マルクの異世界物語~タバサのTS物語外伝~   作:ディア

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・89式と言ったら?
≫89式小銃と答えた方は現役か元自衛官だな?しかし私ことディアのファンなら【89式和製ビッグレッド】と答えるだろう。

・最近イラッとしたことは?
≫女装した中年男性が電車で割り込み、電車の椅子を確保した後に荷物を置いてトイレに向かい化粧し、何事もなかったかのように席に座ったこと。あれは見ていてイラッとした。似合わない女装はともかくマナーを守れよと言いたくなる。そういう輩がいるからクロスドレッサーの肩身は狭くなる。もしかしてクロスドレッサーの肩身を狭くさせる為にやったんじゃないかと思えるほどイラッとした。


第7話

 メイド喫茶から解放され、次の任務を言い渡された僕達は他の村へ向かっていた。その村とはエギンハイム村。かつて元の世界で僕が解決した村の一つで翼人種との諍いを咎めた場だ。

 

 ちなみに全てを悟ったジョゼフははっちゃけており、元の世界の伯父と同じくらい政治に取り組んでいた。具体的には「ふははは、シャルルよ! 貴様の民どもが俺色に染まっていく様はどうだ!?」などと危ない人を演じながら人身掌握している。

 

 

 

 閑話休題(何はともあれ)、サビエラ村に行く道中、僕はタバサの機嫌を取っていた。

 

「そんなに拗ねないでよ、タバサ」

 

「知らない」

 

「タバサのハシバミ草を食べたのは悪かったって、でも仕方ないじゃん!」

 

 そう、タバサが怒っているのはハシバミ草を勝手に食べてしまったことだ。ハシバミ草は独特の苦味からかなり嫌われているけど僕の大好物でストックがいくつかある。それ故に甘いものが好きな女の子──タバサもそれに該当すると思って食べないって思いこんでいた。ただ異世界の僕なだけありタバサもストックを用意している程に大好物だった。僕の分のストックが切れたことに気づかなかった僕は誤ってタバサのストック分を食べてしまい現在に至る。

 

「言い訳をしないで数日前までメイド服を着ていた28歳のおじさん」

 

「うぐっ!?」

 

 この前の出来事と自分の年齢を持ち出されて精神的なダメージを負う。いくら周囲から見た目10代前半の少女みたいって言われてもそれを別の他人から不意に指摘喰らうと子供がいることを思い出してしまい、精神的にくるものがある。ここで28歳男性はおじさんと呼べるのかどうかについてだけど、行き遅れで有名なルイズの姉エレオノール嬢が27歳だということを考慮するとおじさんと呼ばれても仕方ないのかもしれない。子供も一人二人とかじゃないなら尚更……

 

 その後平身低頭バッタの如く謝り尽くすとタバサがとんでもないことを言い出した。

 

「そんなに反省しているならハシバミクッキー、ハシバミ抜きで食べること」

 

「じ、地獄だ……」

 

 ハシバミクッキーをハシバミ抜きで食べるって何の拷問? あのハシバミクッキーはハシバミ草は苦味があるから最高に上手くなるのであってハシバミクッキーのハシバミ抜きなんて犬の餌にも劣る。でも従うしか選択肢はなかった。

 

 

 

 そんなやり取りをしながら休憩をするために街に降りると何やら青髪の女性がトラブルを起こしていた。

 

「だからあげるって言っていたのね!」

 

「金がないやつにあげるわけないだろうが!」

 

 トラブルを起こしているもう片割れは果物を売っている八百屋の男性。見たところ箱入り娘のお嬢様が男性に果物を勝手に食べてしまったという感じかな? 

 

 でもそれにしてはそのお嬢様の方、会ったことないのになんか懐かしさを感じるんだよね。なんでかな? ガリア王族特有の青髪だからってタバサの関係者ではなさそうだし。

 

 

 

「はいはい、そこまで。何があったかわからないけどとりあえずこれで納めてくれるかな?」

 

 そう言ってお金を渡すと目の色を変えた店主が媚売って肩を揉んできた。

 

「そりゃもう! なんならサービスしときますぜ貴族様!」

 

「それじゃハシバミ草はある?」

 

「ハシバミ草ですか? それならありやすがなんでそんなものを?」

 

「好きなんでね。それでいくらなんだい?」

 

「どうぞどうぞ! 無料で持っていって下さい! 仕入れたはいいもののハシバミ草食う奴がいなくて困っていたところでさぁ!」

 

 やり! 

 

 

 

「タバサ、これで機嫌直してよ」

 

「……次はしないで」

 

 そういって受け取り食べると後ろからくいくいと僕の服をひいてくる女性がいた。

 

「ん? 君はなんだい? あのハシバミ草はご主人様のものだからあげられないよ」

 

「違うのね! あんな不味いの好き好む奴なんていないのね!」

 

「「あ?」」

 

 この時、僕とタバサは一致団結し女性を囲むと女性が僕達の殺気に怯えてしまう。

 

「ご、ごめんなさい! ハシバミ草を侮辱してごめんなさいなのね!」

 

「わかればいい」

 

「ん。それよりも何か用?」

 

 タバサがそう尋ねると待ってましたと言わんばかりにその女性が満面の笑みを浮かべる。

 

「私はイルルクゥ! さっきそこの人間に助けられたからお礼を言いに来たのね!」

 

「イルルクゥ……」

 

 どこかで聞いた名前だね……なんだっけ? 

 

「そうなのね! さっきは訳のわからないイチャモンから助けてありがとなのね!」

 

「別にいい」

 

 既にイルルクゥが何を話していようが僕の耳には届かず、イルルクゥがどこかで聞いたことがあった名前だと思い出すのに手間取り聞き流していた。

 

 

 

 ねえ地下水、イルルクゥって名前どこかで聞いたことある? 

 

『イルルクゥって言ったらあいつのことだぞ?』

 

 あいつ? 

 

『そりゃ坊主にとって俺よりも長い付き合いの奴だよ。それでも思い出せないか?』

 

 ……いや、まさか。あの理不尽ドラゴン? 

 

『そのまさかだよ。シルフィードだよ。坊主がシルフと呼んでいた風韻竜!』

 

 は? じゃあ何? 伝説級の強さを持っていそうなあのシルフがこっちの世界だとお(つむ)の足りなさそうな女の子になるってことなの!? 

 

『頭が悪そうなのは否定はしないが、向こうのが異常すぎただけだと思うけどな。それだけ坊主の素質が優れていたって証拠なんだから誇りを持て』

 

 それはどうもありがとう。でもその僕を召喚したタバサって何者なんだろうね? 

 

『さあ……考えられるとしたらシルフの奴は脳筋だっただろう? 少なくとも坊主よりかは武道派な訳であのお嬢ちゃんが坊主の相棒の方のシルフィードを呼び出せる訳もないし、かといって異世界の坊主である以上それ相応の実力のある奴を召喚することになる。そこで坊主が選ばれたんじゃないのか?』

 

 つまりシルフだと馬が合わないから僕が選ばれたって訳だね。

 

『そういうこった。だけど今の嬢ちゃんの実力ならこのイルルクゥちゃんでも十分だと思うがね』

 

 異世界の僕(タバサ)を否定すると何か複雑な気分……

 

 

 

 そんなことを地下水と念話で話しているとイルルクゥがとんでもないことをいいだした。

 

「お礼に下僕にしてやるのね」

 

「必要ない」

 

「同意見、大人しくママのところに帰りな」

 

「もぉぉぉっ! 何でなのね!?」

 

 タバサと僕がそう告げるとイルルクゥが癇癪を起こし尋ねる。

 

「だって弱そうだし」

 

「必要ない」

 

「弱そうっていうけど本当は私は──」

 

「はいはい、韻竜っていうんでしょ。そんなの絶滅したからね」

 

 そういって僕がタバサを別の場所へ誘導すると更に喚く。まるで反抗期の子供そのものだ。

 

 ……そう言えば息子達は元気にしているだろうか。ガリアやトリステインの政治は伯父上が一応サポートしてくれるとは思うけど、あの人の能力だとトリステインを乗っ取ることも容易いから変な風に教育されてなきゃいいけど。

 

 問題はアン以外との子──要するに僕の庶子にあたる子供達だ。それらは王位継承権はないに等しい為に王家としての教養を受けることはなく、その母親達の実家で教養を受けている。その為時々僕は口実をつけて偶に会いに行くのが恒例となっている。

 

 

 

「とにかく私の下僕になるのね!」

 

「うるさい」

 

 誰もいなくなったところで僕がボディチェンジの詠唱を唱え、姿を変えていく。するとイルルクゥが怯え、畏怖の目で僕を見る。

 

「はわわわ……」

 

「これでわかって貰えたかな?」

 

 睨みつけるとイルルクゥがアヒル座りになり、へたりこむと共に失禁する。そして何故かタバサが杖で僕を殴る。

 

「勝手に変身しちゃ駄目」

 

「う……わかったよ」

 

 渋々戻り、イルルクゥを見つめると威圧感にやられたのか怯えた栗鼠のような目で僕を見る。

 

「お、お兄様も韻竜だったのね?」

 

「違うよ、僕は純粋な人間。魔法で竜になれる人間だよ」

 

「そういうことにしておくのねお兄様!」

 

 僕に敬意を払い、敬う韻竜。もしも彼女がタバサに召喚されていたならタバサのことをお姉様なんて呼んでいたんだろうか。

 

 

 

 そして人気のないところへ向かい、そこでタバサが口を開いた。

 

「もういく」

 

「了解」

 

「えっ、いくってどこにいくのね?」

 

 イルルクゥが疑問の声を上げると共に僕が竜の姿へと変身するとタバサがそれに騎乗する。

 

「ゴー」

 

「……はっ! 待ってなのね〜!」

 

 タバサの合図と共に僕が飛び出すとイルルクゥがしばらくの間唖然とするがその後元の姿へと変身し、追いかけてくる。

 

「お兄様酷いのね! 言ってくれないとわからないの!」

 

小娘、これから余が向かう先は戦場だ。生温いことを抜かすようなら置いていく

 

 声を渋くし威厳を込めた僕の叱責にイルルクゥが怯み、涙目になりながら喉を鳴らす。

 

「それでもお兄様についていくのね」

 

小娘。それが生温い、と言っている。余について行きたいなどという戯けた理由でついてきていい物ではない。覚悟は出来ていなければならぬ。貴様にその覚悟はあるのか? 

 

「……〜っ! あるのね!」

 

だそうだ。ご主人。これで──あたっ!?」

 

「お兄様に何するのね!」

 

「いつまでもその話し方と声をしないで」

 

 タバサに抗議され渋々声のトーンやらなんやら全て元に戻す。どうしてこうも不評なんだろう? 

 

「タバサ、これでいい?」

 

「ん。良い調子」

 

「さてそろそろ目的地に着くよ。イルルクゥ、君も覚悟を決めた以上人間に化けてね」

 

「はい、なのねお兄様」

 

 

 

 その約10分後、目的地にたどり着くと一触即発の事態へと突入していた。

 

『またか』

 

 うん、まただね。

 

『俺は坊主の記憶しか知らねえけどよ、確か人間の男と翼人の女が互いに惹かれ合っているんだっけか?』

 

 ヨシアとアイーシャだね。見た感じこの世界でもそうみたいだし、前とおんなじようにやれば楽勝だよ。

 

『まあそうなるといいんだが、肝心の竜は誰がやるんだよ? 前はシルフの奴がやったからこの世界のシルフのオツムはあれだぜ?』

 

 ……酷い言いようだね地下水。

 

『そりゃそうだろ。坊主も理不尽ドラゴンなんていうくらいには強かっただろ? それがこんな嬢ちゃんなんだ。言い方がキツくなるのは当たり前だ』

 

 普通は竜と聞くだけで畏怖されるから割りかし問題ないけど、僕の世界の場合シルフの殺気にやられて以降エギンハイムの村人やたら逞しくなったから強ければ強いほどよくなるような気がするんだよね。それを考えるとイルルクゥじゃなく僕がやった方が良さそうかな? 

 

『そもそもこれは坊主の任務じゃねえ。タバサの任務だ。何か行動を起こすにしてもタバサが主体でないと意味がないぜ』

 

 それもそうだね。それじゃ今夜にでもタバサに聞こう。




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