都内ランドマークタワー、そこにある観覧車はデートスポットとして有名である。
響は和真と一緒に居ると嬉しい反面で不安になる。
基本的に和真はぼやきながらも奏者達のお願い事は受けている。それは彼の優しさだというのも知っている。
マリアにしても、翼にしても、切歌にしても、クリスにしても、調にしても。
未来と一緒に居ない時、親友と一時期勘違いから気まずい雰囲気になった時があった。
その時は未来と仲直りがしたいと思ったし、許されなかったらどうしようと不安にもなった。近いようで何処か違う不安は感じたことのない、不思議な物だった。
だけど、一つはっきり言えることが響にはある。
和真君が未来のように“陽だまり”だと思うようになっているということだ。
ランドマークタワーは商業施設が入っており、展望デッキはカフェとしても営業している。
隣接する観覧車はデートスポットとしても有名だ。
「そう言えば、何で校門の所でオロオロしてたんですか?」
カフェにて板場たちを連れてきた未来に合流、何でかクリスが居たがそこは些細なこ
と。本当の問題はここからである。
合流して開口一番に寺島が尋ねてきた。
「クリスが、からかってくれてな。周りの勘違いが更に飛躍した」
和真が答えるとクリスが「わりぃ」とだけ謝る。
「それにしてもアンタ、いきなり飛びつくとか大胆よね。周りの目を気にしないというか。カップルでも早々やらないわよ」
続いて板場が響に半ば呆れて言うと思い出したのか響は真っ赤になった。
「以前デートされていたようですが、お二人とも相思相愛なのですか?」
寺島からの一言に、響はビクッと肩を震わせる。
未来から再びオーラが立ち上る。見なかったことにしよう。
「まぁ、響のことは好きだぞ?」
和真はさらっと言った。
もうこうなれば自棄だ、しかして彼女達の願うような昼どら展開はない。
「うぇ!?」「まぁ!」「「「えぇ!?」」」
女学生達がそれぞれ驚く中、真っ赤に赤面して黙っているのはクリス。
「といってもlikeの方な?」
そこまで言うとクリスと未来は「だよな(ね)」と納得し、響はなにやらガッツポーズ
をしていた。
因みに席の配置は左から板場・安藤・寺島・未来・響・和真・クリスの順でテーブルを
囲んでいる。
「私は和真君のこと好きだよ!」
「ぶっ!」
意を決した響が告げると飲みかけていたお冷で咽る和真。
「因みにビッキー、それはどっちで?」
安藤が恐る恐る尋ねる。何と無く、答えは分かるが。
何でか?響警察とは誰が言った言葉だろうか、未来が凄まじい笑顔を見せているからだ。
「どっちって?」
「おま、それはアレだろ?likeかloveって奴だ!」
首を傾げる響にクリスがツッコミを入れた。
尋ねられて答えるほうが恥ずかしいのか、クリスも若干顔が赤い。
「loveだよ。でないと飛びついたりしないもん!」
響が答えきった瞬間、展望台の外・・・鉄骨をジャングルジムのように渡る漆黒のゴリ
ラが居たのだ。
「ヒャーハッハッ!色恋沙汰は蜜の味・・・って俺ら味覚ないじゃねぇか!!」
仕事を終えた奏者OTONAチームが本部にやってきた。
「奏、身体の方は?」
「相変らず心配性だな、翼は。」
流石に三年も意識不明だった相棒を心配する翼と、笑い飛ばして新たに生まれ変わった・・・響のガングニールとは別の進化を遂げたと言っても良い自分の
「大丈夫さ、ブランクはあるけど皆の負担を減らすくらいは出来る」
「頼もしい限りね。」
マリアが言う。
司令室の扉を潜った時、殆ど同時に警報がなった。
「ランドマークタワー周辺にイレギュラー反応を検知!」
「和真君、響ちゃん、クリスちゃん対応を開始!」
藤尭、友里の報告に緊張が走る。
「何故気がつかなかった!?」
弦十郎が叫び、映った映像にその場に居た者は息を呑んだ。
エルベーターに殺到し、満足に避難が済んでいないカフェテリアがある展望デッキ、落ち着くように促しながら階段で避難を行っていく響とクリス。
ゴリラのような敵が、何かを投げるたびに和真はモデルFXの特殊機能・バスターエデットで弾丸の軌道を制御し、撃ち落す。
繰り返される攻防は、圧倒的に和真側が不利だった。
「弦十郎の旦那!」
「奏者は至急現場に」
「司令っ!南東住宅密集地にてアルカノイズの反応を検知しました!」
「何だと!?」
今にも飛び出していきそうな奏、指示を待つ翼とマリアに弦十郎が「行け」と言うよりも早く、第二幕は開かれる。
住宅密集地でのアルカノイズの出現だ。
「くっ!分断する心算か!?」
「頑張るじゃねぇか、イレギュラーでもないお前の頭じゃ一度に複数の軌道計算なんて無理は続かないだろうけどなぁ!」
ゴリラのようなフォルスロイド・パープリルが、砲丸のような爆弾を投げた。
それは展望デッキを支える支柱に目掛けて投げられており、和真は攻撃よりもランドマークタワーの防衛を迫られる。
「浅知恵にしては、よく効く!」
「所がどっこい、こいつは俺の考えた作戦じゃないんだよ!そぉら追加だっ」
カフェテリアデッキの、タワーと言う建造物の避難は思いの他難しい、我先にと殺到した客達がエルベーターに乗れば、定員オーバーで動きはしない。
タワー自体が破損すれば緊急停止機能が働いてエルベーターは当てに出来なくなる。
ランドマークタワーの営業階層は、何も展望カフェテリアだけではない。
後は避難経路として階段がある。が、エルベーターが使えない以上必然的に人が集中する。
極力窓際から離れていた板場達の目の前で、鳥にも似た鉄翼をもつジェット機に和真は突っ込まれ、すれ違う。
「和真君!」
「問題ないっ!響とクリスは・・・っ!」
響の悲鳴に押し込まれた和真は即答して膝を折った。
「和真さん!血がっ!!」
足元に広がる血だまりに気がついたのは未来だった。強がっているのは一目で分かるほどの重傷、それでも目の前の青年は引かない。
(ハイボルト!相性が悪かったな・・・っ)
展望階を取り巻くように飛ぶ鋼の鳥、フォルスロイド・ハイボルトが更に向かってコースを変える。
「後ろに守る物があると不便だな!S.O.N.G.のロックマン!!」
「そうでもないさ!」
ジェット機顔負けのスピードで突っ込んでくる鉄翼の鳥に対して、和真はモデルFXで力任せに押し返す。
ロックマンの装甲はシンフォギアのように全属性に対して一定の防御力を誇るわけではない。
無属性はモデルXとモデルZとモデルPの三人、他のモデルはそれぞれ弱点がある。
雷・電気属性なのはモデルH、弱点となるのは氷属性であるモデルL。炎が弱点なのは氷属性であるモデルL、電気が弱点なのは炎属性のモデルF。
そして、今の一撃で身を持って知った。
ハイボルトは電気属性・・・これ以上のダメージは致命傷に繋がりかねない。
本部で計測されるデータと監視カメラによるリアルタイム映像、戦況が一刻と悪くなっていくのが手に取るように分かる。
「和真君負傷!イレギュラー反応、もう一つ!?」
「奏君と翼はまだか!?」
『もう我慢ならないね!久しぶりに行くぞッ!!』
『あっ!奏、待って!』
弦十郎が藤尭からの報告に友里へ確認を取る。
スピーカーの先から、和真達の援護に向かった歌姫達の声が聞こえた。
「うぉりゃぁぁ!!」
響がガントレットを変形させ、ハンマーパーツを引き絞ってブーストを噴かせてすっ飛んできて見事にハイボルトの顔面に拳を突きたてた。
「がふっ!?」
「おい、おいおいおい!だらしねぇなぁ!?」
巨大な手裏剣が、ハイボルトの後ろから迫っていた。パープリルの声が響く辺り、変形したのだろう。
吹っ飛んでいって展望デッキからはじき出されたハイボルトが、電磁ピットを用いたオールレンジ攻撃を仕掛けようと操作を開始。
「なんのっ!」「ダブル・ロックオン!」
手で挟みこむようにして手裏剣を受け止める響に狙いを決めたのか、ピットが銃口を向けた時、ハルバートを振り翳した和真が響を飛び越えて一閃の元に破壊する。
「アニメみたい・・・だけど!」
板場が扉に手をかけたところで手裏剣が
「嘘でしょ!?」
身を引いた板場、驚き逃げ道を探す安藤の耳に神経を逆なでするような声が届く。
「ヒャハッハッ!お前等まで逃がしちまったらコイツらの弱点無くなっちまうから
なぁ!」
次第に回転速度を落す手裏剣、最終的に響は合掌の圧だけで高速回転していた手裏剣を止めると蹴り飛ばす。しかし、窓際まで変形を解除しながらパープリルが移動して砲丸より大きな、ボーリングの玉くらいのサイズのボムを取り出した。
「あんた等!私達はこいつらと無関係だっての!!」
「いきなりなんだぁ!?」
いきなり啖呵をきったのは寺島、何とか避難誘導を終わらせ、エルベーターのシャフトを伝って上ってきたクリスがそのタイミングで出くわして驚く。
「だとしても、貴様らはロックマンの脚枷になってもらわねばなるまい!」
足を失い、飛行形態で再び飛来するハイボルト。
「そうかい。なら、アタシ達の到着で形勢逆転だな!」
槍が、
「
剣が、ハイボルトの翼を斬りおとした。
「むぐっ!?」「おおぅ!?」
驚くパープリルとハイボルト。
「二人共、最高だ!」
和真がダッシュで間合いを詰めて、床を舐めるハイボルトにハルバートを突き立てて止めを刺すと直ぐに電磁ブレードの役割を持っていた翼の付け根辺りに嵌めこまれていたライブメタルを力任せに外す。
「ダブル・ロックオン!」
勝負は一瞬でついた。
緑色の閃光が爆ぜたと思うと翼と奏が左右に正面に響、三メーターほど間合いを開けて
構えていたパープリルは両手を一瞬で斬りおとされて大破・行動不能にしたのだ。
「ひゃ・・・ハッ!やられちまったよ。ま、仕方ねぇな。アルカノイズは別行動で使っちまったから」
ノイズの入る電子音で言葉を紡ぐパープリル。
シンフォギア奏者達は、板場、安藤、寺島、未来を抱えて降りている。
ぶっちゃけ、崩壊の危険があるので早々に退避してもらった。
「それでも、結果は覆らないと思うぞ」
パープリルの腕、クリアパーツを砕いて強化パーツとして組み込まれていたモデルPを回収して和真はダブルセイバーを喉元に向けた。
「で、何か言い残すことは?」
「そうだな、お前はボスに勝てないぜ?」
瞬間、床が爆ぜた。