「こうして、人々の平和は英雄の手によって守られたのでした...めでたしめでたし、と」
在り来たりなクライマックスを終え、お話の幕が降りる。周りからは手を叩く音と、わー、なんて言う可愛らしい声が聞こえてくる
ここは人里にある貸本屋さん。今は里の子供たちにお話を読み聞かせてあげていたところ。んー...いっつも反応がかわいいんですよねー
「はい、今日のお話はこれでおしまい。次はまた明日、ね」
名残惜しそうな顔をする子たちもいるものの、しばらくすると子供たちは皆元気よく手を振り、ばいばーい!と声をあげて、それぞれ自分の家族が待つ我が家へと帰っていった。店の中からひらひらと手を振っておく
「お疲れ様です。これ、どうぞ」
「ありがと、小鈴ちゃん...んー」
店の奥から御盆にカップを一つ乗せこちらに来て、労いの言葉を掛けてくれるのはこの貸本屋、鈴奈庵の看板娘...小鈴ちゃんですね。目の前に置かれたカップに感謝の意を述べ、ぐぐーっと伸びをひとつ...ふぃー
「今日も多分ですけど...外界のお話、ですよね...?」
「んー?そうだねぇ...子供たちの食い付きも良くっていっぱい話しちゃったや」
ずずーっと出された珈琲を飲み、他愛ない会話を交わす。子供たちも、何回も聞いたようなお伽噺じゃ飽きちゃうだろうしねー。それに...
「私も!外の世界のお話聞きたいです!」
小鈴ちゃんの食い付きも良いんだよねぇ...
「あ、あのー...」
「んー?どうかしたの?小鈴ちゃん」
今日はいつも子供たちにお伽噺を聞かせに来てくれる、外界に詳しい常連さんに外の世界のお話を、と思ってたんだけど...
「こ、このまま話すんですか...?」
いつの間にやらちょこんと常連さんの膝の上に...あ、あの!もうそんな年齢じゃないんですが!?
「あれ?一日一回、先着一名さま限定の特等席なんだけど...こういうの、イヤ?」
「えっ...いや、そう言う訳じゃ「よーし!じゃ、このまま話しちゃおーっ、と!」えぇーっ!?」
「...とまあ、こんな感じかな...どう?面白かった?」
「ほえー...あ、はい!とっても!」
んー、小鈴ちゃんはいっつも反応が良いからいっぱい出ちゃうなぁ...あ、話題がね、話題話題
それにしても、ちっちゃくて可愛いなぁ...今は所謂、あすなろ抱き?ってやつしてるんだけど...お話に夢中で意にも介さず。堪能してます、少女との密着...すーはー、くんかくんか。こんな可愛い娘がいい匂いじゃない訳無いじゃないか!!いい加減にしろ!!すき!!
「他に何か聞きたいおはなしある?」
「他、ですか?んー...あ!」
お、何かな何かな?おねーさんなんでも話しちゃうぞ?
「常連さんのこと、知りたいです!」
...ん?プロポーズじゃん。ちょっと待ってて、モリチカに指輪作って貰うから...あー、式は洋式かなー、小鈴ちゃんのウェディングドレス姿は見たいし。でも和装も捨てがたいなぁ...二回挙げよっか、式。小鈴ちゃんの為ならおねーさん頑張るよ!!...あ、違う?...しゅん
「私のこと...じゃ、ちょっと待っててね」
「え?あ、はい...っとと」
膝の上から小鈴ちゃんを降ろし、すたすたと連なる本棚の一画へと...確かここら辺りに、と...あったあった。お目当ての本を取り、小鈴ちゃんの元へ戻る
「?...外来本、ですか?」
「そ。それじゃ...」
椅子に座り、膝をぽんぽんと叩く。ちょっと頬を赤らめつつも、観念したようにさっき同様私の膝の上へ...んー...イイね、スゴく
「えっと、どこだったっけ...」
「この本は...え」
ぱらぱらと捲る本の表紙には、世界の拷問器具10選、なんていう物々しいタイトル。外の世界じゃこんなのが売ってるんだねー、物騒やんなー
「お、あったあった」
「...アイアンメイデン...?」
捲る手が止まり、お目当てのページ...そう、私の昔...って、もうちょっと可愛く書いて欲しいなー
「これ、私」
「へ?」
あー、間抜けな声出しちゃってかーわいー...ま、そんな声も出ちゃうよね...
「びっくりした?...付喪神って、分かる?」
「...常連さんは、悪い方...ですか?」
...ちょっと震えてる、仕方ないよね。昔はあんなだったし、怖いよね?...でも
「!...常連、さん...?」
「んーん。私は...人のことが好きな、変わり者だよ...」
ぎゅーっと少し強く、小鈴ちゃんを抱く。人の温もりは、ちゃんとそこにある...
「...なんで、話してくれたんですか?」
「んー?秘密は良くないからね。今度からは、付喪神のおねーさんとして、来ても良い...かな?」
いつの間にか、震えは消えていた...そして
「勿論です、常連さんは...常連さん、ですから」
「!...ありがと」
ほんと、良いお嫁さんになるね...
「小鈴ー、まだ開いてるー?この前借りた本...って、あんた、こんな所にまで...」
「あ、霊夢ちゃん。やっほー」
「れ、霊夢さん!?いや、あのこれは...!」
むー、人と付喪神との新たならぶすとーりーが始まりそうだったのになー...なんてね
「さっさと小鈴のこと放しなさいよ。さもないとこの推理小説の犯人、バラすわよ」
「な!?ダメ!!それはダメだって、霊夢ちゃん!!」
「犯人はー、隣の「わー!!わー!!分かったからー!!」もう...小鈴、これお願いね」
「...ふふっ、はい!」
リクエスト、活動報告にて随時募集中です。えー、咲夜さんと美鈴さんに関しては、どうやって「ぎゅっ」ってするか考えております故に、少々お待ちくださいな。それでは、また