Infinite Stratos For Answer 作:鳴神
何故か書きたくなったから書いた。NARUTOはちゃんと書くから……書くから(汗)
因みに作者、faでは基本的にカノサワ両腕持ちのラトナ+テルス腕(アンサングカラー)を使ってました。ボス戦では変態企業のコジマ腕とかアサルトキャノン等を持ち替えてるかんじです。
ACがPS4で出たらオンラインにも挑戦したい。そんな感じで第一話投稿です。
昔、俺は周りのモノ全てが大嫌いだった。
『オイオイ、こんな大雨の中で何もなしでいるなんて何考えてんだ?』
天才って呼ばれた姉や弟と違って何も特別なもののなかった俺に、周りの全ては見向きもせず陰で蔑み、排斥しようとすらしていた。
『まぁ、行き場所が無いならウチに来るか? 少なくとも、嫌な場所ではないとは思うからよ』
そうしてくる皆が、それを煽り手助けする弟が、それを気にもしない姉が、全部全部大嫌いだった。
『今日からお前は俺の弟だ。一夏、これから宜しく頼むぜ』
何もないという理由だけで俺の居場所は奪われた。全部、全部だ。そんなものを好きになれる筈がない。
『どうだ一夏。格好いいだろ。ウチの会社が作ってる最新型のインフィニットストラトス【ネクスト】その一号機】だ。俺の長年の夢の結晶って奴だ。何だったら触ってみてもいいぞ?』
だから全部が無い場所へと逃げようとした。ただ何もなく行先も無く飛び出しただけ、結局何もできないまま終わるのだと思った。
『……おいおい、マジかよ。予想外過ぎるだろ。……まぁ、動かせたものは仕方がないし良い機会だ。一夏、今日からお前がコイツのパイロットな』
そんな中で唯一あった光明。俺を俺として見てくれる普通の筈の俺にとっては特別な存在、ただ縋るしかなくてその手を取った。
『いやはや、凄いなお前。やっぱ最高だぜ一夏。もう決定的だな。こうなったら手回ししないとな。我が社が誇る最新鋭の最強の機体、そのパイロットにして最高戦力、加えて世界初の男性操縦者。なんだこりゃ、何処の冗談だよお伽噺レベルじゃねえか。笑うしかないな』
その人は俺に沢山のモノをくれた。家族の暖かさと優しさを、何にも代えがたい特別を、そして何にも負けない最強の力を、そして欲しかった普通の沢山の幸せを、
『今日からお前は我が社所属のリンクス……パイロットだ。改めて宜しく頼むぜ一夏、お前は俺の弟だったが今日からはそこに世界初の男性IS操縦者って名前が付くんだからな』
あの日、俺に差し伸べられた手を取ったのは何の間違いでないと確信できる。世界で初めて俺を一人の人間として見守って優しく助けてくれた唯一の家族のために、俺は自分の全てを賭けてみせると、そう誓ったのだから、
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
三月、それは世界の人々に衝撃を与えた。
日本最大の財閥系複合企業【TOMIYA】、その根幹を構成し最新鋭技術を多数保有する軍事統合企業【アーマードコア】。その社長である若者、東宮錬が世界中に宣言した衝撃の事実。
第四世代型IS、ネクストの発表。そして全世界初の男性IS操縦者の発見。
アーマードコアが保有する最新鋭技術の一端である次世代型エネルギージェネレーター【コジマシステム】それを動力源として内蔵させ精神接続による今まで以上の精緻で高い反応能力を得た世界初のIS、ありとあらゆる状況において無類の力を発揮するとされる異常なまでのスペックとそれに裏打ちされたテストプレイングは全世界の軍事関係者の度肝を抜いた。
だが、それだけでは終わらない。
東宮錬がパイロットとしてその傍らに呼んだネクストIS【白光】の操縦者。一般的には珍しいがアーマードコア製のものとしては普及型と呼ぶべき全身装甲型の機体から現れたのは中学生程の年齢の少年。
ISは女性でなければ動かせないという常識を覆すには十二分すぎる彼の存在は先に倒れ込んだ軍事関係者のみならず全世界の人間を等しく愕然とさせた。
【To Old Human Welcome To The Next World】
古き時代の人類よ、新しい世界へようこそ。
自らの生み出したネクストと呼ばれる機体になぞらえて宣言されたその言葉は正しく旧時代を生きる人々に対する堂々とした宣言であった。
「え……ええっと、それでは自己紹介を始めます」
教卓に立つ教師にしては見た目年若な女性は明らかに同様の色を隠せていない。それもその筈、彼女の生徒である眼前の少女達の視線は最前列中央に座する二人の少年にのみ注がれていたのだから、
「そ、それじゃあ、せっかくだし二人から始めて貰おうかな? 東宮君、織斑君、それでいいかな?」
「いいですよ、最初からそういうつもりでしたから」
「……俺も大丈夫ですよ山田先生」
「な、ならお願いするね二人共、じゃあ東宮君からね」
東宮と呼ばれた少年が僅かの間もいれずに返答し、その隣で彼を睨み付けていた織斑と呼ばれる少年も続けて返事をする。
そんな二人の様子に教師である女性【山田摩耶】は満足そうな笑みを浮かべて二人の返事を受ける。自己紹介のオーソドックスは五十音順なのだが、この際は関係ないのだろう。東宮と呼ばれた少年が立ち上がって振り返り全員に視線を配ってから口を開いた。
「私の名前は東宮一夏。名字から分る通り、TOMIYAの一族の末席にいる人間ですが気にしないで頂ければ幸いです。皆さんご存知でしょうが世界初の男性IS操縦者としてこの学校に入学させていただきました。専用機は先の会見で公表されたとおり、アーマードコア社製第四世代型ISネクスト一号機【白光】です。特技は兄のサポートをするために磨いた家事の一通りと剣術、射撃、マッサージなどなどで趣味は料理でしょうか? 不勉強な身ですので宜しければ皆さんの助力を欲したいところですのでどうか三年間、このクラスでは一年間の間、よろしくお願いします」
初見であれば見ているものに不愉快な気分など与えないであろう紳士的な笑みと言葉使いで危なげない自己紹介を終えた少年、一夏は一礼の後に着席した。
歳不相応な大人な態度に一瞬、全員が呆気にとられるが直後に我に返り二人の生徒を除いた全員が拍手をする。そんな彼に対して織斑という少年ともう一人、窓際に座る一人の少女が憎々しげに一夏を睨み付ける。
「で、では織斑君も自己紹介お願いね」
「はい……織斑一春です。趣味は剣道、特技は家事全般。世界第二の男性IS操縦者として皆さんと共に学ぶことになりました。わからないことが多い初心者ですが、どうぞよろしくお願いします」
怒りの表情を抑えて自己紹介を終えた一春だったが、直後にその頭に出席簿が叩き込まれた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「不機嫌そうな表情のまま自己紹介とは良い身分だな織斑弟」
「いって……何すんだよ千冬姉!!」
「織斑先生だ!! 公私は弁えろ馬鹿者!!」
二度目の出席簿が織斑の頭に叩き込まれる。うわぁ……痛そうだな。つーか、二発目の要因はアンタなんだから責められる謂れはないだろうに、口にはしないが……くわばらくわばら
さてと、関係の無い他人の些事はさておきと、やっぱりきついなこの環境。覚悟はしていたけど周り皆女子とかそれなんて深夜アニメって話だよな。
とはいえ、兄さんやアーマードコアのためだ。この程度の環境的問題なんて関係ない。ネクストのポテンシャルと実働データ、そして俺という男性操縦者の有用性を示すためにもこの三年間は勝負の年だ。頑張らねばな。
とはいえ、現段階では同年代で俺に勝てる様な相手はいないだろうな。プロトタイプの頃から3年間もの間、乗り続けた相棒のことは誰よりも熟知している。機体ポテンシャルも現行機の数倍は上を行くし操縦者本人の適応能力は段違い。負けるわけがないだろう。油断さえなければの話だが、
……だからこそ、俺達は負ける筈がない。負けるわけにはいかない。そうだろう相棒。
俺達は絶対に勝ち続ける。俺を救ってくれた唯一の家族の為にも、
「で、私のことは無視か織斑兄」
「……何のご用でしょうか織斑先生。あと、俺の名字は東宮です。間違えないでください」
今更何の用だよ。俺のことなんか禄に見ようともしなかった奴が、自分の家族のことを顧みなかったアンタが家族面するんじゃねえよ。
「違う、お前は私の弟だ!!」
「違う? 何がですか? 俺の名字は東宮一夏。家族と生き別れになったのを今の兄さん……アーマードコア社社長の東宮錬が五年間ずっと育ててくれたんです。俺の家族は東宮錬、そしてその家族のみだ。織斑なんて名字は俺の人生において何も関係ない」
それにどっちにしろもう、アンタの言葉は何の意味もなさない。戸籍だって俺が兄さんの義理の弟だって証明しているんだ。俺自身の感情も、そして現実も俺の家族は兄さんだって証明している。
「家族面、しないで貰えますか。はっきり言って迷惑なんですよ正直な所。ただでさえ、世界初の男性操縦者だって周りが煩いってのに勝手に家族だの何だのと騒がれたらどうするんですか? ふざけたゴシップ記事の作家が【アーマードコア社。IS操縦適正持ちの子供を人身売買】なんて根も葉もないふざけた話をブチ撒けたら俺も兄さんも大損害喰らうんですよ。そうなったら、覚悟は出来てますよね。この学園、ウチがどれだけ支援してるか知らない筈じゃないでしょうね?」
たかが国連が運営できるほど、この学園は安っぽいものではない。人工島の整備、学園そのものや施設の建設、港やモノレールの敷設。施設の備品や消耗品の類、運営に必要な人材、その他諸々を加えればどれだけの支出になるか分からない。
それを支えているのがアーマードコアを始めとした各国の代表的な軍事企業だ。特に近場であるアーマードコアは人材の提供や訓練用のISの提供などの点からも学園運営に関しては多大な影響を与えている。まぁ、その代わりと言ってはなんだが、訓練機の試験運用だとか人材のハンティングとかが認められているという側面があるのだが、
とまぁ、そんなわけで学園は中立的立場と銘打っているが先進国内の軍事企業には頭が上がらない状態だったりする。俺自身も一種の裏口入学で入ったようなものだしな(勿論試験は受けたが)。
さて問題、そんな俺に……財閥企業TOMIYAの一族の末席にして人材の拠出源である軍事企業アーマードコアの社長の弟にして世界でも希少な男性IS操縦者に粉かけたとかなったら、
それが例え世界最強のIS操縦者だろうがマスコミ何だろうが、関係ない。
TOMIYAという力と兄さんの政治能力、大規模企業という莫大なまでの生産性能力と経済的規模、政治家ですらうかつに逆らえないような人間を本気で怒らせるのだ。一か月以内に地上波の全国チャンネルが一つ消し飛んで日本海溝のど真ん中でコンクリ詰めで誰にも見つからない死体が一個投下されるだろう。誰がやったかとかは言わないが、
「俺と貴女は関係ない。それだけだ、分かれよ家庭放棄した冷血女が」
「ッ……!! 違う……私は……」
「違ったら何だってんだ? 誘拐された二人の弟の一人を……他国の軍隊に全部を任せて放り出すような人間じゃあるまいしさ。兄さんだったらそんなこと絶対にしない。事故でISが操縦できると分かった時、兄さんは俺の為に自分の持つ全ての能力と権力を駆使してそれを隠し通した。そして俺にダメージが向けられない様に細心の注意を払って根回しと準備を整えて、俺の為に試作していた最新鋭の機体を専用機として与えて、自分の血の繋がった家族にさえ歯向かって、絶縁一歩手前まで行きかけても、それでも俺の為に助けてくれた。ただ、兄弟だから……俺が守るべき家族だからってそれだけでな!!」
『気にすんなよ一夏。お前は俺の弟なんだぜ。つまり、守るべき年下の家族だ。守るのは当然、良い兄ちゃんって生き物は弟が間違わない様に導くだけじゃない。その可能性を望む道を進めるように手助けして初めて一流の兄ちゃんなんだ。因みに超一流の兄ちゃんはそれから更に近付く弟への凶刃を悟られる前に叩き折ったり、利用しようとかふざけた事を考えてる連中をぶっ潰すくらいは出来る。何故なら、お兄ちゃんだからな!!』
自信満々に、ふざけた口調で言って……どれだけ苦労させたか分かってないわけじゃない。自分の部下に頭を下げて、家族に……両親に啖呵切って、黒い様な道を綱渡りして、その情報を察知して近付いてくる相手を残らず叩きのめして、それでも尚俺を助けてくれたんだ。そんな人と、ただ血が繋がっただけの人間が比べられる筈がない。同じ天秤に乗せられる筈がない!!
「俺にもし、血の繋がった家族が残っているとでも言うのなら、そいつはとんだ屑ですよ。本人の苦しみも悩みも考えもしない。ただ都合の良い時だけ家族を名乗る様な、そんな奴が家族を騙るな!!」
「ッ……」
分かっていて声を荒げて剣幕を立てて睨み付けた。効果は絶大、目の前の教師は後退りしながら教卓に戻った。これで暫くは静かになるだろう。
全く、この程度かよ。世界最強が聞いて呆れるな。兄さんや養父さん達なら欠伸して受け流す程度のものだってのにさ。
『何やってんだ一夏? もしかしてあれか? 昨日のアニメであった「俺に触るなァ!!(キリッ」って奴の真似か? はっきり言って似合わねえぞ』
あの後、養父さんにチクられた上に研究所のメンバーにも喧伝されて一か月くらいネタにされたっけ……嫌なことを思い出した。
「山田先生、自己紹介の続きをした方がよくないですか? 時間も限られていますから」
「そ、そうですね。じゃあ、相川さんからお願いできるかな?」
そう、俺はもう昔とは違う。誰も見向きもせずただ不満のはけ口にされていた織斑一夏はこの世に存在しない。
ここにいるのは兄さんに救われたあの日から血の繋がらなくても家族として受け入れてくれた優しい人達のために少しでも恩返しをするのだと決意した東宮一夏だ。
「……例え、俺の行く道が修羅の道でも兄さん達の力に少しでもなれるなら何だって受け入れてやるさ」
俺は東宮錬の……兄さんの弟なんだから、