Infinite Stratos For Answer   作:鳴神

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スランプってたと思ってたらNARUTOの超展開で筆が全然進まなかった。
取りあえず、NARUTOは休載してこっちに集中します。


三話 宣告

「ちょっと、よろしくて?」

 

 5限目が終った時にその声は聞こえた。無礼なことに初対面の人間に対してこれである。IS学園には初対面の人間に喧嘩を売るようにという校則でもあるのだろうか?

 

 あるのなら即刻に改正してほしい。というか常識的に考えて改正しろよ。そんな校則があるわけないけど、

 

「これはこれは、何か用か?」

 

「まぁ!なんですのその返事は!!このわたくしが声を掛けているのですから相応の態度というものがあるんじゃありませんの?」

 

 ……訂正、もしかしたらあるのかもしれない。後で学生手帳を後で改めておこう。本当にそんな校則が有るのなら教師達の職務怠慢として報告しておかなければならないからな。

 

「悪いが誰だ? 俺はあんたのことを一切知らないだよ。知らない人間にそういう忠告をされても困る」

 

「このわたくしを知らない? このセシリア・オルコットを? イギリスの代表候補生にして入試主席のわたくしを知らないと?」

 

「ああ、知らないね。代表候補に関しては自国のものしか把握していないし、入試に関しては特例でブチ込まれたから把握していない。お前だって我が社に所属する日本代表候補の名前を全部把握している訳でもないだろう?」

 

 代表候補が少ないって言っても六人いるからなウチの会社。ジナ姉にウィン姉や引退したセレン教官ならまだしも、まだ中三のリリウムやメイの名前を知ってるのはよほどアーマードコアを知っている奴等くらいだろう。そもそもリリウムは情報が社外秘だから知られてること自体が問題だし、

 

「俺みたいな特異は未だしも、異国の代表候補ってだけなら知らなくても仕方ないだろ。で、要件は何だ。俺達は立場ある人間だ。まさか、喧嘩売るために挑発しに来たってこともあるまい」

 

 この人間がどういう人間か分からない現状、無意味に接触するのは悪手だろう。ある程度、理解を深めてから対応を決めるのが無難だ。ま、この程度でキレる様な器なら関わらないのが吉なのだが、

 

「な、なんて失礼な……。せっかくわたくしが下賤の輩に手を差し伸べてさしあげたというのに……」

 

 ……こりゃ関わらないのが最善手だな。放っておくと何仕出かすか分からん。制御できない爆弾は離れるのが一番だ。近付く理由がない。

 

 

 キーンコーンカーンコーン

 

 

「っと、チャイムが鳴ったぜ。戻らないと教師からの評価が低くなるし不味いんじゃないか?」

 

「次の休み時間もまた来ます! 逃げないように!! いいですわね!?」

 

「逃げるも何も、何のつもりだっての訳分かんねえよ」

 

 捨て台詞を吐いて席に戻ったオルコット? だったか、そいつの背中を見ながら呟く。アイツ、自分の立場を分かってんのか? 非公式でも学園に対するイギリス政府の代行だぞ?

 

 男性操縦者でも一企業の社員操縦者と違うんだぞ。国の意向と違う立場を取ったらどうするつもりだっての、

 

「……にしてもオルコット、か。まさか……いや、可能性が無いとは言い切れないか」

 

 普遍なファミリーネームかもしれない可能性は無きにしも非ずだ。もしかしたら、の考えくらいは残しておくべきだな。

 

 ったく、何で俺がこんなこと考えてんだか。こういうのは兄さん達の仕事だろうに、

 

「では四時限目を始める。……ああ、その前に再来週に行われるクラス対抗戦の代表者を決めねばな」

 

 クラス代表、か。嫌な予感がするな。つーか、男子二人しかいない大半が女子の状況だと確実に面倒しか起きないけどさ。

 

「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあ、クラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点で大した差は無いが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更は無いからそのつもりで」

 

 ……アンタは何を言っているんだ? 少なくとも所属が決まってる専用機持ちと一般生徒の間には隔絶した実力差があるだろうが、実力推移を図るもクソも専用機持ちが選出されれば意味がない事を想定していないのか?

 

「自薦、他薦は問わん。誰かやりたいもの、推薦したいものはいないか?」

 

「「はいっ!東宮君を推薦します!!」」

 

「「私も私も~!!」」

 

 ……予想通りの展開過ぎて怒る気すら起きない。割かし本気で思うが馬鹿じゃねえのこの制度を作った奴。

 

 こんなもん、プロトタイプ程度なら未だしも、正式採用された次世代機に乗った専用機持ちが出れば他クラスとの関係に亀裂が入るだろうが。対抗戦なんざ出たら無双して終了だぞ。他クラスに良い思いが出来ず、ウチのクラスは俺の実力で自分の実力を誤認しかねない。最悪の悪手じゃないか。

 

「反対だ。俺は拒否権を行使する。俺が代表になった場合、学園生徒のメリットが一切発生しない。ねぇ、山田先生」

 

「え、ええっと……それはその……」

 

「他薦された者に拒否権はない。大人しく受け入れろ。嫌なら自分の他薦すればいい」

 

「人権無視上等な考えに対して文句は言いませんが、ふざけないでください織斑先生。あと、俺は山田先生に質問しているんです。横から口出ししないでください」

 

「あ、あの……東宮君。拒否する理由を教えてくれませんか? 自分の意志に反しているという理由なら兎も角、ちゃんとした理由があるなら聞きますからね、ね」

 

 割って入って来た山田先生の存在が無ければ絶対にブチ切れていただろう。先生の顔を立てるという理由が無ければ面倒なんざ御免とばかりにすぐさま教室から逃げ出していただろうし、

 

「理由として、俺が次世代機の正式採用機を持っている点、俺が企業所属のパイロットだという点、最後に俺が専用機持ちだという点。この三つです。というか、先にこの点に関して説明があると思ったんですが?」

 

「え、えっと……一応、理由は分かりますが、東宮君の口から説明してくれませんか? そっちの方が自分も皆さんも納得できるでしょうし……」

 

 こっちの先生は優秀なようだ。というか、理由を言った時点で察しているらしい。冷や汗らしきものを掻いているし、

 

「先ず、一つ目は対抗戦で使用する機体ポテンシャルの差です。俺の専用機はコジマ機関内蔵型の第四世代機、しかもプロトタイプでは無く正式採用型です。学園所属の訓練機は基本操縦習熟を主眼にしているため全て第二世代型ないし試作量産型の第三世代機、この時点で平等ではありません。言うなれば小学生の軟式野球大会に大学硬式野球部が出張る様なものです。二つ目は俺がクラスよりも所属先の企業の意向を優先しかねない危惧です。俺自身その心算は全くもってありませんが邪推する相手が出ないとも限りません。男性操縦者な上に同企業の機体に乗ってるんですから、俺としてもアーマードコアとしても出るにはメリット以上のリスクがあります。最後は習熟度の差、俺は公表前まで3年以上の操縦訓練を受けてました。同じ専用機持ち同士ならいざ知らず、企業や国家に未所属の他クラスの代表とではスタートラインが違いすぎます。スタートラインもハンデも滅茶苦茶な状態で戦う上に出たら出たで外部から文句を言われまくるのは困るんですよ。学園の生徒としても企業所属の身としても……というか職員会議で議題として言われませんでしたか? 若しくは過去の専用機持ちから」

 

 分かり易く説明すれば、他の一般生徒が木製バットを使った小学生とすれば俺が金属バット使ったプロ選手位に実力差があるし、勝ち負け関係なく他企業からしてみればアーマードコアの粗捜しするいい理由に成りかねんということだ。

 

 トトカルチョしたら全員が俺に賭けて商売にならん。

 

 山田先生も分かっていただろうな。俺が出るとどうなるかを、

 

「えっと、織斑先生。これ、いったん職員会議で討論すべき内容だと思うんですが? 流石に東宮君が出たら他クラスに専用機持ちが居ない以上、対抗戦の結果が目に見えたものになりますし……」

 

「……ふむ、確かに考えるべき要点だったか。では東宮の出場が不可能な場合を考えて予備役の代表補佐を決めるとしよう。東宮以外で立候補ないし推薦はないか?」

 

「あ、それじゃあ……」

 

 何とか最悪の事態を回避できたと思った矢先……それは起こった。

 

「待ってください!! 納得がいきませんわ!!」

 

 誰かを推薦しようと口を開いた生徒……相川さんだったか……の気勢を封じて怒号を挙げたのは先程、何をしてきたのか不明なオルコットだった。

 

 ……どう考えても嫌な予感しかしない。

 

「そのような選出は認められません!!大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!! このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!! 実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを物珍しいからという理由で極東の猿にされては困りますし愚かとしか言えません!! 私はこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!! いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれは私ですわ!!大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、私にとっては耐え難い苦痛ですわ!!」

 

「……え、えっと……」

 

「知るかそんなこと。女尊男卑がのさばる後進国なら兎も角、ここは国際的中立地帯のIS学園で更に領地関係的に国家を所属させるなら日本領だ。男女平等が当然の社会の中でそんなことを論じるのは無価値にもほどがある」

 

 何をのたまうかと思えば、オルコットの中にある根幹は一昔前の極端なフェミナチ(女性選遇主義)思想と自国に対する過剰な選民指向だったわけだ。そりゃ俺に喧嘩を売る訳だ……それがわかっただけで十分だな

 

「何を偉そうに!! たかだか第四世代機を持っていると言うだけで強者だと思いあがっているだけのイエローモンキーが、調子に乗らないでくださいまし!!」

 

「……それはイギリス国家代表候補としての言葉だな。ならアーマードコアの企業所属という立場から言わせて貰う。帰国に対して我が社は相応の対応を取らせて貰うとな」

 

「あら、自分の立場を傘に圧力とは極東の猿は口が良く回ることですわね」

 

「まだ分からないようなら教えてやる。男女差別、人種差別、国家の侮辱、社員の侮辱。こんだけされたんだ。アーマードコアは最低でもイギリスへの技術援助を撤回させて貰う。御宅の国が熱心に開発している第三世代兵装である独立機動兵器に関する技術もだ」

 

 突きつけた言葉を漸く理解したのは、言葉を詰まらせるオルコット。……もしかして知らなかったのか? いや、それは無いだろう。少なくとも国家代表候補だ。

 

 自国の技術の提供先を知らない訳がないだろう。

 

「な、何を申してますの? 我がイギリスの技術の神髄であるBT兵装が……」

 

「AC社開発の初期型第三世代兵装イクシードオービットを知らないのか? 第二回モンドグロッソでアーマードコア所属のIS操縦者、霞スミカ……セレン・ヘイズが使ったプロトタイプ機動兵器なんだが。まぁ、本人の分割思考適正が低かったのとコスパ最悪だったから研究は棚上げされて回り回ってイギリスに提供されたんだが」

 

 それに向こうに渡ったのも、兄さんや俺やらかした手打ちとして投げ捨てたってもんだし、ウチとしては半ばどうでもいい技術なんだけどさ。まぁ回収できるならそれに越したことは無いけど。

 

「そういえば前回のモンドグロッソでそんな武装があったわね」

 

「確かファンネルをモデルにした浪漫武装ってふれこみの」

 

「でもエネルギー効率が悪すぎたせいで研究が凍結って話の筈だけど」

 

 ざわつく教室、どうやら知ってる人はいるらしいな。まぁ、浪漫武装とか変態技術としての咆哮でだろうけどさ。

 

「で、どうするつもりだ。ここで謝るなら俺は黙っておくと約束はするが? まぁ、クラスの皆も口を閉ざしてくれるように謝ればお前自身のダメージも軽微で済むだろうしすすめするぞ?」

 

 ウチとしては投げ渡してもいい技術でもイギリス政府としては事態を荒立てたくないだろう。

 

 ただでさえ企業陣営に対して国家陣営はIS開発で後れを取っているんだ。与えられたものとはいえ突破口を奪われるのは厳しいものがあるだろう。

 

「く……くぅう……」

 

「早く決めた方が身のためだぞ? お前だって今の立場を投げ捨てたいわけでもあるまい」

 

「さっきから、自分の権力でもないくせに偉そうに人を責めて楽しいかよ。外道が」

 

 さ茶番を終わらせようとしたらまた理解不能の馬鹿の声が聞こえた。本当にコイツ、アレと同一人物なんだろうか。俺の居場所を奪ってせせら笑っていたような奴と……

 

 ……ああ、何も変わってないな。人をあげつらって自分を正当だと叫んで自己満足を欲する。典型的な虐め加害者そのものだ。

 

「……俺は現状で最善の手を勧めただけだ。あと、俺が権力のない名誉職だとでも思っているのか? 言っとくけどこれでも男性操縦者という特異性なしでも専用機持ちになるだけの実力は持っているつもりだ」

 

 これでもアーマードコア最大の広告塔だ。実力は兎も角、今ある立場は自分で掴みとったもの。それを偉そうに部外者がとやかく文句言うようならいい気はしない。

 

 まぁ、所詮は口だけで他人を嗾ける様な事しか出来ないような人間だ。今更気にする必要もないな。

 

「は、金持ちのボンボンが親に我儘言って貰ったようなもんで実力とか馬鹿馬鹿しい話だな。どうせお前も専用機を渡した奴も碌な人間じゃないんだろうが、金と権力で好き勝手する様な奴なんだからよ」

 

「へぇ……俺だけじゃなく、お前が一度も見た事のない人間さえも侮辱するか」

 

 自分の中で、我慢の限界を悟る。ああ、駄目だ。冷静にならなければならないと分かっていても我慢が出来ない。コイツは今、俺にとって最も大切なものを侮辱した。それを赦せるほど、俺は優しくも温くもない。

 

「はっ!! 見る価値もねえだろうがよ!! お前みたいに平気にせせら笑うような奴に力貸す馬鹿なんざ見るまでも無く愚かだってな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……訂正、たかだか一選手でしかない人間の血縁者如きが調子に乗りやがって自分じゃ何もできない七光りがふざけた口吐けたものだな。ああ、お前が俺の誇りに喧嘩を売るならこっちも相応の対応を取ってやるよ。掛かってこいやトーシローの青臭い餓鬼が!! テメエが誰を!! 何を怒らせたか骨身に分からせてやる!!」

 

 

 

 

 許さねえ……今更土下座しようが何しようが関係ない。俺のただ一つの拠り所を、守るべきプライドを穢したんだ。なら、相応の報いをくれてやる。

 

 コイツ個人への俺の怒りなんざどうでもいい。俺の兄さんを侮辱した罪を報いという形で贖わせてやる。

 

「どうせ、男性操縦者のパイロットデータ蒐集で専用機が与えられるんだろう。なら二週間後以降の好きな日を選べ。お前が侮辱したものの力を、行った罪の報いを、暴力と現実で理解らせてやる。ああ、たかがルーピー程度、タイマンでは勝負にならんだろう。そこで同調している同類と俺に喧嘩を討った西洋人も同時に相手してやる。お前が嘲笑った権欲主義の愚者の駄作の力を思い知らせてやろうじゃないか。今更なかったことにしろとは言うまい。お前が恥も外見も誇りも気にもしないような下種でもない限りな!!」

 

 俺を侮辱して何もしなかったから調子づきやがって、どうせ尻尾を踏んでも何もしない鼠と勘違いしたんだろうな。ならお前等が調子のって足蹴したのが鼠の尾じゃなく竜の逆鱗だったと教えてやる。

 

 全身全霊、獅子搏兎、手加減手心一切なしの全力で叩き潰す!!

 

「掛かってくるなら掛かってこいや!! お前等全員纏めて地獄に叩き落してやる!!」

 

 

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