マリア達が到達した時、アルカノイズの反応は消失していた。
元よりアルカディアの元に残されたアルカノイズ召喚ジェムは多くなく、フォルスロイド達が多くを消費して作戦に当たった。
今回、ファントムとハルピュイアの双方で使い切ってしまったわけだ。
さらにアルカノイズが消失した理由、ファントムとハルピュイアの行動が起因する。
結局の所、DNAに刻まれた「人を守る」と言う行動原理には洗脳も勝てない。
白銀と紫煙の刃が激突する。
「何故こんなことをするの?貴方たちの目的は何!?」
「シアールの目的は知りえぬ!されど拙者達はもはや引き返せぬ!ならば突き進むのみ
ぞっ」
マリアと打ち合うファントムAが半ば焼け気味に答えて距離をとった。
「こんな、罪もない人たちを!」
十字手裏剣を巨大な鋸が弾き、更に調がツインテールのようなユニットから小型の円盤鋸をばら撒いた。
【α式 百輪廻】
「使える者にとって、偽りであろうと主の命は絶対!」
ファントムBは自身に降りかかる最低限の小型円盤鋸をクナイで撃ち落し、調へ忍者刀型のビームサーベルを抜いて迫る。
「その主って言うのが間違えているって言うのも使える人の役割じゃないのデスか!?」
切歌の
「切ちゃん!」
「それを出来れば苦労はないんだ!」
「ぐぁっ!?」
「切ちゃん!大丈夫!?」
ファントムCが悲鳴を上げながら切歌の腹部に蹴りを突き刺し、人間を遥かに超えた脚力をモロに受けた切歌はアームドギアを手放し、民家と道路を隔てる壁に突っ込んでブロックの下敷きになった。
調が慌てて駆け寄る中、三体のファントムがそれぞれの獲物を目掛けて攻撃を繰り出す。
ファントムAはマリアの死角から急所を狙って、ファントムBは調の四肢を封じまいとクナイを投げて、十字手裏剣も続けて投擲してジャンプ。ファントムCは更に四体へ分身してクナイと鉤爪をそれぞれ構えて確実に二人の命を刈り取る心算のようだ。
「やらせるわけないでしょうっ!?」
マリアが吼える。
【EMPRESS†REBELLION】
マリアのアームドギア、短剣が蛇腹剣のように変化し、あらゆる角度から周囲一帯を斬り裂いた。
一人は首を、一人は足と腹を、一人は心臓を。一瞬で放たれた蛇腹剣による斬撃は、分身していたファントムを纏めて斬り裂き、最初の一人を除いてボボンッ!と小さな爆発音と供に丸太に変わった。
「・・・もはや、語ること無し。アームドフェノメノン!」
ファントムが、地面に
悲鳴を上げる。
四天王のまとめ役として、生真面目でファーブニルやレヴィアタンのように自分を優先することもしないで生きてきたハルピュイア。そんな彼は今、一時でも信じたかった者の指示で消えていった命に詫びるように悲鳴を上げていた。
「aaAAAGAAGAAAAAaaa!」
もはや、言語機能が失われているんではないかと思うほどノイズの走った電子音が無人となった住宅街に響く。
度かなる雷は、彼が落としているものだ。
アルカノイズを駆逐するために、エネルギーなど惜しむ事無く只管に。
ばらばらとローター音が聞こえた。
「ギ・・・来タ・・・!」
待っていた。
ハルピュイアは柄にも無く、親に縋る子供のような心境で、シンフォギア奏者と和真を待っていた。
自分を止めてくれ、と止められる力を持つ者と彼女たちを。
「貴様!?」
青いシンフォギアは、何に驚いている?
「そんな泣きそうな顔して、そこまでしてあのロックマンの指示を全うする必要あるの
かよ!?」
橙色のシンフォギアが、今のハルピュイアの表情に驚きながら問い詰める。
「・・・覚悟できてんだろうな!?」
赤いシンフォギアが、怒りの形相で拳銃を向けた。
彼女達の名は知っている筈だ。いや、ハルピュイアにとって今はどうでもいい。
「頼ム、Oれヲ破壊siろ!」
そういいながら、ハルピュイアは三人に向けてソニックブレードを抜いた。
少女を抱えて避難所までぶっ飛んだ響は、得てして遊撃枠となった。
友里から戦況を聞きながら、今は自分の主戦場へ戻ろうと腰のブースターを吹かして、足のジャッキで姿勢を取りつつ飛んで行く。
『響君、至急マリア君達のほうへ応援に向かってくれ!』
「了解!」
響は身体を捻り 、脚のジャッキで反動をつけつつ腰のバーニアを吹かす。
アームドフェノメノン、それは人型の持つ汎用性を捨て去り戦闘にのみ特化した・・・所謂第二形態だ。
ハルピュイアは大型戦闘機と大鷲を足したような姿になる、空戦特化。
ファーブニルは巨大戦車と合体したような姿になる、火力特化。
レヴィアタンは巨大な機械エイと一体化したような姿になる、水中戦特化。
ファントムは、何になるか?
“リョウメンスクナ”という伝承が、今のファントムにはぴったりの表現だった。
四本の腕にはそれぞれ忍者刀を模していたビームサーベル、弓と突きに特化したハンドランスを持って遠近に対応する様を見せていた。
未来の、ファントムたちを生み出した科学者が「忍者」をどう解釈していたかは知らない。だが・・・・。
「この姿の拙者は、全てを殺し尽くす魔の化身なり!」
忍とは、殺戮者なり。
未来、彼らを生み出した科学者はそう解釈したようだ。
「がっ!?」「デェス!?」「キャアア!!」
三人が身構えるより早く、電撃に打たれた。悲鳴を上げるマリア達がファントム・スク
ナ(仮称)へ視線を投げれば氷のような青い光を纏う矢を天に向けて放つ異形のファントムの姿が。
「散開して立ち止まらないで!」
マリアの号令で切歌と調は別方向へ飛び出した。
「ほう?実に聡明な判断だ。お主は逃げぬか?」
マリアが短剣を組み合わせ、陣を結成。一本の
「くっ・・らぁぁっ!」
気合と供に二発、三発と受けてもバリアは破られることはなかった。
「隙だらけ!」「二面お化けはお断りデス!」
調がアームドギアのヨーヨーを合体・巨大化させて【β式 巨円断】でファントムの頭を
狙い、切歌がアームドギアをクロスさせて腐りつき手裏剣に変化、【凶鎖・スタaa魔忍イイ】で正面からの狙う。
「ふっ、二面お化けとは言えて妙なり。火遁!」
二つの顔が、切歌と調を捉えて嘲笑うように左右二本目の手の中から火球を放つ。
ファントムは、四天王の中で一番人型に近くて遠い存在だ。
数々の伝承に存在するリョウメンスクナと言う妖怪が、一番その姿に近い。
頭は前後に後頭部からくっ付いたような状態に、腕は第一・第二と左右で計四本の腕を持つ。
そして、科学者達が想像の域を脱し得なかった忍術を扱う事が出来る。こと忍術におい
ても
「この程度でっきゃぁっ!?」
調が火球を飛び越えると間髪居れずに空気の塊がぶつかった。
まるでトラックに突っ込まれたような衝撃に、バランスを崩す調。間髪居れずに受け止めてファントムから射線を切るマリア。
「面妖なのはお互い様ね!」
「ふっ。まさにその通りよ!」
「デェスッ!?」
不意打ちとばかりに切歌がアームドギアを振るえば、ファントムはクリスのガトリング
ガン並みの速度でクナイの弾幕を張り、斬りかかるマリアと組み合うと右・第二の腕でマリアと捕縛。
「しまった!」
「おおおおおっ!!」
「響!?」
「「響さん(デス)!」」
マリアが、切調コンビが思いもよらない増援に表情を明るくする。が、二度も同じ攻撃を受けるファントムではない。
「同じ手は受けぬといったぁ!」
受け止め、響きをマリアと供に投げ飛ばす。
「くぁ!!」「がはぁ!!」
地面に背中を強打して空気を吐く二人。
ファントム戦は苦戦を強いられていた。
和真の扱ったシアールの知らない力、
完成形ライブメタルに搭載されている性能を底上げするシステムだ。
モデルX、モデルZにはO.I.S.は搭載されていない。必然的にモデルZXもO.I.S.は使えないはずなのだ。
なのに何故使えるか?
それは
レイジングエクスチャージ・・・オリジナル・エックスが発動できたオーバーテクノロジーの集大成のような
そして、アルティメットアーマーに搭載されなかったが、エックスが持ちえたノヴァストライク以上の攻撃能力を秘めた技をSE.エックスはモデルXに追加・解放した。
「くっ!」
空に逃げようとシアールがファルコンアーマーに換装、一気に高所を陣取ってXバスター
をチャージする。
「シアール、お前と話したい奴がいる!」
和真が叫びながらZXバスターを連射、間髪居れずに住宅街の壁を蹴ってモデルHXにダブルロックオン。
エアダッシュで一気に間合いを詰めるとダブルセイバーを一気に叩き付けた。
一気に振りぬかれた一太刀は和真の全体重を乗せてシアールに打ち付けられる。
「話す事など!」
「俺じゃなく、エックスがっ!」
和真は力任せに振りぬき、シアールを再び地面に落すとモデルXに換装。
「シアール、先ずは君を止めるよ!」
身体をエックスに貸し与えた。
ファントムの第二形態は「仁王2」やってる最中にボスからイメージをもらいました。