バカな親友らとテストと召喚獣   作:音羽2600

63 / 123
第6問:地理

 次の問いに答えなさい。

  (1)日本の多くの工業地帯や工業地域が連なる、
    茨城県から福岡県までを結ぶ帯(ベルト)状の地域のことを何というか答えなさい。

  (2)また、四大工業地帯をすべて答えなさい。



《解答》
 音羽康介の答え
  『(1)太平洋ベルト
   (2)北九州工業地帯、阪神工業地帯、京浜工業地帯、中京工業地帯』


  教師のコメント
   正解です。さすが!


 吉井明久の答え
  『(1)ベルト地帯域』

  教師のコメント
   どんな地帯なんでしょうか?
   予想の斜め上をいく解答をありがとうございます。

 土屋康太の答え
  『(2)高知、愛媛、香川、徳島』

  教師のコメント
   どうして答えたのが四国四県なのですか?
   補修をします。後で吉井君と一緒に職員室まで来るように!







第6話バカテスト地理:強化合宿2日目 第二戦

 

○康介SIDE

 

 

フェリーから降りて歩くこと20分、ようやく爺ちゃん家に着いた。

 

玄関の前には忠犬ハチ公よろしく、爺ちゃんの愛犬のタローが待っていた。

 

この4、5年毎回待っている。

 

康介「よう、待っていてくれたのか?ありがとう。」

 

しゃがんで頭をなでると尻尾を巻いて振って、すり寄って来る。

 

かわいいなあ。

 

?「パパァっ・・・!!」

 

突然情けない声を上げたのは響 蓮(れん)、俺の従姉だ。

 

ワン!

 

康介「パパじゃないだろ、蓮」

 

物陰でこっちを見ている連

 

ワンワン!

 

タローは蓮に向かってトコトコと歩いていく。

 

蓮「こ、こないでよ!」

 

悪いことしない限り噛まないから怖がらなくてもいいのに、

 

それに今年で16歳、人間にならおじいちゃんだ。

 

たぶん、仲良くなりたいだけだと思うんだけど

 

蓮「た、助けてよパパァ!」

 

俺は鍵のかかってない玄関の扉を開けて家に入る。

 

蓮「パパァっ!置いてかないで。」

 

慌てて俺について家に入って来る蓮

 

タローは玄関の前で止まる。爺ちゃんのしつけで家の中には絶対に入らない。

 

蓮「パパァ!」

 

ギュッとだきついて来る蓮、今年で小学校四年だ。もうちょっと大人びてもいいだろうに。

 

鈴「お帰り、康君。」

 

康介「ああ、ただいま、鈴(すず)姉。」

 

出迎えてくれたのは蓮の姉の鈴、現在高校三年生

 

背も伸びてるし、胸はさくらほどないものの・・・って何見てるんだおれは!

 

鈴「ん?可愛くなった私に見とれた?」

 

!?

 

康介「い、いやあ・・・」

 

鈴「傷つくなあ。」

 

康介「ご、ごめん。実は」

 

鈴「うんうん、疲れたでしょ。さあ、あがって。」

 

康介「あ、ああ。」

 

鈴姉について居間に入る。廊下まで冷気が来ていて汗が引いて来た。

 

鈴「康君、お茶飲むでしょ。」

 

康介「ああ、お願い。」

 

蓮「ぼくも飲む。」

 

鈴姉は居間に入って台所の方に行く。

 

居間にはいると冷気で汗が吹き飛んだ。

 

康介「ああ、生き返る。まだ夏ではないとはいえ暑いよなあ。」

 

席に座るとすぐに鈴姉がお茶を持ってきてくれた。

 

鈴「そうよね。はい、どうぞ。」

 

鈴姉持ってきてくれたお茶を飲んで、

 

康介「そういえば、他は?畑か?」

 

爺ちゃんはもちろん、叔父さんや今朝方夜行列車で着いたはずの親父もいない。

 

蓮「ほんけに行ってくるって言ってた。」

 

鈴「あそこにいくとじんましんが出るよねえ。」

 

さらりとヤバいことを言う鈴姉

 

康介「鈴姉、それは言ったらマズいから。」

 

鈴「私たちだけだからいいでしょ。康君。」

 

康介「はあ、まあいいか。」

 

さすがに盗聴器はしかけられてないだろうし。

 

あ、そういえば

 

康介「ほら、これ、土産だ。」

 

蓮「食べて良い?」

 

包みを開けようとする蓮

 

鈴「コラ!ダメでしょ。みんなが帰ってくるまで待ちなさい。」

 

康介「いいぞ、もう一つあるし。」

 

そう言ってもう一つ出す。こっちの方が高級だ。

 

鈴「だったらいいけど、それって・・・」

 

康介「これはな、爺ちゃんに命を助けられた人がぜひにというからな。」

 

みゆきの父親、(哲男)からの贈り物だ。

 

蓮「いただっきます!」

 

土産の饅頭を食べる蓮を窓越しに見ていたタローがク~ンと鳴く。

 

更にク~ンと鳴いて網戸をひっかく。

 

鈴「どうしたのかしら。」

 

康介「これが欲しいんだろ。」

 

連の食べてる饅頭を差して言う。

 

蓮「えっ!?」

 

とっさに俺の陰に隠れる蓮

 

蓮「パパァ・・・」

 

やれやれ情けない。

 

饅頭一つを持って

 

 窓に手を賭けると大人しくお座りして待つタロー

 

窓を開けタローにやる。

 

ペロッと食べて尻尾をふる。

 

しかし、ピクッと耳が動いてすぐに玄関の方に走って行った。

 

 

音羽 一蔵「おお、帰ってきよったね。」

 

爺ちゃんが帰って来た。

 

蓮「おじいちゃん、お父さんおかえり。」

 

響 義彦「ああ。久しいね。2年ぶりかな。」

 

髭が特徴な叔父さん、蓮と鈴の父親だ。

 

康介「お久しぶりです。・・・ところで」

 

一蔵「ああ、果物買いに行っとるね。」

 

・・・親父

 

鈴「康君がお土産持ってきてくれてるよ。」

 

義彦「いただこうか。」

 

一蔵「わざわざ悪いな。」

 

鈴姉の入れてくれたお茶で一息をついていると、果物を両手に抱えた親父が帰って来た。

 

浩司「いやあ、重かったよ。」

 

テーブルに果物を置いて、ソファーにドカッと座る親父

 

 鈴「わあ、すごい。」

 

 蓮「スイカだ!」

 

山のような果物

 

 一蔵「全く、そんなに買ってきてけしからん!」

 

と言いながら

 

 義彦「親父、片手に持ってる包丁は何だ?」

 

 

全部でいくらしたんだ?

 

浩司「おお、船はどうだった?揺れなかったか?」

 

康介「揺れなかったし、良かったよ。」

 

浩司「飯は上手かったか?」

 

康介「ああ、塩サバは上手かった。ところでいくらだったんだ?」

 

浩司「・・・三千円だったかな。」

 

康介「三千!」

 

浩司「どうした?」

 

家は親父が一か月に買う果物と酒で半月分の食費が賄えるんだ。

 

溜息がでる。隣では

 

 鈴「せっかくだから冷やして食べましょう。」

 

 蓮「そうだね。っておじいちゃん!!」

 

 義彦「爺ちゃんは我慢できないんだよ。」

 

リンゴをむいては片ぱっしから食べてる爺ちゃん。

 

それを横からとる親父、そして親父の取ろうとしていたリンゴの一切れを叔父さんが奪い取る。

 

音羽家の飯は早い者勝ちだ。

 

ホント、どうにかならないのかな。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

☆明久SIDE

 

 

そんなこんなで、地獄のような勉強時間や天国のような夕食タイムも終わっていよいよ入浴の時間。

 

僕らは部屋で顔を突き合わせて話し合いをしていた。

 

明久「僕は工藤さんが犯人だと思うんだけど」

 

雄二「その可能性はたかいだろうな。」

 

雄二は頷いく。

 

明久「それじゃ、工藤さんを一気に取り押さえる?」

 

一気に取り押さえられれば万事解決だ!

 

ムッツリーニ「……それはやめた方がいい。」

 

明久「どうして?何か問題でもあるの?」

 

ムッツリーニ「……チャンスは一度きり。失敗したら犯人は見つからない。」

 

ムッツリーニの言っていることは説明不足でよくわからなかった。

 

雄二「もし、犯人だと思って間違えた奴を取り押さえたのを真犯人が見ていたらどうする?」

 

ムッツリーニ「……(コクコク)」

 

なるほど、

 

明久「証拠を隠滅するとか、自分を探さないように更に脅迫するとか、そういったことが考えられるね。」

 

雄二「そういうことだ。」

 

明久「けど、あんなに怪しいのに手が出せないなんて・・・」

 

秀吉「例の火傷の痕を確認できたら良いのじゃが・・・」

 

明久「いっそ怒られるのを承知でスカート捲りでもしてみる?」

 

ムッツリーニ「……ヤツは、スパッツを穿いている・・・!」

 

明久「げ。そういえばそうだった。」

 

しかし、スパッツを穿いているなんて怪しい。

 

ムッツリーニ「………確認するには女子風呂を覗くしかない。」

 

明久「やっぱりそうなるんだね。」

 

いくら考えたって推測は推測だ。

 

ムッツリーニの言う通り確信を得るためには覗きを決行するしかない。

 

明久「けど、どうしようか?何か作戦を練らないと先生たちのあの警備を突破するのは難しそうだよ。」

 

秀吉「しかし、作戦というがあの場所はただの広い一本道じゃぞ。正面突破以外方法がないと思うのじゃが。」

 

そう、女子風呂につながる通路は見晴らしの良い広い一本道で遮蔽物が全く存在しない。

 

教師に見つからずに抜けるのは不可能だろう。

 

雄二「そうだな。まずそれしかないな。」

 

秀吉の言葉に雄二も賛同する。

 

明久「でも雄二」

 

雄二「わかってる。要するに正面突破を成功させればいいだけだろう?」

 

向こうの戦力は教師の召喚獣二体に鉄人一体、

 

対するこちらの戦力は僕を除けばバカが一人とムッツリが一人、美少女が一人。

 

戦闘力の差を考えると圧倒的にこちらが不利だ。

 

唯一の希望は向こうには点数補充の時間が取れないってことくらいか。

 

雄二「正面突破しかないのなら、それを成功させるだけの戦力を揃えたらいい。

   質は向こうが上でも、数で上回れば勝機がある。」

 

明久「えっと、つまり覗き仲間を増やすってことかな?」

 

雄二「そうだ。」

 

明久「それじゃ、すぐにでも話を付けてこないともうすぐお風呂の時間になっちゃうよ?」

 

雄二「安心しろ、夕飯時にすでに声は駆けてある。そろそろみんなが来るはずだ。」

 

するとタイミングを計ったかのようにノックの音が聞こえた。

 

須川「坂本、俺達に話って何だ?」

 

須川君を先頭にFクラスのメンバーがぞろぞろと部屋に入って来る。

 

うわぁ、これFクラス男子全員じゃないか。

 

しかし、雄二がひとたび声を掛ければ皆が集まるんだからなあ。

 

雄二「よく来てくれた。実はみんなに頼みがある。」

 

雄二は大きな声で言った。

 

福村「提案?」

 

安永「正直突かれてるんだけど。」

 

須川「早く部屋に戻ってダラダラしたいんだが。」

 

皆ダルそうにしている。今日一日勉強漬けでつかれているのだから無理もない。

 

そうやってざわめく皆を見ても雄二は焦ることなく静かになるのを待って

 

雄二「みんな、女子風呂の覗きに興味は無いか?」

 

「「「「詳しく聞かせろ!!!!」」」」

 

僕はこのクラスが好きだ。

 

雄二「昨日、俺達は女子風呂の覗きに向かったんだが――」

 

須川「失敗したのか?」

 

雄二は頷いて

 

雄二「――卑劣にも待伏せをしていた教師陣の妨害を受けたどり着けなかった。」

 

福村「なぜ、俺達に一声かけなかったんだ!」

 

雄二「すまない。そこでみんなは女子風呂警備隊の排除に協力してもらいたい。

   報酬はその後に得られる理想郷(アガルタ)の光景だ。どうだ?」

 

「「「「乗った!!!!」」」」

 

とりあえず中身はともかく仲間は増えた。

 

雄二「ムッツリーニ、今の時間は?」

 

ムッツリーニ「……二〇一〇時」

 

雄二「よし、隊を四つに分けるぞ!

   A隊は俺に、B隊は明久、C隊は秀吉、D隊はムッツリーニにそれぞれしたがってくれ。」

 

「「「「了解っ!!!!」」」」

 

雄二「いいか、俺達の目的は一つ!理想郷(アガルタ)への到達だ!

   途中に何があろうとも、己が神気に四肢に込め、目的地まで突き進め!

   神魔必滅・見敵必殺!ここが我らが行く末の分水嶺と思え!」

 

「「「「おおおおっっ!!!!」」」」

 

雄二「全員気合を入れろ!Fクラス、出陣るぞ!」

 

「「「「おっしゃぁぁーっ!!!!」」」」

 

一つの遂行な目的の為、今僕らはFクラスは一つになった。

 

 

 布施「西村先生、流石に今日は彼らも現れないのでは?

    昨日はあれほど指導したのですから」

 

 鉄人「布施先生、彼らを侮ってはいけません!彼らは生粋のバカです。

    あの程度で懲りるようであれば今頃は模範的な生徒になっているはずですから。」

 

 布施「そうでしょうか?いくらなんでもそこ――」

 

 

ドドドドドドドド!!!

 

F「おおおっ!障害は排除だーっ!」

 

F「邪魔するヤツは誰であれブチ殺せーっ!」

 

F「サーチ&デース!」

 

 

 布施「――までは・・・変態が編隊を組んでやってきました!」

 

 鉄人「まさか、懲りずどころか数を増やしてくるくるとは。これだからあの連中は・・・!

    先生、警備部隊全員に連絡を!一人として通してはいけません!私は定位置につきます!」

 

 布施「は、はいっ!」

 

 

須川「吉井!木下のC班が布施と接触したぞ!」

 

布施「オーケー須川君、秀吉たちがやり合っている間に一気に駆け抜けるよ!全員遅れないようにね!」

 

告げて、僕は一気に階段を駆け下りた。

 

布施「よ、吉井君、待ちなさい!」

 

わきを抜ける時布施先生の慌てた声が聞こえてきた。待てと言われて待つバカはいない。

 

そのまま走り去ると向こうも慌てて追いかけてきたけど、

 

ある程度走ると布施先生は悔しそうに顔をゆがませながらも足を止めた。

 

明久「あれ?諦めたのかな?まだ追ってくると思ったんだけど。」

 

須川「諦めったってよりは≪干渉≫を嫌ったんじゃないか?」

 

≪干渉≫ってなんだろう。ま、そんなことより背後に注意を向けると秀吉の部隊が布施先生を取り囲んでいた。

 

流石にあの数じゃ布施先生の陥落も時間の問題だろう。

 

明久「今の内に僕たちは先に行くよ!」

 

「「「おうよ!!!」」」

 

廊下を驀進する僕の部隊、このままなら無事にたどり着けそうだ。

 

そう安堵した直後、ありえない光景が眼前に広がっていた。

 

美春「そこまでです!薄汚い豚ども!この先は男子禁制の場所、大人しく引き返しなさい!」

 

明久「なっ清水さん!それに他の女子も!?」

 

広い廊下に展開する清水さん率いる召喚獣部隊

 

福村「くっ、吉井どうする?数も質も向こうが上だ・・・」

 

こちらの戦力はFクラス一分隊、対して向こうは少なく見積もっても2クラス分の女子、戦力差は一目瞭然だ。

 

明久「清水さんお願いだ!そこをどいてほしい!」

 

美春「ダメです!そうやってお姉さまのペッタンコを堪能しようなんて、神が許しても私が許しません!」

 

くっ、清水さん、ボクの目的は美波じゃないのに!

 

明久「違うんだ清水さん!僕の目的は美波のペッタンコじゃないんだ!信じて!」

 

美春「嘘です!お姉さまのペッタンコに興味がない男子なんているはずがありません!」

 

明久「本当だよ!ペッタンコは所詮ペッタンコなんだ。

   今の僕には美波の地平線のようなペッタンコよりも大事な右ひじがねじ切れるように痛いぃぃっ!」

 

美波「黙って聞いていれば人の事をペッタンコペッタンコと・・・!」

 

しまった、清水さんとの言い争いで美波の接近に気付かなかったとは不覚だ。

 

おかげで僕の右手が酷いことになっている。

 

明久「み、美波、今は入浴時間じゃ・・・?」

 

美波「忘れたの?ウチと瑞希はFクラスだから後半組なのよ。

   もっとも、前半組のクラスからも参加している人がいるみたいだけどね。」

 

美波が指差した廊下の奥に目をやると、こっちに手を振る女の子の姿があった。

 

愛子「やっほー、吉井君。何を見に来たのかな?ボクを覗きに来てくれたのなら嬉しいんだけど♪」

 

どうして?脅迫犯であるはずの工藤さんがこんなところに!?

 

  翔子「……浮気は許さない」

 

くっ、これじゃあ確認できないじゃないか!?

 

  翔子「翔子待て!落ち着ぎゃぁぁあああっ!」

 

愛子「あ。さてはボクからこれを取り戻そうとしているのかな?」

 

例の録音機を取り出してニコニコと笑う工藤さん。

 

まるで「全部知ってるよ」とでも言わんばかりの態度だ。やっぱり工藤さんが犯人か・・・。

 

ムッツリーニ「………チャンスは一度きり」

 

踏み切ろうする僕をいつの間にかやって来たムッツリーニが諌める。

 

明久「工藤さん。質問なんだけど、どうしてキミは録音機なんて物を持っているの?」

 

愛子「勿論、先生の授業を録音しておいて後から復習する為だよ。」

 

これはウソだろう。彼女はそんなにまじめに勉強をしているようには見えない。

 

もう彼女が犯人と断定していいんじゃないだろうか・・・?

 

愛子「それより、吉井君たちの目的は?もしかして、脱衣所の盗み撮りとか?」

 

明久「くっ・・・!」

 

何て白々しいことを!

 

すると工藤さんは僕の耳元まで近づいて、

 

愛子「(まだ脱衣所には見つかっていないカメラが一台残っているよ?)」

 

明久「・・・っ!?工藤さん、キミは!?」

 

愛子「ボクが仕掛けたわけじゃないけど、偶然見つけちゃってね。」

 

偶然見つけた?そんなのウソに決まっている!くそっ!僕らの状況を知りながらからかって遊ぶなんて、どこまで悪趣味なんだ!

 

愛子「さて、おしゃべりはここまで。そろそろ始めようか、ムッツリーニ君?」

 

ムッツリーニ「……わかっている。」

 

苦々しい声をあげるムッツリーニ、工藤さんは強敵だし、勝ったとしても保健体育の大島教諭が控えているのだから無理もない。

 

須川「気にするな!女子の召喚獣なんかじゃ俺たちは止められない!」

 

明久「あっ!待つんだ須川君!」

 

一般生徒の召喚獣が人に触れられないことを利用して目的地に向かおうとする須川君の判断は正しそうに見えるが・・・

 

鉄人「教育的指導っ!」

 

須川「ふぐぅっ!」

 

鉄人が目的地を死守してる以上無駄な事だ。

 

福村「て、鉄人だと!?」

 

近藤「ヤツを生身で突破しないといけないのか!?」

 

川崎「バカを言うな!そんなの無理に決まっているだろ!?」

 

鉄人「吉井。やはりキサマは危険人物だったな。今日は特に念入りに指導してやろう。」

 

須川君の亡骸を床に置き、ゆらりゆらりと鉄人が歩を進めてくる。

 

周囲は大勢の女子、これはもう将棋で言う詰みというやつだろう。

 

僕は部隊の全滅を覚悟した。が、

 

須川「吉井っ!諦めるな!悔しくてもこの場は退いて力を蓄えろ!

   今日がダメでも、明日にはチャンスがあるはずだ!」

 

福村「す、須川!?」

 

打ち倒された須川君が鉄人の足にしがみ付いてその行く手を阻んでいた。

 

須川「吉井。お前はこんなところでやられちゃいけない・・・。

   鉄人を倒すことができるのは、『観察処分者』であるお前の召喚獣だけなんだから・・・。

   だから頼む・・・この場は逃げて、生き延びてくれ!」

 

最後の力を振り絞って訴える須川君、でも

 

明久「須川君っ!無理だよっ!皆を見捨てて逃げるなんて、僕にはできない!」

 

鉄人「須川。指導の邪魔をするなっ」

 

須川「ぐはっ」

 

拳が何発か叩き込まれ動かなくなった須川君の亡骸を掴み僕らの前に見せる鉄人、その姿はまさに鬼だ。

 

福村「くっ・・・、みんな須川の犠牲を無駄にするな!」

 

F「「「おうっ!!!」」」

 

明久「す、須川君・・・。それに皆も・・・。」

 

全員が奮い立ち僕に笑顔を向けてくれていた。僕は、僕は・・・!

 

福村「吉井!お前は召喚獣で女子を押しのけて走れ!向こうの召喚獣は俺たちが意地でも抑える!」

 

明久「・・・わかったよ。ここは皆に任せる!

   そして僕は必ず生き延びて・・・目的を果たす!行くぞ、試験召喚っ!」

 

召喚獣を呼び出して退路を塞ぐ女子の人垣に突っ込んだ。

 

「アキっ!逃がすもんですか!試獣召喚!」

 

「明久君!オシオキは終わってませんよ!試獣召喚!」

 

目の前に居る美波と姫路さんの召喚獣があらわれた。

 

近藤「そうはいくか!試獣召喚!」

 

川崎「吉井の邪魔はさせない試獣召喚!」

 

美波「邪魔よアンタたち!」

 

瑞希「どいてくださいっ!」

 

二人の仲間が命がけで姫路さんたちを引き受けてくれた。

 

明久「皆・・・ごめん。必ず僕は生き延びて、いつか理想卿に辿り着く事を誓うから・・・。」

 

あまりに無力な自分に腹が立った。悔しくて噛みしめた唇が痛かった。

 

涙を堪えて走る自分がみじめだった。

 

 

強くなりたい。今一度強く思った。

 

 

『――放送連絡です。Fクラスの吉井明久。至急臨時指導室に来るように』

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

○康介SIDE

 

「いやあ、久しぶりだなあ、前にあった時はこのくらいだったのに」

 

「ホントね。まったく」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

親族が集まり宴会が始まり約1時間後

 

 

「あ、ほい、あらよっと・・・」

 

腹踊りをするおじさんたち、

 

 

「あら、いやだわ。そうなの。」

 

「そうなのよ、あそこの息子さん」

 

「いやよねえ。」

 

身内の影口を叩くおばさんたち

 

 

そんなのに嫌気がさしてそのへんを歩いて来ようかと宴会場から出た俺。

 

鈴「どうしたのそんなところで?」

 

蓮「パパどこ行くの?」

 

だからパパじゃねえ!

 

康介「ちょっとそのへんにな。・・・ついてくるか蓮?」

 

飯でも奢るか。あの料理じゃあ、蓮は飯も満足に食えてないだろう。

 

ついでに甘味が欲しい所だ。

 

蓮「うん・・・おねちゃん?」

 

頷いてから鈴姉の方を見る。

 

鈴「いいんじゃない。私も行くから。」

 

・・・

 

鈴「なによ!私が付いて行ったらいけないの?」

 

康介「別に、いいけど。」

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

康介「うまいか蓮?」

 

蓮「うん。パパ」

 

鈴「よかったわね。」

 

蓮「うん。」

 

テーブルを挟んだ前でうどんをすすっている蓮、コヒーを呑んでる鈴姉

 

なんか平和だなあ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。