バカな親友らとテストと召喚獣   作:音羽2600

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第3章 強化合宿編
第1話バカテスト国語:強化合宿前日


 

雄二「翔子」

 

翔子「……隠し事なんてしていない。」

 

雄二「まだ何も言っていないぞ?」

 

翔子「……誘導尋問は卑怯。」

 

雄二「今度誘導尋問の意味を辞書で調べて来い。んで、今背中に隠したものはなんだ?」

 

翔子「……別に何も」

 

雄二「翔子、手をつなごう。」

 

翔子「うん。」

 

雄二「よっと――ふむ、MP3プレーヤーか。」

 

翔子「……雄二、酷い・・・」

 

雄二「機械オンチのお前がどうしてこんなものを・・・。何が入ってるんだ?」

 

翔子「……普通の音楽」

 

 

――ピッ[優勝したら結婚しよう。愛している。翔子]

 

 

雄二「…………」

 

翔子「……普通の音楽」

 

雄二「これは削除して明日返すからな。」

 

翔子「……まだお父さんに聞かせてないのに酷い・・・。手もつないでくれないし……。」

 

雄二「お父さんってキサマ――これをネタに俺を脅迫する気か?」

 

翔子「……そうじゃない。お父さんに聞かせて結婚の話を進めてもらうだけ。」

 

雄二「翔子、病院に行こう。今ならまだ2、3発シバいてもらえば治るかもしれない。」

 

翔子「……子供はまだできてないと思う。」

 

雄二「行くのは精神科だ!――ん?ポケットにも何か隠してないか?」

 

翔子「……これは大したものじゃない」

 

雄二「え?、なになに!『私と雄二の子供の名前リスト』か。……ちょっと待てやコラ。」

 

翔子「……お勧めは、最後に書いてある私たちの名前を組み合わせたやつ。」

 

雄二「『しょうこ』と『ゆうじ』で『しょうゆ』か。……なぜそこを組み合わせるんだ。」

 

翔子「……きっと味のある子に育つと思う。」

 

雄二「俺には捻くれ者に育つ未来しか見えない。」

 

翔子「……ちなみに、男の子だったら『こしょう』が良い。」

 

雄二「『しょうゆ』って女の名前だったのか……」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

第1問:国語

 

 問:傍線部「私」がなぜこのような痛みを感じたのか答えなさい。

 

 

  父が沈痛の面持ちで私に告げた。

 

  『彼は今朝早くに出て行った。もう忘れなさい。』

 

  その話を聞いた時、私は身を引き裂かれるような痛みを感じた。

            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  彼の事は何とも思っていなかった。

 

  彼がどうなろうとも知ったことではなかった。私と彼は何の関係もない。

 

  そう思っていたはずなのに、どうしてこんなにも気持ちが揺れるのだろう。

 

 

   

《解答》

 姫路瑞希の答え

  『私にとって彼は自分の半身のように大切な存在であったから』

 

  教師のコメント

   そうですね。自分の半身のように大切であったため、いなくなったことで

   『私』はまさに身を引き裂かれたかのような痛みを感じたという事です。

 

 

 吉井明久の答え

  『私にとって彼は自分の下半身のように大切な存在であったから』

 

  教師のコメント

   どうして下半身に限定するのですか。

 

 

 吉井明久の答え

  『私にとって彼は下半身の存在だったから』

 

  教師のコメント

   その認識はあんまりだと思います。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

新学期になって二か月が経過し、日出の時刻がはっきりとした変化を感じ始めるこの時期。

 

程よい気温でよく眠れたせいか、僕はいつもより少し早い時間に登校していた。

 

秀吉「む?今朝は早いのう明久」

 

教室に足を踏み入れると、クラスメイトが僕に話しかけてきた。

 

小さな顔にくりくりと大きな瞳。誰もが認める是正の美少女だ。

 

明久「おはよう秀吉。なんか早く目が覚めちゃってね。」

 

そんな外見をもつ彼の名は木下秀吉

 

秀吉「おはようじゃ。さてはお主、明日からの強化合宿で浮かれておるな。」

 

そう告げる秀吉の顔も明るい。おかげでいつもより更に笑顔がかわいらしく見えた。

 

明久「あはは。そうかもしれないね。」

 

先の学園祭で手に入れた畳を踏みしめて、卓袱台に鞄を下ろす。

 

みかん箱と違ってビクともしないのがありがたい。

 

秀吉「学力強化が目的とはいえ、皆で泊りがけなのじゃ。

   楽しみになるのは仕方がないのじゃろうな。無論ワシとて胸が躍っておるしの。」

 

明久「やだなぁ。胸が躍るって言うほど大きくないくせに」

 

秀吉「いやワシの胸は大きくなっては困るのじゃが・・・・・・」

 

秀吉との何気ない日常会話を楽しみながら、鞄の中身をロッカーに移す。

 

明久「でも、確かに四泊五日なんて修学旅行みたいだから楽しみで・・・」

 

と、その時。カサ、と手の先に何かが触れる感触がした。

 

明久「ん?何だろう?」

 

封筒?

 

≪吉井明久様へ≫

 

宛て名の欄に僕の名前が書いてある。

 

明久「――っ!!」

 

ま、まさかこれは・・・・・・ラブレター?

 

秀吉「うん?どうしたのじゃ明久?」

 

おおお落ち着け吉井明久。

 

万が一僕がこんな手紙をもらっていることが発覚したら、

 

ここのクラスメイト達は嫉妬に狂って間違いなく僕を処刑しようとするだろう。

 

今までの経験で分かってる。ここはとにかく平静を装うんだ!

 

明久「What's up, Hideyoshi? Everything goes so well..」

 

秀吉「異常事態じゃな。」

 

バカな! 一瞬でバレるとは!?

 

明久「さ、流石は秀吉・・・僕の完璧な演技を一瞬で見破るなんて・・・」

 

秀吉「いや、演技以前に言語の問題なのじゃが・・・。」

 

やっぱり演劇部のホープはだてじゃない。

 

明久「と、とにかく大したことじゃないから、見なかったことにしてくれない?」

 

両手を胸の前で合わせてお願いする。

 

秀吉「む、むぅ・・・。明久がそう言うのであれば深くは問わんが・・・。」

 

すると、秀吉は疑いの表情を浮かべるものの、この場は引いてくれた。

 

なんて優しいんだろう。

 

明久「ありがとう助かるよ! それじゃっ!」

 

見えないように手紙をぽjケットにしまってダッシュで教室を後にした。

 

明久「もしかすると、僕にもいよいよ春が・・・!」

 

はやる気持ちを抑え、早足で階段を昇る。

 

明久「よいしょっ――と」

 

屋上へと続く重い鉄扉を押し開くと、その向こうには澄み渡る青空が広がっていた。

 

明久「良かった。誰もいない。」

 

思わずそんな独り言を吐く。

 

強い日差しから逃れるように涼しげな日陰に腰をおろし、懐から手紙を取り出した。

 

明久「これ、誰がくれたのかな・・・?」

 

差出人の名前は封筒には書かれていない。

 

一体どんな子が、どんな想いを込めて僕にこの手紙を送ってくれたのだろうか。

 

そんな事を考えるだけで胸が高鳴る。

 

不意に、サァ――っと穏やかな風が僕の体を包み込んだ。

 

暫く目を閉じて気持ちを落ち着けてから、ゆっくりと手紙の封に手をかける。

 

緊張しているせいか、中身を取り出すのに少しだけ手間取った。

 

今日は最高の日だ。僕をこんなにも幸せにしてくれるものがあふれているのだから。

 

 

  僕に注ぐ心地よい日差し。

 

  広く大きく澄み渡る青空。

 

  涼しく吹き込むさわやかな微風。

 

 

『あなたの秘密を握っています。』

 

僕を脅かす脅迫文だった。

 

明久「「最悪じゃあ――っっ!!」」

 

僕にとっての春は、まだまだ遠かった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

○康介SIDE

 

悠斗「明日から強化合宿か。わざわざ場所代えて勉強しなくても良いのなあ。」

 

康介「えらく消極的だな。お前としてはこういうイベント楽しいんじゃなかったのか?」

 

学校に続く坂道を珍しく悠斗と登っている。

 

悠斗「バカ!合宿は合宿でも勉強だぞ!」

 

康介「いや、お前が考えてるほど文月学園は厳しくないから。」

 

悠斗「え?」

 

康介「寝たら竹刀で叩かれ、時間に遅れたら正座みたいな感じじゃないから。

   まあ、自由だよ。本当。」

 

悠斗「・・・」

 

康介「カルチャーショックだったなあ。」

 

悠斗「マジで!」

 

康介「マジだ。だから楽しんで来い。」

 

悠斗「お前は?」

 

康介「俺は・・・じじいとばばあの金婚式だそうでな、帰らんといけなくなった。」

 

悠斗「ふ~ん。」

 

康介「よりによってもな。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

教室に入ると、明久と秀吉それに島田が話していた。なんか、珍しい。

 

近づくと、

 

秀吉「して、その脅迫状にはなんて書いてあったんのじゃ?」

 

きょうはくじょう?

 

明久「これには『あなたの傍にいる異性にこれ以上近づかないこと』って書いてあるんだ。」

 

秀吉「ふむ。その文面から察するに、手紙の主は明久の近くにおる異性に対してなんらかの強い気持ちを抱いておるな。

   大方嫉妬じゃろうが。つまり――」

 

明久「うん。手紙に主はこのクラスのたった四人の異性、

   つまり姫路さん、水谷さん、エイミー、秀吉に好意を寄せているヤツだってことがわかるね。」

   

美波「あ、明久、金属バットを捕りに行った島田が帰ってこないうちに逃げるのじゃ。」

 

え?ぼくの推理間違ってた?

 

康介「ところで何をネタに脅迫を受けてるんだ?」

 

明久「こ、康介!いつからそこに!」

 

秀吉「落ち着くのじゃ。まあ、康介なら大丈夫じゃろ。」

 

明久「そ、そうだね。『この忠告を聞き入れない場合、同封されている写真を公表します。』か。

   写真って、こっちの封筒に入っているやつかな?」

 

丁度写真が入るようなサイズの封筒が同封されていたので、その中身を改める。

 

そこに入っていたのは、三枚の写真だった。

 

一枚目を手にとって確認する。写っていたのは――ハイカラ服を着た・・・

 

康介「あれこれって家の喫茶店の制服だった・・・」

 

なんで明久が着てるんだ?

 

明久「こ、これは!?」

 

秀吉「やはり似合っておるのう。」

 

こうしてみると、明久そっくりの妹か姉と言えそうな気でもない。

 

二枚目に写っていたのは――先ほどに喫茶店の制服+パンチラ。

 

明久「トランクスだからセーフ、トランクスだからセーフ、トランクスだから・・・」

 

康介「これ撮った奴どんな趣味してるんだ?これは無いだろう。」

 

明久「僕の写真を見て冷静に分析しないで!」

 

あ、元に戻った。

 

康介「ごめんごめん。」

 

続いて三枚目を捲る明久

 

『ブラを持って立ち尽くす明久(なんか服が着くずれして・・・)』

 

吐きそう。

 

明久「い、やああぁぁぁああ!!」

 

明久の絶叫が響いた。

 

明久「はぁ、はぁ、はぁ・・・。恐ろしい威力だった・・・。

   これは僕を死に追い詰めるための卑劣な計略と言っても過言じゃない・・・。」

 

秀吉「大げさすぎじゃろ。女装の写真の一枚や二枚くらいで。」

 

明久「三枚だよ!」

 

秀吉「いや、そのへんはあまり変わらないだろう。」

 

二枚や三枚ぐらいの違いは許せよ。

 

瑞希「明久君、木下君、音羽君おはようございます。」

 

後ろから姫路の声が聞こえてきた。

 

明久「この声は――やっぱり姫路さんか。おはよう。」

 

秀吉「姫路か。おはよう。今朝は遅かったんじゃな。」

 

康介「おはよう。」

 

瑞希「はい。途中で忘れ物に気がついて一度家に帰ったのでギリギリになっちゃいました。」

 

秀吉「丁度いい。先ほどの写真が騒ぐほどの物ではないと姫路に

   証明してもらうとしようかの。姫路、少々良いか?」

 

姫路の姿を見て、秀吉が急にそんなことを言いだした。

 

瑞希「はい、何でしょうか?」

 

秀吉「うむ。姫路に質問なのじゃが。明久の女装の写真があったらどう思うかのう?」

 

正直、その切り込み方はどうかと思うが・・・

 

瑞希「う~ん、そうですね・・・。

   もしそんな写真があったら――とりあえず、スキャナーを買います。」

 

ス、スキャナー?斜め上の回答に戸惑う。

 

明久「へ?スキャナー?何で?」

 

瑞希「だって、その・・・

   そうしないと、明久君の魅力を全世界にWEBで発信できないじゃないですか・・・。」

 

恥ずかしそうに頬を染めて答えた。

 

明久は窓枠に足をかけ、

 

秀吉「明久落ち着くのじゃ! 飛び降りなんて早まった真似をするでない!」

 

康介「落ち着け明久、三階から落ちても死ねんぞ!」

 

秀吉「そう言う問題ではないじゃろ。」

 

明久「放して秀吉!僕はもう生きていける気がしないんだ!」

 

康介「ムッツリーニに相談してみるってのはどうだ?払うもの払えば処理してくれるだろ。」

 

明久「おおっ! なるほど!」

 

明久は窓枠から降りて

 

明久「ナイスアドバイスだよ康介!!」

 

秀吉「それではムッツリーニを探そすとするかの。」

 

すると、教室の隅で小さくなって誰かと話をしているヤツの姿が見えた。

 

明久「それじゃ、僕はムッツリーニに話があるから!」

 

明久は俺と秀吉、姫路に手をあげて教室の隅へと向かう。

 

瑞希「ところで、明久君の女装がどうとか・・・・・・」

 

秀吉「ひ、姫路!ワシらと話でもせんかの!?」

 

 

 

☆明久SIDE

 

後ろでは康介と秀吉が姫路さんを足止めしてくれていた。

 

明久「助けてムッツリーニ!僕の名誉の危機なんだ!」

 

ムッツリーニのいる席に倒れこむように駆け寄る。

 

すると、僕の行く手を遮るように大きな身体が邪魔をしてきた。

 

雄二「後にしろ。今は俺が先約だ。」

 

明久「あれ?雄二?」

 

目的地に先に陣取っていたのは雄二だった。

 

いつものツンツン頭が少し萎れているように見えるが何かあったんだろうか?

 

明久「ムッツリーニ、何の話?」

 

ムッツリーニ「……雄二の結婚が近いらしい。」

 

明久「雄二と霧島さんの結婚?そんなすでに決まってることより、

   僕が構内の皆に女王趣味の変態として認識され壮ってことの方が重要だよ!」

 

雄二「なんだと?おまえが変態だなんて今更だろうが!」

 

明久「黙れこの妻帯者!人生の墓場に帰れ!」

 

雄二「うるさいこの変態!とっととメイド喫茶に出勤しろ。」

 

明久「……」

 

雄二「……」

 

ムッツリーニ「……傷つくならお互い黙ってればいいのに。」

 

ん、泣いてなんかないね。これは今朝食べた塩と水が目から出て来ただけさ!

 

明久「で、でも、まだ結婚の話程度で済んでよかったじゃないか。

   僕はてっきり、あのペースだともう子供が出来たことにされているのかと――」

 

雄二「……明久。笑えない冗談はよせ。」

 

え?何?笑えないの?

 

明久「そこまで言うなら一応話を聞くよ。雄二に何があったの?」

 

雄二「一応ってのがカンに障るが、まあいいだろう。

   実は今朝、翔子がMP3プレーヤーを隠し持っていたんだ。」

 

明久「MP3プレーヤー?

   それくらい別に良いんじゃないの?雄二だって前に学校に持ってきてたし。」

 

その後、鉄人に没収されてたけど。

 

雄二「いや、アイツは結構な機械オンチだからな。

   そんな物を持っていて、しかも学校に持ってくるなんて不自然なんだ。」

 

へえ、霧島さんって機械オンチなのか。頭の良さとそういうのってあまり関係ないのかな。

 

雄二「そこで怪しく思って没収してみたんだが、

   そこには何故か捏造された俺のプロポーズが録音されていたんだ。」

 

明久「……」

 

一瞬、先の召喚大会の準決勝シーンが僕の頭をよぎる。

 

そのプロポーズを捏造してしまったのが自分だという事実に少しだけ罪悪感が湧いて来た。

 

けどまぁ、好きな人の告白を記録しておきたいなんて、可愛い乙女心じゃないか!

 

笑って許してあげるべきだ!

 

明久「き、霧島さんはかわいいねっ!そんなセリフを記念に取って置きたいなんて――」

 

雄二「いや。婚約の証拠として父親に聞かせるつもりのようだ。」

 

罪悪感で押しつぶされそうだ。

 

雄二「MP3プレーヤーは没収したが、中身は恐らくコピーだろうし、

   オリジナルを消さない事には・・・」

 

そう言って雄二が取り出したのはどう見ても再生プレーヤー。

 

雄二「そんなわけで、ムッツリーニにはその台詞を録音した犯人を突き止めてもらいたい。

   さっきも言ったようにアイツは機械オンチだからな。

   密かに集音器を仕掛けるなんてこと出来るわけないから、きっと盗聴に長けた実行犯が居るはずなんだ。」

 

ムッツリーニ「……明久は?」

 

ムッツリーニは僕の方を見て聞いて来た。

 

あまり長々と話していられないし、端的に説明しよう。

 

明久「実は、僕の女装の写真が全世界にWEB配信されそうなんだ。」

 

ムッツリーニ「……何があった?」

 

その疑問はもっともだ。

 

明久「ごめん端折りすぎた。要するにね――」

 

 

    ――――――事情説明中――――――

 

 

明久「――そんなわけで、その写真を撮った犯人を突き止めて欲しいんだ。

   写真を撮られた覚えなんてないから、きっと盗撮の得意な奴がこっそり撮影したんだと思う。」

 

雄二「なんだ。明久も俺と同じような境遇か。」

 

康太「……脅迫の被害者同士。」

 

雄二「こんなことで仲間ができても・・・」

 

そうやってそれぞれの説明を終えたところで、ガラガラと教室の扉が開く音が響いた。

 

どうやら鉄人がやってきたみたいだ。

 

鉄人「遅くなってすまないな。強化合宿のしおりのおかげで手間取ってしまった。

   HRを始めるから席についてくれ。」

 

そう告げる鉄人は手に大きな箱を抱えていた。

 

きっと今言っていた強化合宿のしおりが入っているのだろう。

 

ムッツリーニ「……とにかく、調べておく。」

 

雄二「すまん。報酬に今度お前の気に入りそうな本を持ってくる。」

 

明久「僕も最近仕入れた秘蔵コレクションその二を持ってくるよ。」

 

ムッツリーニ「……必ず調べ上げておく。」

 

ムッツリーニも快く引き受けてくれたので、鉄人に睨まれないうちに素早く席に戻る。

 

僕と雄二は特に目をつけられているので、こういった時くらいは目立たないようにしないと身体がもたない。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

○康介SIDE

 

瑞希「―――やっぱりかわいいんですっ!」

 

美波「わかるわかる。」

 

明久愛されてるなあ。怖いぐらい。

 

途中からなぜか釘バットを持った島田と姫路ののろけ?話を聞くこと数分

 

鉄人「遅くなってすまないな。強化合宿のしおりのおかげで手間取ってしまった。

   HRを始めるから席についてくれ。」

 

鉄人の声が天の声に聞こえる。

 

康介「鉄人も来たし・・・」

 

秀吉「そうじゃの、席に戻るとするかの。」

 

美波「いこう、瑞希。」

 

瑞希「はいっ。」

 

ふう、自分の席に戻る。

 

康介「はあ、」

 

みゆき「疲れてる?」

 

気遣ってか聞いてくれるみゆき

 

康介「いや、大丈夫。」

 

のろけ話を聞くことがこれほどつかれるとは。

 

鉄人「さて、明日から始まる『学力強化合宿』だが、

   だいたいのことは今配っている強化合宿のしおりに書いてあるので確認しておくように。

   まぁ旅行に行くわけではないので、勉強道具と着替えさえ用意してあれば特に問題はないはずだが。」

 

前の席から冊子が回ってきたので、俺も一冊撮って後ろに回した。

 

鉄人「集合の時間と場所だけはくれぐれも間違えないように。」

 

鉄人のドスのきいた声が響き渡る。

 

確かに集合時間と場所を間違えたらシャレにならない。

 

適当にパラパラと冊子を捲ってる。どうせ行かないけど、暇だしな。

 

文月学園は、卯月高原という少し洒落た避暑地で勉強合宿を開いている。

 

ここからだと車でだいたい四時間くらい、鉄道とバスの乗り継ぎだと五時間くらいかかるところだ。

 

鉄人「特に他のクラスの集合場所と間違えるなよ。クラスごとでそれぞれ違うからな。」

 

AクラスやBクラスはきっとリムジンバスとかで快適に向かうんだろう。

 

そうなるとFクラスはやっぱり狭い通常のバスなのかな。

 

ま、俺には関係ないか。

 

鉄人「いいか、他のクラスと違って我々Fクラスは――現地集合だからな。」

 

「「「「案内すらないのかよっ!?」」」」

 

あまりの扱いに全級友が涙した。

 

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