ネコ耳ステラのGBN探訪!(仮)   作:しろくないくま

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第9話 暴走するチカラ

鬼神のごとき、強さでデビルガンダムヘッドを倒したステラ……

敵の顔面から剥ぎ取った装甲を両手に持ち、ゆっくりとした足取りでヒロトの近づいて来た。

 

「ス、ステラ……なのか……?」

 

ガイアから溢れ出す凄まじきオーラが、ヒロトの恐怖心を煽る。

マーズフォー・ガンダムが後ろに半歩下がった瞬間だった。

敵のパーツを投げ棄て、ガイアがヒロトの機体に襲いかかる。

 

「な、何をやっている、ステラ!俺だ!ヒロトだ!」

 

必殺のレクスネイルを、ヒロトはとっさに受け止め、取っ組み合いになった。

 

『破壊する、破壊する、破壊するッ!………うがあァァーーッ!!!』

 

通信ごしのステラは、何かに取り憑かれたように破壊衝動に走っている。

 

「こ、このままじゃ……村が……ッ!」

 

チカラで勝るマーズフォー・ガンダムは、ガイアガンダムをスラスター全開で村の出入口まで押し返した。

 

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「ん、んーーッ。はぁッ!!?わ、私は……ッ!」

 

気を失っているメイが目を醒ました。

目の前には破壊されたデビルガンダムヘッド、そして取っ組み合いをしているのは、ステラのガイアガンダムと見慣れないモビルスーツ……何が何だか状況が全く掴めない。

 

「これはいったい……」

 

『こちら、ヒロト!メイ、応答してくれ!』

 

「こちら、メイだ!どうしたんだ?何がどうなっている?」

 

ヒロトの通信が入り、赤い装甲のモビルスーツが彼の新しいバージョンの姿と、彼女は理解する。

 

『わ、分からない!急にステラが襲ってきた……んだ!』

 

彼の言葉にメイは耳を疑った。

いつも、おとなしかったあのステラが……

 

『今から、ステラを村の外まで押し出す。援護を……ッ!』

 

「りょ、了解した……ッ!」

 

ヒロトはガンダムのスラスターを吹かせ、ステラのガイアを村の外へ押して行く。

 

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カザミの『ジャスティス・ナイト』はデビルガンダムヘッドの体当たりで岩壁に叩きつけられ、彼が気を失っていたために機体もまた機能が停止していた。

その後、岩壁から落ちた機体はそのままの状態だった。

 

「ん………ぬおォォーーッ!!?」

 

カザミがようやく目を醒まそうとした時、彼の機体に強い衝撃が走る。

メイの『ヴォドム・ポッド』が彼の機体を蹴ったのだ。

 

「お、おい!いきなり何しやがる!」

 

『まだ寝惚けているのかッ?緊急事態だ!』

 

「な、何ッ!!?どういう……」

 

『ワケは追々話す!今は私に着いてこい!』

 

メイはカザミを先導する。

彼女から事の次第を聞いたカザミは驚愕した。

 

「マジかよ……ステラがヒロトと交戦しているだと……?」

 

『ああ、今のステラの強さは異常だ!気を引き締めろ!』

 

「わ、分かった……」

 

二人はヒロトに合流するために、あとを急ぐのだった。

 

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そして、村人たちの護衛をしていたパルヴィーズにも、ステラの異変とガイアの暴走の一報は入っていた。

 

「そんな……あのステラさんがッ!!?」

 

『ああ……理由は分からんが、敵を撃破したあと、いきなりヒロトに襲いかかったみたいなんだ!』

 

パルヴィーズはメイから説明を受ける。

 

「わ、分かりました……僕も急ぎます!」

 

パルヴィーズは外にいるマイヤたち村人に、スピーカーで事情を説明した。

 

『と、言うことで村は無事です!』

 

その言葉に村人は大いに盛り上がった。

パルヴィーズのヴァルキランダーは踵を返し、仲間もとへ向かおうとする。

その時だった。

 

『パル!私も連れって!』

 

マイヤが叫んだのだ。

 

「危険ですから、一緒には連れ行けませんよ!」

 

『お願いよ!パル!彼女の友達として私も助けたいの!』

 

「………………わ、分かりました。」

 

パルヴィーズは彼女から伝わる強い意思を尊重し、渋々だが同行を許可する。

 

「乗って下さい。」

 

『ありがとう。』

 

マイヤはパルヴィーズの案内で、操縦空間に転移した。

それには、マイヤの弟フレディーも一緒に着いてきた。

 

「ふ、フレディーッ!!?どうして、着いてきたのッ!!?」

 

「僕も一緒に行きます!ステラさんを助けに行きたいんです!」

 

「分かったよ。フレディー……マイヤさんもかなり揺れると思うんで気をつけて下さい!」

 

「覚悟しているわ。」

 

「僕も!」

 

マイヤとフレディーの姉弟を乗せたパルヴィーズのヴァルキランダーはヒロトのもとへ急行する。

 

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そして、ヒロトに襲いかかったステラは未だに錯乱している。

システムのタイマーは、まだ240秒近く残っていた。

 

『ステラ!しっかりしろ!ステラーーッ!!!』

 

パワーでステラのガイアガンダムに勝るヒロトのマーズフォー・ガンダム。

力任せに彼女の機体を投げ飛ばす。

しかし、ステラは卓越した操縦技術で機体を翻した。

 

「やったなァァァァーーッ!!!」

 

受け身を取ったガイアは、すかさずテイルブレードでマーズフォー・ガンダムに反撃をする。

鞭のようにしなるワイヤーから繰り出される鋭い斬撃に、ヒロトは防御一辺倒になってしまった。

 

『な、何て攻撃だッ!!?』

 

その時だった。

高出力のビームがステラを襲う。

ステラはガイアを操り、咄嗟に左手に保持した『機動防盾』でうけとめるが、勢いに負け吹き飛ばされてしまった。

 

「きゃあァァァァーーッ!!!」

 

ガイアは激しく地面を転がる。

 

『ヒロト……ッ!』

 

「メイかッ!!?……助かったよ。」

 

『気にするな。でも、どうしてこうなったんだ?』

 

「分からない……急に暴走して……」

 

『まあいい、どちらにせよ彼女を止めないことには、どうにも出来ない。気を引き締めろ……』

 

「了解した。」

 

『カザミとパルも良いな?』

 

『あ、ああ……』

 

『は、はい!』

 

パルヴィーズのヴァルキランダーには、マイヤとフレディーが共に乗っていた。

 

『どうして、二人が一緒にいるんだッ!!?』

 

モニター越しに映るマイヤとフレディーに驚愕するヒロト。

 

「あ、えーっと……ぼ、僕も注意したんですよ?危ないからって……だけど、一緒に行きたいって言われて……」

 

「当たり前でしょ!ステラはアナタたちの仲間だし、この村を救ってくれた恩人じゃない!これは私の意思なの!お願い、ヒロト……ッ!」

 

「僕もマイヤ姉さんと同じ気持ちです!」

 

『………了解した。パルは二人の安全を第一に行動してくれ!』

 

「わ、分かりました!」

 

『行くぞ!』

 

暴走するステラのガイアガンダムとチーム『ビルド・ダイバーズ』が激突する。

 

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場所は変わり、ここはステラの深層心理の中……

ステラのガイアは『EDI-SYSTEM』に彼女の意識ごと乗っ取られていた。

ステラの真の思いとは違い、彼女の機体はヒロトたちと戦闘している。

 

「どうして?ステラのガイア、ヒロトたちと戦ってる?」

 

『そうだよ?今、私のガイアはヒロトと戦ってる♪』

 

「誰ッ!!?」

 

深層心理の暗闇から一人の少女が現れた。

 

「…………ステラ?………もう一人のステラ。」

 

現れたのは、ステラ自身………

しかし、いつもの彼女とは正反対の好戦的な性格をしたステラだった。

明らかに歪んだ笑みを浮かべながら、ゆっくりとした足取りでステラに歩み寄って来る。

 

『フフン……♪どうかな?今、ステラのガイアは大切な仲間と戦ってる♪』

 

「どうしてそんな事するの?止めさせて!」

 

『イヤッ♪だって、楽しいじゃない♪私がガイアガンダム・レクスルプスの全力を引き出して上げるッ!!!』

 

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『EDI-SYSTEM』に乗っ取られたガイアガンダムは両手に『大型実体複合ビームソード』を持ち、凄まじい跳躍力でヒロトの機体に斬りかかる。

 

「ぐぅ………ッ!」

 

ヒロトは咄嗟にマーズフォーガンダムを操作し、『スラッシュブレイド』を装備させると、ガイアのビームソードを受け止めた。

 

『カザミ!左右から挟み込む!』

 

『お、おう………ッ!』

 

メイの指示でカザミは、ジャスティス・ナイトの『ショットランサー』を構え、ガイアに向かって攻撃をする。

カザミに指示を出した彼女もまた、ヴォドム・ポッドの『高出力ビーム砲』と『ミサイルランチャー』を発射した。

 

『邪魔を……するなァァァァーーッ!!!!!!』

 

『EDI-SYSTEM』はガイアを操り、バックステップでヒロトから間合いを取り、さらにメイとカザミの挟撃を避ける。

そして、モビルアーマー形態に変形させると、カザミに突撃を仕掛けた。

 

『来るなッ!来るなァァーーッ!』

 

カザミは牽制をするが、ガイアは怯む事なく彼のジャスティス・ナイトにビームソードの刃を向ける。

ギリギリの所でカザミは、ビームの刃を保持していたシールドで受け止めた。

だが、その勢いは完全には殺すことができず、後方に大きく吹き飛ばされてしまう。

 

『くそォォーーッ!ガハ……ッ!!?』

 

カザミはその衝撃で、再び気を失ってしまった。

操縦者を失ったジャスティス・ナイトは戦闘不能に陥る。

ガイアが次に狙いを定めたのは、メイの駆る『ヴォドム・ポッド』だ。

モビルアーマー形態のガイアは、彼女の機体に向かって走り出す。

 

「次は私か!」

 

ビーム砲とミサイルで迎撃するが、ガイアのスピードと機動力の前には無意味だ。

だが、メイの機体の間合いに入った所で、彼女はリーチの長い脚部で横凪ぎの一閃を繰り出すが、なんとガイアはその攻撃をジャンプで避け、さらに回避と同時に空中変形、着地する際の加速度を利用しヴォドム・ポッドの急所を狙って『ヒール・バンカー』を叩き込む。

 

しかし、メイの絶妙な操作に反応した機体は、寸前の所で急所をずらし、的を外した超硬質合金製の槍は左側の大腿部の付け根を貫いた。

 

「ク……ッ!!?」

 

ヒール・バンカーの破壊力は凄まじく、フレームを貫いたその衝撃で、胴体と左脚部を離断する。

バランスを保てなくなったメイのヴォドム・ポッドは、その場に仰向けに倒れた。

コックピット内では行動不能を知らせるアラートがけたたましく鳴っている。

 

「すまない……」

 

『あぁ、残念……』

 

的を外したステラ(EDI-SYSTEM)は嘆息しながら、仰向けに倒れたメイの機体を見下す。

 

「ヒロト、私の機体もここまでのようだ……」

 

そして彼女は、とどめと言わんばかりに、ガイアの足を大きく上げさせた。

踵部分に超硬質合金製の『ヒール・バンカー』の鋭い刺突部分が光る。

 

『これで終わり……ハアァァァァーーッ!!!!!!』

 

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「止めてェェーーッ!!!」

 

衝撃的な光景に、居てもたってもいられなくなったマイヤは、思わず叫んだ。

ガイアの繰り出すヒール・バンカーは、ギリギリの所で止まる。

ガイアは足を下ろし、パルヴィーズたちの乗るヴァルキランダーに向き直った。

 

「どうしちゃったの?ステラ……」

 

涙ながらにマイヤは、ステラに語りかける。

 

「優しいステラに……」

 

『なんだ?お前は………』

 

「え……ッ?」

 

『お前は、いったい何なんだァァーーッ!』

 

次の瞬間、マイヤの言葉を遮るようにガイアはモビルアーマー形態に変形し、両翼にビームソードを展開するとパルヴィーズのヴァルキランダーに向かって走り出す。

 

 

「き、来たァァーーッ!」

 

マイヤとフレディーの姉弟を守るためにもパルヴィーズは、ヴァルキランダーの射撃トリガーを引いた。

彼のヴァルキランダーの口腔内の砲塔から火炎弾を連続で発射する。

 

『ステラのガイア、パルのヴァルキランダー、真っ二つにする……ッ!!!』

 

ステラ(EDI-SYSTEM)は、通信越しに恐ろしい事を言う。

 

「う、うわァァァァーーッ!!?」

 

パルヴィーズは、パニックで火炎弾を乱射するだけだ。

 

「パル、落ち着いてッ!!!」

 

マイヤの言葉もパルヴィーズに届かない。

ガイアのビームソードの刃がヴァルキランダーの首もとに迫る。

次の瞬間、フレディーはヴァルキランダーのレバーを咄嗟に扱うと、緊急回避を試みた。

 

「きゃあァァーーッ!!?」

 

態勢が崩れる形になってしまったが、ビームソードの回避には成功する。

ヴァルキランダーのコックピット内でパルヴィーズたち三人はぐちゃぐちゃになっていた。

 

「痛タタァァ……」

 

「もう~フレディーったら、何やってんのよ……!」

 

「ごめんなさ~い。」

 

ガイアの攻撃を一度は回避したヴァルキランダーであったが、ステラ(EDI-SYSTEM)がそれで攻撃を止めるはずもなく、倒れているパルヴィーズの機体をヒールバンカーで貫こうとする。

 

『次は外さない………ッ!』

 

ガイアが再び、足を上げた。

三人はギュッと目を瞑る。

 

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「パル!逃げてェェーーッ!」

 

EDI-SYSTEMによって、心の奥底に捕らわれているステラが悲痛な叫びを上げる。

ガイアのヒールバンカーが、ヴァルキランダーの胸部を捕らえようしたその時だった。

 

『いい加減に……ッ!』

 

ヒロトのマーズフォー・ガンダムが、大剣を掲げて二機の間に割って入った。

 

「そんなモノ……ッ!」

 

EDI-SYSTEMはガイアを操り、回し蹴りの要領でヒロトの機体の持つ『ハードヒートレヴソード』を弾き飛ばす。

 

『凄い反射神経と反応速度だ。普通の……並みのビルダーじゃこんな動きは出来ない。』

 

ステラ(EDI-SYSTEM)の能力と『ガイアガンダム・ルプスレクス』の性能に、ヒロトは圧倒されてしまう。

 

「私もあと40秒ってとこか……ヒロト!一撃で決めてあげる!」

 

ガイアの深紅に光る眼光がより強く揺らめく。

そして、両手が煉獄のごとき炎を上げた。

 

「これが私の取って置きだよ!」

 

燃え盛る両手を胸の前で組んで彼の機体に向けて構える。

 

「ファイナル・デッド・エンド!」

 

次の瞬間、背部にある『ウイングスラスター』と『ロングテール・スタビライザー』、全てのバーニアを全開でヒロトの『マーズフォー・ガンダム』に突貫した。

 

それに対してヒロトは、ガイアガンダムを迎え撃つために、残っていたスラッシュブレイドを組み合わせ、『オーバースラッシュブレード』の切っ先をガイアに向けて構える。

 

『うおォォーーッ!!!』

 

互いに繰り出した必殺の一撃がぶつかりあった。

噴き出すアフターバーナー、ガイアのレクスネイルがマーズフォー・ガンダムのコックピットブロックを抉り取ろうと、オーバースラッシュブレードのビームの刃を分解しながら、じわりじわりと近づいて来る。

 

『こ、このままではステラに押し負ける!』

 

ヒロトは距離を詰めて来るガイアに敗北を覚悟した。

しかし、ここで『EDI-SYSTEM』の限界が来る。

ガイアガンダムの深紅に輝いていたデュアルセンサーアイから光が消え、チカラなく膝から崩れ落ちた。

 

「ッ!!?い、いったいこれは………」

 

突然のことで、混乱するヒロト……

 

『あ~あ、時間切れか………もう少しでヒロトに勝てそうだったのに………』

 

「ス、テラ……?」

 

『ううん、私は“EXTREME DEEP INVADER”……EDI(エディ)って呼んでね?』

 

「エディ……」

 

『じゃあ、またね♪ヒロト……♪』

 

自身をエディと名乗ったステラが画面越しに、ヒロトに手を振っている姿を最後に通信が切れる。

 

「エディと名乗ったステラ……彼女はいったい………」

 

今回のミッション自体は成功したが、ビルド・ダイバーズの面々としては、色々と腑に落ちない結果となった。

 

次回に続く。

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