仮面ライダーが鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮をとります 作:reednaoki
「…という訳だ。今日からこの鎮守府の提督として働かせてもらう」
白い軍服を身にまとい挨拶をする士。結構な数の艦娘達が恐る恐るという感じで食堂に全員来たがやはり前提督の事があるのか疑いの目を向けられている
…鎮守府ないの艦娘の数が少ないことが、前提督の荒さを物語っているのだからそれも無理はないと思う
「……貴殿が提督として着任してくれたことはありがたいが今は生憎出撃できる状態ではない。それは分かってくれ」
「分かっている”長門”。俺も今すぐにはどうこうしようというのはないからな。…後”貴殿”とか”提督”とかで呼ばなくて結構だ。俺の事は士、とでも呼んでくれ」
珍しく苦笑いしながら士はそう言って長門の頭をポンポンと軽く撫でる。少し体を強ばらせたがすぐに複雑そうな表情にかわりおずおずと口を開いた
「…では士…私の頭を撫でるのをやめてくれ。…その、川内の目が怖い」
士が長門の頭を撫でている間顔は笑っているはずなのに目が笑っていない川内を見て萎縮していた。
「……すまん」
お前たちが子供みたいに見えたから、とは流石の士も言わない。姿は少女でも中身は戦士なのだから子供扱いしたら悪いだろう
「ではとりあえず全員ドックに行け。…お前たちは今日から俺の仲間だ、そんな状態じゃ指示なんか出せない」
その言葉だけ残して士は提督室に戻った
「…だってさ。本部から物資は出てるらしいしドック行こっか」
頭を掻きながら川内はそう言って全員をドックに誘導していく。他の艦娘達は互いの顔を見合わせながら少しだが笑顔になる
「…あの提督さん、優しい人ね」
「前の提督の酷さが改めてよくわかりますわ…」
戦艦でこき使われてきた山城と扶桑はそう言ってドックに向かう。前の提督のせいでこの鎮守府の艦娘の数はかなり減らした。
次は私たちだろうかと身震いする生活を送って来たこともあって門矢士が提督になってくれて良かったと思う
「提督さんの為にも頑張りましょうね、山城」
「……分かってますわ、扶桑お姉様」
それに、こんな嬉しそうに笑う姉を久々に見れたのだからそれだけでも意味があると思う。でも…彼女に全ての傷を背負わせてしまった自分は、笑うことなど出来なかった
ちょうどその頃
「大丈夫かタケル君?」
「えぇ、まあ…城戸さんは元気そうですね」
鎮守府砂浜に先程まで無かった人影が2つあった。タケルと呼ばれた青年は名を天空寺タケルといい仮面ライダーゴーストに変身できる仮面ライダーだ。
城戸さんと呼ばれた青年は名前を城戸真司といい、ジャーナリストとして働く仮面ライダー龍騎の変身者だ
「それにしても…何処だろうなここ。気づいたらこんなとこにいたわけだけど」
「俺たちが居た世界じゃないことだけは確かですけど…」
そう言って辺りを見回す2人。そして見つけるのは―――やはり鎮守府だ
「あそこに行くしかないかー…」
「…俺あんまりああいう場所好きじゃない…」
「好き嫌い言ったら俺も好きじゃないけどさー…それ以外選択肢ないだろ?」
顔をしかめるタケルに苦笑いしながら答える真司。たしかにいかにも場違い感がある場所に行くのは抵抗があるとは思うが
「まあ俺に任せなって!トークスキルは仕事で鍛えられてるからさ!」
「…スゲー不安です」
「……そんなこと言わないでくれよ。普通に傷つくだろ…」
そう言いながらも2人は鎮守府に歩みを進めた
「…で、ここに来たと」
「……まあ、そんな感じですけど…士さんもこっちに来てるなんて」
鎮守府に来たタケルと真司をたまたまドックの帰りだった山城がみつけ2人して提督室に居た
「…てか士の提督姿ってなんつーか…似合ってんな」
「これでもスタイルはいい方だと自負している」
「自分で言っちゃうんだ…」
自信ありげにそう返す士にタケルは苦笑いを零すのみ。真司はそんな士に慣れているのか普通に笑っていた
「で、お前たちはこれからどうするつもりだ」
「……どうします?」
「どうすっかなあ…」
真司とタケルは頭を悩ませていた事実を突きつけられ思案を始めるが結局答えは出ず苦い表情をするのみでそれを眺めていた士は呆れたように溜息を吐いた
「城戸は馬鹿だと聞いていたがその通りだな。天空寺もこんなバカと一緒になったのは同情してやる」
「サラッとひでーこと言うな!?これでも先輩ライダーだぞ!」
大声で喚き散らす大の大人を見て更に溜息を深くする士。そんな時隣に居た川内が苦笑いしながら助け舟を出してくれた
「それなら鎮守府で働いてもらったらいいじゃん。雑用ばっかりになっちゃうかもだけど」
「それはいい案だな。天空寺と城戸はそれでもいいか?」
一応2人に確認を促してみる。まあ、返ってくる答えなんてある程度予想できるが
「まあ行くあてもないし俺はそれでもいいですよ」
「……まあ、そうせざるを得ないよなぁ」
二つ返事、とまではいかなかったけれど答えは帰ってきた。ならば取り敢えず士がする事は1つだ
「一応上には報告しておく。人手が足りないから派遣してもらう予定だったがナシでいいとも伝えておかないとな」
手際よく電話をかける提督を見ながら川内は2人を外へ促す
「という訳だから…取り敢えずタケルは戦艦寮に行ってきてくれない?さっき会った山城にこれ渡してきて欲しいんだよね」
「…これって…おにぎりですか?結構量ありますけど…」
「艦娘って結構燃費悪いんだよね。だからその位必要なの」
ざっと見ただけで30はある。流石に作りすぎだと思うが…
「後同室に扶桑がいるんだけど…丁寧に扱ってあげてね?…前の提督に結構酷い目合わされてるから」
「……分かりました」
前の提督については軽くだが話を聞いてはいる。この鎮守府が他の鎮守府より艦娘が少ない理由も前の提督が無理を強いたからだと
「あと真司は…ちょっと1名まだドックに入ってない子がいるんだ。名前青葉っていうんだけど」
「え?みんな入ったって聞いたけど…」
「……青葉心閉ざしちゃっててさー…提督も苦労してるんだよ。真司ジャーナリストだったって言ったじゃん?もしかしたら話が合うんじゃないかなって思ってさ…」
それを聞いた真司は少し苦い表情を浮かべて頷いた。本当に艦娘をここまで追い詰める程の事をしていたという事実に拳に力が入る
「…任せてくれ。俺もできる限り協力したいし悲しんでる人はほっとけないしな!」
「はは…提督からも聞いてたけど真司ってほんとお人好しだね。でも…ありがたいよ。」
「悲しんでる人を助ける…それが俺が仮面ライダーになった理由だからさ」
戦いがないことにこしたことはないけど…そんな使命を背負ってしまった者の痛みは自分が痛いほど分かっている。だから、目の前に悲しんでる人がいるならば力になってあげたいのだ
「……頼むよ。青葉の煩い声が響かないとうちの鎮守府が戻ったって言えないし…あのままじゃ…本当に壊れちゃいそうだしね」
やはり仲間が傷ついているのは耐えられないのだ。どれだけ騒がしくてもいざその声が止むと寂しいし…悲しい
「じゃあ、お願いね…2人共」
だから川内は信じて送り出す。彼らならこの鎮守府を、彼女達を救ってくれると信じて――――
前提督許せねえよ…(小説を作った奴の発言)
てなわけで次回は青葉回です。真司君の活躍にご期待ください