ファントムの襲撃から三日。
和真は訓練と対話(ライブメタルの二人)を繰り返して毎日を過ごしていた。
突然ロックマンとして戦いだしたことで身体にガタが来ていないか?そんな心配をしたモデルXに和真は笑い飛ばして、
「頑丈さには自信がある」
と答えた。
現在、宛がわれた自室で無心に腕立て伏せをしている。
「モデルZ、今何回目?」
『500だ。もう止めておけ』
止めてみれば、腕がパンパンになっていた。
明日は筋肉痛だな、等と思いながらミネラルウォーターを飲む。
チャイムが鳴り、誰かと思いモニターを覗き込むと其処には響ともう一人少女が・・・誰?
「和真さん、未来を連れてきました!」
響が明るく元気良く友を紹介する。
「初めまして、小日向未来です。響がお世話になってます」
丁寧なお辞儀から自己紹介する未来さん。
「初めまして。武藤和真です、お世話って言うか助けられてばっかですが」
そんな未来と和真の会話は他愛ない物と思うだろう。
『気付け、その子は!』
警告を発する一人(?)を除いては。
和真も人生経験がもっと豊富なら、特に女性問題について豊富ならば問題は無かっただろう。
「お、来たか。」
響に聞いても「まあまあ!」と濁され、とりあえず付いて来た和真。
付いた先はゲーセン、自販機の間には学生組が屯していた。
「お、未来先輩久方ぶりデス!」
「お疲れ様です。」
切歌が未来に挨拶、それに調も続く。
「まぁ、あんなことがあった後だ。根をつめる気持ちも分からなくはねぇけど、息抜きも大事だぜ?武藤」
クリスが和真の肩を叩いた。
なるほど、気を使ってくれたらしい。
「和真さん、この三日間、満足に寝てないんだよね?翼さん言ってましたよ、昔の私を見ているようだって。」
と響きが手を握りながら言う。
どうでもいいが、何やら未来さんから
彼女、目のハイライト消えてるんだけども?
カン、カン、カッ!とリズム良く音が響く。
「ちょせぇ!」
「甘いわぁ!!」
「うぇ!なんて反応速度デスか!?」
赤と青の陣営を高速で行き来するその軌道はなかなかの速度で動きを止めることがない。
「獲った!」
そんな中、上から押さえつける様にクリスはその動きを強制停止させる。
捕らえた円盤を泳がしながら、クリスは、切歌にバトンタッチ。
エアホッケーを始めて直ぐに和真は寝不足からかテンションの高が外れた。対応の難しい高速で動く円盤を殆ど動かずに止める徹底ッぷりを見せる。
さながら要塞である。
ゴールを狙う切歌と要塞と貸した和真。
「ここデェェェス!!」
切歌はストレートではなく、壁に反射させたトリックショットでゴールを狙うが・・・、
「餡蜜のように甘いわッ!!」
カッ!と和真がストレートに打ち返してゴール。
「す、すごい・・・全戦全勝してる。」
驚く調。
彼女の言う通り、奏者コンビVS和真の不毛な対戦は既に六回目。
「響、普段からあんな感じの人なの?」
「そんな事ないよ?和真さん、多分テンションのリミッター外れてるんだ」
「外す所を間違えているだけ」
未来が聞けば、響が悔しそうに再戦するクリス・切歌コンビの奮戦を見ながら答え、調が言った。
「ふぅん、でもアレじゃ長く持たないんじゃないかな?」
「「確かに・・・」」
未来が言うと響と調は同意した。
「バカ一号、小日向。仇取ってくれ!」
観戦に回ったクリスが、ブルーーサイドでマレットを構えている二人を応援する。
「任せて、クリスちゃん!未来と一緒ならっ」
「ふふ、頑張っちゃおう!」
そんな二人に対面して、無双している大人気ないこの男は冷や汗が止まらない。
うん、何で?何か気を抜いたら
「うりゃっ!」
「存分に来なさ痛ッ!?」
響の打った円盤を弾いたと思いきや、マレットが弾かれた。
・・・エアホッケーだよね?これ。と和真は冷静になる。
「はい、響!」
「とぉうぉぉりゃぁぁぉ!!」
パワープレイヤーの響のショットは和真の比で無い速度で敵陣に飛び込んでいく。反応できなくもないが、気を抜けば弾かれるので気が気じゃない。
「良いぞ!やっちまえっ」
「和真さんが負けたらジュースが奢ってれくるデス!」
きゃっきゃとはしゃぐクリスト切歌、調も何処となく笑っている。
「チョイ待ち!そんなの聞いてないんだけど!?」
「今決めた。男に二言はない」
驚きながらも何とか響の放つ円盤を弾く和真ににっこり笑顔で調が言った。
そこに近づく三人組が居る。
「キネクリ先輩、奇遇ですね」
「お前は、安藤じゃねぇか」
クリスに声をかけたのは響の友人、
「あら、立花さんと小日向さんが奮戦していらっしゃいますね」
おっとりとした口調でエアホッケーの様を語る
「あれ、アニメ張りの威力でしょ。相変らずビッキーは・・・・てか相手している人って、誰?」
響の相変らずの様子に呆れつつ、和真の存在を問うた
「和真さんは響さん達が買ったら皆にジュースを奢ってくれる。」
その調の一言に、女子高生三人は乗っかることにした。
「ご馳走様でーす!」「ビッキー!絶対勝ちなさいよっ!」「ファイトです!」
「あれ、増えてるぅー!!?」
結論から言いましょう。
「マジで奢らなくても良いんだぞ!?」
と言うクリスの台詞から察してもらえると助かるのだが、負けた。
可笑しいよね?マレット弾くディスクって。エアホッケーじゃあない、あれは砲弾だ。
「まぁ、息抜きになったからな。感謝気持ちだから遠慮せず飲んでくれ」
「立花さん、何時の間に彼氏さんを作ったんですの?」
和真がそう言って自販機で、リクエスト分のジュースを購入して渡しながら振り返ったときだった。
寺島が、まさかの彼氏発言である。
「え!そうなの?ビッキー」
安藤が食いついた。
古今東西、女子高生は恋バナが大好きだ。
「え!?いや、和真さんは彼氏じゃなくてね?」
「良かったじゃない!所で、出会いはどんな感じだったの!?」
「良いじゃん、聞かせてよ!ビッキー」
怒涛の質問攻めを始める板場と安藤。こうなると訂正を求めようと何か言っても意味はないだろう。
コレは経験則で分かる事だが・・・・未来さん?実は戦闘民族とか言わないよね。変なオーラ纏ってるよ?
「いや、まだ付き合ってないぞ?」
どう言った物かと困る響に助け舟を出す和真。
何故か響は項垂れた。
「まだ、と言う事はそうなるかもと言う事ですか?」
「キミ、面白がってるのは分かってるからね?あんまり苛めてやるな」
ちらりと見ると真っ赤になっている響が、そして黒いオーラを纏う未来がいた。
「本当ですか?」
「本当です!」
未来に即答し、和真は自分の珈琲を一気に飲み干す。
「和真はマリアの物ですよ?」
切歌がここで誤解発言その2を発射。
「駄目だよ、きりちゃん。まだ其処まで行ってないんだから」
調が切歌を制止する。
ああ、収集着かないよこれ!
「何?それどういうこと!?」
「スキャンダルの匂いがします!」
そこで、安藤・板場・寺島を除く通信機が鳴った。
『和真君!今何処だ!?』
「学生組と一緒にゲーセンですよ」
言いながら、手すりを跨ぐ。
二階で屯していたこともあり、飛び降りて直ぐに走り出す和真。
「アイツ先走りやがって!!」
「ゴメンね、皆!」
「先輩方、失礼するデス!」
「それでは」
と4人が4人、走り出しながら板場たちに言葉を投げていく。
「彼も?」
安藤が、後を追う皆を見て呟いた。
その内、メックヴァラヌス版三人娘もだしな。
当分先だが