☆明久SIDE
翌朝
明久「ううん・・・。うん?なんだろ・・・んなっ!?」
目を開けるといきなり秀吉の寝顔が目の前にあった。
長いまつげを伴う大きな瞳が今は閉じられている。なんて綺麗な笑顔なんだろう。
明久「んっ!?」
秀吉が小さく動いてさらさらの髪が僕の腕をくすぐった。
秀吉「ん・・・」
小さく吐息が漏れる。
彼我の距離はわずか数センチ(ゴクリッ)、キ、キ、キスまであ、あと・・・
落ち着け、これはまたとないチャンスだ。今なら事故ってことで・・・イケる!
でも、こういうのは相手の同意がないとマズい気がする・・・
悪魔「やっちゃえよ!お前はいざという時は出来る男だろ?」
はっ!?貴様は僕の中の悪魔!僕をまた悪の道に引きずり込もうとしているな!?
ダメだ!僕にはそんなことできない!
悪魔「よく考えてみろよ。同じ布団で寝ているんだぞ?
これはもう何もしない方が失礼だと思わないか?」
たしかに・・・そうだけど。
天使「悪魔に耳を貸しちゃだめだよ!――」
て、天使!そうだよね!
天使「秀吉がホモ野郎だと信用して布団に入ってきているんだからね!」
僕の中の天使、もう二度と出てくるな。
悪魔「さ、一騎に行っちゃえよ。秀吉も待ってるぜ?」
そ、そうだね。余り待たせても悪いし、意を決し秀吉に顔を寄せる。
心臓がバクバクなった。暑くないのに全身から汗が出てきた。
あ、あと数センチで・・・唇が!
・・・・・あれ?・・・・・
明久「夢オチ!?がっかりだよ畜生!」
悪魔「いや、その前に秀吉は男だろ。いくら夢だったからって理性トびすぎじゃないか?
そう気をを落とすな。さっきは未来の予行演習だったと思えばいいだろ?」
そうか、いつか来るシュミレーションと思えば良いよね!
雄二「ううん・・・」
なんて考えていると耳のそばから声が聞こえてきた。
これはまさか・・・、恐る恐る背中の方を見る。
雄二「ぐう・・・」
明久「・・・さ、最悪だ。」
そこには雄二が居た。
太い眉毛を伴うガラの悪い目が今は閉じられている。なんてブサイクなんだろう。
吐き気を催していると、ブサイクが大きく身じろぎをした。
雄二「んあ・・・」
大きく開いた口、彼我の距離はほんの数センチ、大惨事まであと一歩の状態だ。
悪魔「・・・やっちゃえよ。お前はいざという時はできるだろう?」
!!??、冗談じゃない!
天使「わかった。僕はもう止めないから、思いっきりやんなよ。」
天使!貴様はもう二度と出てくるなと言っておいたはずだ!
明久「とにかく雄二!起きろやコラぁっ!」
雄二「ぐふぁっ!」
雄二を布団から蹴り出す明久。最悪の気分だ!
秀吉「んむ?なんじゃ?雄二はまた自分の布団から離れた場所で寝ておったのか?」
明久「秀吉、またってどういうこと?」
秀吉「いや、別に大したことではないのじゃが・・・。雄二は寝像が大層悪い様でのう。
明け方はワシの布団の中に入ってきておって――やめるのじゃ明久!
花瓶を振りかざしてどうするつもりなのじゃ!?」
明久「殴る!コイツの耳からドス黒い血が出るまで殴り続ける!」
こんなヤツ、生かしておいたら世の為にならない。ここで殺る。
ガチャッ!
鉄人「おいお前ら!起床の時間だ――ぞ・・・?」
明久「死ね雄二!死んで詫びるんだ!あるいは法廷に出頭するんだ!」
雄二「なんだ!? 朝からいきなり明久がキまっているぞ!? 持病か!?」
秀吉「落ち着くのじゃ明久!
西村教諭、すまぬがこやつを取り押さえるのを手伝って頂きたい!」
康太「……!(コクコク)」
鉄人「まったく、お前らは朝から何をやっているんだ。」
皆に邪魔されて雄二を殺れなかった。
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○康介SIDE
康介「Zzz、Zzz」
ダッダッダッ、バンッ
蓮「パパッ!どこか行こう!」
グエッ!?
な、ん、何事!? 腹にものすごいGが!?
蓮「遊びに行こう、パパ!」
・・・・・・
康介「パパ?・・・あれ俺って・・・」
鈴「こらこら、パパが困ってるでしょ?」
康介「かあさん?」
・・・・・・
正気に戻った瞬間、顔が真っ赤に燃え上がった。
な、な、なにを言ってるんだ俺は!?
蓮「?どうしたのパパ、顔が真っ赤だよ?おねえちゃんも」
寝ぼけていたとはいえ、不覚・・・。鈴姉の顔を直視できない。
何を考えていたんだ俺のバカ!
鈴「ん、はやく・・・行こう・・・。」
ヤバい。これはヤバい。
康介「あ、・・・うん。ほ、ほら準備するから」
蓮「早くね。おねえちゃん、・・・どうしたの?」
鈴「な、なんでもないよ。む、むこうで待っとこう。」
蓮「うん。」
部屋から出ていく鈴姉と蓮
心臓バクバクだ。鈴姉・・・ハッいかん。とりあえず落ち着こう。
まずは深呼吸、ふう。落ち着いて来た。
取りあえず着替えて出かける準備をした。
さて、
康介「行こうか?」
蓮「行こう!」
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第7問:数学
問 次の問いに答えなさい。
(1)1/√5を有利化しなさい。
《解答》
三浦悠斗の答え
1 × √5 √5
――――――― = ――
√5 × √5 5
教師のコメント
そのとおり正解です。簡単ですよね。
吉井明久の答え
1/√5有利化しました。
教師のコメント
・・・。言葉を失いました。
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☆明久SIDE
寝起きのドタバタを終えて朝食の時間だ。僕の正面にはブサイクもとい雄二が座っている。
明久「雄二、昨日工藤さんから妙な事言われたよ。」
雄二「ん?なんていわれたんだ?」
明久「工藤さんに『脱衣所にはまだ見つかってないカメラが一台残っている』って。」
雄二「なんだと?」
忙しく動いていた雄二の箸の動きがとまった。
明久「怪しいよね。そんなこと知っているなんて、やっぱり彼女が犯人なんじゃないかな?」
秀吉「いや、そうとは限らんじゃろ。」
ムッツリーニ「……わざわざ怪しまれる真似はしない。」
この二人にそう言われるとそんな気がしてくる。
明久「僕らの反応を見てたのしんでいるとか?」
ムッツリーニ「……それはない。工藤愛子はそんなことしない。」
!これは驚いた。
秀吉「まあ、そんなことするようには見えんしのう。それよりムッツリーニ、お主まさか・・・」
ムッツリーニ「(ブンブン)」
激しく首を横に振るムッツリーニ、これは怪しい。
エイミーに好かれておいて今更だが、念入りに策を練ったうえで粛清しなければ。
相手がムッツリーニだしね。ついでに雄二も裁くとしよう。これは忙しくなりそうだ。
明久「でも、これじゃあ、工藤さんが犯人から外れるってことだけで犯人は・・・。」
雄二「いや、ありがたいことがあるぞ。」
秀吉「なにがじゃ?」
雄二「残ってるカメラを調べればすべての女子の着替えが撮影されている可能性が高い。」
明久「雄二、霧島さんのどこが不満なのさ?」
雄二には霧島さんというものがありながら他の女子に手を出すなんて許されない。
やっぱり粛清しないと。
雄二「ち、違うぞ明久、翔子は関係ないだろ!
俺が言いたいのは覗きが成功しても尻にやけどがある犯人が入っていないかもしれないだろうが!」
そうか、そういうことか。
ムッツリーニ「……隠し場所なら五秒で見つける自信がある。」
変態は変態を知るって奴だね。
秀吉「ならば、今にでも取りに行けばよいのではないか?」
ムッツリーニ「……それは無理」
即答するムッツリーニ
明久「どうして?」
ムッツリーニ「時間外だと脱衣所は厳重に施錠されている。」
明久「でも、ムッツリーニなら・・・」
鍵ぐらい開けること造作もないだろうと言いかけたところで、
ムッツリーニ「……機材がない。」
くっ、流石のムッツリーニも道具がなきゃダメか・・・。
雄二「諦めて今まで通りの方法を貫けってことか・・・。」
秀吉「そのようじゃな。」
ふと雄二をみると顔つきがかわっていた。
明久「何か手があるの雄二」
雄二「明久、昨日の敗因は何だったと思う?」
明久「敗因?う~ん・・・女子が半分を防衛に回して来たってことかな?」
向こうが一昨日と同じ戦力なら僕らの勝ちだったはずだ。
雄二「そのとおりだ。そこでこちらも戦力を増強する。」
う~ん、いつものように作戦を提案する雄二だけど
秀吉「む?どうしたのじゃ明久」
明久「いやさ、この作戦、いつもと違う感じがしてさ。
ほら、向こうの戦力が大きいからってこっちの戦力を増やすって言うのが、
イマイチ僕ららしくないというか・・・。」
すると雄二は感心したように頷いた。
雄二「ほぅ、明久も頭が少しは回るようになってきたな。その通り、これには別の目的がある。」
明久「別の目的って?」
雄二「それは俺達の保身だ。」
明久「僕らの身を守る?誰から?」
雄二「いいか、覗きは立派な犯罪だ。
未遂で終わっているから大した問題にはなってないものの、
真犯人が見つからない限り俺達は処分をうけることになる。」
諭すように言う雄二。
なるほど、必死で何も考えてなかったけど、
突破が成功しても真犯人を見つけられなかったら僕らは無罪を証明する手立てがない。
そうなると僕らは『覗き犯』としてのレッテルを一生背負っていくことになる。
明久「でも、増員することがどうして僕らの保身につながるのさ?
僕らはすでに面がわれているんだよ。今更って気もするんだけど。」
雄二「いいか、明久。文月学園は国内はもちろん、世界中からも注目を受けている試験校だ。
そんな学校が一部の人間だけを処分したとなったらどうなる?」
明久「批判される?」
雄二「そうなるな。だから不祥事が起きた場合、ひた隠しにするか、
一人残らず処分するかのどちらかしか選べない。
仮に処分すれば、ただでさえ叩かれている『クラス間の扱いの差』にマイナス要因を増やすだけだからな。」
明久「つまり僕らがFクラスってことを利用するってこと?」
雄二「そういうことだ。人数が増えれば相手の特手は難しくなるし、正面突破も容易くなる。」
流石は雄二だ。
明久「汚いことを考えさせたら右に出る者はいないね。」
雄二「知略に富んでいると言え。」
秀吉「そうなると多くの協力者が必要になるのう。」
雄二「ああ。」
明久「それじゃあ、早速行こうよ。」
ムッツリーニ「……善は急げ。」
雄二「だったら、早く飯を食え。」
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○康介SIDE
康介「で、どこに行くんだ?」
蓮「ここ!」
蓮はそう言ってパンフレットを出してきた。
『南香線 ~撮影マップ~』
・・・
康介「いわゆる列車に乗りたいのか?」
蓮「ダメ?」
ダメとは言わないが・・・
鈴「あ、あのね。ここにもいきたいんだけど。」
さっきの事があったせいかしおらしい鈴姉
!?か、かわ・・・ゲフン、鈴姉は従姉、身内、うん。
康介「ああ、城跡ね。いいんじゃない。」
方向は同じだし丁度、路線の中間だからな。
ま、家に居たら爺ちゃんにこき使われるだろうし、
それに4、5時間の買いものとかと比較すれば良かったかもしれない。
一蔵「どこか行くのか?」
昨日あれだけ酒を飲んでも元気な爺ちゃん、親父も叔父さんも寝込んでいるというのに。
幸子「そこの棚にね、封筒が入ってるからそれ、持っていきなさい。」
婆ちゃんに言われ棚を探ると年季の入った封筒が出てきた。
ええっと、ひい、ふう、みい・・・10万・・・
康介「こんなにいらないから、少し貰って行くよ。」
一蔵「良いから持っていけ。足りんくなったらどうする?」
10万もいらないよ。普通は。
康介「じゃあ、半分持っていくから。」
それでも文句を言う爺ちゃん。まあ、みゆきの父親のこともあったからな。
ここは早く出ていくことが懸命だ。
おそくなりました。