秋も終わりが近いですが、皆さん元気にお過ごしでしょうか。
島の中央に聳え立つApertureScienceツインタワービル―――その中のとある部屋に、言峰綺礼はいた。
「―――私立黒須学園3年B組の生徒は問題無くテストを開始しました。既に6名の参加者が死亡。ここまでは順調です」
「うんうん、報告サンキューだお!いやぁ~、こんな良い部屋で殺し合いを観るのはとても良い気分だお~」
「そうは言っても、まだ始まったばかりだろ。常識的に考えて。とはいえ、生意気な連中がヒーコラ言いながら死んでいく光景は、ストレス発散にはうってつけだろ」
豪華なソファーに座って言峰と話しているのは、ApertureScience会長のやる夫と、秘書(?)のやらない夫である。
「フフフ・・・折角こんなに人を集めたんだから、参加者共には一杯苦しんでもらいたいお!」
「このテストから得られるであろう実験データは今後の研究にも役立つからな。それに、今回は特別な武器を沢山用意したから、何処も派手に殺し合っている事間違い無しだろ。ところで言峰、VIPルームのギャンブルはどうなっているんだ?」
「ええ、そちらも大変盛り上がっております。ある方々はビル内の高級レストランで食事を取りつつ、テストの観戦を楽しんでおります。また、ある方々は屋上のプールでお楽しみになりつつ、テストを観戦なさっております。生徒1人1人に注目し、各々の行動映すシアタールームですが、まだ最序盤で、男女共に人気のある参加者が生きていると言う事もあり、男子参加者を対象とした部屋も女子参加者を対象とした部屋も人気があります。そして、カジノルームですが、やはり他の部屋よりも盛り上がっております。誰が勝つのか予想が付かないようで、大変観戦に熱くなっております」
「殺し合いを観られるし、良いデータが取れれば儲かるし、このテストはとてもボロいプロジェクトだお!前の職場を抜け出して起業して、この国でテストを執り行える場所を作って本当に良かったお!」
「政府がえらく乗り気だったから、最初は本当にその気があるのか半信半疑だったけどな―――。今回も、盛り上がる殺し合いを見せてほしいところだろ」
やる夫とやらない夫は笑い声を上げた。
その後、やる夫はふとこんな疑問を口にした。
「あれ?今回は禁止エリアの設定とかはしないんだお?」
その問いに対するやらない夫の答えはこうだった。
「あっ、それならどっかの馬鹿が参加者共のバッグに地図を入れるのをうっかり忘れてたらしいから、今回は無しにする事が決定しただろ」
言峰、テメェーーーーーーーーーーッ!!!
これが・・・こんなのが、本当にあったなんて―――!!
武はバッグから取り出したそれを見て、目を見開いていた。
武の支給武器はデスノート。
顔と名前を知っている者の名前を書くと、その相手が死ぬ。
まさに、死神のノートだ。
マジか―――!俺の支給武器がこんなチート級の代物なんて!!
名前を書くだけで相手を殺す事が出来る!?おいおい、これってもう俺が実質的なゲームマスターになったも同然じゃねーか!!
あれ?こうなったら、俺もうこのテストで一番有利な立場に―――
―――って、あれ?ちょっと待てよ??
俺以外の参加者って―――
あ、ああ―――
ああああああああああ。
武はデスノートを持ちながらしゃがみこんだ。
よくよく考えたら、俺は俺以外の全員の参加者の名前を知らない。
何人かの顔は見たけど、だからと言って、名前を知っている訳じゃない。
寧ろ、いの一番に俺が呼ばれたせいで、俺の名前が他の参加者全員の記憶に強く残っている可能性がある。
それを考えるとなると・・・俺はこのノートを使う事が出来ないどころか、ノートを他人に奪われてもいけないって事か―――。
「タケルちゃん・・・?」
背後から声が聞こえる。
武は、またも驚愕する。それも、先程とは別の意味で。
何故なら・・・その声は、武のよく知る人の声だったのだから。
心拍数が上がる。
武は恐る恐る後ろに振り向く。
そこにいたのは―――
「す―――純夏!?」
「やっぱりタケルちゃんだ~~~!!」
白銀武の幼馴染―――女子18番、鑑純夏。
右手には、銀色の剣が握られている。
メタルキングの剣。
鍔にメタルキングの彫刻が刻まれているこの剣は、今回のテストにおける支給武器、その内の近接武器の中では最強クラスに入る。
更に、この剣は店では売られていない、大変貴重な代物である。
「良かった~~~!タケルちゃんに逢えて良かったよ~~~!!」
「純夏だって、なんでこんな所にいるんだ!?まさか、お前までこんなのに参加させられたのか!?」
「そうみたいなの!さっきのホールで周りを見た時、知らない人ばっかりで―――どうしたら良いのか分からなくて・・・うわあああ~~~ん!!」
純夏は武に抱き着く。
自分のみならず、純夏までテストに参加させられていた。
その事実が、武にショックを与えていた。
だが、これが武に決意を抱かせる事にもなった。
純夏を守る。いや―――純夏だけじゃない。
名前も知らないけど、出来る事なら、他の参加者達も守りたい。
[男子33番 白銀武]
身体能力:A
頭脳:B
武器:デスノート
スタンス:純夏や他の参加者達と共に島からの脱出
思考:純夏―――今度こそ、守ってみせる!
身体状態:正常
精神状態:正常
[女子18番 鑑純夏]
身体能力:B
頭脳:C
武器:メタルキングの剣
スタンス:生き延びる
思考:タケルちゃんに逢えて良かった
身体状態:正常
精神状態:正常
何だコイツ・・・!?
男子30番、高橋啓介は自分の支給武器を見てそう思った。
啓介の支給武器はガネーシャ。兼志谷シタラ専用のアリスギアである。
アリスギア。
本来であれば、エミッション適性を持つ女性以外の人間が操縦する事は出来ないが、このテストに支給されたガネーシャはショットギアとクロスギアもセットになっている上、エミッション適性の有無に関係無く、誰でも操縦可能な仕様となっている。
尤も、一部の例外は除くものとするが。
それはそれとして、こういうタイプの代物を見たことが無い啓介にとっては、まさに未知の武器であるのは言うまでもない。
銃か剣でも支給されるのかと思ったが、まさかこんなのを引くなんてな・・・。
まあ、とりあえず・・・って、どうやって装備するんだ?説明書は―――あった!これが無きゃ、装備のしようがねえからな。
啓介は説明書の通りにガネーシャを装備していく。
数分後―――
啓介は、何とかガネーシャを装備し終えた。
だが・・・
「ズボン脱ぐ羽目になるなんて、聞いてねえぞ!!」
啓介の下半身は、ガネーシャのボトムスを穿いている点を除けばパンツ一丁の状態となってしまった。
それよりも、啓介はAS社に対する怒りに燃えていた。
つーか、こんな島で殺し合えだなんて、ふざけんな、あの神父野郎!!今すぐにでもぶっ潰しに―――って、行動を起こすにはまだ早いよな。アニキなら、あの何とかサイエンスって連中とやり合えるような作戦を練られる筈だし、先ずはアニキを捜して合流するか。
啓介は、方針を決めると空中移動を開始した。
[男子30番 高橋啓介]
身体能力:B
頭脳:C
武器:ガネーシャ
スタンス:AS社をぶっ潰して島からの脱出
思考:アニキと合流しねーと。つーか、パンツ一丁はねーだろ・・・
身体状態:正常
精神状態:正常
男子28番、スラリンはスーラン王国の王子である。
妹のスラみ、友達のミイホンとドラおと共に、今日まで自由奔放かつ平和な生活を送っていた。
今日までは。
だが、今では知らない島に連れて行かれ、自分とミイホンと知らない人68名の計70名で殺し合いをさせられている。
うわあぁん・・・ボク、悪いスライムじゃないのに、どうしてこうなったの・・・・・・。
スラリンは今、崖の上の民家のリビングで蹲っている。
そ、そうだ!戦いを止めて、皆で島から脱出するっていうのはどうかな?あっ、でもそうなるとこの首輪を如何にかしないと―――
そう思っていた時だった。
突如、視界が暗転する。
「えっ―――え、えええええ!?」
急な出来事にスラリンは混乱する。
暗闇の外側から物音が聞こえる。どうやら、テープのような物を貼っているようだ。
何なの、これ!?
更に、その直後にスラリンが暗闇ごと揺れ始める。
うわあぁーーーん!!本当に何なの!?突然、周りが暗くなる!周りから物音が聞こえる!今度は凄く揺れる―――あれ?
スラリンは急に冷静になる。
もしかして、ボクが今いるのは箱か何か?と言う事は、ボクは誰かにそれに入れられて、何処かに運ばれているんだ!
今、この中から飛び出たら危ないかも―――
刹那―――揺れが収まり、スラリンは自分が浮くような感覚を覚えた。
数秒、その不可思議な感覚は続いていたが、それも終わりを迎える。
冷たい感触。
水が入ってきたのである。
うわぁ!み、水―――って、辛っ!塩辛いよ!?と、とにかく脱出しないと!!
スラリンは何とかして脱出しようとする。
だが、もう遅い。
スラリンが海面からその姿を出す事は、二度と無かった。
[男子28番 スラリン 死亡]
ニャッニャッニャッ―――段ボールも知恵を使えば、案外良い武器にニャるとは。
一匹の猫が、崖の上から海面を見下ろしていた。
男子20番、ネコアルク・カオス。
ハリウッドに憧れるナマモノであり、支給武器である段ボールを用いてスラリンを殺した張本人でもある。
なお、スカートを穿いているが、性別は男性と思っていただきたい。
ネコカオスは、スラリンが先程までいた民家に入る。
「さて、あのゼリーボーイの武器は―――おお、これは!!」
ネコカオスはそれを見て歓喜する。
スラリンの支給武器はM134。
一般的なライフルと同じ口径で、尚且つ連射性能も非常に高い為、銃火器としては凄まじいダメージソースを誇るが、反動も凄まじいので、発砲の際には注意が必要である。
これは、さっきのゼリーボーイが先に取り出していなくてラッキーだったニャ。取り出されていたら段ボールの中に閉じ込められなかっただろうし。
待ってろハリウッド。吾輩はこのテストを制し、必ずやその地へ征く。
ネコカオスはハリウッドへの想いを胸に、ミニガンを持って民家を後にした。
[男子20番 ネコアルク・カオス]
身体能力:B
頭脳:B
武器:M134
スタンス:優勝してハリウッドへ行く
思考:次の相手を探す
身体状態:正常
精神状態:正常
私立黒須学園 3年B組 名簿
[男子01番 スティング・オークレー]
[男子02番 ディアッカ・エルスマン]
[男子03番 金田一一]
[男子04番 草加拓海]
[男子05番 藤原文太]
[男子06番 シン・アスカ]
[男子07番 アウル・ニーダ]
[男子08番 碇シンジ]
[男子09番 泉研]
[男子10番 キラ・ヤマト]
[男子11番 ジョン・メイトリックス]
[男子12番 サイ・アーガイル]
[男子13番 ボルガ]
[男子14番 遠野志貴]
[男子15番 魔王]
[男子16番 トール・ケーニヒ]
[男子17番 高橋涼介]
[男子18番 風間真]
[男子19番 アスラン・ザラ]
[男子20番 ネコアルク・カオス]
[男子21番 パラガス]
[男子22番 ボンドルド]
[男子23番 スティーヴン・アームストロング]
[男子24番 藤原拓海]
[男子25番 ラウ・ル・クルーゼ]
[男子26番 ミイホン]
[男子27番 レグ]
[男子28番 スラリン]
[男子29番 武内樹]
[男子30番 高橋啓介]
[男子31番 ハイネ・ヴェステンフルス]
[男子32番 ベネット]
[男子33番 白銀武]
[男子34番 スライバ]
[女子01番 アルクェイド・ブリュンスタッド]
[女子02番 吾妻楓]
[女子03番 遠野秋葉]
[女子04番 赤城]
[女子05番 シエル]
[女子06番 ネコアルク]
[女子07番 キアナ・カスラナ]
[女子08番 比良坂夜露]
[女子09番 加賀]
[女子10番 兼志谷シタラ]
[女子11番 リコ]
[女子12番 フレズヴェルク]
[女子13番 ステラ・ルーシェ]
[女子14番 ラフィー]
[女子15番 翡翠]
[女子16番 轟雷]
[女子17番 ジャベリン]
[女子18番 鑑純夏]
[女子19番 無量塔姫子]
[女子20番 琥珀]
[女子21番 オーゼン]
[女子22番 ブローニャ・ザイチク]
[女子23番 百科文嘉]
[女子24番 ヘラルド]
[女子25番 スティレット]
[女子26番 綾波レイ]
[女子27番 式波・アスカ・ラングレー]
[女子28番 エンタープライズ]
[女子29番 ガスト]
[女子30番 雷電芽衣]
[女子31番 ベルファスト]
[女子32番 源内あお]
[女子33番 天城]
[女子34番 綾波]
[女子35番 真希波・マリ・イラストリアス]
[女子36番 バーゼラルド]
生存者、残り63名