一回
  • 2話につき一回
  • 1話につき一回
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