王騎 ストラグル   作:ミートソースカブトムシ

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戦闘描写って難しいですね


瓦礫の先へ

瓦礫の山が赤く融解する。

融解したコンクリートや金属が弾け、そこから凄まじい勢いで現れたのは黄金の光だった。

 

「な、何なんだよ次は!?」

 

五河士道の声が響く、空を飛ぶ奇妙な集団、名前の無い少女、よくわからないことが次々と起き、さらに謎の光が瓦礫の山を吹き飛ばすという奇妙な光景を目の当たりにし、士道は若干自棄になっていた。

瓦礫の外にいた全員の意識が黄金の光へと向いた。

巨大な穴が空いている。

この様な事ができる者はこの世にそういないだろう。

まるでビーム砲でも放ったかのような穴の中に人影が見える。

鎧を着た騎士、手に持っている黄金の剣は素人でもとんでもない物だと一目で分かる物だ。

騎士は手に持った剣へと視線を向けた後、視線を直し駆け出した。

 

「______へ…っ?」

 

その騎士は士道へ接近する。

速度が人間の出せる物では無い、アレは人以外のなにかであるという事が考えなくても分かった。

 

「危ないっ!」

 

上空にいた数人と白髪の少女、鳶一折紙が間を割って入る。

騎士へミサイルやその他の武器が振るわれるが、折紙以外の数人を持っている剣で容易く斬り進んでいく。

その洗練された動きは剣という一を極め続けた結果たどり着ける極地である事は明らかだった。

そして

 

(人間…じゃない…っ!?)

 

息は上がらない、剣の速度は衰えず、技の精度は落ちるどころかますます磨きあげられていく。

折紙はそんな化物に防戦を強いられていた。

剣と剣がぶつかり合い、その度に腕の骨が軋む、そして随意領域ですらあの剣を止められない。

否、止められないのはあの剣だけでは無い、この騎士も随意領域の影響を受けていなかった。

なぜなのかを考える時間も与えずに騎士の攻撃が折紙の身体を斬りつける。

防げない攻撃が増える、折紙が超人だとしたらこの騎士は戦闘機だろう、そこには圧倒的な壁が存在している。

徐々に疲弊していく折紙とは対照的に強くなっていく、が折紙も負けじと力を振り絞り嵐の様な剣戟が繰り広げられる。

一発一発、まともに直撃したら無事ではすまないであろう攻撃の雨。

鍔迫り合いとなるが、明らかに折紙が押されていた。

 

「そこを退け、鳶一」

 

「っ!?…どうして、私の名前を」

 

「…………」

 

騎士は答えない、だがその声に聞き覚えはあった。

学校で士道と喋っていた…

 

「退かないなら!」

 

折紙のレイザーブレイドにかかる力がいきなり強くなった。

剣の輝きが強くなっていく、先程のビームが放たれると折紙は思い、飛び退き、間合いの外に出てビームへと備える。

そして騎士のいた方向を見ると_________誰もいない

 

「っ?」

 

辺りを見回しても先程の騎士の姿は無かった。

そして同じく姿を消した者がいた。

 

「____五河士道」

 

先程、折紙の後ろにいた青年もあの騎士と同じくどこかに消え去ったのだった。

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

 

 

「………はっ!」

 

と士道は目を覚まし、

 

「うわッ!

 

とすぐさま叫びを上げた。

 

「……ん?目覚めたね」

 

妙に眠たげな顔をした女は、その顔に違わぬぼうっとした声でそう言った

 

「だ、だだだだダレデスカ」

 

「……ん、ああ」

 

女はぼうっとした様子のまま体を起こすと、垂れていた前髪を鬱陶しげにかき上げた。

一定の距離が空いたことで女の全貌が見て取れるようになる。

軍服らしき服を纏った、二十歳くらいの女である。

無造作に纏められた髪に、分厚い隈に飾られた目、あとはなぜか軍服のポケットから顔を覗かせている傷だらけの熊のぬいぐるみが特徴的だった。

 

「……ここで解析官をやっている、村雨令音だ。あいにく医務官が席を外していてね。……まあ安心してくれ。免許こそ持ってないが、簡単な看護くらいはできる」

 

「…………」

 

士道はまるで安心できなかった。

明らかに士道よりもこの令音という女性の方が不健康そうに見えるのである。

実際先ほどから、頭で小さく円を描くように体をフラフラさせている。

と、上体を起こした士道は、今の令音の言葉に引っかかりを覚えた。

 

「ここ?」

 

言って周囲を見回す。まるで学校の保健室のような空間と、それに似合わない無骨な配管や配線が剥き出しになった天井

 

「ど、どこですか、ここ……」

 

「……ああ〈フラクシナス〉の医務室だ。気絶していたので勝手に選ばせてもらったよ」

 

「〈フラクシナス〉……?ていうか気絶って……、あ」

 

そうだ、士道は鎧の騎士と折紙の戦闘に巻き込まれ、気を失っていたのだった。

 

「…え、ええと、質問いいですか。ちょっとよくわからないことが多すぎて」

 

頭をくしゃくしゃとやりながら声を発すると、突然聞き慣れた声が聞こえてきた

 

「起きたか。士道」

 

「お、王騎!?」

 

突然の友人の登場に士道は驚いた

 

「ど、どうしてここに…」

 

「お前を追いかけてたらなんやかんやあってここにいた。まぁそこら辺はお前のよく知るやつが説明すると思う」

 

「追いかけてた?…よく知るやつ?」

 

士道の疑問は令音の一声でかき消された

 

「……ついてきたまえ。君に紹介したい人がいる。……気になる事は色々あるだろうが、どうも私は説明下手でね。詳しい話はその人から聞くといい」

 

言って、令音は王騎が入ってきた出入口の方へ向かって、ふらふらと歩みを進めていった。

が、すぐに足をもつれさせると音を立てるくらいの勢いで頭を壁に打ちつけた。

 

「あ」

 

「だ、大丈夫ですか!」

 

「……むう」

 

一応倒れはしなかったらしい。令音が壁にもたれ掛かるようにしながらうめく

 

「ああ、すまんね、最近少し寝不足気味なんだ」

 

「ど、どれくらい寝てないんですか」

 

士道が問うと、令音は指を三本立ててきた

 

「三日。そりゃ眠いですよ」

 

「30年…かな」

 

「ケタが違ぇ!」

 

三週間位までだったら覚悟していた士道の肩をトントンと王騎が叩き、言う

 

「ここの人達これとは違うベクトルでちょっとおかしい人達ばっかだから安心しろ」

 

「は?…え…」

 

王騎の発言は士道を安心させるどころか更に不安を強くした。

 

「……まあ、最後に睡眠をとった日が思い出せないのは本当だ。どうも不眠症気味でね」

 

「そ、そうですか」

 

「……と。ああ、失礼、薬の時間だ」

 

令音は突然懐を探ると、錠剤の入ったピルケースを取り出した。

そしてピルケースを開けると錠剤をラッパ飲みの要領で一気に流し込んだ。

 

「っておい!」

 

士道はおろか先ほどちょっとおかしい人達を見てきた王騎ですら驚きを隠せなかった。

 

「何だね、騒々しい」

 

「いや、なんて量飲んでるんですか!ていうか何の薬ですか!」

 

「……全部睡眠導入剤だが」

 

「それ死ぬ!さすがに洒落にならねぇ!」

 

「……でも今ひとつ効きが悪くてね」

 

「どんな体してるんですか…」

 

「……まぁでも甘くて美味しいからいいんだがね」

 

「それラムネじゃねえの!」

 

ひとしきり叫んでから、士道ははあとため息をついた。

 

「……とにかくこっちだ。ついてきたまえ」

 

令音が空っぽになったピルケースを元に戻してから、またも危なっかしい足取りで歩みを進め、医務室の扉を開ける」

 

「っとと」

 

士道は慌てて靴を履くと、その後を追って部屋の外に出た。

 

「…なぁ、王騎」

 

「ん?」

 

「さっき俺を追いかけてたって…」

 

士道は先程の王騎の発言で気になった事を聞いた。

 

「あぁ、お前がシェルターとは反対に走っていく時、なんか嫌な予感がしたからな。追いかけたら外に出てったからそのまま追いかけた」

 

「そうだったのか…」

 

「あ。あと剣持って鳶一折紙と戦ってたやついたろ?あれ、俺だよ」

 

「は?え、お前、なんであんな事が…」

 

士道の見た騎士は王騎だった、あんなビームを放出し、人間離れした動きをした人物が王騎だとは信じれなかった。

 

「あそこにいたら攻撃に巻き込まれて死ぬかもしれないから、士道連れてシェルターに行こうと思ったんだが。掴んで逃げようとしたらここに回収されてな」

 

「……ここだ」

 

通路の突き当たり、横に小さな電子パネルが付いた扉の前で足を止め、令音が言った。

次の瞬間、電子パネルが軽快な音を鳴らし、滑らかに扉がスライドする。

 

「……さ、入りたまえ」

 

船の艦橋のような場所だった。士道がくぐった扉から半楕円の形に床が広がり、その中心に艦長席と思しき椅子が設えられている。

さらに左右両側からなだらかな階段が延び、そこから降りた場所には複雑そうなコンソールを操作するクルーたちが見受けられた。全体的に薄暗く、あちこちに設えられたモニターの光が、存在感を主張している。

 

「連れてきたよ」

 

「ご苦労さまです」

 

艦長席にいた長身の男が、執事のような調子で軽く礼をする。

ウェーブのかかった髪に日本人離れした鼻梁。耽美小説に出てきそうな風貌の青年だった。

 

「初めまして。私はここの副司令、神無月恭平と申します。以後お見知り置きを」

 

「は、はぁ……」

 

頬をかきながら、士道が小さく頭を下げる

士道は一瞬令音がこの男に話しかけたのだと思った。

だが___違う。

 

「司令、村雨解析官が戻りました」

 

神無月が声をかけると、こちらに背を向けていた艦長席がゆっくりと回転した。

そして。

 

「歓迎するわ。ようこそ、〈ラタトスク〉へ」

 

 

そこに居たのは司令なんて呼ばれるには少々可愛らしすぎる声を持ち、深紅の軍服を肩がけにした少女だった。

大きな黒いリボンで二つに括られた髪、小柄な体躯。どんぐりみたいなまるっこい目。そして口にくわえたチュッパチャプス。

士道は眉をひそめた。だって、それはどう見ても____

 

「…………琴里?」

 

そう、格好、口調、雰囲気などの違いはあれどそこに居たのは紛れもなく士道の可愛い妹、五河琴里だった。




剣龍 王騎
身長159cm
黒髪に碧色の目が特徴の少年。
六歳より前の記憶が抜けている。
七枚のクラスカードと触媒として現存する宝具が埋め込まれている。
クラスカードを夢幻召喚せずとも対魔力や直感を有している。クラスカードの影響により多少ではあるが素の状態でも身体能力は高い。
本来であれば更に英霊に近づいているはずだが魔術的な成長の阻害をされていた事により英霊化の進行は遅くなっていた。
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