問 以下の意味を持つことわざを答えなさい
(1)ぼんやりとしている人。また、役に立たない人ことの喩え。
(2)弱点につけ込まれて利用されやすいことの喩え。
《解答》
水谷みゆきの答え
(1)昼行燈
(2)秋の鹿は笛に寄る
教師のコメント
正解です。さすがですね。
坂本雄二の答え
(1)バカ=吉井明久
(2)バカ=吉井明久
教師のコメント
なるほど、確かに言いたいことはわかりますがそれは答えじゃないです。
☆明久SIDE
『いたぞ!吉井だ!空き教室に向かったぞ!』
『了解だ!見逃さないように追ってくれ!こっちは全部隊に連絡を取る!』
『オーケー!B部隊は正面からC部隊は逆側から回って挟み撃ちにするんだ!』
『応っ!』
廊下を走っていると背中越しにそんな会話が聞こえてくる。まさかこんな短時間で部隊を編成してくるなんて。
どこまで無駄にスペックの高いくらすなんだ。
上等だ。そっちがそういうつもりなら、こっちだって手加減はしない!
「吉井!観念して手紙をよこせ!」
「一人だけ幸せになろうなんて甘いんだよ!」
目の前に五人のクラスメイトが立ちふさがった。
さっき聞こえていた挟み込みの連中か。後ろからも追いかけてくる連中が居る。
このままでは逃げ場が無くなるので空き教室へ富を滑り込ませる僕。
敵は全員僕を追って教室に群がって来た。
教室に入ってくる瞬間、入口が限られているため向こうは一か所に固まらざるを得ない。
その行動は追われている僕にはチャンス以外の何物でもない。
明久「よいしょっ」
用意したを仕掛けを発動。今朝方外したサッカーのネットがみんなの頭上から覆いかぶさる。
「な、なんだ!?」
「落ち着け!ただのネットだ!端に近い奴から抜け出して吉井を確保しろ!」
「くっ!このネット、びしょびしょに濡れているから体に張り付いて――」
一瞬戸惑うものの、すぐに次の行動に移ろうとする判断は大したものだと思う。
けど、残念ながら手遅れだ!
明久「保健室のベットでゆっくりしてるんだね。」
僕が手にしている、とある事情で借りていた危険物を見てみんなが目をむく。
「なっ!?吉井、それは……!」
「離れろ!全員ネットから離れるんだ!」
明久「おやすみ、みんな」
びしょびしょに濡れてたネットの隅に、電源を入れっぱなしにしたスタンガンを投げつける。
バチバチと言う激しい音と少しの焦げ臭い香り。
「「「ぎゃぁぁぁっ!」」」
悲鳴を聞きながら空き教室を後にする。
落ち着いて手紙を読むためには、Fクラスの全員を行動不能にするしかないだろう。
こうなったら、徹底抗戦だ。雄二、待ってろよ!
●康介SIDE
「B、C部隊と通信途絶!」
「空き教室を調べに行け!」
「俺、行ってくる。」
「先生が来たぞ!」
「よし!本部を変えるぞ!」
・・・
みゆき「みんないなくなったわね。」
雄二「流石と言ってもいいな。」
と不敵な笑みを浮かべて言う。
康介「嘘が丸見えだ。雄二」
雄二「ん?どういう意味だ。」
康介「わかっていたんだろ。」
ニヤッとわらって
雄二「さて、姫路、行くか?」
瑞希「は、はい。」
雄二と姫路が教室を出て言ってすぐ先生がやってきた
三沢「・・・みんなはどこに?」
秀吉「ええっと、どこに行ったのかの」
☆明久SIDE
『どこだ?確かこっちに来たはずだが。』
『気を付けろ。きっと近くに潜んでいるぞ。』
『F部隊とG部隊もやられたらしい。向こうは一人だが、油断はするなよ』
旧校舎の古書保管庫。その中で緊張した様子のクラスメイトがささやき合っている。
怒涛の勢いでクラスメイトを撃破してきたせいか、随分と僕を警戒しているみたいだ。
身を潜ませている本棚の陰から様子を窺うと、互いに背中を合わせて資格を潰している姿が見えた。
一か所に集まっていると身動きがとりにくいのになぁ……。
息をひそめて彼らの近くにある本棚まですばやく移動。適当な本を一冊抜いて、
僕の潜む場所とは対角の方向に投げる。
バサッ
『なんだ!?』
『吉井か!』
音に反応して全員が同じ方向を見る。これで死角ができた。
明久「せぇ――のっ!」
後はいっきに力をかけて本棚を倒すだけ。
『な……っ!』
『しまっ―――』
倒れくる本棚とは逆の方向に注意がそれていた彼らの反応は鈍い。結果、全員が本棚の下敷きとなった。
明久「ハッハッハー!人の恋路を邪魔しようとするからそんな目に合うのさ!」
脱出しようともがく彼らをしり目に古書保管庫から退出する僕。
『おのれ!裏切り者目!』
『覚えていろよ!お前の幸せは必ずぶち殺す!』
明久「……本当にどこまでゆがんだクラスメイトなんだろう。」
とどめに出入口を封鎖する。これで追ってはほとんど始末できたはずだ。
明久「さてさて、残ってる連中は――っとぉぉっ!?」
嫌な気配を感じて飛び去ると、さっきまで僕が立っていた場所にボールペンやシャーペンが突き刺さっていた。
明久「誰だっ!」
「裏切り者には死を!」
手に各種文房具を構えているのはクラスメイトの土屋康太、
旺盛な性的好奇心とその気持ちを隠そうとする姿勢からムッツリーニとも呼ばれている。
僕の友人、いや今は倒すべき敵だった。
明久「ムッツリーニ、覚悟!」
拳を固め、ダッシュをかける。悪いけど、大人しく眠ってもらう!
ムッツリーニ「……次はカッターを投げる。」
明久「よし。まずは話し合いをしようじゃないか。」
やっぱり友人に暴力を振るうなんて、僕にはできない!
ムッツリーニ「……わかった。」
明久「それじゃあ、まずそっちの要求を聞かせてほしい。」
聞かせてほしいと言いながらも、向こうの要求はわかっている。
きっと、『手紙を渡せ』と言ってくるに違いない。さてさて、どうやって交渉をしたものか。
ムッツリーニ「……こちらの要求は――」
静かに要求を告げてくる。
ムッツリーニ「――グロテスク」
明久「待って!それはすでに僕が処刑される方法の話になっている!」
これほど難しい交渉を僕は今までしたことがない。
ムッツリーニ「……交渉決裂」
明久「くっ!やっぱりやるしかないのか!」
構えられたカッターに意識を集中させる。
それにしても、普通ラブレター一通の為に友達に刃物を向けるだろうか?
ムッツリーニ「……大丈夫目は狙わない!」
明久「ムッツリーニ。それだけで安心できるほど僕はバカじゃないからね?」
ムッツリーニ「……そう」
ヒュッ
風を切りカッターが飛んでくる。その目標は―――僕の右眼!?
明久「う、嘘つきぃぃっ!?」
とっさに手でカバーする。カッターは、かしゃっと軽い音を立てて床に落ちた。
え?刺さってない?刃は出てなかった!?
僕の目の前にはスタンガンを僕の体に当てて電源を入れるだけのムッツリーニ。しまった!
明久「ムッツリーニ!姫路さんの胸のサイズを知っている?」
とっさに身を守る為にムッツリーニの好むような話題を振る。
上手く食いついてくれ、ムッツリスケベ……!
ムッツリーニ「……そんなものは、常識……!」
ダメだ。ヤツの注意は逸らせない!というか、常識だったの!?僕は知らないよ!?
明久「じゃ、じゃあ、もしも僕に彼女が出来たら、秘蔵のコレクションを贈呈するから!」
ムッツリーニ「……(ピタッ)」
僕の目をみて
ムッツリーニ「……いつ?」
友だちながら大した男だ。コレクションの内容、量を確認せずにいきなり引き渡し日時の交渉に入るとは。
明久「えーっと、今度の週末にでも」
ムッツリーニ「……交渉成立」
恐ろしいほど買収は簡単だった。今度からムッツリーニが敵に回った時はこの方法で行こう。
明久「それじゃ、ボクは先を急ぐね。」
この場を立ち去ろうとする僕をムッツリーニが手で制する。なんでだろう?
ムッツリーニ「……護身用に」
そう言いながら僕に小さな袋を渡してくる。
明久「護身用って?」
ムッツリーニ「……中に刃物が入っている。いざという時に使うと良い。」
明久「ありがとう。困ったら使わせてもらうよ。」
ムッツリーニ「……(グッ)」
親指を立てて、僕に背を向けるムッツリーニ。僕もこうしてはいられない。早く手紙の内容を確認しないと。
『昼休みに屋上で待っています』なんて書いてあって、呼んだのが昼過ぎだったりしたらシャレにならない。
明久「下見も兼ねて屋上に行くかな」
現在地は2階だから取りあえず屋上に続く階段を登る。その踊り場で
美波「アキッ!見つけたわよ!
さあ、おとなしく殺されて手紙を奪われるか、渡して殺してもらうか選びなさい!」
・・・美波はやっぱりまだ日本語に慣れていないんだろう。
明久「どうしてそんなにこの手紙にこだわるのさ!美波には関係ないじゃないか!」
くそう、美波相手は悪い。できれば切り抜けたいし、もし、後ろからクラスメイトがやってこられたらマズいし。
美波「ウチには関係ないって、憎い……!空きは本当にそう思っているの……?」
明久「え……?」
美波が急に傷ついたような表情になる。
さっきの言葉の意味を考えると、美波は僕に彼女が出来るという事に対して関係があるってこと?
明久「まさか、それって」
美波「だって、今まで恥ずかしくて言えなかったけど、ウチはアンタの……」
いつもと違ってしおらしい美波の様子に、なぜか僕の鼓動が速くなる。この感覚は一体何なんだらう。
美波「アンタの所為で、『彼女にしたくないランキング』の三位になってるんだからぁぁぁっ!」
明久「さらばだっ!」
この感覚は紛れもない恐怖だった。ひとまず階段を算段飛ばしで駆け下りる。
仕方ない。別ルートで屋上に行くしかない!あんな道を通るなんて自殺行為だ!
美波「逃がすもんですかっ!人をこんな立場にしておきながら自分だけ幸せになろうなんて、そんな事は許さないわよ!」
明久「まだ、上に二人いるだけいいじゃないか!」
美波「いいわけないでしょ!下に何人いると思ってるのよ!」
ええっと二年生は全部で三百人ぐらいいるから…
明久「ざっと百五十人ぐらい?」
美波「ひゃくご……!?どうしてくれるのよっ!責任取りなさい!」
明久「責任って言われても!」
マズい!ぐんぐん距離を詰められてる。美波って本当に女子なんだろうか?
明久「ところで、美波、階段を走っていて気づいたんだけど!」
美波「なによ!」
明久「今日は白なんだねっ!」
美波「なっ……!」
立ち止まり、スカートの裾を抑える美波。バカめ!こんな状態で見る余裕なんてあるわけないじゃないか!
この隙に一気に距離を稼ぐ。チャンスは今しかない!
階段を駆け下りて廊下を駆け抜ける。
遠藤「あ、吉井君、廊下を走っちゃだめですよ?」
廊下を歩いていた遠藤先生がやんわりと僕に注意してきた。ちょうどいい所に居てくれた。
明久「すみません。ちょっと用事を頼まれたもので、遠藤先生召喚許可を盛られませか?」
遠藤「いいですよ、それで用事ですが」
明久「空き教室から机を持ってくるように、と」
遠藤「わかりました。廊下は走ってはいけませんよ。」
もちろん嘘だけど遠藤先生は疑う事もなく許可をくれる。
明久「気を付けます。試獣召喚!」
美波「アキィっ!よくも騙してくれたわね!」
やばっ!もう追着てきた!
明久「先生、とにかくこっちへ!」
遠藤「え?あ、はい。」
先生の手を取って近くの教室に飛び込む。旧校舎は空き教室が多いから助かるなぁ。
美波「今日はライトグリーンなんだから、城が見えるわけないじゃない。」
遅れて美波が空き教室に入って来た。
明久「わざわざ教えてくれなくてもいいのに」
美波「あ……っ!」
赤面する美波、動揺している美波の背中を押して教室の隅に追いやる。そして、
明久「ぃよいしょぉっ!」
教室の後ろに設置されている生徒用ロッカーを召喚獣に持たせてバリケードを作った。
美波「こ、こらっ!卑怯よ!出しなさい!」
がんがんと美波がロッカーを叩く音が響く。こんな大きなもの、いくら美波でも動かせないだろう。
遠藤「吉井君、何をしているんですかっ!」
その様子を見て遠藤先生が僕を叱責する。それと同時に召喚獣は掻き消えた。先生が召喚許可を取り消したんだろう。
明久「すみません!緊急事態なもので!」
遠藤「あっ!待ちなさい!」
先生の抑止の声を背に、再び廊下へ舞い戻る僕。もう少し、もう少しでこの手紙を読める。
後から訪れるであろう幸せを想像すると、屋上へと向かう足取りは自然と軽くなった。
そして、二回を通過して三階の廊下。
須川「吉井、待っていたぞ。」
そこにはクラスメイトの須川君が待ち構えていた。
明久「須川君君まで僕の邪魔を擦っる気かい?」
須川「もちろんだ。吉井にはここで死んでもらう。
そう言って、背中から何かを取り出した。
明久「ぼ、木刀!?」
須川「剣道部から借りてきたんだ。吉井を止めるためになっ!」
明久「うわっ!とっと――!」
突然須川君が斬りかかってきた。寸止めじゃなくて、完全に振り切られる木刀。それを何とか横に飛んで避ける。
須川「吉井!手紙を渡せぇ!」
明久「くっ……!」
思わず唇をかむ。まさか武器まで持ち出してくるなんて、
そうなると、丸腰じゃあ勝ち目は薄い。せめてこっちにも……
明久「そういえば、コレがあった!」
ムッツリーニが渡してくれた小さな袋を取り出す。さてさて、中身の刃物は?
須川「くっ!丸腰じゃなかったのか!」
優位性が消え焦りを見せる須川君
明久「よし!これで勝負は五分五分だ!」
そう言って袋から刃物を取り出した。
袋から出てきたのは『爪切り』
困難で勝てるわけないじゃないかぁ!ムッツリーニのバカ!少しでも期待した僕がバカだった。
須川「ハッハッハー、吉井、これでおしまいだあ!」
須川君が斬りかかって来る。仕方ない!