放課後、雄二、秀吉、ムッツリーニ、エイミーたちと教室で別れ、
みゆきと図書館の前で別れ、久しぶりに写真部の部室に向かう。
康介「お久しぶりです。」
写真部部室の扉を開ける。
ちひろ「ほんと久しぶりよ。」
あれ?怒ってる。というか部長と花見は?
康介「何怒ってるんですか?」
すると、バンッと机に手をついて
ちひろ「何も怒ってないわよ!」
恐っ!
康介「あ、あの・・・。」
ちひろ「なに?」
そう言って睨みつける。
康介「何かあったんですか?」
ちひろ「・・・別に・・・何でもないわよ。」
・・・
康介「そう言えば部長と花見は?」
ちひろ「ことりは用事よ。そしてあのバカは・・・――」
部長がどうしたんだろうか?
ちひろ「――あのバカはクラスのバカと一緒に合コンに行ったわよ!」
そう言うと部活動日誌を引き裂かんごとく引っ張る。
康介「まあ、まあ。」
・・・うまくいくとは思えないんだけど
ちひろ「それも市立の女子とよ!」
・・・
康介「市立って文月台の方にある・・・?」
ちひろ「そうよ。大方可愛い子が目当てなんだろうけど!
まあ、多分失敗するんでしょうけど!
部活を放り出して、何やってるのよ!」
康介「すみません、胸倉掴むの止めてもらえるとうれしいんですけど・・・。」
これはマズい。随分とオキレになられていらっしゃるご様子で・・・。
ちひろ「そうね。ごめんなさい。」
ふう。ここで、『森下さんは馬場部長が別の女子に取られるのが嫌なんですね。』
なんて言ったら俺は間違いなく消し炭にされる。
康介「まあ、部長なら200パーセント失敗でしょ。」
そう言うと、森下さんの若干顔が晴れた。
ちひろ「そ、そうよね。」
康介「どう考えてもそうでしょう。」
ちひろ「そうだったわね。」
はあ、これでなんとかなったか・・・。
康介「んで、どうするんです?帰りますか?」
ちひろ「まあ、そ、そうね・・・。」
荷物を持ち部室を出ようとするちひろさん。
俺もここに居ても仕方がない。
康介「鍵返しときます。」
ちひろ「まかせるわ。」
途中でちひろさんと別れて鍵を職員室に返して、Fクラスに向かう。
皆はまだ残っているだろうか?
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第12問:英語
問 以下の英文の( )に単語を入れて正しい文章を作り、訳しなさい。
『She( )a bus.』
《解答》
姫路瑞希の答え
『She(took)a bus.
訳:彼女はバスに乗りました。』
教師のコメント
正解です。他に"bus"に使われる単語としては"get"などがありますね。
吉井明久の答え
『She(is)a bus.』
教師のコメント
なんて訳すのでしょうか。
一見文章として正しく見えそうですが、明らかに間違いです。
日本語として訳せないような文章を書くようではまだまだ――
土屋康太の答え
『訳:彼女はブスです。』
教師のコメント
・・・目から鱗が落ちました。
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☆明久SIDE
明久「うぅ・・・。今日も酷い目に遭った・・・。」
鉄人による補習もやっと終わり、あとは家に帰るだけだ。
もう放課後で人影も少ない。きっと皆も帰っているんだろう。
姫路さんは用事があるって言ってたし、
他の皆は僕の補習が終わるのを待っているとは思えない。
とぼとぼとFクラスに向けて歩いていく。
康介「よお、明久。」
ふと後ろから聞きなれた声がした。
明久「康介!」
康介「服役ごくろう。」
明久「地獄だったよ。」
冗談交じりだけど、ねぎらってくれることはありがたい。
康介「それじゃあ、荷物を取ってさっさと帰ろうぜ?」
明久「そうだね。」
Fクラスの扉を開ける。さて、――ってあれ?
明久「あれ?皆、まだ帰ってなかったの?」
教室の中にはいつものメンバー、雄二と秀吉とムッツリーニ、エイミーが残っていた。
何だろう。なにか用事でもあったんだろうか。
康介「明久を待っていたのか?」
雄二「ああ、ちょっと気になる事があったからな。」
明久「気になること?」
雄二が妙に楽しそうな笑みを浮かべている。
秀吉「うむ。何でも、ムッツリーニが面白いものを聞かせてくれるらしいのじゃ。」
その隣では秀吉も満面の笑みを浮かべていた。すごく楽しそうだ。
康介「ほう、それは面白そうだ。ぜひ、俺も同席して構わないな?」
エイミー「もちろンデすヨね!」
ムッツリーニ「……(コクリ)」
同じようにエイミーをはじめ、ムッツリーニまで笑っている。
ムッツリーニが卓袱台の上にお馴染みの小型レコーダーを置く。
明久「面白いものねぇ・・・。」
雄二「まだムッツリーニも詳しい中身は聞いていないようだが、
面白いことは間違いないらしい。」
ムッツリーニ「……保証する。」
自信満々に頷くムッツリーニ。
コイツがそこまで言うのだから、余程面白いものなんだろう。
明久「ねぇ、中身は何かな?」
エイミー「とアル男女ノ会話らしイデス!」
明久「男女の会話・・・?」
誰かの告白シーンとかだろうか。それとも痴話喧嘩?
どっちにしろ、このメンバーはそんな悪趣味は持ち合わせていなかったと思うけど・・・。
秀吉「ワシらが気になっていた一件の顛末がよくわかる会話じゃ。」
明久「え・・・?」
ここにきて、僕は初めて違和感に気付いた。おかしい。何かがおかしい。
そして僕の第六感が何かを知らせている気がする。
ムッツリーニ「……スタート。」
制止もできず、ムッツリーニがレコーダーのスイッチを入れると、
しばらくしてレコーダーからは聞き覚えのある声が聞こえてきた。
美春『この話し合いに何の目的があったのかは知りませんが、
美春はもう貴方を恋敵として認めるような事はありません。
お姉さまの魅力に気付かず、同性として扱うだけの豚野郎に嫉妬するなんて、
時間の無駄ですから。・・・お姉さまの魅力がわかるのは美春だけです。』
康介「清水か?」
秀吉「うむ、そのようじゃな。」
清水さんの声か。
清水さんは美波が好きなはずなのに、男女の会話ってどういうことなんだろう?
美春『・・・何です?美春に何か言いたいことでもあるんですか?』
清水さんの声が続く。
けど・・・あれ?
この会話、どっかで聞いた事があるような・・・?
明久「って、ちょ、ちょっと待って!この会話ってまさか!」
雄二「ご名答。これは、お前と清水が昨日の放課後に何を話していたのか、その一部始終を録音した物だ」
雄二がどことなく、どころか明らかに邪悪な笑みを浮かべて僕を見ている。
明久『うん。一つだけ。清水さんの誤解を解いておきたいんだ。』
美春『誤解?何がです?
お姉さまと付き合っているのが演技だという話なら既に知っていますけど?』
聞こえてくるのは、清水さんの声と――僕の声。
明久「ちょちょちょちょっと!なんて物を再生してくれてるのさ!?
冗談じゃない!早く止め――」
雄二「やれ。」
雄二の指示で秀吉、康介が動く。
左右から挟まれ犯罪者よろしく、抑えつけられて畳に伏せさせられた。
ヤバいって!早く止めないと!
明久『いや、そうじゃなくて・・・
その・・・美波の魅力を知っているのはキミだけじゃないってコト。』
明久「くっ!は、放してよ二人ともっ!これだけは本当にダメなんだ!」
秀吉「ふっふっふ。そうはいかんのじゃ。」
康介「物事にはなんでも諦めが肝心だ。」
くっ、身動きが取れない!ひぃぃ!
エイミー「堪忍するデス!」
くそう!
美春『何を言ってるんですかっ!
いつもお姉さまに悪口ばかり言って、女の子として大切に扱おうともしないで!』
明久『うん。それは清水さんの言う通りかもしれない。』
美春『だったら、お姉さまの魅力の何を知っていると言うんです!』
明久『確かにお姫様みたいに扱っているわけじゃない。
男友達に接するみたいに雑な態度になっているかもしれない。けどね――』
僕の気持ちも知らず、レコーダーはどんどん会話を進めていく。
ええいっ!こうなったら恥も外聞も捨ててやる。
明久「わーっ!わーっ!聞くなーっ!!流すなーっ!!」
雄二「うるさいな。少し黙ってろ。」
明久「むぐっ!?んむーっ!!」
雄二に手で口を塞がれる。
やめてーっ!お願いだから聞かないでーっ!
美春『けど、何ですか?』
明久『――けど、僕にとって美波は、ありのままの自分で話ができて、
一緒に遊んでいると楽しくて、
たまに見せるちょっとした仕草が可愛い、とても魅力的な――女の子だよ。』
ぎゃぁーっ!!
スピーカーから流れた声に、思わず目の前が真っ白になる。
聞いた!?聞かれた!?今の台詞を頭にインプットされた!?
恐る恐る確認の為に視線を巡らす。
「「「「「・・・・・・」」」」」
少し驚いたような表情をして僕を見る皆。
雄二「・・・いや、意外だったな・・・。」
康介「お前、意外に男らしいな。」
秀吉「う、うむ・・・。」
ムッツリーニ「……直球勝負だった。」
エイミー「ドキッとシマした。」
聞かれた・・・。
誰にも聞かれちゃいけない会話を、よりによってこのメンバーに・・・。
記憶を消してやりたい。どうしたらいいだろう。
なんてことを考えていると、
ムッツリーニ「……っ!!(ダッ)」
ムッツリーニが急に厳しい表情になって廊下に飛び出していった。
康介「どうしたムッツリーニ?」
ムッツリーニ「……油断した。」
戻ってきたムッツリーニが苦々しく呟いた。
秀吉「油断したとはどういう事じゃ?」
雄二「まさか、廊下に誰かいたのか?」
ムッツリーニ「……(コクリ)、今のを立ち聞きされたかもしれない。」
エイミー「ナント!」
ムッツリーニが静かに最悪のことを言ってのける。
え?聞かれたって・・・まさか、今の僕の恥ずかしい台詞を!?
明久「ムッツリーニ!相手は誰!?」
ムッツリーニ「……多分、張本人。」
張本人、張本人・・・。それって清水さんのことだろうか?
そっか・・・。まぁ、それならそれで、恥ずかしいけど許容範囲内だ。
なにせ、一度直接聞かれているんだから。須川君あたりに聞かれるよりはずっとマシだ。
雄二「そ、そうか。聞かれちまったか。
すまん明久。まさかこれ程の物だとは思わなかった。」
秀吉「すまぬ明久」
康介「ふざけが過ぎたようだ。申し訳ない。」
ムッツリーニ「……すまなかった。」
エイミー「ゴメンナサイ。」
皆が頭を下げてくる。
明久「まぁ、別にいいよ。張本人が相手なら。
それより、悪いと思うんなら美波との仲直りに協力してよ。
アレ以来ずっと険悪なままなんだから。」
設備の防衛は上手くいったけど、僕にはまだ問題が残っている。頭が痛いところだ。
☆康介SIDE
・・・
秀吉「いや、それは・・・。」
雄二「ああ。むしろ仲直りどころか・・・な。」
ムッツリーニ「……うん。」
康介「まあ、・・・大丈夫だろ。」
エイミー「・・・はい。」
きょとんとした顔で
明久「へ?何で大丈夫なの?」
聞いて来た明久。
康介「(あれはむしろ落ち・・・よな。)」
雄二「(ああ。)」
エイミー「(告白ミタイナ言葉でしたモノネ)」
秀吉「(じゃな。)」
ムッツリーニ「(……監視が必要。)」
返答をどうしようか考えている間に、明久は何か納得したみたいで、
明久「そういうことなら、帰ろうよ。もう僕お腹が減って・・・。」
俺ら四人は一斉に溜息を吐いた。
明久「どうしたの?ミンナ?」
康介「いや、もうこれはむしろお前の性格みたいなものだからな。」
秀吉「そうじゃな。」
ムッツリーニ「……(コクリ)」
エイミー「ハイ。」
雄二「ああ、そうだな。じゃ、帰るか?明久。」
明久「え、ああ、うん。それじゃあ、帰ろうか?」
皆で教室から出ていく俺ら。
過程はどうあれ明久と島田の関係が何とかなったのは幸いだ。
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▲美波SIDE
――ガチャッ
葉月「あ!お姉ちゃん、お帰りなさいですっ!」
美波「た、ただいま・・・。」
葉月「?お姉ちゃん?どうかしたですか?お顔が真っ赤ですよ?」
美波「葉月、どうしよう・・・」
葉月「???何がですか?学校で何かあったですか?」
美波「あのね、葉月・・・」
葉月「はいです。」
美波「お姉ちゃんね・・・
もう、どうしようもないくらい人を好きになっちゃったかも・・・。」