戦姫絶唱シンフォギア~魂を纏う者~   作:難波01

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闘将、病院に立つ2

通信機が鳴り、廊下にいた面々に緊張が走る。

 

「敵がここに現れて和真君を指名しているだと!?」

 

弦十郎が驚いた。

 

和真は迷う事無く、窓を開けて身を乗り出した。

 

「待つんだ!和真君、罠の可能性もある!」

 

「だからって、病院(ここ)をやられるわけには行かないでしょう!?」

 

弦十郎に叫び返す和真。

 

「信じてください!どうにかしますからっ!!」

 

叫んで、和真はダブル・ロックオン。

 

ごった返しているであろう一階ロビーを避けて、窓から身を躍らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奏さんが入院している病院に敵が現れるなんて!」

 

響が今にも飛び出していきそうな慌てっぷりにマリアが口を出そうとした所だった。

 

「落ち着け!先輩が、武藤だって居るんだ。大丈夫だと信じるんだ!」

 

そんな響を静止するクリス。

 

「そうよ、信じましょう!それにモデルZは彼女にとってお守りみたいな物だろうし」

 

更にマリアが続いた。

 

本部から飛び立つヘリは何時にもなく揺れた。

 

奏者達はそう感じた。

 

 

 

 

 

 

ファーブニルは戦闘バカと揶揄されることがある。

 

概ね間違いではなく、こと戦いとなれば周りが見えなくなってしまう悪癖もある。

 

そんな彼が今、目の前に現れたロックマン・モデルZXを見て取る行動は一つ。

 

「出てきたな、俺を熱くさせてくれよぉ!!」

 

戦う相手に敬意を表して、全力を出す事。

 

マルチブルランチャーを構え、突撃するファーブニルをモデルZX=和真はファーブニルの懐に潜り込んで組み合うと提案する。

 

それは、ファーブニルが一対一を好む性格を逆手にとっての作戦。

 

「おい、ファーブニル。場所を変えるぞ!」

 

「あ?何で俺の名前知ってる!?」

 

「良いのか?このままだと奏者が来て望む戦いできないぞ?それに全力の相手を叩きのめしたいだろう?因みに俺は後ろの病院が気になって全力が出せない」

 

は?っと呆気にとられるファーブニル。和真の言葉は続く。

 

「壊されたら困るんでな、取り合えず出てきた次第だ。何で名を知っているかと言う疑問も含めて答えてやるよ!」

 

「面白い奴だ、良いぜ!その度胸に免じて聞いてやるよ!」

 

 

 

 

ビルの壁を蹴る、屋根を伝って移動する二人を奏者を乗せたヘリが追う。

 

「成る程、和真は病院から敵を引き離す為に単身で出て行ったのね」

 

合流した翼に事情を聞いたマリアが、納得したように言った。

 

「でも解せねぇな。何で一人で相手をしようとするんだ?」

 

クリスが疑問を呟いた。

 

別に一人で相手をする必要はない、それどころか一対多を心がけろと言ったのは和真自

身だ。

 

「和真さん、何か秘策があるのかな?」

 

「このままじゃまた無茶するデスよ。きっと」

 

調が言うと切歌が続く。

 

「いずれにせよ、戦場が定まらない以上は追うしかあるまい」

 

翼が窓の下で走る和真を見ながら呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!もうここで良いだろ!?」

 

ファーブニルが痺れを切らして叫んだ。

 

二人が居るのは、野球ドーム。試合がなかったのは幸いだ。

 

(病院から離れたとは言え、直ぐに戻れる距離・・・欲を言えばもっと離れたかったな)

 

等と考え、和真は上空で待機するヘリを見る。

 

扉がスライドし、奏者達の姿が見えた。

 

「おい、話と違うんじゃねぇか?」

 

それを見たファーブニルが溜息と供に言った。

 

「・・・・仕事が速いのはいい事だよ畜生」

 

「その様子じゃ、もっと掛ると思ったのかよ・・・」

 

呆れたようにファーブニルが言いながら、マルチブルランチャーを担ぐ。

 

「しかも全員女じゃねぇか!?お前の組織どうなってんだよ?」

 

「・・・・聞くな。」

 

「お前も苦労してんだな。」

 

奏者達が身を躍らせたのを見れば、ファーブニルが全員女であることに驚いて苦言を投げた。

 

和真にはどうすることも出来ないし、何もいえないのでそう答えるとファーブニルがそう言った。

 

互いにダッシュで間合いを詰めながらファーブニルはマルチブルランチャーをメリケン

のような運用に切り替え、拳を引く。

 

和真はZXバスターをチャージしつつ、ZXセイバーでカウンターを狙う。視界の隅でガトリングガン型のアームドギアをファーブニルに向けたクリスに、否。

 

シンフォギア奏者全員に叫んだ。

 

「すまん!今回ばかりは手を出さないでくれ!!」

 

「何言ってんだ!?こいつ等相手にするときは複数でって言ったのお前だろう!」

 

クリスが素っ頓狂な声を上げて言い返す。

 

「約束なんだよ!ファーブニルとのって危な!?」

 

「そうですよ!皆が掛ればっ」

 

響も叫んでいた。

 

「翼なら分かるよな!?武士に二言は!!」

 

叫びながら、突き出されるランチャーの砲身を避ける和真。

 

幸か不幸か弦十郎との組み手が活きている。

 

「む、しかし武藤。お前は武士ではあるまい」

 

「そうだけどさぁ!?」

 

翼がボケる、まさかここでボケた。即答し、和真もZXセイバーを振るう。

 

バックステップで一閃を避けたファーブニルの表情は、同情の色が濃く出ていた。

 

「ほっんとうに苦労してんだな・・・譲ちゃん達!武藤和真は俺との一対一(タイマン)を条件にここに移動したんだ!」

 

まさか、ファーブニルが説明を始めた。叫ぶ傍らで身体は止まっておらず、ランチャー

らしい巨大な炎弾が放たれ、それを避けた和真のうしろにあった観客席が焼ける・・・と言うか溶解した。

 

「そんな戯言っ!」「信じると思っているんデスか!?」

 

そう言って飛びだしたザババコンビ。因みに最初は調、次は切歌。

 

前衛に切歌、僅かに送れて調が走る。

 

「「がふっ!?」」

 

「すまんっ!」

 

そんな二人をタックルの要領で抱えてダッシュジャンプ、一同の下に着地する和真。

 

「所がどっこい、本当なんだわっ!」

 

二人を下ろしながらそう告げるとマリアとクリスは呆れ、翼は頷き、響は驚いていた。

 

チャージバスターを撃って牽制し、ファーブニルを片手で静止する。

 

普通なら聞くことはないだろう。だって敵だもん、所がこの闘将は頷いて担いだ自らの獲物を降ろしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

敵はノイズにあらず、ぶっちゃけると弦十郎と緒川でも対応しようと思えば出来る連中だ。

 

奏者が四天王に掛りっきりな以上、また病院が襲撃にあうかも分からない。故に弦十郎と緒川は現地に残っていた。

 

通信で随時、情報を仕入れながら指示を出している。

 

二人が居るのは奏の病室、そして二人は信じられない物を見た。

 

「弦十郎の旦那、アタシ・・・のッ!」

 

点滴のチューブや酸素マスクを外して、奏が起き上がったのだ。

 

「奏さん!?駄目です、寝ていてください!」

 

「奏くん!!?」

 

 

 

 

 

 

 

「和真さんはアイツとの一騎打ちを条件に」「戦場を変えたというの!?」

 

驚く響にマリアも同じく驚いた。

 

「だが、勝算はあるのか?」

 

翼がいぶかしみながら尋ねてくる。

 

「ああ、多分どの四天王よりも直線的な奴だ。やりようは「聞こえてんぞ!」楽しみだろっ!?」

 

奏者に説明している和真にファーブニルが横槍を入れると和真が即答する。

 

「はぁ、良いわ。あいつは任せる、翼と響、クリスは病院に向かって、何があるか分からないわ」

 

その様子にマリアが指示を出し始めた。

 

「・・・・わーったよ!武藤、絶対に勝てよ?」

 

そう言ってクリスは拳を突き出す。

 

「おう」

 

答えて軽く拳をぶつけた。

 

「切歌、調。私達は待機。本当に危なくなったら手を出すからその心算で」

 

「助かる。マリア」

 

「和真さん・・・絶対、無事に帰ってきてね!」

 

そう言って奏者達に背を向ける和真。飛び出し際に響が言い残して、それに答えるために片手を上げる。

 

「そういやお前、何で俺の名前知ってんだ?」

 

「・・・エックスから聞いたんだよ」

 

嘘である。和真としては今使う二つのライブメタルには恐らく本人が宿っていると言うのは確証に近いものを感じているが、確認は取れていないので黙っている。

 

「そっか!なら納得だ、心置きなく()ろうぜ!!」

 

そう言って再びマルチブルランチャー・ソドムを担ぐファーブニル。

 

信じちゃったよ、こいつ詐欺に引っかかりやすいタイプだな。ハルピュイア苦労してそう。

 

「人間と侮ってくれるなっ!」

 

 

 

 

 

和真とファーブニルのタイマンが再会されて数分としないうちに分担した奏者チームは

病院に到着。

 

奏の病室に三人は流れ込んだ。

 

「お前達!」

 

驚く弦十郎。しかし、彼女達はそれ以上に驚く物を見た。

 

三年間寝たっきりの人間が立っているではないか。

 

「化けて出やがった!?」「アタシしゃ死んでないよっ!」

 

驚くクリスに思わずツッコミを入れる奏。

 

「奏さん!!」「奏ぇ!!」

 

そんな病人に飛びつく二人の少女が居た。

 

 

 

 

戦いは直ぐに熾烈を極めた。

 

飛び上がるファーブニルが、ソドムを地面に叩きつければ指向性をもった衝撃波が和真を襲う。対して、和真はバックステップから一転してダッシュジャンプで衝撃波を避けるとチャージセイバーを叩き込んだ。

 

それを二丁目のマルチブルランチャー・ゴモラで受け止めたファーブニル、押し返して直ぐにダッシュで間合いを詰める。

 

「ゼロ以来だぜ!俺をここまで熱くさせるのはぁ!!」

 

逃げるのではなく逆に向かっていく和真。

 

(良いの一発と引き換えに!)

 

相殺覚悟、今はそれが限界だと感じた和真は急所を避けてと考える。

 

ファーブニルは弦十郎ほどふざけた威力じゃない、拳の打ち合いならと。

 

「ぐっ!?」「がっ!?」

 

一瞬だった。

 

「きゃっ!」

 

何かが、マリア達の横に飛んできた。

 

まぁ、この場合はファーブニルか和真の二択なのだが・・・。

 

「マリア、アレ!」

 

調が、ZXセイバーに貫かれて、膝を付いて荒い呼吸を整えるファーブニルを指刺すと粉塵の中から赤いジャケットアーマーを黒く焦がした和真が出てきた。

 

「言わんこっちゃないのデスよ!」

 

叫ぶ切歌はアームドギアを構える。ZXセイバーは消えて、和真の手元に戻っていた。

 

「ここまでよ、ここからは私達も参戦するわ!」

 

マリアが言い、和真に肩を並べると和真は口角を持ち上げてはっきり言い放つ。

 

「俺の勝ちだこの野郎!」

 

どう見てもボロボロ、どこぞのバトル漫画じゃあるまいし何で平気な顔して立っているのか。

 

「貴方、さっき吹っ飛んで行ったわよね!?」

 

「気にするな、急所には貰ってない」

 

「そうじゃなくて!」

 

何だろう?こんなやり取り前にもしたような、とマリアがデジャヴを感じていると血かオイルか・・・まぁ赤い液体を鳩尾から流すファーブニルが笑い飛ばす。

 

「面白れぇ!流石、エックスとゼロが認めた奴だ!」

 

「・・・まだやるとか、言わないよな?」

 

「動力パイプぶち抜いといて何言ってやがる!俺も満足に動けねぇよ、それにお前が気の毒になってくるぜ」

 

うん、ファーブニルは憎めない奴だ。マリア達からしたらどう思うかは分からないが和真はそう思う。

 

「和真の何が気の毒だと言うの!?」

 

食いついたのはマリア、それを聞いてかファーブニルは「それだよ」と言った。

 

「・・・・和真、まだまだ苦労しそうだなぁ」

 

そう言うと一つのクリスタルジェムをファーブニルは地面に叩きつけた。

 

「じゃあな、また戦おうぜ!」

 

「・・・次はタイマン張らないからな!?」

 

展開された魔法陣に沈んでいくファーブニルに和真は言って、倒れた。

 

「ちょっと!」

 

「和真さん、大丈夫!?」

 

「生きてるデスか!?」

 

上からマリア、調、切歌である。

 

「つ、辛い・・・・こんな戦い方、もう絶対に取らない・・・・」

 

ダブル・ロックオンを解除し、大の字になってそう呟いた。

 

 

あ、肋骨逝ってるかな?そんなことを思いながら。




弦十郎と組み手が出来、尚且つ本気ではないとは言え勝ちにいける。

その時点で人間を止めている和真さんです。
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