王騎 ストラグル   作:ミートソースカブトムシ

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最近投稿頑張れてるえらい(自画自賛)


姉弟喧嘩?

「ただいまー」

 

王騎が帰ってきた。

父さんと電話を切ったあとシェルターに行ってみれば姿が無かったあの王騎だ。

こちらがどれだけ心配したことか、何故いなかったのか問いたださなければ気が済まない。

 

「おかえりなさい。王騎、それで?どうしてシェルターにいなかったの…っ」

 

雰囲気が違う、人ではなく何か別の生き物を相手にしているかのようだ。

 

「あー、そ、それには深い訳があって「もういいわ」…え?」

 

声や話し方、見た目はいつもの王騎だ。

でも機能していなかった竜の炉心が機能している。

…どこかでクラスカードを使った?

何が引き金となって起動した?

 

「晩御飯、出来てるから」

 

「あ、あぁ分かった。…ごめん」

 

「大丈夫、これからはちゃんとシェルターに避難してね」

 

表に出そうな感情を縛る。

焦りが体を駆け巡る。

自室へと戻る。

自分の意識を手放したい。

 

「どうして…」

 

今は特に影響は出ていなさそうなのが幸いだ。

しかしこのままだと王騎の体はあのアーサー王に置換されていく。

その先にあるものは明確なる破滅。

 

「…言った方が良いのかな」

 

ショックを受けないか、どう切り出そうか、魔術の世界にこれ以上触れさせていいものなのか。

どこまで言えば良いのだろうか。

考えを巡らしても答えが出ない。

結局その日はどうするか決まらず、気づいたら朝を迎えていた。

 

 

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

 

 

「うおおおお!五河のバカヤロー!!」

 

数秒前まではポカンと口を開けていた殿町の声が教室に響いた。

士道が折紙に引っ張られながら教室の外に出ていった事実に耐えれなかったのだろう。

おそらく折紙の用件は昨日の事だろう。

 

「モテ期の三回のうち三個を一気に使ってそうな勢いだなー」

 

「ちくしょう!はやく俺にも来てくれーー!」

 

叫びながら殿町は教室の外へと駆け出した。

教室にいる理由が特に無くなってしまった。

特に用事も無い、机に残った荷物を鞄に詰め込み帰宅の準備を済ませた。

久しぶりにどこか寄り道でもして行こうかと考えていると。

 

「おい王騎、お前んとこの姉ちゃんが呼んでるぞ」

 

「姉さんが?」

 

クラスメイトが指差した教室の外には、確かに姉が立っていた。

 

「何かあった?」

 

「荷物持ちに誘いに来たの、買い出しに付き合って」

 

「買い出し?いいけど…てなんだそれ」

 

買い出しを急ぐくらい冷蔵庫の中身が寂しくなっていたかと言おうとすると、美桜が持っている袋に包まれた長物が気になった。

一般的な成人男性よりも長いソレは、小柄な美桜にはあまり似合わなかった。

 

「いいからいいから、細かい事は気にしないで」

 

手を掴まれ、引っ張られる。

様子がおかしい、どこか怒っているような気もするし、焦っているような気もする。

 

「どうしたんだよ、なんか今日の姉さん変だぞ」

 

反応は無い。

昨日の事だろうか、確かに警報が出ているというのにシェルターの外にいたのだ。

怒るなという方が無理がある。

 

「…なぁ姉さん、その、昨日はごめん。心配かけるような事して」

 

「なに言ってるの、無事だったんだから良いじゃない」

 

こちらを振り返りそう言う姉の顔は雰囲気とは裏腹にいつも通りだった。

…無言が続く、空気が若干重苦しく感じる。

そんな状況に嫌気がさしていたら美桜が口を開いた。

 

「昨日、何してたの」

 

何をしていた。

恐らくシェルターの外で何をしていたのか、ということだろう

 

「士道の妹がシェルターの外にいたらしくて、一人だと危ないから一緒にその子を探しに行ってたんだよ」

 

「見つかったの?」

 

「あぁ、ピンピンしてたよ」

 

嘘は言っていない、一人だと心配だからついて行ってなんやかんやあって琴里は見つかった。

素直にその事だけを説明した。

 

「他にも何かしてたでしょ?」

 

どう答えればいいか一瞬分からなくなった。

 

「何かって?」

 

「命に関わること」

 

頭が真っ白になる。

何故バレたのか心当たりを探るが見つからない。

クラスカードのことも、あの鞘のことも、まだ家族には言ってないことだ。

 

「してない。そんなことしてない」

 

嘘をついた。

何かが食い違えば死んでいたかもしれなかった。

人と斬りあった。

 

「王騎ってさ、嘘をつく時に決まって首に手を当てるよね」

 

悪寒がする。

ふと周りを見れば昼だというのに人がいない、元々人気の無い住宅街だったがそれでも通行人くらいはいたし、人の気配もあった。

しかし今ではどうだろうか、人はいないし人の気配も無い、人以外の生き物の気配を感じない。

その状況が恐怖を増幅させる。

直感が囁く、ここにいては行けない、カードを使うか、急いで逃げるか。

そうしなければ自分の命の保証は無い、と

 

「何をしていたの?」

 

笑顔で話しかける美桜は今まで感じたことの無い恐怖を煽る。

 

「何をしていたの?」

 

無意識のうちに後ずさる。

 

「何をしていたの?」

 

笑顔の仮面を被った美桜が長物を袋から取り出す。

それは薙刀だった。

かなり古いものだろう。

様々な人の手を渡り、今では美桜の手の中にある薙刀。

圧が重い、蛇に睨まれた蛙のように体が動かない。

 

「答えないんだね……」

 

美桜が走り出す。

人にしては速すぎる。

このままでは殺されると確信し、自分にムチを打ち、体の自由を取り戻す。

刃が自分の身を肉薄した。

 

「ッ!夢幻召喚(インストール)!!」

 

甲冑に身を包み、剣を握る。

美桜の笑顔は驚愕に塗り変わった。




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