「ふぅ...さてと」
雑多ながら、気付けば長い間世話になっている掘っ立て小屋から外に出て、一つ息を吐く。聖やご主人には、寺に住まないか?と何度か言われているものの...まぁ、ここに少し愛着が湧いてしまったんだろう
尻尾に同胞の入っている籠を引っ提げ、両の手には鉤形の相棒を携え、今日も今日とて日課である宝探しに興じ...ん?
「あれは...」
ここ、無縁塚では珍しくはない...人影が、少し小高くなった場所の岩の上...そこに腰掛け、決して綺麗とは言えない空を見上げているようだった
放っておけばそこらの知能が無い...獣なんかに近い妖怪の腹に収まるのが関の山。なんというか、私も丸くなってしまったんだろうか...
「もし、そこのお人。ここは少し危ないよ」
「ん...えぇ、存じておりますよ...なんて」
む?...あぁ、そういう訳か...全く、紛らわしいったら無いな
「君か...私の親切心、返してくれないかな?」
「有り難く受け取っときますよ、ナズ」
「また、故郷に想いを馳せに...かい?」
「ま、そうですね...ふふっ」
私の膝の上、見上げるようにそう問うのは今回ここに来た目的の半分...いえ、6割...や7、8...?そのくらい逢いたかったナズ!ちっこいのに大人びてる!かわいい!ちゅー!
まぁ、半分冗談ですが...やー、ホントに久々やんなー。最近はナズ、香林堂に顔出してくれないから会えなくて寂しかったんですからねー。すりすりすりー
「あの店に並んでいた時とは随分変わったね...」
「あはは。可愛くなったでしょう?」
大きな耳を揺らしながら談笑を続ける。あの時はまだ鉄屑みたいなものでしたしねぇ...そりゃ変わりますよーだ。くんかくんかすーはー
「君みたいなお宝を見逃してたなんて...ダウザーとしての腕も錆びてきたかな」
「んー...私がここにいたのは、ホントに少しの間でしたからね」
この場所...私が幻想郷に来た時、その最初の記憶。ここに流れ着いてから一日も経たずに、私は魔理沙ちゃんに拾われて、香林堂に並べられた
訪れる人は、魔理沙ちゃんに霊夢ちゃん...そしてナズの三人が多かったかな?その三人は、私からすれば家族に近い...そんな感覚だった。ん?モリチカ?......忘れてた訳じゃないからね?
魔理沙ちゃんは特に多かったかなー...あ、魔理沙ちゃんがその時乙女の顔してたのは内緒ね?約束だからね?
「...ナズ」
「...ん?」
時々...突然、不意に、どうしようもなく寂しさに押し潰されそうになった時...私は、私の始まりに近い、ここに来る
「また、来ても良いですか?」
「...好きな時に来ると良いさ」
少し強く、ナズを抱き締めた
こんな感じですかね、ちょっと暗め...かも。まだまだ、活動報告にてリクエスト随時募集中ですのでお気軽にどうぞ。それでは、また