☆明久SIDE
カチッ カチッ
時計の針の音が妙に大きく聞こえる。何だかソワソワして落ち着かない気分だ。
雄二「明久、今更になってジタバタするな。
補充のテストも全て受けたし、写真も回した。
やるべきことは全てやったのだから、あとは何も考えずに戦うだけだ。」
部屋の隅で目を瞑っていた雄二が僕の様子に気がついて声をかけてくれた。
こういう時はコイツの神経の図太さが頼もしい。
秀吉「D・E・Fクラスは昨日に続いて全員参加のようじゃ。
あとはA・B・Cクラスが協力してくれるかどうか、じゃな。」
雄二「まあ、心配しても仕方ないだろう。どうせあと数分でわかることだ。」
ムッツリーニ「……今日こそ借りを返す。」
闘志を燃やすムッツリーニ。
補充テストではすごい勢いで問題を解いていたし、今夜のムッツリーニは一味違う。
すると雄二は開目して、
雄二「さて、最後の打ち合わせをするぞ。」
そう声をかけると部屋の中心にいた僕のところに秀吉とムッツリーニも集まって来た。
雄二「俺たちがいるのは三階だから、
三階・二階・一階・女子風呂前の四ヵ所を突破しないと目的地には辿り着けない。」
部屋の割り振りは三階にE・Fクラス、二回にC・Dクラス、一階にA・Bクラスといった形になっている。
僕らのいる場所は女子風呂から一番遠い。
雄二「三階の敵はE・Fクラスの仲間が抑えてくれる。
二階の敵はDクラスが抑えてくれる手筈になっているが……。」
秀吉「Dクラスだけだと少々厳しいじゃろうな。」
向こうも各クラスの生徒の強さに応じて戦力を配置している。
Cクラス抜きでの二階突破は厳しいだろう。
明久「でも、ここまできたらやるしかないよ。」
雄二「勿論そのつもりだ。それで、二階を突破すると――」
ムッツリーニ「……高橋先生。」
雄二「そうだ。学園主任の高橋女史が率いる一階教師陣だ。
おそらくここには翔子や姫路もいるだろう。」
今回の作戦の大きな課題の一つが、この高橋女史だ。
ここをどうするかで作戦の成否は大きく変わる。
雄二「そんな顔をするな明久。おまえとムッツリーニを通す一瞬の隙は俺が作る。
だが、高橋女史や翔子たちをそのまま足止めにするのは不可能だと思ってくれ。」
コイツがこういうからには僕とムッツリーニは先にいけるのだろうけど・・・
秀吉「じゃが、足止めできねば・・・」
雄二「ああ、明久とムッツリーニは前後を挟まれて終わりだ。作戦は失敗。
俺は翔子に残りの人生を奪われ、明久は変態として生きていくことになる。」
秀吉「作戦が失敗しても大して現状が変わらん気がするのじゃが・・・?」
明久・雄二「「何てこと言うんだ(秀吉)!」」
ムッツリーニ「……事実。諦めが肝心。」
明久・雄二「「諦めてたまるかああぁぁ!!」」
秀吉「まあ、ワシが悪かった。じゃから落ち着くのじゃ。」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
雄二「コホン、俺としたことが。さて続きだ。」
明久「どこからの続きだっけ?」
そう言うとみんなからため息が聞こえた。
雄二「(おまえは本当に・・・)」
微かに雄二がつぶやいた声が聞こえた。
明久「本当に何?」
是非とも続きの言葉が聞きたい。
雄二「お前とムッツリーニを女子風呂の前に送り込んだところからだ。」
素直にそう言ってくれればいいのに。
雄二「いいか、分かっているな?」
ムッチリーニ「……大島先生を倒す。」
明久「僕は鉄人・・・だね。」
これは難題だ。失敗するわけにはいかないし。責任重大だ。
雄二「そうだ。頼むんだぞ。」
ムッツリーニ「……大丈夫、うんまくいく。」
秀吉「じゃな。」
うん。このメンバーならそんな事でも出来る気がする。大丈夫だ。
――ピピッ
どこかで電子音が聞こえた。これは8時を告げる時報。戦闘開始の法螺貝だ。
雄二「・・・よし!てめぇら、気合は入っているか!」
明久・秀吉・ムッツリーニ「「「おうっ!」」」
雄二「女子も教師も、AクラスもFクラスも関係ねぇ!男の底力、とくと見せてやろうじゃねぇか!」
明久・秀吉・ムッツリーニ「「「おうっ!」」」
雄二「これがラストチャンスだ!
俺たち四人から始まったこの騒ぎ、勝利で幕を閉じる以外の結果はありえねぇ!」
明久・秀吉・ムッツリーニ「「「当然だっ!」」」
雄二「強化合宿第四夜・最終決戦、出陣る(でる)ぞっ!」
明久・秀吉・ムッツリーニ「「「よっしゃぁ―――っ!!」」」
強化合宿四日目 二〇〇〇時。
今、覗きを巡る最後の勝負が始まろうとしていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第14問:現代社会
問 以下の問いに答えなさい
『グリーンエネルギー』とは何か答えなさい。
、
(または少ない)エネルギーのこと
《解答》
水谷みゆきの答え
『電気、熱などに変えても有害物質を排出しない又は排出を抑えたエネルギーのこと。』
教師のコメント
はい正解です。
吉井明久の答え
『緑色のエネルギーのこと』
教師のコメント
・・・少しは捻ってください。
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「いたわっ!主犯格四人組よ!」
部屋を出てすぐのところに長谷川先生率いる女子部隊が展開されていた。
どうやら僕らは徹底的にマークされているみたいだ。
「長谷川先生!向こうの四人をやります!」
長谷川「承認します!」
数学のフィールドが展開される。
明久「雄二!」
雄二「任せろ!どうせ雑兵だ。――試獣召喚(サモン)!」
先行してきた女子二名に対して雄二が召喚獣を展開する。
相手はEクラスだし、二ヶ月前ならともかく、今の雄二の敵じゃない。
【数学】
Fクラス 坂本雄二 224点 VS Eクラス 古河あゆみ 83点
源 涼香 97点
雄二「勉強してから出直してきやがれっ!」
「「きゃぁああーっ!」」
雄二の召喚獣が素早い動きで接近しそれぞれに拳を叩き込む。
その圧倒的な点数差にたった一撃で敵を葬り去った。
試召戦争を経験していないEクラスが勝てる相手じゃない。
長谷川「坂本君!待ちなさい!」
倒された女子二名に遅れて長谷川先生が縋ってきた。でも、
須川「長谷川先生。残念ながらここは通しませんよ。」
長谷川先生と僕らの間に割って入ってきたのは、クラスメイトの須川君たちだった。
近藤「坂本!、吉井!、ここは任せて先に行け!試獣召喚(サモン)っ!」
F「「「試獣召喚(サモン)!!!」」」
壁を作るように須川君たちが召喚獣を並べる。
明久「頼むよ!」
須川「任せろ!それより、きちんと鉄人を倒しておけよ!」
近藤「そうじゃないとここを片付けた後で覗きに行けないからな!」
明久「わかってるよ!女子風呂でまた会おう!」
須川君たちに背を向けて廊下を走る僕ら。
後ろからは教師を前に一歩も退かないクラスメイトたつの怒号が響く。
「翔子たん!翔子たん!はぁはぁはぁああっ!!」
「島田のぺったんこぉぉ――っ!」
「姫路さん結婚しましょおーっ!」
全員遣られてしまえ!
秀吉「凄い士気じゃな。これならば三階の制圧は問題なさそうじゃ」
明久「みんなの気持ちが一つになってるからね」
奥側の階段のところまでに配置されていた教師は長谷川先生を含めて四人。
供にした女子を含め、その誰もがEクラスとFクラスの男子に圧されていた。
圧倒的に僕らの優勢だ。
明久「でも、ここから先が勝負だね・・・。」
雄二「そうだな。Dクラスだけで戦っているのか、Cクラスが参戦しているのか。」
ムッツリーニ「……躊躇っている時間はない。」
僕らはスピードを落とさず2Fに下る階段に突入する。
明久「行くよ!」
広めの階段を四人で駆け降りる。二段飛ばしで進み、踊り場を曲がって見えた先には、
「俺たちの邪魔はさせない!試獣召喚(サモン)!」
「先生、覚悟してもらいます!」
布施「き、君たちまで参加していようとは・・・!」
【数学】
化学教師 布施文博 663点 VS Cクラス 黒崎トオル 144点
野口一心 132点
明久「Cクラス!きてくれたんだ!」
僕らが待ち臨んだ援軍の雄姿があった。
雄二「C・Dクラスの野郎ども、協力感謝するっ!
二階は――俺たちの背中はお前らに任せるぞ!」
雄二がC・Dクラスを鼓舞するように声高に叫んだ。
C「協力なんざ、ったりめぇだ!」
C「女子風呂覗かなくて何の為の男でぇっ!」
C「てめぇらこそしくじるんじゃねぇぞ!」
凄い、テンションが上がり過ぎたのかべらんめぇ口調になっている。
明久「あのさ、こういうのって凄く嬉しいよね。」
秀吉「そうじゃな。仲間が増えていく喜びと言うべきじゃろうかの。」
先の試召戦争では拳を交えた相手が教師・女子連合という強大な相手に対して一緒に戦ってくれる。
なんだか感慨深い。
秀吉「だが、仲間だった女子が敵じゃがな・・・。」
明久「そこは気にしない方向で!」
まあ、とりあえず二階もクリア、残る問題は一階と風呂場前だ。
雄二「この先が一番の難関だ。気を引き締めろ!」
明久・秀吉・ムッツリーニ「「「おうっ!」」」
階段を降り、一階に近づく。
「・・・護してくれっ・・・」
「・・・メだ!・・・的過ぎる・・・!」
一階から声が聞こえてくる。
明久「よしっ!これで一階の制圧もうまく――」
雄二「いや、違う!様子がおかしいぞ!」
踊り場で折り返し、階下の様子を見渡す。
するとそこには、教師女子連合軍に押されているBクラス男子の姿があった。
【総合科目】
Aクラス 霧島翔子 4762点 Bクラス 笠井真一 1694点
VS
Fクラス 姫路瑞希 4422点 Bクラス 山本幸太郎 1571点
圧倒的な戦力差に為す術もなく倒されていく。どうして?久保君は?
翔子「………雄二。悪戯はそこまで」
瑞希「明久君、ここは通しませんよ。」
雄二「翔子かっ!」
明久「姫路さん・・・っ!」
地下へと続く階段の手前。
雄二の予想通り、そこには霧島さんと姫路さんという最強のコンビの姿があった。
その周りには打ち倒された召喚獣が死屍累々と転がっている。
周囲を見渡すと離れたところの物理や英語のフィールドで周りを先生と女子たちに囲まれて
身動きが取れなくなっているAクラスの男子たちがいた。
明久「雄二!」
雄二「畜生!随分と用心深い布陣だなっ!」
歯を食い縛る雄二、階段前の向こうの配置を見て雄二が吐き捨てる。
階段の真ん前に高橋先生がいて、先生はそこを動く気配を見せない。
その周囲に姫路さんや霧島さん、他にもAクラスの女子が何人か立っている。
あくまで高橋先生は階段を通過しようとする者を打ち倒すだけみたいだ。
先生があの場所から動かない以上、隙をついての突破は難しい。
明久「(雄二、例の隙を作る方法は?)」
雄二「(それは問題ないが、通過した後、地下で挟み込まれる。
最低でもここの連中を引き付けておく程度の戦力がないと話しにならない。)」
翔子「……雄二。お仕置き」
雄二「くっ!根本バリアーっ!」
根本「さ、坂本っ!折角の協力者にその扱いはあんまりじゃないか!?」
秀吉「しかしどうするのじゃ?根本が持つとは思えん!」
雄二「わかってる。」
僕らが躊躇していると
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○康介SIDE
さみしい・・・。先ほどからにぎやかな声が聞こえている。
Prr,Prr
康介「もしもし?」
ともか『突入しなさい。』
康介「わかっ(ブツッ)た。」
返事を言い終わらないうちに切られた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
☆明久SIDE
【総合科目】
Aクラス 霧島翔子 4762点 VS Bクラス 根本恭二 1931点
Aクラス 霧島翔子 4762点 VS Bクラス 根本恭二 0点
ダメだ。霧島さんの召喚獣は格が違いすぎる。
Bクラス代表の根本君ですら一撃で葬られるなんて。
瑞希「明久君、おとなしく降参してください。」
姫路さんは召喚獣を従えてゆっくりと僕の方に歩み寄って来た。
近くでは雄二も霧島に追い詰められている。
翔子「……雄二、覚悟。」
雄二「・・・・・」
くぅうう、これが現実なのか・・・。
秀吉「明久!ここはワシが!」
僕をかばおうと前に出る秀吉、だけど姫路さんを前にしたら何秒持つか・・・
瑞希「明久君、降参・・・。」
ん?どうしたんだろう。ふと後ろを見ると
久保「やあ、済まないねえ吉井君。後は僕らが相手をするから早く行くんだ!」
明久「久保君!」
ともか「行くんでしょ?手伝うわ!」
悠斗「康介も来たし、形勢を逆転させるか?」
エイミー「師匠たチの名誉ヲ取り戻シに!」
さくら「お手伝いします!」
生野さんに悠斗、水谷さん、エイミー、秋月さん、木下さん、
明久「どうして?」
優子「誤解を解きに行くんでしょ?」
みゆき「私たちみんな吉井君たちの味方よ。」
涙が出そうだ。
そして雄二の召喚獣を守る康介の召喚獣の姿があった。
康介「よう!」
明久「康介!」
雄二「フハハハハ、行ける、行けるぞ!――」
突然笑い出した雄二、そして
雄二「行くぞ!テメェら!」
「「「「「「「おうっ!」」」」」」
そこにはさっきまでの敗走感は全くない。
僕らの士気は最高潮に達した。
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