バカな親友らとテストと召喚獣   作:音羽2600

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第2問 :数学

 以下の数を因数分解しなさい。

 ① 72  ② 200 

 三浦悠斗の答え
  『① 72 =23 × 33
   ② 200=23 × 52 』

  教師のコメント
    正解です。簡単すぎでしたかね。


 吉井明久の答え
  『① 7,2 
   ② 2,0,0よって2』

   教師のコメント
     ・・・。


第2話バカテスト数学:休日2

 

 

明久「・・・ね、姉・・・さん・・・?」

 

肯定されたくない問いかけをいつの間にかしていた。

 

玲「はい、お久しぶりですね。アキ君。」

 

そう言って、短めに揃ええた紙をわずかに揺らしながら静かに微笑んだ。

 

 

―――なぜか、バスローブの姿で・・・。

 

 

明久「なんでバスローブの姿なのさ――っ!?」

 

一年ぶりに会う姉の姿に度肝を抜かれた。

 

玲「日本は暑いですね。」

 

明久「僕の質問に答えてくれないかな!」

 

玲「アキくん。玄関先でそんな大声を出すなんて・・・。

  姉さんはあなたをそんな常識知らずに育てた覚えはありませんよ?」

 

明久「くぅう・・・っ!

   まさかバスローブで公衆の面前を歩いて来る人に常識の有無を問われる日が来るとは・・・っ!」

 

絶谷僕の方が常識人のはずなのに・・・。

 

玲「それに、人の話は最後まできちんと聞きなさい、とも言ってるはずですよ?

  姉さんのこの格好にはきちんとした理由があるんですからね。」

 

諭すように僕に告げる姉さん。

 

秋房「え? ああ、そうだったんだ。」

 

そうだよね。理由なしにバスローブで外を歩くわけないよね。

 

なんて僕が納得していると、姉さんは「勿論です。」と大きく頷いて、

 

玲「今日はあまりにも暑かったので、重い荷物を持って歩いたこともあって、

  姉さんはたくさんの汗をかいてしまいました。」

 

明久「うん。」

 

玲「途中までは気にしなかったのですが、電車の窓に映る自分の姿を見て姉さんは思いました。

  一年ぶりに会う弟に、最初に見せるのが汗だくの姿というのは、どうでしょうか、と。」

 

明久「うんうん。」

 

玲「いくら会うのが肉親とはいえ、姉さんだって女です。

  身だしなみには気を遣うべきでしょう。」

 

明久「そうだね。気をつかうべきだね。」

 

 

玲「そこで、全身の汗をなんとかする為に姉さんはバスローブに着替えました。」

 

明久「そこ!そこおかしいよ!」

 

玲「持っている荷物の中で最も吸水性に優れている服だけあって、

  姉さんの汗はみるみるうちに引いていきます。」

 

明久「どうしてそこで『タオルで汗を拭く』っていう選択肢がでてこなかったのかな・・・。」

 

玲「そして今、

  姉さんは無事に姉としての尊厳を保つことのできる清潔な姿で弟と再会できたのです。」

 

明久「あのさ、さも自分が偉業を達成したかのように胸を張っているけど、

   姉さんの意図したことはもの凄い勢いで失敗してるからね?」

 

もう既に姉さんの尊厳は完全に失墜している。

 

玲「何を言うのですか。

  塩化ナトリウムの他にマグネシウムやカリウムなどの不純物を

  多少は含むものの、汗の主成分は水です。

  このバスローブの素材である綿は通気性や吸水性に優れているのですから、

  姉さんの意図したとおり汗を吸収しているはずです。」

 

明久「いや・・・。確かに汗はひいているかもしれないけどさ・・・」

 

汗がひけばどんな格好でもまともに見えているってわけじゃないから。

 

玲「わかってもらえたのなら、とりあえず中にいれてください。

  姉さんはアキ君がどんな生活を送っているのかをチャックして

  母さんに報告する義務がありますから。」

 

明久「あ、そうなの?」

 

玲「はい。」

 

そっか、生活チェックか~。

 

・・・

 

明久「ところで姉さん、アレはなんだろうね?」

 

玲「はい?なんでしょうか?」

 

明後日の方を指差すと姉さんは疑いもせずそちらを向いてくれた。

 

――バタン、ガチャガチャガシャンッ

 

隙をついて冷静かつ手際よく扉を閉じて鍵をかけた。

 

 

ピンポーン

 

 

玲『アキくん。開けてください。姉さんは、まだ家の中にはいってませんよ?』

 

扉の向こうから聞こえる声に耳を夫妻でうずくまる。

 

明久「やってくれたな!かあさんっ!」

 

どうしてこんなことに!?

 

抜き打ちの生活チェックなんて、やることがあまりに卑怯すぎるよ母さん!

 

 

ピンポーン

 

 

玲『アキくん。聞こえないのですか?

  それとも姉さんが外に残されたままだということに気がついていないのですか?』

 

そうしよう・・・。

 

このままだと僕がどんな生活を送っているのかがバレてしまう。

 

そんな状況を母さんに報告されたら・・・僕の幸せな生活が終わってしまうかも1

 

 

ピンポーン

 

 

玲『アキくん。もしや、姉さんにイジワルをしているのですか?

  そんなに姉さんとバスローブ姿は気に入りませんでしたか?』

 

しかもよりによって今は期末テストの前。

 

このタイミング、絶対にテストの結果を確認していく気だ。

 

玲『どうして姉さんを家に入れてくれないのですか。

  何か姉さんを中に入れたくない理由でもあるのですか?

  ・・・姉さんを中に入れてくれない理由・・・なんでしょうか?』

 

なんて頭を抱えていると、

 

ドアの向こうで姉さんが何かを思案しているような気配が伝わってきた。

 

玲『――ああ、わかりました。つまり、アキくんはこう言いたいのですね?』

 

僕はなにも言ってないけど、姉さんは何かを感じ取ってくれたようだ。

 

玲『家に入れて欲しければ、バスローブではなくメイド服を着て来い、と。』

 

そんな事言った覚えはない。

 

だ、ダメだ・・・っ!

 

コレは姉さんの天然の罠、

 

ここでツッコミを入れるためにドアを明けたが最後、

 

家宅捜査をする刑事並みの手際で家の中に踏み込まれるに決まっている。

 

玲『・・・仕方がありませんね。

  今からお隣さんに事情をお話して、メイド服を借りてきます。』

 

明久「やめてっ!バスローブ姿でご近所にメイド服なんか借りに行かないでっ!

   あと、さも日本の一般家庭にメイド服が常備されているかのような認識は改めて!」

 

ご近所との付き合いは会えば挨拶をするくらいで無いに等しい。

 

だけど、もし姉さんにそんな事されてしまったら近所から白い目で見られるだけでなく、

 

根も葉もないうわさまで流れてしまうだろう。

 

そう思うと、はやく姉さんを止めるべくドアを開けて・・・しまった。

 

玲「ありがとうございます。積もる話は後にするとして、とりあえず上がらせてもらいますね。」

 

あきヒア「あっ。」

 

止める間もなく玄関に足を踏み入れる姉さん。

 

玲「脱いだ靴くらいきちんと揃えておくべきですよ。アキくん。」

 

そう言って脱いだ靴をそろえてから、姉さんはふと何かに気付いたように手を打った。

 

玲「なるほど。そういうことですか。

  さてはアキくん、部屋をかたずける為に姉さんを入れてくれなかったのですね?」

 

あきヒア「う・・・。」

 

声も出ない。

 

玲「まったくもう、アキくん、あなたという人は・・・。」

 

明久「いや、それは、その・・・。」

 

責めるような視線が刺さる・・・。

 

玲「姉さんだって大人なのですから、

  アキくんが2000冊以上のHな本でリビングを埋め尽くしていたとしても、

  全然驚きませんよ。」

 

いや、そこは驚いてほしい。

 

明久「そんな本を2000冊も買うお金なんてどこにもないよ・・・。」

 

まあ、一冊も持っていないというワケじゃないけど・・・。

 

玲「若い男性の腎臓は高く売れるそうですね。」

 

明久「エロ本の為に腎臓を売るの!?」

 

そんなことするバカな人間は・・・ムッツリーニならあり得るかも・・・

 

玲「そうですね・・・。

  学校の宿泊合宿のような機会があれば、

  恥も外聞もなく全力で女の子のお風呂を覗きにかかるほどに性に関心がある弟だと思っています。」

 

明久「な、何を言っているのさ姉さん!そんなことするわけないじゃないか!」

 

どっと冷汗が出て来た。

 

あれは内々に処理されたんだから姉さんが知る好もない。

 

となると勘か。何て鋭いんだ!

 

玲「とにかく、きちんとした生活が送っているのか確認させてもらいますからね。」

 

姉さんはそう告げ、リビングへと足を踏み入れた。

 

玲「あら・・・?以外と綺麗にしてありますね。」

 

それはそうだ。

 

昨日は雄二と悠斗と一緒にゲームをしていたのだから。

 

散らかった部屋でコントローラを振り回すゲームはやりにくい。

 

姉さんはリビングを見回し、旅行鞄を下ろし、

 

中断してあったゲーム機の電源を切り、ゆっくりとソファーに腰を下ろした。

 

明久「今、流れるような動作でゲームの電話を切らなかった!?

   やっとの思いですごくいいところまでいったのになんてことしてくれるんだ!」

 

くそ!セーブしておけばよかった!

 

玲「お黙りなさい。」

 

くっ!

 

玲「アキくん。姉さんはアキくんが一人暮らしをする時に、

  二つの条件を出しましたよね。

  まさかそれを、忘れた、なんて言うつもりじゃないですよね?」

 

明久「すっかり忘れてた――って言ったら、姉さんは怒る?」

 

忘れていたと言った瞬間、姉さんの眉が動いた気がしたので、慌てて後半を付け加える。

 

玲「いいえ、怒りませんよ。」

 

意外なことに姉さんは穏やかに答えた。

 

明久「え?そうなの?」

 

玲「はい。怒りません」

 

明久「良かった~。実は僕、約束のことなんてすっかり忘――」

 

玲「ですが、代わりにチュウをします。」

 

明久「――れるわけないよねっ!勿論覚えていたよ!」

 

玲「しかも、お嫁に行けなくなるほど凄いのをします。」

 

明久「何する気!?アンタ実の弟に何する気!?

   あと、僕は男だからお嫁に行ったりはしないからね!?」

 

玲「大丈夫です。お嫁に行けなくなるのは姉さんです。」

 

明久「ちっとも大丈夫じゃない!

   それならやめとこうよそんな罰ゲーム!」

 

玲「アキくんはお嫁に行けなくなった姉さんに

  罪の意識を背負いながら今後の人生を送っていくのです。」

 

明久「なんて陰湿なやり口なんだ!」

 

どうせもともと貰い手がなさそうなのに、それを人の所為にするあたりが特に。

 

明久「きちんと覚えているから、どうかその罰だけは勘弁ください・・・。」

 

玲「そうですか。覚えていますか。それなら言ってみてください。」

 

明久「うん。えーっと・・・」

 

覚えてはいるものの、約束は母さんとのものもあったので、

 

それと混ざって少し言いよどんでしまう。

 

玲「アキくん・・・。」

 

そう言って、目を閉じて僕に近づいて来る。

 

明久「覚えてる!覚えているから!」

 

え、ええっと・・・思いだせ、思いだすんだ。

 

玲「目を、閉じて・・・?」

 

明久「待って!思い出した!思い出したから!

   ①『ゲームは一日三十分』、②『不純異性交遊の禁止』、だったよね。

   うん!きちんと覚えているよ。」

 

はあ、はあ、一気に言ったから息が・・・

 

玲「残念です。――」

 

えっ!?

 

玲「――正解です。」

 

明久「へ?」

 

玲「正解だとチュウできません。」

 

明久「そこ!どうして残念がるの!」

 

玲「アキくん、うるさいですよ。」

 

明久「姉さんの所為だからね!」

 

玲「ところで、随分とゲーム機は温かいですが・・・何時間していたのですか?」

 

!?

 

ま、マズい。

 

玲「まったく、覚えていたのに実践はできていなかったようですね。」

 

明久「う・・・。」

 

玲「これは減点の対象になります。」

 

姉さんはポケットから小さな手帳を取り出し、何か書き込む。

 

明久「減点?何それ?」

 

玲「アキくんの一人暮らし続行の可否を決定する評価の為の点数です。

  生活態度や勉学の結果から評価を下し、点数を加えたり減らしたりしていきます。

  最終的にその点数が一定値に満たなかった場合は、

  アキくんに一人暮らしは不敵であるという結論を母さんに報告します。」

 

明久「えぇぇっ!?何それ!?」

 

玲「尚、今のは減点20に値します。」

 

減点20・・・それは多いのやら少ないのやら・・・。

 

明久「姉さん、その点数って、何点になるとアウトなの?」

 

玲「期末テストの点数が明確になった時点での総計が0点以下だった場合です。」

 

つまり期末テスト次第で僕の一人暮らしは終了ってことか・・・。

 

明久「因みに、点数をプラスにするにはどうしたらいいの?」

 

玲「規則正しい生活や良好な学習成績などを提示してください。」

 

ぅぐ・・・!食事は皐月荘に依存しているし、成績は地を這うが如し、

 

何てことがバレたら完全にアウトだ・・・。

 

どうしよう・・・。

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