問 次の言葉を正しい英語に直しなさい。
『ハートフル ラブストーリー』
《解答》
姫路瑞希の答え
『heartfull love story』
教師のコメント
正解です。映画や本の謳い文句によく見かける単語ですが、
たまにheartの部分を間違える人がいます。
身近にある英語なのですが、意外とわかり難いようですね。
ちなみに日本語に訳すと、『愛に満ちた恋物語』となります。
是非そのような青春を皆で過ごしてもらいたいと思います。
島田美波の答え
『hurt full rough story』
教師のコメント
・hurt = 怪我
・full = 一杯の
・rough = 荒っぽい
・story = 物語
意図的に間違えたのではないかと思う程綺麗に間違えてますね。
そのようなハートフルストーリーを演じるのは、貴女だけだと思います。
霧島翔子の答え
『hurt full rough story』
教師のコメント
まさかもう一人いるとは
第1話バカテスト英語:戦争前事1
○康介SIDE
休み明け、今日から学校だ。
久しぶりに早起きして眠くて眠くて仕方がない。
なんか遊び過ぎた感がすごいあるけど。
悠斗に至っては巨大ゴキブリ事件で階段から落下、手の突きどころが悪く『ひび』という結果だ。
そして俺は現在せわしなく朝食と弁当を作っている。
福原「おはようございます。」
いつもならぼさぼさの寝ぐせなのに今日はピシッとスーツを着ている福原先生
康介「あ、朝食食べやすいようにおにぎりにしておきましたから。」
福原「ありがとうございます。それじゃあ、二日間留守にしますので頼みましたよ。」
康介「任せてください。」
福原「それと、三沢君が私の代わりに来ますので。」
・・・
康介「わかりました。」
福原「ハ、ハ、ハ、そう露骨そうに嫌な顔をしては可哀想ですよ。
ああ、あと彼には205号室の方を使わせてください。」
いや、先生もされげなく・・・いや、まあ。
福原「それじゃ。」
康介「いってらしゃい。」
福原先生を見送った後、生野、みゆき、エイミー、さくら、悠斗が起きてきた。
生野、悠斗、さくら、エイミーが先に学校に行ったあと、朝食を頂こうと明久が乱入。
そして、
康介「じゃ、行くぞ~。」
明久「あ、うん。」
みゆき「少し早いような。」
康介「眠いんだ。このままここに居たら寝ちまうよ。」
玄関の扉を開け、学校に向かって歩く。
みゆき「どうしたの?」
康介「いや、何でもない。」
おかしいな。そろそろ奴が出てきても良い所なのに
眠たいながら警戒しつつ学校に行くと島田が校門の前にいた。
誰かを待っているような感じだ。
俺達が校門に近づき
康介「よお~。」
みゆき「おはよう美波・・・?」
おかしいな。返事くらいしても、
康介「どうした?」
後ろを向くと
明久と島田の唇が重なって・・・サッと離れて
美波「そ、その・・・冗談じゃ、ないから・・・っ!」
・・・マジか!マジデスか!
みゆき「だ、大胆・・・」
みゆきは顔を赤くして明久と島田を交互に見ている。
島田は猛ダッシュで
ん?
フラッシュを切りまくる見慣れた人、もとい警戒していた人がいた。
土井「いい!いいわぁ!これは売れる!」
・・・
木の上から望遠レンズ構えている不審人物がいた。
康介「何やってるですか?」
パシャッ・・・手でレンズを鷲頭加味にする。
土井「何すんのよもう!」
康介「それはこっちのセリフです。かってに写さないでください!」
土井「報道の自由ってしってますぅぅうう?」
イラッとするもの言いだな
康介「アンタのしていることは法律に振れているでしょ!」
土井「ジャーナリストは常に刑務所の壁の上を歩く覚悟!」
康介「アンタはもう刑務所の敷地内を歩いているよ!」
土井「そして、圧力をかけられても真実を報道する覚悟!」
康介「いや、アンタは脚色された虚実の報道をしているだろうが!」
土井「はぁぁあ。」
ブチッ、な、何なんだ今の溜息は
土井「これだからお子ちゃまは・・・」
体を使ってやれやれとジェスチャーする。
ブチブチブチ、
土井「世の中真実で報道されていることなんてあるはず無いでしょう。
そう!脚色!脚色!脚色!脚色こそジャーナリストの命!」
拳を作りポーズを決める似非記者
康介「真実を報道しているジャーナリストに謝れ!」
マズい。寝不足なのにテンションを上げたからフラフラだ。
土井「おやぁ?」
?
あれは姫路、・・・うわぁ二嵐ぐらいきそうだな。
パシャッ、パシャッ、パシャッ、
土井「こ、これは売れる!あの表情!儚げな!実にいい!」
バスッ
!!??
土井「な、何を!」
カメラをはたき落とし、さらにメモリーカードを引き抜く。
後はカメラ本体のリセットボタンを押して、
康介「ほい。」
カメラを渡す。
三度も嵐に来られたら溜まったものではない。
土井「!!!なんてことを!」
康介「因果応報だ。サイナラ~」
ああ、眠い。もう駄目だ。早く、畳で寝たい。
土井「くぅう!!」
暫くは気を付けておかないと。
――――――――――――――――――――――――――――――
△雄二SIDE
翔子「……雄二。」
雄二「なん――どわぁっ!?いきなりなにしやがる!?」
翔子「……避けちゃダメ。」
雄二「頭突きが来たら避けるに決まってるだろうが!」
翔子「……頭突きじゃない。」
雄二「? じゃあなんだ? ヘッドバットか?」
翔子「……キス。」
雄二「よし。余計な動きは見せるな。
手を頭の後ろに組んでからゆっくりとわかりやすく説明するんだ。」
翔子「……口づけのこと。
将来を約束した私と雄二がする当然の行為、接吻とも言う。」
雄二「待て。俺が言ったのはキスを知らないって意味じゃない。
どうしていきなりそんなことをぐぁああっ!」
翔子「……知っているって、誰と、いつ、どこでしたの!!」
雄二「ち、違う!
キスを知っているっていうのは意味を知っているだけで経験があるというわけでは――。」
翔子「……ないの?」
雄二「――ないとも言い切れなぎゃぁああっ!嘘だっ!見栄を張っただけで、まともな経験は一度もないっ!」
翔子「……そう。それならいいけど。」
雄二「し、死ぬかと思った・・・。んで、なんで急にそんなこと言い出したんだ?」
翔子「……あれ」
雄二「うん?あれは明久と島田か?よく見えないが・・・島田が走り去っていったな。」
翔子「……さっきまでキスをしていた。」
雄二「マジでか!?って、取り残された明久のヤツ、クラスの連中に囲まれ始めたぞ。」
翔子「……凄い殺気。」
雄二「お、ナイスボディ。顎にもいいのが入ったな。流石に多勢に無勢か。」
翔子「……動かなくなった。」
雄二「やれやれ。明久も相変わらずバカだな。
あいつらはたとえキス程度であろうともソッチの経験者には容赦がないと有名だというのに。」
翔子「……ごめんなさい。」
雄二「うん?どうした?なぜ謝る?別に俺はしたことがないから大丈夫だぞ?」
翔子「……実は雄二が寝てる間に――」
雄二「聞こえねぇ!俺には全くサッパリなんにも聞こえねぇ!」
翔子「――大丈夫。責任は取るから。」
雄二「そういう問題じゃねぇだろ!?――ハッ!殺気ぎゃぁ
ああっ!」
「異端者を発見、確保しました。」
須川「よし、連れて行け。」
「はいっ!須川会長!」
翔子「……あ・・・雄二・・・。」
須川「審問会の準備は?」
「抜かりなく。」
須川「ご苦労。これより臨時異端審問会を行うぞ!全員獲物を点検を怠るな!」
「「「はいっ!須川会長!」」」
翔子「……どうしよう。寝返りのせいで頬にしかしてないって、言いぞびれた・・・。」
――――――――――――――――――――――――――――――――
☆明久SIDE
美波「アキ、目をつむりなさいっ!」
それは唐突だった。
目の前には長く揃ったまつ毛に大きな瞳、
馬の尻尾のようにまとめられて綺麗な神からはほのかにシャンプーの香りがして・・・
そして、僕の唇には――柔らかくて温かい。
美波の唇の感触が伝わって来た。
なんだろう。
何が起きているんだろう。どうして美波の顔がこんなに近くにあるのだろう。
どうして僕はこんなに頭がぼうっとしているのだろう。
何もわからないでいると、美波は弾かれたように僕から離れて、
美波「そ、その・・・冗談じゃ、ないから・・・っ!」
そんな一言を告げて走り去ってしまった。
あはは、美波、随分と顔が赤かったな。まるでトマトみたいだ。
妙に冷静で俯瞰的にこの状況を捉えている自分が居る。
瑞希「美波ちゃん・・・やっぱり、明久君のことが・・・」
近くで呟く姫路さんの声が妙に気になった。
「吉井、歯をくいしばれっ!」
そして、その後のそれも全くの不意打ちだった。
目の前には固く握りしめられた大きな拳。
馬の疾走のように素早い踏み込みと細められた瞳からは明らかな殺意の香りがして、
そして、僕の頬には――固くて暑苦しい、須川君の拳の感触が伝わって来た。
周りを見ると
どうして、須川君やFクラスの皆は得物を構えているんだろう。
どうして、僕はこんなに視界がグラグラするんだろう。
須川「そ、その・・・冗談じゃ、ないから・・・っ!・・・本気でコロス。」
手を挙げて周りの皆に合図を出した。
明久「え!?え!?待って待って!僕にも事情が分から――ぎゃぁああっ!」
今までにない殺気だ。なんだか全員本気の目をしているような!?
瑞希「美波ちゃん・・・やっぱり、明久君のことが・・・。」
明久「いや姫路さん!それはもういいから!取りあえず助け――っ!」
と、そこで僕の意識は闇に落ちていった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
須川「諸君!ここはどこだ?」
「「「最後の審判を下す法廷だ!!!」」」
須川「異端者には?」
「「「死の鉄槌を!!!」」」
須川「男とは?」
「「「愛を捨て哀に生きるもの!!!」」」
須川「宜しい、これより――二-F異端審問会を開催する!」
目を覚ますとそこはサバトの会場だった。
明久「え?あれ?どういうこと?」
暗幕が引かれていてよく見えないけど、畳の感触からここが僕らの教室だという事はわかる。
ということは、教壇のあたりで覆面姿で騒いでいるのはFクラスの皆なんだろうか。
雄二「起きたか明久。」
近くから聞きなれた声がした。
僕はそちらに体を向けようとして、初めて自分の手足が縛られていることに気付いた。
仕方がないので体全体で転がるようにして声の主の方を向く。
すると、僕と同じように手足を縛られている悪友の姿があった。
明久「・・・雄二、何やってんの?」
雄二「・・・お前の巻き添えだ。それにムッツリーニもいる。」
忌々しげに野性味たっぷりの顔をしかめて吐き捨てる。
まさに檻に繋がれた野獣といった感じだ。そして、その奥にはとらわれた下手人のごとく転がっている。
明久「巻き添えって?」
雄二「お前の所為で『寝ている間に翔子にキスされた』って話があいつらにバレたんだ。
とんだ迷惑だ。畜生!」
明久「それでムッツリーニは?」
ムッツリーニ「……ブッシャァアアッツ!!」
明久「え、何?どうしたのさ?」
雄二「工藤とエイミーからキスされたことがバレて捕まったらしい。」
ふむふむ、霧島さんが雄二にキス。工藤さんとエイミーがムッツリーニにキス
なるほど、
明久「皆、大変だ!坂本雄二と土屋康太に異端者の疑いがある!至急異端審問会の準備を始めるんだ!」
雄二「待て明久!
お前、如月グランドパークの一件ではむしろキスをさせようとしていなかったか!?
お前こそが異端者だろうが!」
ムッツリーニ「……(コクコク)」
雄二がわけのわからないことをほざいている。僕が異端者だって?
明久「見苦しいぞ、雄二!
そうやって謂れない疑いを僕にかけて自分の身を護ろうって魂胆だな!
その手は食らうもんか!」
ムッツリーニ「……事実。」
冗談じゃない!
この世に生を受けて十六年、自慢じゃ無いが、キスなんて僕には全くないっ!
まあ、頬にしてもらったことはあるけど・・・。
雄二「こ、この大バカ野郎が!
信じられないのならあいつらの言っていることを聞いてみろ!」
合点はいかないけど、とりあえず雄二の言う通り耳を研ぎ澄ませてみた。
すると、聞こえてくるのはクラスメイトたちの妙な会話だった。
須川「――罪状を読み上げたまえ。」
「はっ、須川会長。えー、被告、吉井明久(以下、この者を甲とする。)
は我が文月学園第二学園Fクラスの生徒であり、この者は我らが教理に反した疑いがある。
甲の罪状は強制猥褻及び背信行為である。
本日未明、甲が同Fクラスの女子生徒である島田美波(以下、この者をペッタンコとする。)
に対して強制的に猥褻行為を働いていたところ・・・」
バンッ、突如机を叩いて立ち上がる須川君
須川「御託は良い。結論を述べよ。」
「はっ、キスをしていたので羨ましいであります!」
須川「うむ。」
え?あれ?キス?なんだろう。そういえば、何かそんな記憶があるような無いような・・・。
雄二「明久、あまりのショックに記憶が飛んでいるようだがら教えてやる。
おまえは今朝、島田とキスをしたんだ。それも姫路の目の前でな。」
雄二が僕に言い聞かせるように告げる。
キス、美波と僕がキス。そういわれると本当に美波とキスをしたような気になってくる。
でも、そんなことはありえない。
明久「ははっ、冗談はよしてよ雄二!だって、あの美波が僕なんかにキスするわけじゃないか。」
僕だってある程度は自分の格ってものを知っているつもりだ。
部活に打ち込むわけでもなく、何か取り柄があるわけでもない。
ムッツリーニ「……自分を卑下するな。」
雄二「そうだぞ、確かにお前は容姿学力性格が最低だが、
それらに目を瞑れば甲斐性と財力が皆無というだけじゃないか。」
明久「この野郎!言うに事欠いて僕の取り柄は肩たたきだけだと!?」
雄二「そ、その歳で肩たたき!?反論するにしても他に何か取り柄はなかったのか!?」
ムッツリーニ「……驚愕」
コイツらはバカにするにもほどがある。
明久「そういう雄二は霧島さんのペットじゃないか!」
雄二「いつ俺が翔子のペットになった!?」
そこにムッツリーニが
ムッツリーニ「……コレ。」
器用に渡してきた写真は
緊縛(きんばく)されている雄二。
明久「・・・」
雄二「・・・」
明久「・・・」
雄二「・・・」
ムッツリーニ「……お次はコレ」
差し出されたもう一枚の写真には、僕に似た男の子が美波によく似た女の子とキスしているところが写っていた。
って!コレはどう見ても僕と美波のキスシーンだ。
明久「えぇっ!?これホント!?アレは夢じゃなかったの!?」
雄二「夢だったなら今こうして縛られるようなことはないんだがな。」
明久「そ、そっか。それでこんなことになっているのか・・・。」
うっすらとそんな記憶はあるんだけど、まさか本当のことだったなんて・・・。
僕と美波がキス、が・・・。
雄二「耳まで真っ赤になっているところ悪いんだが、質問がある。」
明久「ち、ちがっ・・・!これは、その、顔が熱いだけで・・・!」
雄二「わかったわかった。んで、どうしてお前らはそんなことになったんだ?」
ムッツリーニ「……気になる。」
どうして、って・・・。
明久「そんなの、僕が聞きたいよ。」
美波が急にあんなことをした理由なんて、見当もつかない。誰かに脅されたとか、
僕を罠にハメるためとか、そういった理由だろうか。
雄二「そのスポンジのような頭でよく考えてみろ。」
明久「う~ん・・・。」
ムッツリーニ「……最後に会ったのはいつ?」
明久「今朝だけど。」
雄二「今朝以外でだ!」
明久「ええっと・・・強化合宿の最後の夜かな?」
雄二「最後の夜?」
明久「うん、皆が寝静まった後、美波がこっそり僕のところに来たんだよ。
って雄二は霧島さんを襲っていたじゃないか!」
雄二「襲っていたのは翔子だろ!
コホン、そうかあの時か。にしてもお前はなぜそれを可笑しいとは思わないんだ?」
雄二が呆れ顔になっている。
明久「いや、だって、僕を殺しに来たものだと・・・」
雄二「はあぁあ、じゃあ、夜に会う前には何をした?」
会う前となるとやっぱりあのメールか・・・
【もちろん好きだからに決まっているじゃないか!雄二なんかよりずっど!】
明久「告白みたいなこと言ってた。」
雄二「・・・は?島田がお前にか?」
明久「いや、僕が美波に。」
雄二「思いっきりあるじゃねぇえかぁあ!!」
明久「グハッ!!――」
僕の顔面に雄二の上履きがめり込んだ。
そして、ムッツリーニの頭突きがみぞおちに
明久「――・・・っ!顔が・・・っ!お腹が・・・っ!」
雄二「なにが『わからない』だ!思い当たる節だらけじゃねぇえか!」
ムッツリーニ「……いいかげんにしろ。」
のたうち回る僕を雄二とムッツリーニがまるで馬鹿を見るような目で見ている。
くそぉっ!
雄二「んで、何ていったんだ?」
明久「雄二より好きだって。」
雄二「待て!お前の好きの比較基準は俺なのか!?」
雄二が心底嫌そうな顔をして僕から距離をとる。もの凄い誤解だ。
例え僕が同性愛に目覚めたとしても雄二だけはお断りだというこの気持ちをどうやって伝えたらいいのか考えていると、
怪しげな集会の主催者らしき人物(おそらく須川君)がこちらを見ていた。
須川?「異端者吉井明久、汝は自らの罪を改めさばきを受け入れるか?」
神妙な声で僕の返事をまつ須川君(?)。
これは迂闊な返事をしたら命にかかわりそうだ。
明久「あのさ、返事をする前に質問があるんだけど。」
須川?「聞いてやろう。」
明久「裁きって何をするの?」
そう聞くと須川君(仮)はわずかに目を細めて僕に告げた。
須川?「まず、灯油とライターを用意して――」
明久「ぬ、濡れ衣です!僕ほど協議に準ずる信徒はいません!」
こんがり焼かれてたまるか!
須川?「そうか。ならば、自白を強要するまでだ。」
明久「言った!今いきなり『自白の強要』って言ったよ!?この裁判は向田!」
「そうだ!自白を強要しろ!」
「議事録を改ざんしろ!」
明久「ねぇちょっと!皆ノリで言っていない!?
普通こういう時は自白の強要が事実だと認めちゃいけないと思うんだけど!」
「ええい!灯油とライターの用意はまだか!」
明久「自白させる拷問もそれなの!?要するにどっちも処刑だよね!?」
「違うぞ吉井、罪を認めない場合は自白用と断罪用の二回があるから、一回分お得なんだぞ。」
明久「だ、騙されないぞ!そんな洗顔フォームの増量みたいな売り文句を言われても僕は騙されない!」
大体、灯油とライターを使っている時点で二度目は無いと思う。
明久「雄二、ムッツリーニも何か反論しなよ!このままじゃ僕らは焼死体だよ!?」
雄二「いいか、明久。ヨーロッパで行なわれた『魔女狩り』は疑われた時点で死が決まっていたんだ。」
明久「雄二!なんでそういう事言うのさ!」
ムッツリーニ「……弁解の余地は一階も与えられなかった。」
明久「どうしてそんな事言うのさ雄二にムッツリィーニ!
ってか、雄二、ムッツリーニもだよね。」
雄二「だから、覚悟を決めろ明久。」
明久「雄二・・・。」
いつもになく真剣な顔の雄二とムッツリーニ、バカな!こいつらが覚悟を決めているだと!
ムッツリーニ「……だから、コイツだけをやってくれ。」
ん?・・・
明久「ちょっと待て雄二、ムッツリーニ!それは僕だけ処刑されることになるじゃないか!このゲス野郎共!」
自分らは覚悟を決めているみたいな言い方をして僕だけを犠牲にしようだなんて!
須川「男らしいじゃないか坂本、土屋、わかった。いいだろう、御望み通り吉井を殺ってやる。」
ええぇええ!?
明久「ちょっと待ってよ須川君!こおままだと被害者は僕だけということに!」
声の限りに叫んでみるけど、盛り上がった雰囲気は収まる気配を見せない。
須川「静粛に!皆、静粛に!」
あたりが静まると、
須川「コホン、灯油の手配が遅れているようなので、ここはひとまず吉井に『特別バンジージャンプ』をやらせてみようと思う。」
須川君がそう言うとあたりから歓喜の声が聞こえた。
何て連中だ!というか『特別バンジージャンプ』には死香りがする。
明久「その、『特別バンジージャンプ』ってどんなものなの?」
須川「そうだな・・・、多くを説明すると余計な不安を与えかねないから、ヒントしか言えないが――」
須川君が閉ざされた窓を見るように顔を背ける。
須川「――パラシュートのないスカイダイビング、とだけ言っておこうか。」
人はそれを死刑と呼ぶ。
明久「余計な不安も何もヒントだけでまるわかりだよ!紐なし!?
紐なしのバンジージャンプをやらせる気!?」
ヤバい!マジでヤバい!
周囲に使えそうなものを探していると
雄二「(明久)」
明久「(え?何?)」
雄二「(コレを使え。)」
須川君の目を盗んで雄二が渡して来た。
明久「雄二、ありがとう・・・。」
何だかんだ言いながらも僕のピンチを救ってくれる悪友に感謝しながら渡されたものを確認する。
・・・コレは、輪ゴム。
雄二「足に巻き付けるといい。」
自信満々に告げる雄二、
・・・ああそうか。コイツは脳に重大な疾患を抱えているんだ。
明久「あのね雄二、嬉しいんだけど・・・これじゃあ人の体は支えられないんだよ。」
ちぎれて終わりだ。
障害を抱えてしまった悪友に説明してあげる。
けど、雄二は不敵な笑みを浮かべて
雄二「バカだな明久、それだけじゃないさ。」
明久「え?そうなの?」
なんだ。これだけじゃなかったのか。ってそりゃそうだよね。
いくら雄二でもそれくらいはわかっている・・・
雄二「もう一本用意してある。」
自信満々に渡してくる雄二。
もう、ダメだ。現代医学じゃ治せないほど末期なんだろう。
明久「あのね、本数の問題じゃないと思うんだけど。」
そうやって頭に障害を負ってしまった悪友に心を痛めていると、
鉄人「・・・お前たちは何をやっているんだ。」
鉄人が額に手を当てて溜息をついていた。
明久「あれ?福原先生は?」
鉄人「ああ、福原先生は出張で空けているため俺がかわりにやって来た。」
なるほど、丁度いい!
明久「助けてください!校内暴力です!クラスメイトのいじめなんです。」
須川「違います!これは学内の風紀を守る為の聖戦です!」
「吉井は不純異性交遊の現行犯なんです!」
すると鉄人はさらに呆れて
鉄人「あー・・・。何でもいいが、お前たちは点数補充のテストは受けなくてもいいのか?
点数がほとんど残っていないのだろう?」
鉄人が言っているのは回復試験の申請の事だ。
通常の授業時間にテストを受けたい場合は事前に申請する必要がある。
「「「今はそれどころじゃありません!」」」
僕もそうだ。僕の行く末の方がよっぽど重要だ。
鉄人「やれやれ、お前らがそう言うなら構わんが・・・。
取りあえず連絡事項だが、本日で終了する予定だった試験召喚システムのメンテナンスが遅れている。
教師も動員しているが明日までに終わりそうにない。
もちろん、その間は試験召喚戦争が出来ないので注意するように、以上だ。」
鉄人が何やらごちゃごちゃ言ってから出てこうとしている。
明久「待ってください!可愛い生徒が殺されます!」
すると鉄人は振り返って
鉄人「吉井、それに坂本、土屋、貴様らは一度ひどい目に合うべきだ。」
そして扉を閉めて行く鉄人、
明久「ま、待って!」
「吉井!抵抗するな!往生際が悪いぞ!」
明久「くそっ!誰か、助け――そうだっ!姫路さんは!?やさしい姫路さんなら・・・」
薄暗い教室の中を見回して姫路さんの姿を探す。
見つけた!これだけの騒ぎにかかわらず静かに座っている。
出来るだけ大きな声を出して
明久「お願い!姫路さん!僕を助けて!」
けど、姫路さんは僕の声が聞こえていないのか、ぼうっとした様子で何かを呟いていた。
瑞希「美波ちゃん・・・やっぱり、明久君のことが・・・。」
明久「ええっ!!まだそれやってるの!?」
康介も見当たらないってことは向こうの人間か。
――――――――――――――――――――――――――――――
○康介SIDE
あれ、みゆきは・・・先に行ったのか。
秀吉「康介!」
名前を呼ばれた方を振り向く。
秀吉「おはようじゃ康介。」
康介「秀吉か。」
そんな時、『キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン、キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン』
あちゃあ、なちゃったか。
秀吉「急ぐかの。」
康介「おお。」
――――――――――――――――――――――――――――――
☆明久SIDE
水谷さんもエイミーもいない。
須川「さて、吉井、時間だ。何か言い残すことは無いか?」
ジリジリと近づいて来る須川君と皆。
万策尽きたか、と腹をくくったその時、
三つの光が・・・
秀吉「こ、これは一体何事じゃ!」
エイミー「こ、怖いです。」
康介「おお、暗室みたいで寝やすそうだな~。」
一つの光だけだった。
それでも、
明久「秀吉!助けて!」
「木下、邪魔してくれるな。我々は異端者の処刑を行うところなんだ。」
秀吉「そうじゃったのか。しかし、雄二やムッツリーニはわからんでもないが明久は何をしたのじゃ?」
須川「よく聞いてくれたな木下、
異端者 吉井明久は我等が聖域、文月学園敷地内で
朝っぱらから島田美波と接吻などという不埒な真似を・・・」
その時、
ガラッ
秀吉たちが入って来た扉とは別の扉が開いた。
現れたのは水谷さんと耳まで真っ赤になった顔を俯けて足早に自分の席に向かう女子生徒。
噂をすればなんとやら、丁度今名前を呼ばれた島田美波その人だ。
「「「「「・・・・・・」」」」」
教室内が水を打ったように静まり返る。
いつもと違うこの妙な雰囲気に、クラスの誰もが言葉を発せずにいた。
そんな時、
三沢「よ~し、お前ら布施センの代わりに俺が化学やってやるから感謝しろ・・・ん、お前ら、何かあったのか?」
デリカシーのかけらもない三沢先生が重い空気をぶち壊して侵入してきた。