明久の姉や昨日の話を聞いていると半ば愚痴を聞かされている形になって来た。
明久「最悪だよ。僕のトップシークレットが白日の下にさらされ
今朝は起きたら姉さんが僕の顔にいたずらをしようとしていたし、
姉萌え本の聖典がないからって減点されるし。」
康介「減点?」
明久「中間テストと今度の期末テストとの差をそのまま評価にすんだってさ。
何かあるたびに減点されて、二日で290点だよ。」
康介「なにかと大変そうだな。」
明久「そうだじゃないよ。」
康介「まあ、290点ぐらいなら何とかなるんじゃねえの?」
明久「そんなあ、調子がいい時だって1000点に満たないのに・・・。
大体、康介は取れるの?」
秀吉「お主と康介では点数が違うじゃろうが。」
となりから秀吉の声が聞こえた。
明久「秀吉、おはよう。」
秀吉「おはようじゃ、明久、康介。」
康介「ああ、おはよう。」
なに、秀吉はついに気配まで消せるようになったの?
演技もできるし、声帯模写だって、まるで怪盗・・・怪盗秀吉・・・
ムッツリーニに企画提案すれば企画料が入るかもしれない。
秀吉「めずらしいの。お主が一人とは。」
康介「なにかと皆用事でな。」
秀吉「そうじゃったか。」
明久「そんなことより秀吉!僕と康介が点数が違うってどういう事?」
秀吉「どういう事もないじゃろ。」
明久「違うんだ。
アレはストライカー・シグマV、プロブレムブレイカー、シャイニングアンサー
の調子が悪かっただけで・・・。」
康介「お前は人生をサイコロに左右されて生きてきたのか・・・。」
秀吉「哀れじゃな。」
明久「二人して可哀想な生き物を見る目で僕を見ないで!
それとサイコロじゃなくて鉛筆だから!」
秀吉「変わらんと思うのじゃが・・・。」
なんだろうな、こんな会話が癒される俺って・・・。
そんな話をしてると校門が見えてきた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第10問:英語
問 下線部の英単語の正しいアクセントを答えなさい。
『 It`s your imagination. 』
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
《解答》
水谷みゆきの答え
,
『It`s your imagination.』
教師のコメント
正解です。
一般的に【~tion】という単語は【tion】の前に母音に
アクセントがつきます。覚えておくと良いでしょう。
土屋康太の答え
, , ,,, ,, ,, , ,
『It`s your imagination.』
教師のコメント
数を打てば当たるというものでもありません。
吉井明久の答え
『It`s your imagination!』
教師のコメント
たまに君は天才なんじゃないかと錯覚することがあります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
放課後、帰りの支度をしていると
明久「今日も楽しく勉強会しよう雄二!」
そんな声が後ろの方から聞こえた。
F「おい・・・聞いたか・・・?」
F「確かに聞いたぜ。まさか、アイツらが・・・。」
F「ああ。まさかあの吉井と坂本が・・・」
F「「勉強会をするなんて・・・。」」
やぱっり、明久には似合わない言葉だよね。
雄二「明久、気持ち悪い。」
明久「何とでも言ってよ。今の僕に体裁を気にしている余裕はないんだから。」
さっさと帰り支度をすすめる。
みゆき「朝いうの忘れててゴメン。今日、ともか遅くなるって。」
手をわせて謝るみゆきをよそに?マークが浮かんだ。
康介「生野が?何でまた?」
みゆき「部活で勉強会するんだって8時まで。」
康介「部活で勉強会か。わかった。」
鍋にしてなくて良かったと安堵した。
ま、もともと今日は職員会議で先生は遅くなるって言っていたから
そのつもりはなかったけど。
―――――――――――――――――――――――――――――――
☆明久SiDE
明久「今日は雄二の家でしようよ。
たまには僕の家以外にも行ってみたいし、
何より僕の冷には参考書とかあまりないし。」
雄二は自分の興味のないことには驚くほど冷たい。
だから、
明久「昨日は僕の家に無理を押して来たんだから、いいよね雄二?」
否が応でも引き込んでおく。
雄二は少し何かを考えて、
雄二「そうだな。昨日は無理やり押し入ったようなもんだからな。
今日は幸いおふくろも温泉旅行で不在だしな。」
う~ん、雄二の母親が不在なのがどうして幸いなのかはわからないけど、
思ったよりすんなりとオーケーが出た。
秀吉「それならば、ワシもいいかの?一人ではあまり勉強する気がおきんのじゃ。」
雄二「ああ、無論だ。どうせいつものメンツが来るんだろ?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
○康介SIDE
雄二「おい、康介、水谷、エイミー、お前らもどうだ?
俺んちで勉強会をするんだが。」
帰りの支度をしていたら雄二からそんな声が聞こえてきた。
康介「どうする?」
みゆき「いいの?」
康介「まあ、晩飯はほとんどできているようなもんだからな。」
エイミー「行くンデスか?」
康介「ああ。行こうか。」
雄二「わかった。それじゃあ、さっさとやろうぜ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
文月学園から歩いて15分、住宅街の一角にある雄二の家に着いた。
中々、立派な家だ。
雄二「んじゃ、入ってくれ。」
「「「「お邪魔します。」」」」
久しぶりに雄二の家に足を踏み入れる。
明久「ねえ、雄二以外には誰もいないの?」
雄二「ああ、親父は仕事でおふくろは高校の同級生と温泉旅行らしい。
だから何も気兼ねせずにゆっくりとしていてくれ。」
康介「そういえば、前に来た時も誰も否かかったな。」
雄二「ああ、その方が都合がいいからな。」
そう言いながら雄二がリビングのドアを開ける。
すると、
女の人「………………(ぷちぷちぷちぷち)」
一心不乱に梱包材(ウチプチ)を潰している女の人の姿があった。
雄二「・・・。」
――パタン。
静かにドアが閉められた。
明久「ゆ、雄二・・・?
今の、山ほどあるプチプチを潰していた人って――」
雄二「・・・赤の他人だ。」
明久の言葉を雄二が塗りつぶすような大声で言った。
みゆき「さ、坂本の母親なの・・・?」
美波「なんだか、随分とすごい量を潰していたわね・・・。」
秀吉「う、うむ。
あれほどの量、費やした時間はおそらく一時間や二時間ではないじゃろう。」
ムッツリーニ「…………凄い集中力。」
康介「大したもんだ。」
ある意でだが。
瑞希「坂本君のお母さんはそういうお仕事をされているんでしょうか?」
エイミー「日本ニハ変わった仕事がアルンですネ。」
そんな仕事は無いと思う。
商品の品質確認でも少なくともあれほどの量を確認することは無いだろう。
雄二「恐らく精神に疾患のある患者が何らかの手段でこの家に侵入したに違いない。
なにせ、俺のおふくろは温泉旅行に行ってるはずなんだからな。」
ほう、コイツはおもしろい。
あの悪徳詐欺師がここまで苦しい嘘を吐くなんて。
女の人「あら・・・?
もうこんな時間。
さっき雄二を送り出したと思ったのに。」
康介「八時間近くあの作業を続けていたのか・・・。」
美波「すごいわね・・・。」
秀吉「う、うむ。」
言葉が出ない。
女の人「続きはお昼を食べてからにしましょう。」
しかもまだするらしい。
バンッ!
雄二「おふくろっ! 何やってんだ!?」
聞くに堪えられなくなった雄二が踏み込んだ。
ああ、あれが雄二の母親、雪乃さんか。
・・・。個性的な方だ。
雪乃「あら雄二。お帰りなさい。」
雄二「おかえりじゃねえっ!何で家にいるんだ!?
今日は泊で温泉旅行じゃなかったのかよ!?」
雪乃「それがね、お母さん日付を間違えちゃったみたいなの。
7月と10月ってパッと見ると数字が似ているから困るわね。」
雄二「どこが似てるんだ!?
数字の形どころか文字数すら合ってないだろう。」
雪乃「こら雄二。
またお母さんを天然ボケの女子大生扱いしてっ!」
随分と個性的な方みたいだ。
雄二「サラッと図々しい台詞を抜かすな!
あんたの黄金期は十年以上前に終わっているはずだ!」
雪乃「あら、雄二のお友達かしら?」
雄二「話を聞けぇっ!」
空しく雄二の声が響いた。
雪乃「皆さんいらっしゃい。
うちの雄二がいつもお世話になっております。
私はこの子の母親の雪乃と申します。」
柔らかな微笑みで俺らにあいさつする。
雄二とは全く違う人だ。
それにしても
美波「さ、坂本の母親って・・・若すぎない!?」
秀吉「むぅ・・・。とても子を産んでおるとは思えん・・・。」
ムッツリーニ「……美人。」
みゆき「年の離れたお姉さんみたいね。」
雪乃「あらあら、ありがとう。」
上品に笑う雄二の母親。
雄二「み、皆、とりあえずおふくろは見なかったことにして、俺の部屋に来てくれ・・・。」
ハッと我に還り、頭を下げて上にある雄二の部屋に向かう。
雪乃「皆さん、後でお茶を持っていきますね。」
階段を上っている途中でそんな声が聞こえてきた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
雄二「ここが俺の部屋だ。」
雄二に案内されてはいった部屋は
予想通りというか思った通り綺麗に片付けられていた。
明久「そういや久しぶりに雄二の部屋に来たよ。」
秀吉「ワシもじゃな。」
ムッツリーニ「……同じく。」
康介「結構広いな。」
明久「康介は初めてだったけ?」
康介「そうだな。」
へえ、金魚を飼ってるのか・・・。
それにしても、雄二が金魚に餌をね・・・らしくないな。
美波「え? アンタ達よく来てるんじゃないの?」
明久「大抵は僕の家に集まってるからね。」
雄二「場所といい、広さといい、明久の家は丁度いいからな。」
瑞希「家庭用マンションで一人暮らしですよね。贅沢です。」
明久「食生活を覗けばね。」
みゆき「人の家にご飯たかりに来る始末よね。」
エイミー「盗人猛々シイデスか?」
康介「それは全然意味がちう。」
しかし、こうしてみんなが集まってみると・・・結構狭いな。
雄二「・・・マズったな。俺の部屋は狭すぎるか・・・。」
本来一人用の部屋に九人でいるのだから仕方がない。
エイミー「さッキの部屋ジャダメデスか?」
雄二「ダメじゃないが、おふくろがいるからな。
勉強にならない可能性が高い。」
瑞希「ダメですよ坂本君。お母さんを邪魔者扱いしてっ。」
雄二「そうは言うがな姫路、お前はあのおふくろと一緒に
くらしていないからそんな事が言えるんだ。」
皐月壮でしたらどうかと言い出そうとしたところで、
Prr,Prr
部屋に携帯の呼び出し音が響いた。
美波「あ、ウチの携帯ね。ちょっとゴメン。」
鞄から携帯を取り出す島田、
美波「もしもし? あ、Mut――お母さん。
どうしたの?・・・うん。・・・うん。そう。わかったわ。」
一分もかからないうちに終わった。
明久「美波、何かあったの?」
美波「うん……。
急な仕事が入って母親が家にいられなくなっちゃったみたい。」
明久「あ、そうなの?
それじゃあ葉月ちゃんは今家に一人ってこと?」
美波「そうね。だから悪いけどウチは帰るわ。
勉強はまた今度ね。」
そう言って島田は鞄を持とうとする。
雄二「待て島田。それなら、会場をお前の家に変更しないか?」
美波「え? ウチの家?」
秀吉「それは良いのう。島田の妹とは全員顔見知りじゃ。」
みゆき「そうね。一人じゃ寂しいだろうし。」
康介「ちょうど雄二の部屋は手狭だったしな。」
瑞希「葉月ちゃんとも会えますしね。」
ムッツリーニ「……なんなら夕飯を作る。」
エイミー「手伝いマス。」
皆乗り気だ。
明久「美波さえよかったら、どうかな?」
美波「う・・・。」
康介「都合が悪いなら葉月ちゃんを連れて皐月壮でやるか?」
美波「・・・いや、大丈夫よ。ありがとう。
ウチの家出しましょうか・・・。」
そうか、帰る途中で葉月ちゃんが寝ちゃったら大変だからな。
雄二「よしっ!そうと決まれば早速移動だ!
チビッ子も一人じゃ寂しいだろうからな。」
雄二はそう言って皆に部屋から出ていくように促した。
階段を下りて玄関に向かっていると、
台所から雪乃さんの声が聞こえてきた。
雪乃「あら、もう行っちゃうの?
お茶用意しているところだったのに。」
へえ、麺つゆのビンを再利用しているのか。
感心するなあ。
雄二「悪い、事情が変わった。
夕飯は昨日の残りがあるからそれを温めて食べてくれ。
・・・おふくろ、それは麦茶じゃない。めんつゆだ。」
・・・はい?
雪乃「ええっとあなたが音羽君かしら?」
雄二「話を聞け!」
康介「あ、はい。音羽康介です。」
そう言って頭を下げる。
一方、雪乃さんはうれしそうに目を細めた。
雪乃「この前はうちの雄二がお世話になりました。」
康介「あ、いえ。こちらそ。」
雪乃「雄二から聞きました。こちらは皐月壮のみなさんで召し上がってください。」
・・・石鹸?
雄二「おい待て、それは石鹸だ!」
雪乃「あらあら、いやだわ。御饅頭と間違えちゃって・・・。」
・・・大丈夫かこの人。
雄二「色やにおいで気づいてくれとは言わないから
せめて包装で気づいてくれ・・・。」
学校に居る時より雄二が疲れて見えた。