司令室に滑り込んだ七人を弦十郎は視界の片隅に捉えて口を開く。
「集まったな。それでは現状を説明するぞ。」
地図が表示され、弦十郎の言った意味が直ぐに分かった。
海上にはアルカノイズ、水中から四天王と類似反応が検知されている。
「ロックマンは水中でも活動できるという話だったな?」
弦十郎が真剣な眼差しで確認してくる。
「行けます。弦十郎さん、作戦は?」
和真が答え、弦十郎の指示を仰いだ。
「敵は日本から二百キロの沖合いでアルカノイズを発生させて動きを止めています。」
「恐らく、シンフォギアのデータ収集が目的と推測されます。」
友里が言い、藤尭が続く。
「うむ、本部を突貫させて敵と交戦経験のあるクリス君と翼、響くんで海上のアルカノイズを対処!水中の敵は和真君、君に任せるほかない。頼むぞ!」
「任されました!」
海面にはアルカノイズに混じってクリオネのような物体が浮いていた。
ルアール・ジ・アビスロイド、それがこの物体・ライブメタルを強化パーツとして装備した・・・フォルスロイドの名称である。
「さぁ、どう動くのかしら?」
有線で繋がれたクリオネのような物体は疑似餌であり、本体は提灯アンコウ型であり、
ここで航行不能になった船舶は疑似餌によってスクリューを破壊されたのだ。
鉄すら切裂く氷の刃、末恐ろしい限りである。
和真のみ別行動でヘリからのスタート。
ヘリからダッシュジャンプで出来るだけ距離を稼ぎ、件のエリアを目指す。
「ロックマン・モデルZX。先行して発ちました!」
「着水確認、潜行!バイタルの乱れはありません!」
友里、藤尭の声が司令室に響く。
「和真さん、大丈夫かな・・・」
不安そうに響が呟いた。
心配されていると汁知らず、和真は水中を散歩する。
ロックマン状態でも浮力から逃れることは出来ない。
(陸と同じ感覚だと死ぬね、これ)
そう思わずにはいられなかった。
因みに、ロックマン状態なら水中でも活動できる。陸と同じように呼吸が出来るのだ。
どういう理屈かは知らないが、こういう時には非常に助かる。
『水中だと、モデルL関連だろうね』
とモデルXが言う。
あれ?ファントムの一件もあるしレヴィアタンとか?だとしたら勘弁だ。
ヤンデレを相手にして生きて帰れるほど逞しくないよ?
『諦めろ、アイツがお前を気に入るとも限らん』
とモデルZ。
突然、水流に変化が起きた。
S.O.N.G.の本部潜水艦が突貫してきたのだ。あわせるように海底から巨大な影が飛び出していく。
「・・・・フォルスロイドまで出て来たか!ッてことはよ?」
あることに思い至りながらもチャージ済みのバスターを放った。
「急速接近する機影!」
「回避だ!」
「間に合いませんっ!」
本部司令室でも強襲に対応できなく、一瞬だけ絶望が広がった。
「大丈夫です!」
響が叫んだ。
水中を捉えるモニターの映像、閃光が爆ぜたと思うと本部の真下に和真が居たのだ。
何故。分かったのか?不思議である。
「よし!和真君に任せて浮上だ!!」
「貴方の司令官って馬鹿なの?」
「ん~脳筋なだけだと思うぞ?」
巨大な図体が再び海底に潜っていく。
ルアールの手口は人質を確保とアルカノイズで釘付け、奏者が戦い始めたら自分は水底から情報収集の心算だった。
勿論、ロックマンが来ることは想定内。それでも不利な戦場に飛び込むなど考えていなかった。
「自分から不利な所で戦うなんて馬鹿じゃないの?これだから・・・・ガキは嫌いなんだよぉ!」
擬態・クリオネだけが、海底から姿を見せて鏃状の氷を放つ。
「これでも実働部隊じゃ最年長なんでね。お前等の
鏃状の氷はZXバスターで全て撃ち落す。
(動きを予測しろ。こっちは兎に角二点三点歩遅れるんだ!)
とは言え、和真にはルアールの詳細情報なんてあるわけがない。しかも、弦十郎の突貫と言う指示が和真に護衛対象まで生んでしまった。
氷・水属性、巨大な追随機を土に隠したことから推測できる攻撃パターンと古い記憶を掘り返しながら和真は対応する。
知っていると実物は違うのだ。
「今更アルカノイズ!」
一方、海上では航行不能に陥った船から翼が人命救助。響が脚部のジャッキを上手く使い、反動で擬似的な空中戦を、クリスが範囲攻撃で遊戯を行っていた。
「武藤が上手くやっているようだな!」
上がる水柱、水面の内側から発生したそれを見て翼は速度を上げる。
「しっかり捕まっていてください!」
その脇を腰のバーニアを吹かして通り過ぎる響。
水面での戦闘が始まって十分で、人命は全て保護されて後は和真の吉報を待つだけ・・・刹那、海面が爆発が割った。
「「「!?」」」
「速くしてくださいよ!!」
水中から打上げられた和真、その落下する先には大口を開けた機械魚。
「和真さん!」
「待て!立花ぁ!!」
本部・甲板から、響は飛び出していた。
あのままでは噛み砕かれてしまう、かみ殺されてしまうと最悪のイメージが響の頭を過ぎる。
「響を頼んだ!モデルZっ!!」
ダブル・ロックオンを解除し、丸みのある蒼いジャケットアーマーが印象的な姿・・・ロックマン・モデルXへ変わる和真が、響に向けてライブメタル・モデルZを投げた。
モデルZは、砲弾のように響へ向かって行くと彼女の手の中に納まる。だけではなく、響が吹かしていた腰のバーニアの慣性を相殺して見せた。
ピンッ!と急に張った腕によってバランスを崩した響。
痛みに顔を顰めながらも再び立ち上がった水柱に、言葉を失っていた時だった。
『大丈夫だ、今、お前が行けば邪魔になる。』
と低い声がシンフォギアのマイクユニットから響いたのである。
「え・・・?」
打上げられるほんの少し前、疑似餌のクリオネとの接続を断ち切りった和真はクリオネからライブメタル・モデルLの回収に成功した。が、同時に機械魚・アンコウの方が土から這い出るや激しく攻撃を仕掛けてきた。
大口を開けて、発射官に代用した大型魚雷が放たれ、和真は決まって迎撃する。
魚雷の爆発で水流に乱れが発生、体制を崩した時だった。
「噛み砕いてやる!」
ノイズの走る電子音が聞こえたと思うとガブリと喰らい付かれてしまったのだ。
「なんとぉっ!!」
踏ん張って耐えてみせる。
万力で締め付けられるように、長くは持たない。
「死ねやっ!クソガキがぁぁぁ!!」
「・・・お前、中までバスター効かないってことないよな!?」
片手で無理やり上あごを支え、ZXバスターを押し込んだ時だった。
「させるガァァア!!」
苦し紛れに魚雷を撃たれ、海面から上空に吹っ飛ばされたのは。
「立花!」
「おい、アイツ等は!?」
再び上がった水柱は、先ほどの比ではなった。
甲板にいた翼とクリスは急にきた揺れで踏鞴を踏んで、本部・司令室では弦十郎もふらついた。
「まったく、無茶するなよ?」
水面に顔をだしたカズマと肩に捕まる響。
どうやら、落ちらしい。
「いやぁ、和真さんが心配で・・・それとさっき、ライブメタルの声が聞こえたんですけど・・「マジで!?」あ、はい」
和真と響の他愛ない会話を聞いて、翼とクリスも安堵する。
『それにしてもアンタ、ぶっ飛んでて面白そうだわ。』
頭に響く声、モデルLだ。
「モデルL、今響と話してるんだが・・・」
『大丈夫よ?アンタがその子の感触楽しんで「ませんから!」ま、そういうことにしとくわ。で、アンタといると退屈しなさそうだから力を貸してあげる』
「うぇ!?どうしたんですか?」
いきなり声の裏返った和真に驚く響。
「いや、なんでもない。何でも!あは、ははは」
誤魔化すように笑いながら、本部に帰還する和真だった。
奏者達にはシンフォギアのマイクユニットを通してライブメタルの言葉が届く。
オリジナル設定です。