昼下がり、平和とは何ぞや?と思う和真はトーク番組に今度は
(助けてください・・・)
『諦めろ。』
和真の声にならない呟きもモデルZが両断する。
前回の番組・・・まぁレヴィアタンの襲撃でお釈迦になったわけだが取れていた部分は生放送されていたらしく、未来から聞くに響は学校で胴上げされ、「彼氏持ち」と言う称号ゲット&勝ち組に昇格したらしい。
うん、仕方ないね。あんな実況されればね・・・・。
んで、未来が凄い形相で「こうなったら、責任とってくださいね?」と凄んで来たのは怖かった。
もしかすれば世界を去る決断をするかもしれない和真からすれば一線を引いていたつも
りだった、冷静に考えれば酔っていたとは言え奏の抱き枕にされたり、短期間で全米No1アーティスト(うる覚え)になったマリアが甘えられる男ってかなり貴重というか普通に責任取らないと不味いんじゃない?世間的に、と考え始めてしまう。
『男なら腹括りなさいよ。』
(これ、俺の一存じゃないからね!?)
『あの響と言う子の好意は本物だ。このままだらだら行くよりも応えてやらねば・・・
ないとは思うが妖将のようになるぞ』
『モデルPが乗り気、だと!?』
モデルLに言い返しながら、モデルPのアドバイスを聞く。驚いているモデルFは割愛しよ
う。
各モデルで女性に関する逸話持ちはモデルZだけだが、他の彼らも女性の気持ちを察せな
いほど鈍感ではない(モデルX、モデルFを除く)ので、ばりばりくっつけようとしている。
○子の部屋と言う番組で、現在マリアと奏があのスクープは何だと聞かれている。
あのスクープとは何ぞや?
何時ぞや飲食店に繰り出して、飲み潰れた二人に肩を貸す和真と親しげな翼の写真が何
処からか激写されてたんだよ、緒川の車に乗るまで連写で。そんでもって前回のはノーカウントとなって和真はこうして任務(ここ重要)でアーティスト組に付き合うことになった。
「私達だってお酒くらい飲むわ。彼は潰れた私達を介抱してくれただけで、それ以上の
ことはないの」
マリアがついに開き直った。
これは特ダネ、来週の週刊誌が実に楽しみである。
「あら?それじゃあ天羽さんのご自宅から彼が出てきたことは・・・?」
「あ、それアタシが和真を固めて寝ちゃったんだ。」
「奏、その言い方だと誤解を招くわよ・・・」
へらっと答えた奏に額に手を当てて俯き加減で翼が言う。
和真へ質問が行かなかったのか?来たよ、全力で事務的に返答した。
結果として、○子の部屋はアーティスト組が出演した回に限って記録的な視聴率を更新したとだけ記載しておこう。
「和真さん、何でそんなげっそりしているのですか!?」
収録から帰ると廊下で出会ったエルフナインが和真を見るなり駆け寄ってきた。
台詞から察するにとんでもない顔をしていたに違いない。
「いや、恋愛に対する興味はどこの世界でも同じダナ・・・と」
和真言うなり溜息を一つ、そして常々疑問に思っていたことを聞いてみる。
「なぁ、エルフナイン。一つ聞きたいんだけど」
「あ、はい。何でしょう?」
「何で皆、戦いの時にイグナイトを使わないんだ?」
「それは・・・パヴァリア光明結社の首領、アダム・ヴァイスハウプトとの決戦の折に負荷の肩代わりで焼却してしまい、現在のシンフォギアでイグナイト・モジュールは使用出来ないんです」
エルフナインの説明を受けて、和真は考え方を改めることになった。
イグナイトがあるからシンフォギアも四天王に対抗できるし、切り札にもなる。
そう思っていた。が、蓋を開けてみればイグナイトは既に無い。となるとアルカディア側には相当シンフォギアの戦闘データが集まっているのではないか?
「・・・ありがとう。」
礼を言えば、エルフナインは苦笑する。
「和真さん、一人で抱え込む必要はないんじゃないでしょうか?」
「そう見える?」
「はい、一人で黒いロックマンと四天王の対策を考えているように見えます」
エルフナインに言われ、聞き返すと即答されてしまった。
図星だからなんとも言えない。うん、的確すぎるよ・・・錬金術士って心理学も齧ってるのか?
「そんな顔に出てた!?」
「いえ、僕も一人で二人分頑張らないとって思っていた時期がありました。でも一人じゃどうしても解決できない事もあります。」
体験談からくる説得は重みがある。
成る程、弦十郎にも、緒川にも、オペレーター二人にもそう見えているんだろう。
「ああ、そうするよ」
エルフナインに答えるとエルフナインは明るい表情になって部屋に戻っていく。
シアールにとって、人間は憎悪の対象だ。
エックスが目指し、話したような“人間の可能性”をシアールは感じることが出来なかった。何より、自分の身体を“力の器”として調整した研究者たちが憎かった。
目が覚めてからは人間が憎くて誰も彼も一緒に見える。
イレギュラーの襲撃で瀕死の重量を負ったシアールは
「・・・・世界が変わっても人間のやることは変わらない」
唯一信じたアダム・ヴァイスハウプトは、自分に完全な肉体を与えくれた。
同じ未来を見た、今の彼女にとって唯一無二の友は世界に、人間に否定された。
イレギュラーは排除しなければならない、エックスが主とした活動をシアールは歪んで
解釈し、今の目的を制定した。
「間違った人は排除しなければ、
シアールは錬金術が使えない。知識としては知っていても発動させることは出来な
い・・・なら
「“彼”を投入するまでもない、今度は私も出て行けば良い・・・」
目的遂行のために先ずは邪魔なシンフォギアとS.O.N.G.のロックマンを消そう。
暗がりの中で静かにシアールは呟く。
S.O.N.G.本部に平時は奏者が一名、朝晩交代で待機している。
和真が常時戦力として待機している最近は、学生組は学業に専念してOTONA組はそれぞれ仕事に精を出す。
今日はマリアが待機しており、和真は比較的自由に行動できる日だ。
「和真、少し聞きたいのだけれど良いかしら?」
「おう、どったの?」
「響のことで悩んでいるでしょう?」
「ぬぐぅ!」
「あら、図星ね。分かりやすい」
マリアに呼び止められ、和真は聞き返すとあっさり見抜かれて唸るしかなかった。
「大方、去るかもしれないのに彼女の思いに応えて良いのか?ってところかしら?」
「・・・流石、シンフォギアお母さんポジションのマリアさんだ。」
「誰がお母さんか!?」
言い当てられて「まいった」とジェスチャーする和真と言い分にツッコミを入れるマリ
ア。
「ま、その通りだ。響の気持ちを知ってから見方も変わってきた、可愛いとも思うし一緒にいて楽しいと思うことの方が多い。実際、響みたいな明るい子が彼女ならどれだけ楽しいかって思うこともある」
独り言のように語る和真。
「確かに、貴方はいずれ去るかもしれない。それであの子が傷つくことを避けようとす
るのは優しい貴方らしい。けどね、はっきりしないのも悪いわよ」
マリアが言った。
放課後、未来と響は喫茶店である男性と待ち合わせていた。
その男性と言うのは響の父親、立花洸である。
「やぁ、遅くなって悪いね」
萎びれた父の姿に響は苦笑しつつ、呼び出された理由を尋ねる。
「お父さん、急に話って何?」
「響、分かってるでしょ?和真さんのことだよ」
未来が洸より先に言うと洸は「そうなんだ」と答えた。
テレビであれだけ大々的に「彼氏彼女」と報道されてしまったのだから、詳細を知る未
来でさえ和真の本心を聞き出したくらいだ。
父親なら尚更気になるだろう。
「響、彼とは付き合っているのか?テレビで言っていたことは本当なのか!?」
「私は、和真君のことが好きだよ。けど、未だ付き合ってない」
矢継ぎ早に質問してくる洸に響が答える。
「そうかぁ・・・」
安堵の息を漏らす洸。
「もし本当にお付き合いするようになったら先ずはお母さんとお婆ちゃんに紹介するか
ら!」
「そんなぁ!お父さんが最初じゃないのか!?」
響と洸が顔を突き合わせて、数秒のうちに笑いあっていた。
(良かった。前みたいなことはないみたい)
以前のような蟠りがないことに安堵する未来だった。
「と言うことがあってもう参っちゃうよね~!」
時間は十九時、一般的に午後七時を回る辺りの本部食堂に奏者一同が集結して夕食を取っていた。
父の話と学校での話題に出して盛り上がる響と苦笑する翼と奏、和真がいた。
「そりゃ、パパさんからすれば心配だろうが」
「響さんは、学校でも彼氏ゲットの勝ち組・・・」
「正直、いきなり差がついたのデスよ」
上からクリス、調、切歌である。
何故、集合しているかと言うと訓練がってのこと。
一緒に帰った奏者学生組はひそひそ話すリディア女生徒に「え?知れ渡るとこうなるの?」と首をかしげた(主に切歌が)。
「まぁ、訓練前だろ?あんまり喰いすぎるなよ、特に響」
「うぇ!?」
「一人でおひつ三つ空けてるしな」
「酷いよ二人共!」
響の脇には空になったおひつが三つ、少し心配になった和真が注意してみればクリスが
同意した。
くすくすと笑う奏、翼、クリス、切調コンビにマリア。
談笑しながら取っていた夕食はけたたましい警報音で終わりを迎えた。