二週間しない内に、アルカディアは行動を始めた。
「シュルシャガナ、イガリマ、エンゲージ!」
藤尭の報告に弦十郎と和真はモニターを見ながら唸っていた。
「・・・二人共、相手のスピードに翻弄されるな!」
今回、ダムがいきなり凍り付いた、と言うか凍りつかせた犯人を撃退すべく動いたのは
シンフォギアのみ。
和真は前回の戦闘で割りと大怪我を負ってしまっていた。
全治二週間の十針を縫う怪我だった。ノヴァ・ストライクを受けてこの程度ですんで運が良い。
抜糸までは済んでいるんだけども、弦十郎が出撃を見送れというのだ。なので、今回は切調コンビが出撃し、狼型レプリロイドを相手にしている。
他のメンバー?拡散したアルカノイズの相手に動いてます。
「和真君、このまま行けばダムはどのくらいで完全に凍りつくと思う?」
弦十郎が尋ねてくる。
現在、埼玉県の実に四分の三を占める水力発電所が襲撃されてダム湖表面はちょっとし
たアイススケートリングになっている。
「分かりません。正直、ルナ・エッジにあそこまでの冷凍能力は本家でもあんな描写無
かったし・・・・ないとは言い切れないのか?兎に角、時間との勝負です」
答えると弦十朗が吼えた。
「聞こえたな!?二人共!!」
「合点承知なのデス!」
切歌が攻め、調が機動力。
【非常Σ式 禁月輪】で、氷上を切裂きながら移動する調の後ろに切歌が乗って。アームドギアを振るっている。
「何て小娘たちだ!俺についてくるとは・・・てか鋸は乗り物じゃないだろ!ワォーンっ!」
ルナ・エッジが驚きながらも、調につっこみを入れた。
シンフォギアサイドは派手な技使えないと言う制約があるため、あまり派手に技が使えない。
制約を設けた所で割と常識人だったルナ・エッジには非常識極まりないシンフォギアの攻撃は理解が追いつかなかったようだ。
「狼は貴方みたいに可愛くない筈ない!」
腕にはやした氷の刃と切歌のアームドギアである鎌が何度か打ち合い、調が叫んで二人は跳躍。
「そうデス!フワフワモフモフなのデス!!」
【禁殺邪輪 Zあ破刃エクLィプssSS】
「んなぁ!?」
ロープに絡め取られ、固定されたルナ・エッジ。
氷上に固定されたその瞬間に運が尽きた。同時に切歌のアンカーを調のギアと接続し、【非常Σ式 禁月輪】と【断殺・邪刃ウォttKK】Kで挟撃を見事に喰らって四つ切れになってしまった。
この時、本部で和真が「ツッコミに徹するからだよ」と同情していたそうな。
「いやぁ~切歌ちゃんと調ちゃん凄いね!」
集まった奏者たちが、それぞれ受け持った戦場は悪く言えば変化のない相手だった。響
の言うようにノイズ以外の相手とやりあって勝ったのはザババコンビだけである。
「そうだねぇ、それじゃ夜はパッと繰り出すか!」
響と切歌に肩を組みながら奏が言った。
一様、仕事に復帰したとは言え奏はフルスケジュールではないので最悪でも二十時には仕事を切り上げることが出来る。
「いいデスね!奏先輩!」
「うん、楽しみ。」
嬉しそうなザババコンビ。
「奏、あまり家の子を甘やかさないでくれるかしら?」
二人の親代わりであるマリアが口を尖らせた。まぁ、何時ものことなのだが奏とマリアでいつも軽く口論して、最終的に外食に流れ込む。
「良いだろう?頑張った子達はご褒美があったって。和真もそう思うよな?」
奏が振ってくるが聞いていなかった和真は「え、ああ」とだけ答えた。
「なんだい、聞いてなかったのか?」
「ああ、悪い。まぁ褒美はあっても良いと思うぞ・・・」
「和真まで!」
マリアは口を尖らせて言った。
最近では奏者達の中で最終的な決定を和真に委ねる傾向にある。例えばこんな風に意見
が割れたときとか頻繁に同意を求められる。
響だけに限らず、皆が和真にそれなりと好意を持っているからだろうと緒川は推測していたりする。
こうなると大概会計は和真が行うのが通例となっている。
これは和真の持論で、デートで女性に出費を出させるのはどうか・・・と言うものから来ている。流石に全額保障は出来なくても食事くらいは気兼ねなく楽しんでもらいたいという思いからだなのだが。
『・・・・食べ放題レストランに入って、早速生四つ』
『こりゃあ二人とも潰れるな』
呆れたモデルPとお決まりとなってきた展開が見えたモデルF。
「二人共、明日も仕事だろ?程々にしとけよ」
「大丈夫大丈夫!」
「アルカノイズにイレギュラーにストレス!もう飲まなきゃやってられないわっ」
心配する和真を他所にジョッキを呷る奏とマリア。
因みに先ほどの四つはマリアと奏が駆けつけの一杯といわんばかりに飲み干した。
この分なら直ぐに潰れてしまうのが目に見える。
因みに和真は冷酒を頂いている。
「それにしても凄い勢いで飲んでますね・・・」
飯に行くぞ、と言う事で合流した未来は、奏とマリアの飲みっぷりに呆れてしまってい
る。
「ま、社会に出ればストレスフリーなんて滅多にない。未来もその内分かるよ」
和真はちまちま飲みつつ、リミッターを外した響の食べっぷりにも若干呆れている。
「和真君はもっと食べないの?」
「いや、それなりに食べてるぞ?」
響が、餃子を山盛りにして取ってくるとギョッとする切歌と調、胸焼けしたのか胸をさするクリス。
そんな彼女たちからすれば、和真の食べる量は多い。
今食べているのはラーメンで、既に〆に入っている。
何故かって?普通にラーメン一杯で十分満腹感は得られるからね。
「オメーが例外なんだよっ!どうなってんだ?オメーの胃袋は」
「それでこその響だよぉ~」
苦言を呈したクリスに半ば酔いが回って上機嫌の奏がぐりぐりと頭を撫でた。
「か、奏さん!?」
「・・・餃子をもう食べ尽くした、だと!?」
持ってきて十分経たない内に最後の一つを口に放り込む響が「やめてください~!」と
抵抗している。
流石にこれには和真も驚いた。
「ま、マリア?」
「翼!貴方は和真をどう思っているの!?」
「いきなりなんだ!?ふぅ、相当酔いが回っているな・・・・」
静かになったマリアを心配して声をかける翼に絡むマリア。
「こんなマリア、初めて見る・・・」
調がその様子に目を丸くする。
「お、落ち着くのデス!マリア、暴れたら迷惑がっ」
ゆらりと立ち上がったマリアを諭す切歌。
『何時もの光景だね』
『本当に懲りない奴らだ』
そんな奏者OTONA組の有様に、モデルXとモデルZは呟くのだった。
響たち学生組と分かれて直ぐに問題は起きた。
でろでろに潰れた二人を送るのに担いでいくわけにも行かなくなり、緒川に迎えを頼むと何時もの黒い乗用車できたのだが、
「またですか」
「ご覧の通りですよ、緒川さん。」
奏に肩を貸しながら、ふらつく翼に手を貸して、二人に担がれるような感じになっているマリア。
二人は弱いくせに飲むのだ。
後始末をするほうの身にもなってほしい。
「ほれ!緒川さんが着たから、車乗るぞっ!」
「うぇへへへ~和真の横はアタシ~!」
「あ~もうっ!奏の横には俺が居るからっ・・・って抱きつくな!」
奏を後部座席に押し込むとそのまま和真を抱き寄せる奏、その後直ぐにマリアが倒れこむように乗り込む。
「和真ぁ~!切歌たちだけじゃなくて私も褒めてぇ~!」
「マリアも枝垂れかかるな!分かってる、マリアも普段はセーブしてるのは分かっているから!!」
「緒川さん、マリアのマンションまでお願いします」
助手席に乗った翼が最初の目的地を告げると「承りました」と答えた緒川が車を発進させる。
騒がしい後部シートの状況をミラーで確認しながら緒川は笑い掛ける。
「武藤さん、役得ですね」
「この状況でそれを言いますかっ!?」
和真の悲痛な悲鳴を聞きながら緒川は笑顔でアクセルを踏んだ。
本部にて
「む、緒川。和真君はどうした?」
迎えに行ったはずの緒川が一人で居るのに疑問を持った弦十朗が尋ねた。
「奏さんを部屋まで送ってもらった所、奏さんから連絡がありまして」
「ふむ、奏君も一歩引いたタイプだと思っていたのだが・・・」
「和真さんには響さんがいますし、間違いはないでしょう」
「だな。」
と言うやり取りが本部であったそうな。
この時点での和真はというと・・・、
「うひひっ和真を独占したぞぉ~!」
「奏!奏さん!!首が、首が絞まって・・・っ!?」
奏の自室、玄関で倒れこんだ悪酔い奏で固められて死に掛けたそうな。
作者「酒が入ると本音って出るよね?響に譲ったとしてもこう思っている設定」
ルナ・エッジ「おい作者、何で俺はやられ役なんだ!?」
作者「仕方ないでしょ、当時ボスイラストを見た時のイメージで今回はやらせてもらった!」
ルナ・エッジ「常識に囚われてシンフォギアにツッコミまくった・・・そんな訳あるかぁ!!」