バカな親友らとテストと召喚獣   作:音羽2600

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第2章 清涼祭篇
第1話清涼祭アンケート:清涼祭準備


雄二SIDE

 

翔子「……雄二」

 

雄二「なんだ?」

 

翔子「……『如月グランドパーク』って知ってる?」

 

雄二「ああ。今話題の大型テーマパークだろ? もうすぐ改装が終わってプレオープンって話の」

 

翔子「……とても怖いお化け屋敷があるらしい。」

 

雄二「廃病院を改装したって言うあれか。」

 

翔子「……日本一の観覧車とか」

 

雄二「おお、相当デカいみたいだな。聞いた話だけでも凄そうだ。」

 

翔子「……世界で三番目に速いジェットコースターも」

 

雄二「早い上に色々な方向を向いたり、ぐるぐる回ったりするってヤツか。どんなモンなのかわからんが、考えるだけでワクワクしてくるな。」

 

翔子「……他にも面白いものが沢山ある。」

 

雄二「それは凄いな。きっと楽しいぞ。」

 

翔子「……それで、今度そこがオープンしたら、私と」

 

雄二「ああ、おまえの言いたいことはわかった。そこまで行きたいのなら――」

 

翔子「……うん」

 

雄二「今度友だちと言って来いよ。」

 

翔子「……握力には自信がある。」

 

そう言って翔子はおれの顔に手を伸ばし、

 

雄二「ぐああぁっ!アイアンクローはよせっ!」

 

翔子「……私と雄二、二人で一緒に行く。」

 

雄二「オープン直後は混み合っているから嫌ぐぎゃぁっ!」

 

更に強く握られる。

 

翔子「……それなら、プレオープンのチケットがあったら行ってくれる?」

 

雄二「プ、プレオープンチケット?ケホッ、あれは相当入手が困難らしいぞ?」

 

翔子「……行ってくれる?」

 

雄二「んー、そうだなー、手に入ったらなー」

 

翔子「……本当?」

 

雄二「あーあー。本当本当。」

 

翔子「……それなら、約束。もし破ったら―――」

 

雄二「大丈夫だっての。この俺が約束を破るようなヤツに見えるか?」

 

心外な。明久じゃあるまいし・・・

 

翔子「―――この婚姻届けに判を押してもらう。」

 

雄二「命に代えても約束を守ろう。」

 

何てことを約束してしまったんだ。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

第1問:清涼祭アンケート

 

 問 学園祭の出し物を決める為のアンケートにご協力ください。

 

  『あなたが今欲しい物はなんですか?』

 

《解答》

 姫路瑞希の答え

  『クラスメイトとの思い出』

 

  教師のコメント

   なるほど。お客さんの思い出になるような、そういった出し物も良いかもしれませんね。

   写真館とかも候補になりうると覚えておきます。

 

 

 土屋康太の答え

  『――Hな本――(←取り消し線のつもり)成人向けの写真集』

 

  教師のコメント

   取り消し線の意味があるのでしょうか。

 

 

 吉井明久の答え

  『カロリー』

 

  教師のコメント

   この回答に君の生命の危機が感じられます。

 

 

 三浦悠斗の答え

  『トマトから皮を消す道具』

 

  教師のコメント

   トマトの皮にはペクチンというアレルギーに対抗する成分が多く含まれています。

   また、トマトに限らず野菜の多くは実と皮の間にもっとも栄養が含まれているので、

   捨てるのは大変もったいないですよ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

文月学園は、新学期最初の行事『清涼祭』の準備を始めつつあった。

 

なので色々な出し物の準備をすすめているクラスや部活がほとんどである。

 

お化け屋敷に改装するクラス、焼きそばの為に調理器具を手配する部活

 

学園祭の準備にどこも活気にあふれている。

 

―――そんななか我クラスは──

 

須川「吉井!こいっ!」

 

明久「勝負だ、須川君!」

 

Fクラスメンバーは準備もせずに野球をしていた。

 

俺は外野だ。

 

西村「貴様ら、何をさぼっとるかああああ」

 

鉄人こと西村先生が怒髪天をつく勢いで怒声を上げ走ってこっちにやって来る。

 

康介「やばっ、逃げよう。」

 

F「「「おお」」」

 

明久と雄二をフレアにして全速離脱。後は頼んだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

しばらくすると、鉄人が皆を連れて戻ってきた

 

鉄人「学園祭の出し物が決まってないのはFクラスだけだぞ!」

 

雄二「さて、そろそろ春の学園祭『清涼祭』の出し物を決めなくちゃいけない時期が来たんだが、

   とりあえず、議事進行並びに実行委員として誰かを任命する。

   そいつに全権を委ねるので、後は任せた。」

 

どうでも良さそうな態度を取る雄二。

 

どうも興味のない事には全くやる気がゼロで清涼祭にも興味がないようだ。

 

瑞希「吉井君。坂本君って文化祭は好きじゃないんですか。」

 

明久「そうだね。好きじゃないじゃなくて、興味がないんじゃない。」

 

みゆき「確かに、試召戦争の時とは打って変わって全然やる気ないわね。」

 

瑞希「そうなんですか…。寂しいです…」

 

姫路さんは元気なさそうに言った。

 

瑞希「よ、吉井君はどうなんですか。」

 

明久「えっ?」

 

瑞希「吉井君も興味ないんですか?」

 

明久を射抜くようないつもにない鋭いまなざしを向ける姫路

 

明久「そ、そうだね。別に何かをやりたいってわけでもないし。」

 

姫路は小声で

 

「私は…明久君と…思い出を…」

 

明久「えっ、なに?」

 

瑞希「何でもない、ケホケホッ」

 

明久「大丈夫?」

 

みゆき「どうしたの瑞希?」

 

美波「具合でも悪いの?」

 

瑞希「は、はい。すみません……。」

 

姫路の目は若干潤んでいる。

 

腐った畳から更に設備のランクを下げられた今、この教室には痛んだこざとみかん箱しかない。

 

この不衛生な設備では誰が体調を崩しても何の不思議も無い。

 

明久「そのうち、なんとかしないとなぁ……」

 

みゆき「でも、死傷戦争は後2ヶ月できないわよ。」

 

康介「そうだなあ・・・」

 

雄二「んじゃ、学園祭実行委員は島田ということでいいか?」

 

不意に雄二の言葉が耳に飛び込んできた。

 

美波「え?ウチがやるの?うーん…、ウチは召喚大会に出るから、ちょっと困るかな。」

 

雄二に推薦された島田はあまり乗り気じゃないようだった。

 

明久「雄二。実行委員なら、美波より姫路さんの方が適任じゃないの?」

 

瑞希「え?私ですか?」

 

明久が姫路を推薦する。

 

雄二「姫路には無理だな。多分全員の意見を丁寧に聞いてるうちにタイムアップになる」

 

眠たげに明久に言う。

 

確かに、姫路が実行委員になった場合、清涼祭に間に合わなくなるだろうな。

 

美波「それにね、アキ。瑞希も召喚大会に出るのよ」

 

明久「え?そうなの?」

 

瑞希「はい。美波ちゃんと組んで出場するんですよ」

 

みゆき「えっ、瑞希と美波も出るの?」

 

パンダになるようなもんだ。ん?みゆきは出るのか?

 

美波「ウチは瑞希に誘われてなんだけどね。

   瑞希ってばお父さんを見返したいって言ってきかないんだから。」

 

康介「お父さんを見返す?」

 

美波「うん。家で色々言われたんだって。

   『Fクラスの事をバカにされたんです!許せません!』って怒ってるの。」

 

まあ、はたから見たらF=バカなんだけれども、

 

みゆき「瑞希が怒るなんて珍しいね。」

 

普段はポヤ~ンといや、おっとりとしていているからな。

 

康介「それだけFクラスに対する思い入れが強いんだろう。」

 

怒った姫路を見てみたくはあるが、

 

瑞希「だって、皆の事を何も分かってないくせに、

   Fクラスって言う理由だけでバカにするんですよ?許せませんっ。」

 

まあ、実態を知ったところで同じこと言われるにみまってるがな。

 

美波「だから、Fクラスのウチと組んで、

   召喚大会で優勝してお父さんの鼻をあかそうってワケ」

 

明久「そうかあ。あの姫路さんが」

 

意外そうに言う明久。

 

雄二「四人とも。こっちの話を続けていいか?」

 

明久「ごめん雄二。」

 

美波「だからウチは召喚大会に出るって言ってるのに」

 

雄二「なら、サポートとして副実行委員を選出しよう。それなら良いだろ?」

 

チラッと雄二が明久の方を見た。

 

美波「ん~そうね、その副実行委員次第でやってもいいけど・・・」

 

島田の視線は一瞬明久にいった。

 

雄二「そうか。では、まず皆に副実行委員の候補を挙げてもらう。

   その中から島田が選んで決定投票をしたらいいだろう。」

 

皆もいいな、と雄二がクラスメイト達に告げる。

 

すると、教室内からちらほらと推薦の声が聞こえてきた。

 

F「吉井が適任だと思う。」

 

F「やはり坂本がやるべきじゃないか?」

 

F「水谷さんならやってくれそうだよな。」

 

F「ここは須川にやってもらった方が」

 

F「姫路さんと結婚したい。」

 

F「隊長なら任せられる。」

 

クラス内から何人かの適任者の名前が挙がる。

 

秀吉「ワシは明久が適任じゃと思うがの」

 

明久「って、秀吉。僕もそう言う面倒な役は、できればパスしたいな~なんて」

 

康介「それは俺も含めて他の皆も同じだ。」

 

明久「むぅ……それはそうだけど……」

 

俺と秀吉の言うことが正論なので反論できない明久。

 

雄二「よし島田。今挙がった連中から選んでくれ。」

 

美波「そうね~。それじゃ……」

 

島田はボロボロの黒板に決選投票候補者の名前を書き連ねた。

 

『候補①……吉井』

         

予想通り明久の名前が出る。

 

『候補②……明久』

 

なんと候補①と候補②が同一人物だった。

 

雄二「さて、この二人の中からどちらが良いか、選んでくれ。」

 

何も突っ込まない雄二。どうやらさっさと島田と明久に押し付けて終わらせたいらしい。

 

明久「ねぇ雄二。明らかに美波の候補の挙げ方はおかしいと思わない?」

 

F「どうする?どっちが良いと思う?」

 

F「そうだなぁ……どちらもクズには変わりないんだが……」

 

明久「こらぁ!真面目に悩んでるフリするんじゃない!

   あと、平然とクラスメイトをクズ呼ばわりなんて、君らは人間のクズだ!

   このクラスのモラルはどうなってるんだ!」

 

康介「このクラスのモラルを求めるなんて、無い物ねだりしたってしょうがないだろ。」

 

明久「無い物ねだりって、普通はあって当然の物なんだけど」

 

康介「じゃあ、明久、おまえにはあるのか。」

 

明久「いくら僕でもあるに決まってるよ。」

 

みゆき「じゃあ、モラルってなあに?」

 

みゆきが明久に聞く。みゆき自身は意味をしっているだろうに

 

明久は・・・・・な顔をして

 

明久「そ、そんなのわかるるにきままってるじゃないさ。」

 

?語尾が・・・

 

雄二「行ってみろ明久」

 

明久「ぼ、僕みたいな人の事さ。」

 

秀吉「これは大きく出たのう。」

 

康介「開いた口が塞がらない。」

 

ムッツリーニ「・・・・・・驚愕」

 

明久「えっ、どうして?」

 

美波「ほらほら、アキってば。そんな事より、

   ウチとアンタでやることに決まったんだから、前に出て議事をやらないと」

 

明久「なんだか僕はいつもこんな貧乏くじを引かされている気がするよ……」

 

何だかんだで受け入れる明久

 

島田に促され、明久は渋々と席を立って前に出た。

 

雄二「んじゃ、あとは任せたぞ。ふぁ~……」

 

入れ替わり席に戻る雄二。席に戻った途端熟睡しそうな感じだ。

 

美波「ウチは議事をやるから、アキは板書をお願いね。」

 

明久「ん、了解」

 

美波「それじゃ、ちゃっちゃと決めるわよ。

   クラスの出し物でやりたいものがあれば挙手してもらえる?」

 

島田が告げると何人かが手を挙げる。少しはやる気のある奴もいうようだ。

 

美波「はい、土屋」

 

ムッツリーニ「……(スクッ)」

 

名前を呼ばれて立ち上がったのはムッツリーニ。

 

ムッツリーニ「………写真館」

 

美波「……土屋の言う写真館て、かなり危険な予感がするんだけど」

 

思い切り嫌そうな顔をする島田

 

女子からすればムッツリーニの撮る写真は嫌だろうが、男子からすると宝の山。

 

ムッツリーニ「神秘の世界を覗き見る貴重な写真を部屋に飾る。」

 

美波「アキ、一応候補だから黒板に書いてもらえる?」

 

明久「あいよー」

 

適当な返事をする明久。

 

【候補① 写真館『秘密の覗き部屋』】

 

どんな写真館だよ。

 

美波「次。はい、横溝」

 

横溝「メイド喫茶と言いたいけど、流石に使い古されていると思うので、

 ここは斬新にウェディング喫茶を提案します。」

 

美波「ウェディング喫茶?それってどういうの?」

 

横溝「別に普通の喫茶店だけど、ウェイトレスがウェディングドレスを着てるんだ。」

 

ようするに着ている衣装が違うという事か、でも金がかかりそうだな。

 

F「斬新ではあるな。」

 

F「憧れる女子も多そうだ。」

 

F「でも、ウェディングドレスって動きにくくないか?」

 

F「調達するのも大変そうだぞ?」

 

F「それに、男は嫌がらないか?人生の墓場、とか言うぐらいだしな。」

 

そんな意見に、クラスの中が少しざわめく。

 

美波「ほら、アキ。今の意見も黒板に書いて」

 

明久「あ、うん」

 

島田に促されて、明久が黒板に横溝の提案を書く。

【候補② ウェディング喫茶『人生の墓場』】

 

《ウェディング喫茶》だけでいいだろう。

 

美波「さて、他に意見は、はい、須川」

 

須川「俺は中華喫茶を提案する。」

 

そう言いながら須川が立ち上がる。

 

美波「中華喫茶?チャイナドレスでも着せようって言うの?」

 

須川「いや、違う。俺の提案する中華喫茶は本格的なウーロン茶と簡単な飲茶を出す店だ。

   そうやってイロモノ的な格好をして稼ごうってワケじゃない。

   そもそも、食の起源は中国にあるという言葉があることからもわかるように、

   こと『食べる』という文化に対しては中国ほど奥の深いジャンルはない。

   近年、ヨーロピアン文化による中華料理の淘汰が世間では見られるが、

   本来食というのは……」

 

須川は中華料理に何か強いこだわりがあるのか、熱弁を振るう。

 

美波「アキ、それじゃ、須川の意見も黒板に書いてくれる?」

 

明久「あ、うん。」

 

明久は困ったような表情をしながら手を止めている。

 

おそらく須川の言った事が殆どわからいんだろう。

 

美波「どうしたの?早く書いてよ。」

 

明久「りょ、了解。」

 

島田に催促されて書き始める。

 

【候補③中華喫茶『ヨーロピアン』】

 

中華喫茶だけいいだろうに。

 

そこへ、教室の扉が開き、鉄人が入ってくる。

 

はたしてこれを見た鉄人がどういう反応をするんだろうか。

 

鉄人「おまえら、清涼祭の出し物は決まったか?」

 

明久「今のところ、候補は黒板に書いてある三つです。」

 

鉄人は黒板を見る。

 

【候補① 写真館『秘密の覗き部屋』】

【候補②ウェディング喫茶『人生の墓場』】

【候補③中華喫茶『ヨーロピアン』】

 

鉄人「……補習の時間を増やしたほうが良いかもしれんな。」

 

わかる気がする。

 

F「せ、先生!それは違うんです!」

 

F「そうです!それは吉井が勝手に書いたんです!」

 

F「僕らがバカなわけじゃありません!」

 

補修の時間を増やされまいと弁明しようとする。

 

F「馬鹿者!みっともない言い訳をするな!」

 

鉄人の一喝で、背筋が伸びる一同。

 

やはり、仮にもクラスメイトを売ってその場を逃れようとするのが……

 

鉄人「先生はバカな吉井を選んだ事自体が頭の悪い行動だと言っているんだ!」

 

見当違いだった。

 

鉄人は呆れながら

 「全くお前達は……少しは真面目にやったらどうだ稼ぎを出して

  クラスの設備を向上させようとか、そう言ういった気持ちすらないのか?」

 

それを聞いて、クラスの連中の目が急に動き出した。

 

F「そうか、その手があったか!」

 

F「なにも試召戦争だけが設備向上のチャンスじゃないよな!」

 

F「いい加減この設備にも我慢の限界だ!」

 

一気に活気づく教室内。元々設備に不満を感じて試召戦争を始めたのだから。

 

当時より更に低い設備では我慢なんてできない。

 

瑞希「み、皆さんっ!頑張りましょう!」

 

姫路は立ち上がって胸の前で手を握りやる気を見せている。

 

少し驚いた。まさか、姫路がこんな風に率先するとは思わなかった。

 

お父さんを見返したいって言ってけど…クラスの出し物とあまり関係がないような気がする。

 

F「出し物はどうする?利潤の多い喫茶店が良いんじゃないか?」

 

F「いや、初期投資の少ない写真館の方が」

 

F「けど、それだと運営委員会の見回りで営業停止処分を受ける可能性もあるぞ。」

 

教室に活気があふれ色々な意見が飛び交う。

 

F「中華喫茶ならはずれはないだろう。」

 

F「それだと目新ししに欠けるな。汚いせいであまり人が来ない旧校舎だと、その特徴のなさは致命傷じゃないか?」

 

F「ウェディング喫茶はどうだ?」

 

F「初期投資が高すぎる。たった二日の清涼祭じゃ儲けは出ないんじゃないか。」

 

F「リスクが高いからこそリターンも大きいはずだ。」

 

喧々囂々。皆がやる気になったものの、これじゃあ意見がまとまりそうにない。

 

美波「はいはい!ちょっと静かにして!」

 

島田が手を叩いて注意するものの効果はなく、それぞれが言いたい砲台次から次へと意見が出し始めた。

 

F「お化け屋敷なんかの方が受けると思う。」

 

F「簡単なカジノを作ろう。」

 

F「焼きとうもろこしを作ろう。」

 

どんどん意見がバラバラになっていく。雄二はこんな連中を率いていたのか。

 

島田が声を張り上げて

 

美波「もうっ。とにかく静かにして!決まりそうにないから、店はさっきの挙がった候補から選ぶからね!」

 

業を煮やした島田が無理矢理話をまとめた。これは姫路にはできないなあ。

 

美波「ほらっ!ブーブー言わないの!この三つの中から一つだけ選んで手を挙げる事いいわね!」

 

反論を眼力で押さえ、決を採りにかかる島田。

 

雄二は適当に島田に決めたものだと思っていたが。

 

美波「それじゃ、写真館に賛成の人!――――はい、次はウェディング喫茶!――――最後、中華喫茶!」

 

教室に島田の声が響くが、それでも喧騒は収まらない。騒がしい中、島田が挙げられた手の本数をカウントし始めた。

 

島田が幼稚園の先生に思えてきた。・・・・

 

結果、僅差で中華喫茶が勝利となった。

 

美波「Fクラスの出し物は中華喫茶にします!全員、協力するように!」

 

須川「それなら、お茶と飲茶は俺が引き受けるよ。」

 

と、須川が立ち上がる。

 

「………(スクッ)」

 

そしてムッツリーニも立ち上がる。

 

明久「ムッツリーニ、料理なんてできるの?」

 

ムッツリーニ「……紳士の嗜み」

 

中華料理が紳士の嗜み?よくわからないが、ムッツリーニのことだ。できると言うなら完璧なんだろう。

 

美波「それじゃあ、厨房班とホール班に分かれてねもらうからね。

   厨房班は須川と土屋のところ、ホール班はアキのところに集まって!」

 

何故か明久をホール班のトップにする島田。

 

瑞希「それじゃ、私は厨房班に……」

 

明久「ダメだ姫路さん!キミはホール班じゃないと!」

 

平然と厨房班に入ろうとした姫路を明久が止める、間一髪だ。

 

瑞希「え?吉井君、どうして私はホール班じゃないとダメなんですか?」

 

自覚のない必殺料理人が首を傾げる。

 

明久「あ、えーと、ほら、姫路さんは可愛いから、ホールでお客さんに接したほうがお店として利益が痛あっ!

   み、美波!僕の背中はサンドバックじゃないよ!?」

 

相変わらずの明久

 

瑞希「か、可愛いだなんて……吉井君がそう言うなら、ホールでも頑張りますねっ♪」

 

頼むから、一生のお願い、ホールだけで頑張って。

 

美波「アキ。ウチは厨房にしようかな~?」

 

明久「うん。適任だと思う。みぎゃあぁっ!み、美波様!折れます!腰骨が!命に関わる大事な骨が!」

 

美波「ウチもホールにするわ。」

 

明久「そ、そうですね……それが、いいと、思います……」

 

康介「というか明久、おまえ料理できるじゃん。後、」

 

爆睡している坂本に視線をやり、

 

「坂本も」

 

美波・瑞希「「えっアキ(吉井君)、料理できるの(ですか)」」

 

まあ、塩と水だけで生活している奴が料理できるとは思わないよなあ。そして、うまい。

 

みゆき「確かに、吉井と坂本はこ、(コッホン)音羽と一緒に料理してたし、・・・おいしいのよね。ものすごく。」

 

今、康介って言いかけたな。女子に名前で呼ばれる。・・・そんな事Fクラスが許すわけない。

 

美波「そ、そうなんだ。」

 

島田と姫路はしばらく呆けて

 

みゆき「美波?」

 

美波「じゃ、じゃあ、アキと坂本は厨房で、ホール班はウチに集まって」

 

 

 

こうして、学園祭への準備が進み始めた。

 

 

 

 

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