目の前の光景にわだかまりを抱える者がいる。
風鳴翼が現状で特筆すべきその人だ。
聞かずには居られない、あの時の戦士と同じような容姿なのか?あの姿の名は“ゼロ”ではないのか?と。
「それでは、和真君に聞きたいことがある奴は今の内に済ませとけ!歓迎パーティをやるぞ!」
そう言って弦十郎は司令室を後にする。
は?歓迎パーティ!?と驚く和真に翼が声をかけようとしていた。
「あ、ライブメタルでしたか。お返ししますね」
「あ、はい・・・君は?」
「僕はエルフナインといいます。」
「よろしく」
と和真はエルフナインからライブメタルを受け取り、スーツ姿の青年から財布を受け取った。
「僕は緒川慎二と言います。普段は翼さんのマネージャーを勤めておりまして。これからよろしくお願いします。」
「こちらこそ。」
と慎二とも握手を交わす。
「武藤、一つ確認したい」
「ん?君は・・・風鳴翼だよね?」
和真が尋ね返すと翼は首肯して続ける。
「三年前、コンサートに介入した“ゼロ”と言う存在に心当たりはないだろうか?」
和真の中で一つ納得がいった。
何故、モデルZが翼を敵ではないと断言できたのか。と言うか本人宿ってる説まで出てきたとか思い始めるが今はどうでも良い。
「ゼロの力なら借りているよ。」
そう言ってライブメタル・モデルZを差し出して見せた。
「そうか。承知した」
「それでは!和真君のS.O.N.G.加入を祝って、乾杯だ!」
「「「かんぱーい(デース)!!」」」
ライブメタルについて翼を始めとする奏者達に話したの後、連れてこられた会議室にてグラス片手に和真は呆気に取られいた。
『熱烈歓迎!武藤和真君!』と書かれた横断幕が壁にはかけられ、パーティーの用意が既にしてあったからだ。
「さぁ、和真君。遠慮せずに楽しんでくれ」
音頭をとった弦十郎は和真の肩を叩く。
「え、えらい準備良いですね・・・」
「君がどっちを選ぶにしても歓迎会をするつもりだったからな」
「なるほど・・・」
そう言い、渡されたグラスを傾けると久しぶりに味わう炭酸の刺激が喉を通っていく。流石に酒ではないらしい。
「和真くーん!」
そこに両手に皿を持った少女が駆けてくる。
ヘリで待機していた一人だ。てか懐っこいのか、いきなり下の名で呼ばれている。
「はいこれ! 取ってきたよ!」
片手の皿を渡される。フライドポテトや唐揚げ、おにぎりなど多種多様な料理が山の様に積まれていた。
「あ、ありがとう」
「男の人って沢山食べるって聞いたから、山ほど持ってきてみました!」
「こんなに!?」
「美味しいよ?」
そう言いながらパクパクと自身の皿を平らげる少女。あれ程乗っていた料理は早くも半分無くなっていた。
唖然と見ているとじっと見られていることに気がついた少女は頬を赤らめた。
「うぅ・・・。そんなにジロジロ見られると少し恥ずかしいかも・・・」
「ご、ごめん」
「あ、自己紹介が未だだったね。私は立花響、17歳! 好きなものはごはん&ごはん! ガングニールの装者です。よろしくね」
は?女子高生!?
前にもおんなじことを言った気がするが見ているのと実物に会うのは違う。中々インパクトがある。
「よろしく、立花さん」
「あ、私のほうが年下なんだし敬語はなしで!」
「ああ、わかった。立花さ「響です!」響」
それを聞いて満足げに頷く響。
するとそこにやりとりを見ていた少女がやってきた。
「おい、武藤」
確か『クリスちゃん』と呼ばれていたはずの少女である。
「イチイバルの装者、雪音クリスだ。さっきは噛み付いて悪かったな」
和真のグラスに自分のグラスをカチン、と当てて苦笑してみせる。
「ちなみに高三だぜ、そのくせ小さいとか思ってないか?」
「いや全然」
クリスがジトッと半眼で見てくる中、和真もポーカーフェイスで誤魔化す。
「早速打ち解けているようで何よりだ」
声のほうに振り返れば、髪の長い女性が二人、そばに来ている。
「私は風鳴 翼。天羽々斬の装者をしている。改めてこれから宜しく頼む、武藤」
「マリア・カデンツァヴナ・イヴよ。アガートラームを使ってるわ。改めてよろしく、敬語は不要よ?」
「お、じゃあよろしく」
と翼、マリアの順で握手をしているとパタパタと駆け足で二人の少女が近づいてきた。
「むむ!調、マリアが何だか良い雰囲気デスよ?」
「マリア、ギャップ萌えってやつだね」
「貴方達、何言ってるの!?」
「二人もシンフォギア奏者なのかい?」
「そうデース! あたしこと暁切歌がイガリマで」
「わたしこと暁調がシュルシャガナ」
「成る程、仲の良いコンビってわけだ・・・所で翼さん?」
和真が抱いていた疑問を軽くぶつけてみる。
「さっきゼロを知っているかと言っていたけど前に出会った事が?」
「ああ、危ない所を助けられた。」
本人が宿っていたと仮定して、翼はしていたという事になる。
(成る程、ゼロの介入が世界のゆがみを加速させた・・・って見方も出来るのか)
勝手な考察を立てながら響が持ってきた皿に視線を移すと、
「あの量を一人で食べ切った・・・だと・・・!?」
「あ、新しいのとって来るね~!」
そう言ってまた長テーブルに向かう響の姿があった。
「この程度で驚いているようじゃ、アイツには付いてけねぇぞ」
そういうクリス、その目は何処か達観している。
「ああ、立花は良く食べる。あの体系は羨ましい限りだ」
グラスを傾けながら翼も呟く。
これには口を挟まない方が賢明だと思う。女性に体重の話を振るのは地雷原を突っ走ることと同じくらい自殺行為だ。
(ただ握手しただけよ、そうよ!なんてことない!!)
何故か切歌の一言が頭を離れない。
実際、単純にお互いが好印象と言うだけで恋愛対象とかそういうんじゃない。悲しきかな、マリアに限らず奏者達は歳の近い異性の友人が居ないことも起因していたりする。
「どうした?マリア」
「う、狼狽えるなッ!」
「何故!?」
響に視線が集中する中、ふっとマリアが呆然としているので気にかけて声をかける和真。するとマリアはいきなり叫んだ。
反射的にツッコミを入れる和真。
「わ、私飲み物を取ってくるわね!」
と足早に去っていくマリア。
「逃げたね」「逃げたデスね」
ジト目でマリアを見やる二人が居たのは当人達の秘密である。
「いやぁ、早速打ち解けて何よりだ!」
そこに弦十郎がやってくる。
「いや、何と言うか・・・まぁ」
「時に和真君、君は映画を嗜むかな?」
そんな質問に思わず首を傾げる和真。
「え?ある程度ですが」
「そうか、なら今度俺のお勧めアクション映画を貸してやろう」
「そうですね、事が落ち着いたら」
すると司令室に居たオペレーターがこちらに来た。
「俺は藤尭朔也、キミの境遇には同情するよ」
「・・・・まぁ、信じがたいでしょう?」
「所がココに勤めているとね、そんな非常識普通に起こるんだ。だから、武藤くんが思っているほど疑っているわけじゃないのさ」
「は?」
「そうね、世界の危機とかざらだったわ。」
「は!?」
「あ、私は友里あおい。よろしくね。前線の負担が減るのは喜ばしいけど貴方も身体には気をつけて」
うん、なんだかとんでもない組織に潜り込んだ気がしてきた。
出来るだけ、オペレーター組や緒川たち本編で出番の少ない面子とも絡ませていきたい。