戦姫絶唱シンフォギア~魂を纏う者~   作:難波01

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幕間1:奏者だって幽霊は怖い

一週間、実に平和な時間が流れた。

 

 

本部・シュミレータールームにて、新たに手にしたライブメタルを展開してみせる和真がいた。

 

S.O.N.G.が、日本国内で超常的な武力を行使できるのは、予め政府に資料を開示し認可された所が大きいとのこと。

 

現在、和真はS.O.N.G.所属。

 

ロックマンも例に漏れず、S.O.N.G.が武力行使する際の特殊装備として開示資料に含まれるとのこと。

 

臨時とのことで今まで誤魔化していた(この辺は翼の父の存在が大きいのだとか)が、

先の一件で誤魔化しも限界に来たとのこと。

 

政府には「誰もが扱える超常装備の試作品」としてご都合主義を押し通したらしい。

 

『お疲れ様です。和真さん』

 

エルフナインの声がスピーカーから響く。

 

「いや、十分なデータは取れた?」

 

ロックオンを解除し、和真は言う。

 

『はい、十分です!それではお疲れ様でした!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はっきり言って気になる事がある。

 

ライブメタルの言葉が、シンフォギアのマイクユニットを通して聞こえたという響の言葉だ。

 

(音、波長をシンフォギアが増徴した?と言うのは考えにくいかなぁ・・・スキャンの時点で鉄と判断されたんだ。シンフォギアに影響を及ぼすなら、鉄なんてスキャン結果は出ないだろうし)

 

考えれば考えるだけ不思議である。

 

(とりあえず、部屋に戻ろう。そして対話だな・・・あの提灯アンコウのせいでガタガタだ)

 

軽く肩を回すとゴッキン!と人体に有るまじき音が聞こえた。

 

何故対話か?と言うのはモデルLが、ライブメタルに宿る人格の中で唯一の女性であり、恐らく最もちゃめっ気があるからだ。

 

(確かにシンフォギア姿はピッチリスーツだけども!)

 

和真とて男、モデルLに指摘・からかわれるまで考えないようにしていた事柄である。

 

それはさて置き、朝食を食べようと食堂に向かうと青い顔をしたクリスと相談に乗っている様子の奏者達を見つけた。

 

「あ、和真さん。おはよ~!」

 

いの一番に響が気がつき、明るい挨拶をしてくる。

 

『アンタも大変よね。イレギュラーの相手をして、年頃の女の子の相手をして』

 

『時にはゴリマッチョの相手もね』

 

モデルLが感心するように呟くとモデルXが続いた。

 

ゴリマッチョ、弦十郎のことだろう。てかそんな風に見てたのね?

 

「おはようさん!って、どうしたクリス?青い顔して」

 

「そのことなんですが」

 

「クリス先輩はみたらしいのデス」

 

調に続いて切歌が言う。

 

見た?何を。

 

「な・・・なぁ、武藤。幽霊って信じるか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『幽霊か・・・』

 

『幽霊ってアレよね?人間が死後に彷徨うって奴』

 

『幽霊にも種類があって怨霊とか悪霊が主に恐れられているみたいだね』

 

上からモデルZ、モデルL、モデルXだ。

 

なるほど、未来の英雄は意外とミーハーらしい。

 

「ホラー映画でも見たのか?」

 

と和真はクリスに尋ねてみる。

 

確か昨日は有名どころホラー映画がテレビ放映されていた筈だ。

 

「一人で見れるかあんなモン!」

 

過剰に反応するクリス。

 

どうやら、ホラーは苦手なようだ。

 

「で、参考までに聞くけどどんな奴?」

 

味噌汁のおわんを手に取り、クリスに尋ねる和真。

 

味噌のいい香りが食欲をそそるな。

 

「髪が長くてテレビから這い出てきそうな・・・・って言わせんな!」

 

そう言うとクリスは涙目、相当怖かったらしい。

 

『アレね!昨日、和真が見てた奴にでてた看板お化け!』

 

と何処か嬉しそうなモデルL。

 

「やっぱり昨日のテレビのじゃん。」

 

そう言うと響と切歌がえ?っと首をかしげた。

 

「和真さん、昨日の見たんですか?」

 

調が尋ねてくる。

 

「ああ、と言っても何もしなきゃ俺はお払いしようなんて思わないぞ?」

 

「怖くないの?」

 

「まぁ、あのレベルは早々居ないだろ?ってマリアも幽霊怖いのか?」

 

「そ、そんな訳ないでしょう!?」

 

赤くなって否定するマリア、その様子に翼がくすりと笑ってつられる様に響も微笑む。

 

うん、やっぱり彼女たちには笑っていて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜・・・被害者は新たに出た。

 

 

「ハァッ!」

 

シュミレータールームで、弦十郎の特訓に付き合っている時のこと。

 

「当たらなければどうと言うことはッ!」

 

ぶわっ!と衝撃波が和真の頬を撫でる。

 

ロックオンの影響からか、モデル達の体裁きを身体で覚えた和真は最近「体が鈍るか

ら」と理由をこじつけて組み手をしたがる戦闘凶に付き合うことが多い。

 

そう、弦十郎だ。

 

司令官のクセにどこぞの仙人にでも鍛えられたような拳で襲い掛かってくるから困る。

 

「むぅ、俺の負けか」

 

「死ぬかと思った(慣れっこ)・・・」

 

ぴったりと腹に添えられた拳を見て、弦十郎が悔しそうに呟くと和真は呟く。

 

『当たったらミンチね』

 

そんなモデルLの一言が現す威力は、はっきり言って組み手でも相手にしたくない。

 

一回まともに受けて数秒だけど意識跳んだもの。自画自賛になるが俺って頑丈・・・。

 

「凄いな、和真君!司令と渡り合えるなんてっ」

 

「藤尭さんもやってみたら?」

 

「そうだぞ、藤尭!俺が鍛えてやる」

 

観戦する藤尭に振るとぶんぶんと首を横に振る。

 

それを見てにやりと弦十郎が笑った。

 

「嫌ですよ!俺はインテリなんです!!」

 

 

「きゃああああっ!!」

 

 

そんな藤尭の言葉に甲高い悲鳴が被った。

 

「何だ!?」「入り口!?」

 

走り出した三人の先には腰を抜かすマリアと木刀を構える翼が。

 

何で翼は木刀なんて持ってるんですかねぇ?

 

そんな疑問を他所にマリアは今にも泣き出しそうな顔で和真を確認するや胸板に飛び込んできた。

 

「ぐふっ!」

 

普通に鳩尾に入った。

 

「出たっ出たのよ!何アレ創作物でしょう!?何で本部に!?ホラー要素必要ないの!!ヤダ怖い怖い!!」

 

口早に訴えるマリア。

 

そんな光景を見て、弦十郎が藤尭へ一言。

 

「頑張れよ、藤尭。」

 

「司令、何でそんな温かな目で見るんですか?」

 

何処か拗ねたように藤尭が言った。

 

「お、落ち着けって!マリア、何が出たって?翼は見たのか?」

 

と臨戦態勢の翼に尋ねる和真。

 

「いや、私は影だけだ。直ぐに追おうとしたのだが・・・」

 

マリアがこの様でな、と視線が語る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

「おっはようございま~す!ってマリアさん、何で和真さんにべったりなんですか!?」

 

響がむぅっと頬を膨らませながら言う。

 

それはそれで可愛いな・・・。

 

響の言葉から分かるとおり、何故か帰らなかったマリアが転がり込んだのは和真の部屋。

 

早朝からロケのある翼は殆どタッチ&ゴーで本部から仕事に発ち、翌日が休みで尚且つアレを見た後に一人の部屋に戻るのは怖いそうで潜り込んだのだ。

 

しかも、怖いからと手を握って離れようとしない。

 

アレ?いつも気丈に振舞う彼女はいずこに?そしてこの可愛い生物は何ですか?

 

と所謂ギャップにときめかない男子は居ようか?

 

あえて言おう。

 

 

断じて否!

 

 

「お、おお・・おはよう、響」

 

「武藤、お前凄いクマだな!?」

 

驚くクリス。

 

朦朧とする意識の中、和真は何本目か分からないブラック珈琲の缶を捨てに立つ。

 

「・・・・一人にしないで」

 

「いや、これ何度目の繰り返しだ!?」

 

すっと立ち上がると和真についてくマリア。ツッコミを入れた和真も流石に限界が近い。

 

「説明が面倒だ。皆、モデルXに触ってくれ。モデルX、説明頼んだ。チョイ仮眠する」

 

そう言って和真は座ると意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

遅れてきた切歌と調は食堂で和真の肩に頭を預けて転寝(うたたね)するマリアと寝落ちした和真を見て黄色い悲鳴を上げる。

 

これは奏者達に限らず、S.O.N.G.職員も同様である。

 

とある者は涙を流し、とある者は喜んでいたとか。

 

さて、ライブメタルの声がシンフォギアを通せば聞こえると言うのは体験した響が知っており、ペンダントから誠実そうな青年の声に響以外驚きながらも耳を貸す。

 

『という訳なんだ。』

 

「どういう訳だ!?」

 

つっこんだのはクリス。

 

『キミも見た時は怖かったんだろう?彼女の場合、それが極限状態だったんだろうね。あ、和真の為に言うけど彼女とはいやらしい事はしていないよ』

 

「何だ」「少し残念デス」

 

「何でだよ!?」

 

それを聞いたしりザババコンビが呟くとそれにもクリスはツッコミを入れた。

 

常識人のツッコミ担当は大変である。

 

「揃っているな・・・すまない、お邪魔だったか?」

 

其処に欠伸をする藤尭と現れた弦十郎。

 

「師匠!おはようございます、今二人を起しますね」

 

響がそう言って二人を揺すった。

 

 

 

 

 

 

ことの顛末はこうである。

 

S.O.N.G.職員たちは秘密裏に奏者達を労おうと某井戸の住人のホログラフを調達、ドッキリを強行しようとしたらしい。

 

それが無駄にリアルなもんだから最初に見たクリスは、酷く驚いて逃げた。

 

「一部の職員がキミらにサプライズを仕掛けようとしていたようだ。人騒がせだったが悪気はない。許してやってくれ」

 

弦十郎がそう言うとマリアはトマトのように顔を赤くして和真から離れた。

 

「監視カメラの映像を確認したら、すぐに分かりましたよ。」

 

とは藤尭の談。

 

何でもプロジェクターを用いたホログラフィックらしい。

 

 

一言良いか?技術の無駄遣いは止めていただきたい!!

 

 

和真はモデルLに『マリアだっけ?あの子はどうだった?』などとからかわれることになったのはまた別の話。




きっと、モデルLならこういうのには乗ってくるんだろうと思う。
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