ネコ耳ステラのGBN探訪!(仮) 作:しろくないくま
鬼神のごとき、強さでデビルガンダムヘッドを倒したステラ……
敵の顔面から剥ぎ取った装甲を両手に持ち、ゆっくりとした足取りでヒロトの近づいて来た。
「ス、ステラ……なのか……?」
ガイアから溢れ出す凄まじきオーラが、ヒロトの恐怖心を煽る。
マーズフォー・ガンダムが後ろに半歩下がった瞬間だった。
敵のパーツを投げ棄て、ガイアがヒロトの機体に襲いかかる。
「な、何をやっている、ステラ!俺だ!ヒロトだ!」
必殺のレクスネイルを、ヒロトはとっさに受け止め、取っ組み合いになった。
『破壊する、破壊する、破壊するッ!………うがあァァーーッ!!!』
通信ごしのステラは、何かに取り憑かれたように破壊衝動に走っている。
「こ、このままじゃ……村が……ッ!」
チカラで勝るマーズフォー・ガンダムは、ガイアガンダムをスラスター全開で村の出入口まで押し返した。
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「ん、んーーッ。はぁッ!!?わ、私は……ッ!」
気を失っているメイが目を醒ました。
目の前には破壊されたデビルガンダムヘッド、そして取っ組み合いをしているのは、ステラのガイアガンダムと見慣れないモビルスーツ……何が何だか状況が全く掴めない。
「これはいったい……」
『こちら、ヒロト!メイ、応答してくれ!』
「こちら、メイだ!どうしたんだ?何がどうなっている?」
ヒロトの通信が入り、赤い装甲のモビルスーツが彼の新しいバージョンの姿と、彼女は理解する。
『わ、分からない!急にステラが襲ってきた……んだ!』
彼の言葉にメイは耳を疑った。
いつも、おとなしかったあのステラが……
『今から、ステラを村の外まで押し出す。援護を……ッ!』
「りょ、了解した……ッ!」
ヒロトはガンダムのスラスターを吹かせ、ステラのガイアを村の外へ押して行く。
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カザミの『ジャスティス・ナイト』はデビルガンダムヘッドの体当たりで岩壁に叩きつけられ、彼が気を失っていたために機体もまた機能が停止していた。
その後、岩壁から落ちた機体はそのままの状態だった。
「ん………ぬおォォーーッ!!?」
カザミがようやく目を醒まそうとした時、彼の機体に強い衝撃が走る。
メイの『ヴォドム・ポッド』が彼の機体を蹴ったのだ。
「お、おい!いきなり何しやがる!」
『まだ寝惚けているのかッ?緊急事態だ!』
「な、何ッ!!?どういう……」
『ワケは追々話す!今は私に着いてこい!』
メイはカザミを先導する。
彼女から事の次第を聞いたカザミは驚愕した。
「マジかよ……ステラがヒロトと交戦しているだと……?」
『ああ、今のステラの強さは異常だ!気を引き締めろ!』
「わ、分かった……」
二人はヒロトに合流するために、あとを急ぐのだった。
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そして、村人たちの護衛をしていたパルヴィーズにも、ステラの異変とガイアの暴走の一報は入っていた。
「そんな……あのステラさんがッ!!?」
『ああ……理由は分からんが、敵を撃破したあと、いきなりヒロトに襲いかかったみたいなんだ!』
パルヴィーズはメイから説明を受ける。
「わ、分かりました……僕も急ぎます!」
パルヴィーズは外にいるマイヤたち村人に、スピーカーで事情を説明した。
『と、言うことで村は無事です!』
その言葉に村人は大いに盛り上がった。
パルヴィーズのヴァルキランダーは踵を返し、仲間もとへ向かおうとする。
その時だった。
『パル!私も連れって!』
マイヤが叫んだのだ。
「危険ですから、一緒には連れ行けませんよ!」
『お願いよ!パル!彼女の友達として私も助けたいの!』
「………………わ、分かりました。」
パルヴィーズは彼女から伝わる強い意思を尊重し、渋々だが同行を許可する。
「乗って下さい。」
『ありがとう。』
マイヤはパルヴィーズの案内で、操縦空間に転移した。
それには、マイヤの弟フレディーも一緒に着いてきた。
「ふ、フレディーッ!!?どうして、着いてきたのッ!!?」
「僕も一緒に行きます!ステラさんを助けに行きたいんです!」
「分かったよ。フレディー……マイヤさんもかなり揺れると思うんで気をつけて下さい!」
「覚悟しているわ。」
「僕も!」
マイヤとフレディーの姉弟を乗せたパルヴィーズのヴァルキランダーはヒロトのもとへ急行する。
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そして、ヒロトに襲いかかったステラは未だに錯乱している。
システムのタイマーは、まだ240秒近く残っていた。
『ステラ!しっかりしろ!ステラーーッ!!!』
パワーでステラのガイアガンダムに勝るヒロトのマーズフォー・ガンダム。
力任せに彼女の機体を投げ飛ばす。
しかし、ステラは卓越した操縦技術で機体を翻した。
「やったなァァァァーーッ!!!」
受け身を取ったガイアは、すかさずテイルブレードでマーズフォー・ガンダムに反撃をする。
鞭のようにしなるワイヤーから繰り出される鋭い斬撃に、ヒロトは防御一辺倒になってしまった。
『な、何て攻撃だッ!!?』
その時だった。
高出力のビームがステラを襲う。
ステラはガイアを操り、咄嗟に左手に保持した『機動防盾』でうけとめるが、勢いに負け吹き飛ばされてしまった。
「きゃあァァァァーーッ!!!」
ガイアは激しく地面を転がる。
『ヒロト……ッ!』
「メイかッ!!?……助かったよ。」
『気にするな。でも、どうしてこうなったんだ?』
「分からない……急に暴走して……」
『まあいい、どちらにせよ彼女を止めないことには、どうにも出来ない。気を引き締めろ……』
「了解した。」
『カザミとパルも良いな?』
『あ、ああ……』
『は、はい!』
パルヴィーズのヴァルキランダーには、マイヤとフレディーが共に乗っていた。
『どうして、二人が一緒にいるんだッ!!?』
モニター越しに映るマイヤとフレディーに驚愕するヒロト。
「あ、えーっと……ぼ、僕も注意したんですよ?危ないからって……だけど、一緒に行きたいって言われて……」
「当たり前でしょ!ステラはアナタたちの仲間だし、この村を救ってくれた恩人じゃない!これは私の意思なの!お願い、ヒロト……ッ!」
「僕もマイヤ姉さんと同じ気持ちです!」
『………了解した。パルは二人の安全を第一に行動してくれ!』
「わ、分かりました!」
『行くぞ!』
暴走するステラのガイアガンダムとチーム『ビルド・ダイバーズ』が激突する。
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場所は変わり、ここはステラの深層心理の中……
ステラのガイアは『EDI-SYSTEM』に彼女の意識ごと乗っ取られていた。
ステラの真の思いとは違い、彼女の機体はヒロトたちと戦闘している。
「どうして?ステラのガイア、ヒロトたちと戦ってる?」
『そうだよ?今、私のガイアはヒロトと戦ってる♪』
「誰ッ!!?」
深層心理の暗闇から一人の少女が現れた。
「…………ステラ?………もう一人のステラ。」
現れたのは、ステラ自身………
しかし、いつもの彼女とは正反対の好戦的な性格をしたステラだった。
明らかに歪んだ笑みを浮かべながら、ゆっくりとした足取りでステラに歩み寄って来る。
『フフン……♪どうかな?今、ステラのガイアは大切な仲間と戦ってる♪』
「どうしてそんな事するの?止めさせて!」
『イヤッ♪だって、楽しいじゃない♪私がガイアガンダム・レクスルプスの全力を引き出して上げるッ!!!』
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『EDI-SYSTEM』に乗っ取られたガイアガンダムは両手に『大型実体複合ビームソード』を持ち、凄まじい跳躍力でヒロトの機体に斬りかかる。
「ぐぅ………ッ!」
ヒロトは咄嗟にマーズフォーガンダムを操作し、『スラッシュブレイド』を装備させると、ガイアのビームソードを受け止めた。
『カザミ!左右から挟み込む!』
『お、おう………ッ!』
メイの指示でカザミは、ジャスティス・ナイトの『ショットランサー』を構え、ガイアに向かって攻撃をする。
カザミに指示を出した彼女もまた、ヴォドム・ポッドの『高出力ビーム砲』と『ミサイルランチャー』を発射した。
『邪魔を……するなァァァァーーッ!!!!!!』
『EDI-SYSTEM』はガイアを操り、バックステップでヒロトから間合いを取り、さらにメイとカザミの挟撃を避ける。
そして、モビルアーマー形態に変形させると、カザミに突撃を仕掛けた。
『来るなッ!来るなァァーーッ!』
カザミは牽制をするが、ガイアは怯む事なく彼のジャスティス・ナイトにビームソードの刃を向ける。
ギリギリの所でカザミは、ビームの刃を保持していたシールドで受け止めた。
だが、その勢いは完全には殺すことができず、後方に大きく吹き飛ばされてしまう。
『くそォォーーッ!ガハ……ッ!!?』
カザミはその衝撃で、再び気を失ってしまった。
操縦者を失ったジャスティス・ナイトは戦闘不能に陥る。
ガイアが次に狙いを定めたのは、メイの駆る『ヴォドム・ポッド』だ。
モビルアーマー形態のガイアは、彼女の機体に向かって走り出す。
「次は私か!」
ビーム砲とミサイルで迎撃するが、ガイアのスピードと機動力の前には無意味だ。
だが、メイの機体の間合いに入った所で、彼女はリーチの長い脚部で横凪ぎの一閃を繰り出すが、なんとガイアはその攻撃をジャンプで避け、さらに回避と同時に空中変形、着地する際の加速度を利用しヴォドム・ポッドの急所を狙って『ヒール・バンカー』を叩き込む。
しかし、メイの絶妙な操作に反応した機体は、寸前の所で急所をずらし、的を外した超硬質合金製の槍は左側の大腿部の付け根を貫いた。
「ク……ッ!!?」
ヒール・バンカーの破壊力は凄まじく、フレームを貫いたその衝撃で、胴体と左脚部を離断する。
バランスを保てなくなったメイのヴォドム・ポッドは、その場に仰向けに倒れた。
コックピット内では行動不能を知らせるアラートがけたたましく鳴っている。
「すまない……」
『あぁ、残念……』
的を外したステラ(EDI-SYSTEM)は嘆息しながら、仰向けに倒れたメイの機体を見下す。
「ヒロト、私の機体もここまでのようだ……」
そして彼女は、とどめと言わんばかりに、ガイアの足を大きく上げさせた。
踵部分に超硬質合金製の『ヒール・バンカー』の鋭い刺突部分が光る。
『これで終わり……ハアァァァァーーッ!!!!!!』
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「止めてェェーーッ!!!」
衝撃的な光景に、居てもたってもいられなくなったマイヤは、思わず叫んだ。
ガイアの繰り出すヒール・バンカーは、ギリギリの所で止まる。
ガイアは足を下ろし、パルヴィーズたちの乗るヴァルキランダーに向き直った。
「どうしちゃったの?ステラ……」
涙ながらにマイヤは、ステラに語りかける。
「優しいステラに……」
『なんだ?お前は………』
「え……ッ?」
『お前は、いったい何なんだァァーーッ!』
次の瞬間、マイヤの言葉を遮るようにガイアはモビルアーマー形態に変形し、両翼にビームソードを展開するとパルヴィーズのヴァルキランダーに向かって走り出す。
「き、来たァァーーッ!」
マイヤとフレディーの姉弟を守るためにもパルヴィーズは、ヴァルキランダーの射撃トリガーを引いた。
彼のヴァルキランダーの口腔内の砲塔から火炎弾を連続で発射する。
『ステラのガイア、パルのヴァルキランダー、真っ二つにする……ッ!!!』
ステラ(EDI-SYSTEM)は、通信越しに恐ろしい事を言う。
「う、うわァァァァーーッ!!?」
パルヴィーズは、パニックで火炎弾を乱射するだけだ。
「パル、落ち着いてッ!!!」
マイヤの言葉もパルヴィーズに届かない。
ガイアのビームソードの刃がヴァルキランダーの首もとに迫る。
次の瞬間、フレディーはヴァルキランダーのレバーを咄嗟に扱うと、緊急回避を試みた。
「きゃあァァーーッ!!?」
態勢が崩れる形になってしまったが、ビームソードの回避には成功する。
ヴァルキランダーのコックピット内でパルヴィーズたち三人はぐちゃぐちゃになっていた。
「痛タタァァ……」
「もう~フレディーったら、何やってんのよ……!」
「ごめんなさ~い。」
ガイアの攻撃を一度は回避したヴァルキランダーであったが、ステラ(EDI-SYSTEM)がそれで攻撃を止めるはずもなく、倒れているパルヴィーズの機体をヒールバンカーで貫こうとする。
『次は外さない………ッ!』
ガイアが再び、足を上げた。
三人はギュッと目を瞑る。
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「パル!逃げてェェーーッ!」
EDI-SYSTEMによって、心の奥底に捕らわれているステラが悲痛な叫びを上げる。
ガイアのヒールバンカーが、ヴァルキランダーの胸部を捕らえようしたその時だった。
『いい加減に……ッ!』
ヒロトのマーズフォー・ガンダムが、大剣を掲げて二機の間に割って入った。
「そんなモノ……ッ!」
EDI-SYSTEMはガイアを操り、回し蹴りの要領でヒロトの機体の持つ『ハードヒートレヴソード』を弾き飛ばす。
『凄い反射神経と反応速度だ。普通の……並みのビルダーじゃこんな動きは出来ない。』
ステラ(EDI-SYSTEM)の能力と『ガイアガンダム・ルプスレクス』の性能に、ヒロトは圧倒されてしまう。
「私もあと40秒ってとこか……ヒロト!一撃で決めてあげる!」
ガイアの深紅に光る眼光がより強く揺らめく。
そして、両手が煉獄のごとき炎を上げた。
「これが私の取って置きだよ!」
燃え盛る両手を胸の前で組んで彼の機体に向けて構える。
「ファイナル・デッド・エンド!」
次の瞬間、背部にある『ウイングスラスター』と『ロングテール・スタビライザー』、全てのバーニアを全開でヒロトの『マーズフォー・ガンダム』に突貫した。
それに対してヒロトは、ガイアガンダムを迎え撃つために、残っていたスラッシュブレイドを組み合わせ、『オーバースラッシュブレード』の切っ先をガイアに向けて構える。
『うおォォーーッ!!!』
互いに繰り出した必殺の一撃がぶつかりあった。
噴き出すアフターバーナー、ガイアのレクスネイルがマーズフォー・ガンダムのコックピットブロックを抉り取ろうと、オーバースラッシュブレードのビームの刃を分解しながら、じわりじわりと近づいて来る。
『こ、このままではステラに押し負ける!』
ヒロトは距離を詰めて来るガイアに敗北を覚悟した。
しかし、ここで『EDI-SYSTEM』の限界が来る。
ガイアガンダムの深紅に輝いていたデュアルセンサーアイから光が消え、チカラなく膝から崩れ落ちた。
「ッ!!?い、いったいこれは………」
突然のことで、混乱するヒロト……
『あ~あ、時間切れか………もう少しでヒロトに勝てそうだったのに………』
「ス、テラ……?」
『ううん、私は“EXTREME DEEP INVADER”……EDI(エディ)って呼んでね?』
「エディ……」
『じゃあ、またね♪ヒロト……♪』
自身をエディと名乗ったステラが画面越しに、ヒロトに手を振っている姿を最後に通信が切れる。
「エディと名乗ったステラ……彼女はいったい………」
今回のミッション自体は成功したが、ビルド・ダイバーズの面々としては、色々と腑に落ちない結果となった。
次回に続く。