最初の百メートルは二人三脚ならぬ二人三手。
二人三脚の手を繋ぐバージョンだ。
単に手を繋いで百メートルと思うだろうが色んなギミックが搭載されたレーンに思うように進めないとはルワンの談。
「な、何だか運動会みたいだね」
「S.O.N.G.でやったら面白そうだなぁ・・・てかあのスイッチは何ぞ?」
25メートル間隔に変なスイッチがあるのが見える。
レースゲームとかでよく見るアイテムみたいな模様替えがかれたシートをスタッフが敷いている辺り、何かありそうだ。
『さぁついに始まる多分!二度とない珍しいレース!実況はアフロこそ至高っ!アフロマンがお届けします』
『なんだいそのネーミング!?あ、ぶっ飛んだゲストS.O.N.G.解説役天羽奏で~す!』
『奏さん、言わずと知れた人外ルワンとブラウニー、さらには狙った犯人絶対ゲットな柊
『いや、多分スイッチ入ったらギミックとか意味ないんじゃないかなぁ?』
『ソレは楽しみだ!それではッ!今、ブザーがなった!!』
奏と実況、アフロマンの台詞が交互に聞こえて、確かにレース開始を告げるブザーが鳴った。
ルワンとブラウニーは息が合っていて流石は歴戦の猛者といった感じだ。柊
「響、大丈夫か?」
「あ、うん!大丈夫だよ、和真君合わせてくれてるから。」
一定のリズムで、ビリだろうがゆっくりと進む和真と響。
『S.O.N.G.ペア何だか初々しい・・・・ウッ!砂糖吐きそう、ルワン&ブラウニーには見られない初々しさ!奏さんアレどうなってんの!?』
『ま、コレは個人情報だから。見れば分かるけどアタシの口からは何とも言えないねぇ』
『つまり付き合っている!何時かの柊ペアと同じ!?』
ゲストに焦点を当てるのはいい、テレビとしては成功だろうね。
実際、白熱する細マッチョ東方美女ペアとゴリラ&アメリカン美女ペアの白熱戦をお望みの方にはごめんなさいとしか言いようがない。
奏の含みある言い方もよろしくない、コレでは響が勘違いされてしまう。
「えへへぇ~和真君の彼女だってぇ!私にも春が来たよ、未来!お母さん!」
あ、駄目だこれ。
「うふふふ・・・・。そっか、響に春が来たんだ。ふふ・・・・・」
異様な
目のハイライトが消えた未来がぶつぶつ呟いている。
「お、落ち着くんだ。小日向」
恐る恐る声をかける翼。
ゆっくりと振り返る彼女は、歴戦の防人さえたじろぐ貫禄があった。
きっと効果音をつけるなら「ヤベーイ!」とか「キャアアアア!」だろう。
何で?そんな気がしたんだよ。
(先が思いやられるな、和真君!)
弦十郎はそんなことを思っていたそうな。
「なら、若き彼女たちに試練といきましょう!」
ブラウニーが徐に一つのアイテムシートを踏み抜いてスイッチを押す。
和真と響が進む先の床がスライドし、上っ面がなくなって無駄に光沢のある床が姿を現
した。
『流石はブラウニー!分かっているっ!視聴者が何を求めているか分かってい
るぅー!!』
はっきり言って煩いくらいハイテンションの声音、奏は実況席で耳を塞ぎながら耐えて
いる。
『で、あれなんなの?』
『あの床はローションがまかれている!つまり踏んだが最後ずっと滑るという訳
だ!!』
『考えて奴普通に最低だな!参加者に女性がいるの知ってて組み込んだのかい!?』
『初参戦の皆さんは大抵ここでリタイア!どう出るS.O.N.G.ペア!?』
アフロマンが説明、奏はどうも素でツッコミを入れた。
その時、ルワンとブラウニーが差し掛かった水上バルーンエリアが爆ぜた。
「未確認ですが四天王と類似反応を確認!」
本部に鳴り響いた警報は、一瞬で休憩から仕事モードに切り替えさせた。
藤尭がオペレート席のモニターを見るや報告し、弦十郎とアイコンタクトを交わした翼
とマリアがクリス達と供に出て行く。
「現地の三人には早速対応させろ!現地から半径二キロを避難要請!」
すぐに弦十郎が指示を出す。
「ガングニールA.B.モデルZX状況開始しました!」
友里が報告した。
続く炸裂音に競技用のセットが盛大に揺れ、和真は響きを庇うように抱きながら転がった。
「ご、ごめん」
和真の顔が近くにあることを意識した途端、響は真っ赤に顔を染める。
それだけ言うと和真は響きを抱いたまま、また転がって崩壊してきた単管を避けた。
「はぅぅぅ!?」
響は一瞬でキャパオーバーを起してボンッ!と一瞬、煙を噴いたように見える。てかフリーズした。
「お、おい?響さ~ん!」
何度か叩いてみるがまるで処理落ちフリーズしたPCの如く動かない響に駆け寄ってきた奏が一言。
「イチャコラするなら後でしろ!」
一喝したしら「は!?」と帰ってきた。
うん、シンフォギアのエースはどんな時でも平常運転だ。
「響と奏は逃げ遅れを頼む、俺は・・・・」
「初めまして、かしらね。武藤和真」
水上バルーンエリアから上がってきたのはレヴィアタン、彼女が妖艶な笑いを浮かべてそう言うと一瞬固まった和真が「うげぇ」と呟いた。
「何、今の反応・・・!?」
「それ初対面でやられたら傷つくよ?」
「仕方ないでしょうよ、ヤンデレの相手するなら響のハイテンションに付き合っていた
ほうが数倍マシ!と言うか楽しいってのに」
奏が和真の反応に驚き、響が珍しく注意する側に回った。とは言うものの和真は四天王
を知っているからこういう反応なのだ。
「やったー!奏さん、聞きました!?一緒にいたら楽しいって!」
「あーはいはい。片付いた幾らでも惚気聞いてやるよ!」
一転して、和真のボヤキを聞いた響は飛び跳ねそうなほど喜んで、聞いた奏は呆れた様子で胸元からギアペンダントを取り出した。
二人は聖詠を、和真はもう慣れ親しんだ言葉を口にする。
「Croitzal ronzell gungnir zizzl・・・」
「Balwisyall Nescell gungnir tron・・・」
「ダブル・ロックオン!」
借り物の力で力を所有した本人に勝てるか?
まぁ、立ち回りと経験値次第だと和真は思っているがどちらも今の彼には欠けていた。
それでもシアールとの一戦以降、訓練とアルカノイズ戦、以前の四天王戦で動きは最適化されつつあって、こと陸上での接近戦ではレヴィアタンに引けを取らなくなっていた。
「あの炸裂音、アンタの装備じゃそんな技なかったろ?」
「良く知ってるじゃない。あの人工池を背後に取らないのはまた二人がいるからかしら?」
「そりゃ人命第一だからっ・・・な!」
槍と剣の攻防は続く。
連続で突き出される鋭い突きを最低限の動きで避け、ZXセイバーで逸らして一連の動きから一閃を繰り出す和真。対して、レヴィアタンも連続突きから一転してフロストジャベリンを地面に突き立て棒高跳びの要領で和真を飛び越え、一閃を避けるとそのまま持ち手の部分を叩きつける。それをダッシュで避ける和真。
開いた間合いで、再びにらみ合いになる。
「うんうん!ゼロとは違うベクトルだけど、私好みだわ。もっと苛烈に打ち込んできて良いのよ!」
何度も頷き、再びフロストジャベリンを構えるレヴィアタン。
きっと普段の和真なら好まれたことに対してマイナスの感情は抱かない。けれど、相手の素性を知っていたら別だ。
「・・・・ヤンデレはゴメンだ」
心底うんざりしたように呟いてダッシュで間合いを詰めた。
人工池から飛び出る影が二つあった。
響と奏が、ルワンとブラウニーを抱えて飛び出して数秒後、池の水は吸い上げられるよ
うに龍の形を象った。
元々復元以前のレヴィアタンはハルピュイアと連携して人間の生存権拡大を担うほど高い制御能力がある。
それを戦闘に応用したらどうなるか?
答えはこの水龍である。
「ええ!?何ですかアレ!」
「どっちにしろヤバイのは確かだね!」
驚く響を奏が引っ張ってどんどん離れていく。気を失ったルワンとブラウニーを放っておくわけにもいかないが、和真のほうも心配だった。
「響、二人はアタシに任せてアンタは戻りな!」
奏が叫ぶと同時に水龍がドバァン!と会場に突っ込んで轟音を奏でた。
「危なっ!あんなことも出来るのかよ!?」
和真はとっさにモデルLXへ換装、水龍が一帯を飲み込む直前に飛び込んで尻尾の方へウォーターダッシュで駆け抜けて難を逃れる。いや、逃れたつもりでいた。
「ヒャッハァ!」
滑るように突っ込んできたレヴィアタンのジャベリンをハルバートで何とか逸らして避ける。が、辺りは気がつけば氷付けになっていた。
さながら簡易アイススケートリングである。縦横無尽に滑りまわるレヴィアタンを捌くのは至難の業だ。
左太股、右肩、左二の腕、右足の脛と傷を追いながらもかろうじて捌ききる和真。
「私のホームグラウンドは水中だけじゃないわよ?貴方が知っている私達はほんの一面だ物。まぁ、何処で知ったかはどうでも良いわ。
「すげぇ押し売りだと思うんですが!?」
ハルバートでは無理、そう判断してモデルFXに換装。弱点属性で攻めようとするが攻めあぐねているのが現状だった。
そんな彼女に撃槍が突っ込んだ。
「ふざけるなぁぁ!!」
「きゃぁぁ!?」
数回バウンドして競技用のセットに突っ込むレヴィアタン。
うん、あれには同情する。人間なら腰逝ったね、レプリが簡単に腰折れるとは思えんけど。
「和真君、大丈夫!?」
着地した響。
成る程、よく「響がイケメン過ぎる」とは言ったものだ。確かに落ちるね、コレは。
がらがらと単管を退かしてレヴィアタンが出てこようとしているが、如何せん配線が絡
まったらしい。上手く出てこれないようだ。
「ああ、助かったよ。響」
「傷だらけ・・・和真君は休んでて。何が目的が聞いてくるから」
礼を言って、ナックルバスターを構えなおす和真に、何やら有無を言わせない圧力を放つ響に和真は小さく「はい」と答えるしかなかった。
「あ~あ、あのスルメ女壊れるんじゃない?」
奏が、和真の肩に手を乗せながら言う。
「・・・・奏さんもご立腹で」
「そりゃそうさ、アタシが怒っている理由は響と同じだよ。という訳だ、覚悟できてん
だろうな?スルメ女!」
流石に起こっている人間を察せないほど和真も鈍くはなく、アームドギアを出現させながらドスの効いた低い声音になる奏に一歩後ずさった。
「スルメじゃないわ!まったく「挨拶代わりの十億連発!」嘘でしょぉ!?」
何とか這い出てきたレヴィアタンが奏に言い返すと聞こえた声と降り注ぐ弾雨に悲鳴を上げる。
「相変わらずボロボロじゃねぇか」
目の前に着地したクリスが、二門のガトリングガン型アームドギアを携えて、狙いを定めた。
「和真さん、生きてる?」
「これまたボロボロデスね!?」
続いて切調コンビ。
「立花、奏、落ち着いて。これ以上やったら聞くに聞けなくなる!」
今にも飛び出して行かんとする撃槍コンビを止める翼。
「オーバーキルね、間違いないわ」
「いや、それはもう一目で分かる」
最後に現れたマリアに和真は同意する。が、レヴィアタンも自分を優先するとは言え四天王、ボロボロの
「お主は油断しすぎる、次からは注意するんだな」
「うわぁ、陰険坊やに助けられた。」
「ファントムさんや、そんな顔をする奴助けるんか?」
「仕事故」
ボロボロの
不満そうなレヴィアタンが何か言っているので尋ねてみるとファントムが一言だけ言って見覚えのあるジェムを握りつぶした。
「逃がすか!」
「待て、雪音!」
クリスが背部に形成した固定式射出器に左右それぞれ3基、計6基の固有の形状の大型ミ
サイルを連装して発射。翼が止めた時には既に遅し。
ファントムとレヴィアタンには逃げられた上にアスレチック運動公園は“だった”場所となった。
ハルピュイア「レヴィアタンまで負けたか・・・?」
レヴィアタン「キザ坊や、人間の少女がミニガンを両手にもてるかしら?」
ファントム「それを可能にするのがシンフォギアだ」
ハルピュイア「は?」
作者「安心しろ、ハルピュイア。お前も味わうぞ」