戦姫絶唱シンフォギア~魂を纏う者~   作:難波01

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ゼロから始まる物語(プロローグ)

「おい死ぬな! 目を開けてくれ!」

 

自身の砕けたガングニールによって怪我をした少女に駆け寄る。奏は幼い少女を抱き起こすと叫ぶ様に声をかけた。

 

「生きるのを諦めるなッ!!」

 

少女から流れ出る血溜まりが奏の膝を濡らした。少女の目がゆっくりとだが開かれる。

 

 

生きている。

 

 

その事実に奏は喜び、決意する。

 

一度決意すれば心は落ち着くものだ。

 

少女を横たえるとアームドギアを手に立ち上がる。

 

「いつか、心と身体、全部空っぽにして・・・思いっきり歌いたかったんだよな」

 

ゆっくりと迫るノイズに向かい歩き出す。

 

その顔に決意はあれど、悲壮はない。

 

晴れやかな笑顔である。

 

迫るノイズを見渡す。

 

「今日はこんなに沢山の連中が聴いてくれるんだ。だからあたしも出し惜しみなしでいく・・・」

 

掲げられた槍が崩壊を始める。

 

LiNKERを使う事でしかこの力を纏えない自分には限界が近づいていた。

 

その前に、決着をつけなくてはならない。

 

「とっておきのをくれてやる・・・『絶唱』」

 

不思議と涙が流れた。

 

きっとこの『歌』を最後に自分は死ぬのだろう。

 

だがそこに後悔はない。

 

奏は歌いだす。

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenalEmustolronzen fine el baral zizzl…」

 

 

絶唱。

 

 

それは命を燃やす、最後の歌。

 

だがその力と引き換えに反動も大きい。

 

LiNKERの投与をしていない自分が今それを使えばどうなるかなど、よくわかっていた。

 

それでも。

 

今この場にいる人々を、あの少女を、そして翼を救う為に彼女は歌う。

 

禁断の歌を、歌いはじめる。

 

「いけない、奏! 歌ってはダメェェッ!!」

 

遠くから翼の叫びが聞こえた。

 

それでもこの歌は止めない。

 

決意を新たに歌いあげようと歌詞を紡ぐ奏。

 

だが。その歌詞の続きは、歌われない。

 

この世界の神様が、知らない奇跡(ハンター)を連れてくる。

 

絶唱によって高まったフォニックゲインが目の前に集まりだす。それは奏の目の前で形を成していった。それは人の形に収束すると、眩い光と暴風と言っても過言ではない風が辺りに吹き荒れる。

 

その二つに思わず歌うのをやめて、奏は後ろに横たわる少女を守る様に抱きしめた。

 

やがて風が収まる。

 

奏が目を開けると気づけば赤い装甲服、同色のヘルメットから伸びた金髪が目を引く青年が立っていた。

 

腰に手を回し、大型のピストルだろうか?己の武器を手に取る。

 

華奢で細いはずの背中は大きく、頼もしく見えた。

 

「む・・・・」

 

ぐるりと辺りを見渡した青年がそう呟くとゆっくりと歩み寄る。

 

「お前たち、怪我をしているのか?」

 

奏と少女を覗きこむように立つ青年。自分と向き合った青年の瞳は酷く無機質だと感じた奏。

 

「イレギュラーの仕業か」

 

「い、イレギュラー?コレはノイズの・・・」

 

突然のことで上手く説明できない奏、青年の肩越しに一体のノイズがやじり嬢になって突っ込んでくるのが見えた。

 

「危ないッ! 避けろ!」

 

ノイズが彼に向かって攻撃を仕掛けていた。このままでは炭になって彼も死んでしまう・・・。

 

しかし。

 

その声に反応する青年はすぐさま振り向き、迫るノイズを”握り潰した”

 

炭素分解したノイズの成れの果てがさらさらと宙を舞う、それを見て言葉を失う奏。

 

『ノイズを素手で倒した!?』

 

人が触れるだけで炭化し、命を失うノイズである。そんな事が出来る人間が存在するなど考えた事もなかった。唖然とした顔でその背を見つめる。

 

「成る程な、殲滅対象を確認。ミッションを開始する」

 

 

 

 

 

 

 

 

あっという間だった。

 

赤い閃光、とでも言えば良いか。

 

大型のハンドガン、バスターショットを連射しながら青年がノイズを撃ちぬき、銃身から弾き出された白いバトン

のような物を宙で取ると不思議な剣になった。

 

「思い出した技を試す、列光覇!」

 

剣を振りぬき、自らを囲ったノイズを一刀に切伏せて拳を地面に叩きつけると閃光が降り注いだ。

 

計算されたようにノイズへ降り注いだ光の槍。その一撃で殆どのノイズを撃破してしまった。

 

「ミッション終了・・・」

 

無愛想に呟く青年、不思議な剣の柄はハンドガンに装填するわけでなく太股のソケットに仕舞ってこちらに振り返る。

 

「大丈夫か?」

 

「あんたは・・・一体・・・」

 

「俺か?俺は・・・ゼロだ。」

 

青年・ゼロはぶっきら棒に答える。

 

実にシンプルな名前だと奏は思う。勿論、実名ではないだろう。

 

「ゼロ、ありがとう・・・」

 

「ああ・・・・む?」

 

何処か笑った気がしたゼロの変化に奏も、彼自身も気がつく。

 

脚、ブーツの先からゆっくりと透明になって消えていく。

 

「ゼロッ!待ってくれッ」

 

「無理だ、俺にはどうすることも出来ん。時間切れだ・・・・」

 

待てと叫ぶ奏に淡々と答えるゼロ。

 

ゼロは自分が時間制限つきで呼び出されたことを察してたようだ。今まさに胸板までしか残っていないゼロに向けて、奏は叫んだ。

 

「奏っ天羽奏だ!」

 

「そうか、奏。()()な」

 

そう言って、唐突に現れた希望(ヒーロー)は世界から退場した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白い、何処までも白い空間にゼロは転送された。

 

目の前には若干残念そうだが、一般的に女神といえばと言う風貌の女性がいる。

 

「済んだぞ。」

 

そっけなくゼロは言う。

 

「やーやーお疲れぇ!流石は古の破壊神。」

 

女神が大仰にゼロを持ち上げる。

 

「女神様、あの世界へ何故ゼロを介入させたのですか!?」

 

青いヘルメットと神父風の装甲、親友であるエックスだ。

 

サイバー空間でも特殊なエリア、英雄と語られるゼロとエックス。エックスの縁者であるアルカディア四天王は特殊なサイバーエルフとして、この女神に仕えている。

 

単純に言えば、このポカ女神の補佐をしているのだ。

 

今回で言えば、奏と翼・・・さらにはあの少女が怪我負おうことはなかった筈だが、女神がポカをしたことで乱れて歪が発生。

 

異常発生したエネルギーを利用し、ゼロを修正に向かわせたという訳だ。

 

「だってさ、いつも通りでしょ?」

 

「そうじゃなくて!ゼロの介入で未来が歪んで・・・ああっ!」

 

詫びれる様子のない女神にエックスの危惧は現実の物になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

数年後、一人の青年がこの世界に召喚(よば)れる。

 

英雄たちの力を宿したモデルと供に世界の危機を救う為に。




ロックマンシリーズとシンフォギアのクロスがないなら書けばいい!
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