ざわざわと葉の擦れ合う音が山を満たす......ここは妖怪の山、様々な妖怪や神に位置する者たちの棲むところ。そんな山に近づく驚異......それを探し、退けるのが私、哨戒を任されている白狼天狗の仕事
小高い木の枝に腰掛け、幹に背を預ける。後は何か、いつもと変わった事が無いか...その一点に目を凝らす。まぁ、時折暇をもて余した上司がちょっかいを掛けにくる程度で、最近はこの山も平穏無事ですが...
「...ん?」
見通す先に何か、黒が映る。真っ直ぐと山へ歩みを進めるソレを、放っておく訳にはいかない。さて...腹を空かせた妖怪少女なら良いとして...
すっくと立ち上がり木から木へ、枝から枝へと跳び移り能力要らずで姿を確認できる距離まで...って、はぁ...
内心ため息を一つ吐き、枝葉を掻い潜り侵入者の眼前へと降り立つ。残念ながら予想は外れ...
「お、やっほー!椛ちゃん」
「また貴女ですか......」
黒い装束を身に纏い、底抜けに明るい声で私の名を呼ぶ彼女...初めまして、ではない。何度目かの邂逅...侵入者に名前覚えられるってなんなんですか、ホントに
最早顔見知りとは言え、侵入者は侵入者。無断でこの山に足を踏み入れることは断じて許されることではない
「何度も言ってますが、この山には「お手!」
刹那、脳に何かが駆け巡る。この世に生を受ける前から、この身に刻み付けられていたかのような感覚。抗うことの出来ない衝動にも似たそれは、もはや白狼天狗としての本能とも言える...考える前に身体が動く。そして
「わんっ!」
ぽすっ、と二人の掌が重なった......死にたい...うぅ
「んー、いい風だねー...」
「...はい」
頬を撫でる風に自然と言葉が漏れる。お山の中っていうのもあって、なんだか心地良いなぁー...わさわさ
「椛ちゃん、今日もお仕事?」
「そうですね...」
一度口が開くと何気無い会話が後に続いてしまう。お仕事なー...私は毎日がお休みだしねー。偉い偉い...なでなで
「大変だねー...」
「あの...」
「んー...なぁに?」
「そろそろ離して貰っ「だめー」うがぁぁああ!!」
まぁ、そんなこんなで木の根本に腰掛け、椛ちゃんとのんびりしてます。ってあらら、私の腕の中そんなにイヤ?でも残念!まだまだモフり足りないからだめでーす、離しませーん。もふもふもふー!
「こらこら、そんなに暴れないのー。さすさす」
「わふっ!?ちょ、頭撫でないで下さいっ!!うがー!!」
せめてもの抵抗と、腕の中でじたばたする椛ちゃん。むー、強情やんなー。あうんちゃんなんか直ぐにおへそ見せてくれるのに...ま、素直じゃないのも可愛いと思います私。くんかくんかすーはー
「もー...そんなに嫌がられるとお姉さん傷ついちゃうよ?うりうり」
「なっ!?顎は...やめっ......くうぅ...」
んふふー。わんこだもんねー、抗えないねー、可愛いねー......あー、癒される。ホント可愛いわー...む?
「ぴーす!」
「ふえ...?」
ぱしゃ
「あややー、気付いてました?」
「やっほー、文ちゃん。可愛く撮れたー?」
「...はっ、な!?ちょっと!!」
シャッターの音の後、そんな声が木の上から掛かる。んふふー、まだまだだねー、文ちゃん。そんなカメラに気付かない私じゃないよー?バッチリ決めちゃったもんねーっと、あら?
「な、ななな!!なに撮ってるんですかぁっ!?」
「いやー、親愛なる部下がまんざらでも無い様子で可愛がられてる様子が見えたので...つい」
「なんですか!!その取って付けたつい!!」
あー、見えそうで見えない...ん?あ、違うよ?別に位置関係を利用して文ちゃんの文ちゃんを覗こうとかそんな...ねぇ?......ごめんて
「それに何がまんざらでもないですか!!そんなこと...!!」
「それは...まぁ、見たままと言うか...」
「あははー、椛ちゃん」
口論を遮って少し。いやー、私としては嬉しいし、可愛いから良いんだけどねー...流石にそろそろ
「尻尾の元気が良すぎるかなー、って」
「すっかりなついてますねー」
「あっ!?いや、違っ...違う!!これは、その...うっ......うぅ...」
くすぐったいかなー、尻尾。あら、椛ちゃんそんなに顔真っ赤にしてどう...って椛ちゃん?椛ちゃーん!剣は危ないから!死んじゃうからー!?
はい、わんこ。リクエスト、活動報告にて随時募集中です。それでは、また