東京レイヴンズ~二天龍を従えし者~【本編完結】 作:眠らずの夜想曲
―――???。
とりあえず夏目の気を追ってきたんだが……
なんだこりゃ?
かなり強い霊祭が二つ。
それも片方は結構な速さで移動している。
こっちが鵺だろう。
そんで、その鵺の気配は追ってきたんだけど……
「ここどこだ?」
絶賛迷子中(笑)
どうしよっかな~……ってなんだ?
急に光ったな……
あっちか……
「行くぞ、コン」
「ははぁ」
しばらく走る。
すると、バイクのエンジン音が聞こえてきた。
止まってしばらくすると、バイクがこっちに向かって走ってきた。
つーか、後ろに追ってるのって夏目じゃねぇか?
「刃!!」
ほれみろ、夏目だ。
夏目に駆け寄ろうとした時だった。
突如、上空から式神が投げられる。
そして、地面にあたると同時に、爆発する。
もちろん俺には効かない。
ATフィールドが自動で防御するからな。
コンは……
まぁ、大丈夫だろう。
俺は夏目の元に向かう。
その時だった。
「ひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
爆炎の中から一人でバイクに乗った夏目が出てきた。
『小僧、乗れ』
烏天狗が俺にヘルメットをかぶせてくる。
もちろんそれを俺はぶん投げる。
コンが俺を持ち上げようとするが、それより早く俺はバイクに乗り込む。
もちろん、夏目の前だ。
なんか乗れたし。
細かいことは気にしたら負けだ。
「ひゃあぁぁぁぁぁぁ!!」
「落ち着け夏目!!」
「や、刃!?いつの間にそこに!?」
「ついさっきだ」
俺は夏目に声を駆けながらバイクを操る。
なんか俺の運転しにくいなって思ったらこいつ式神か。
しばらく走ると、北斗が目の前に落ちてきた。
「北斗!?」
俺はバイクから降りる。
「北斗、俺を乗せてこのまま鵺の所まで行け。コン、お前も来い」
「刃君!?」
北斗は素直に動いてくれた。
なかなかいいやつだな。
―――上空。
鵺を見つけた北斗はかかんに鵺に体当たりをする。
体で締め付けたりなど、様々な攻撃をする。
そんななか、コンはと言うと……
「我こそは―――」
と、長々に名乗って特攻していく。
結果?
そんなもん決まってる。
デコピンで吹き飛ばされた。
何回も何回も吹き飛ばされていった。
途中で、烏天狗が来たけど、なかなかだった。
「さて、そろそろ反撃しますか」
「刃様!!」
なんだ?
そう思って声の方を向く。
すると、コンが鵺の一撃を防いでいた。
しかし、力が足りないのか押され気味で体にラグが走っていた。
ラグ?
ラ……グ……
消えちまうのか?
このままだと……
北斗みたいに……
「―――~―~―――~」
誰かがなにかを叫んでいる。
だが俺には関係ない。
今、殺ることができたから。
「モード、エンジェル」
頭の上には輪っかが、背中からは翼が生える。
両方ともATフィードでできたものだ。
「最大の拒絶」
俺は鵺を下に弾き飛ばす。
それにつられて、俺も地面に降り立つ。
「刃!!いったいな……にが……」
夏目が俺が下に降りてきたのがわかったのか、近寄ってきた。
だが、俺の顔を見て言葉が続かなくなった。
きっと俺の顔は怒りでゆがんでいるのだろう。
「夏目か……少し離れてろ。巻き添えくらっても知らねぇぞ」
夏目に一言だけ言って、鵺を見る。
「式神・仰言(ぎょうげん)……金生水の陣(こんじょうすいのじん)」
この技は、普通なら準備に三分間必要な大技だ。
そう、普通なら。
俺ならそんなに必要ない。
普通の人間に三分必要なものは三秒も必要ない。
故に、すぐに技が出せる。
金生水の陣……それは仰言という純度99、9999%の軟水で出来た水の花で方陣を 作る。そこから仰言を噴出させる。
この花に触れたものはすべて溶ける。
「溶けろ……鵺」
『ギャアァァァァァァァァァ!!』
鵺は花に捕まり溶けていく。
だが、消えはしない。
抜け出そうともがくが意味をなさない。
もっと苦しめ……
コンをラグらせた罪は重いぞ。
しばらく、溶けたり再生したりが繰り返される。
もう飽きてきたな……
「そろそろフィナーレだ。おいで……ミツキ」
金色の魔法陣が展開される。
そこからでてくるのはミツキ。
「お久しぶりです、お兄様!!」
抱き着いてくるミツキ。
俺も抱き返す。
そして頭を撫でる。
鵺?
あぁ、まだ一生懸命もがいてるよ。
「刃!!その女の子は一体誰!?」
夏目?
なんでここにいるんだ?
離れてたはずだろうに。
「お兄様、こちらの方は?」
「あぁ、土御門夏目。この世界での俺の嫁だ」
「……また『神使』を増やしたんですか?」
ジト目で見ないでおくれ。
「刃!!さっきから二人だ話してばっかじゃないか!!それよりこの女の子は?」
「ん?あぁ、こいつは神浄ミツキ。『箱庭』で妹にして、そのまま『神使』になった九尾の妖だ」
「九尾!?まぁそれはおいておこう。なんでこの子が『神使』なんだ!?僕だけじゃないのか!?」
「あれ?言わなかったか?『神使』は数十人いるって。
「あ……」
人の話はちゃんと聞きましょう。
これは何度も言いました。
いい加減に学習しましょうね。
「とりあえずさ、夏目。ここいにいろ。俺は鵺を殺す。ミツキ、祢々切丸(ねねきりまる)預けてただろ。ちょっくら貸してくれ」
「わかりました」
すると、腰から祢々切丸を取り出した。
え!?
どこにそんな隙間が!?
もしかしてミツキはスキマ妖怪になっちまったんですか!?
そんなわけはないだろうけど。
「ミツキ、九尾の姿に戻れ」
「わかりました……これでよいのか?」
「あぁすまない」
「なに、そなたが気にすることではない」
相変らずすごい豹変ぶりだ。
まぁこの話し方も好きなんだけど。
「さて、ミツキ。あそこにいる鵺とかいうクソ野郎がよぉ、俺のかわいいかわいい式神のコンを泣かせたんだけどさ……どうしてやろうか?」
「コンとはそこの子狐のことかぇ?」
「そうだ。どうやって殺すのがいいと思う?」
「う、うむ……そうじゃな……瞬殺という選択肢はないのかぇ?」
「あ……ミツキさんマジ天才」
どう苦しめるかに集中しすぎてその選択しが出てきてなかった。
案外瞬殺ってさ、苦しそうじゃない?
というわけで……
「この祢々切丸を使って、鵺を瞬殺しようと思いまーす」
「うむ、行って来い」
「なに言ってんだ、最初はおまえの狐火で燃やすに決まってんだろ」
「げぇ……」
なんのために呼んだと思ってるんだ。
まさか祢々切丸だけのためだったら呼ばない。
「はぁ……仕方ないのぉ……ほれ、これでいいじゃろぅ」
「おお!!さすがミツキ。愛してるぜ!!」
「わらわもじゃ、刃」
では、殺りますか。
「鵺……お前はやっちゃいけないことをした。それは俺の家族を傷つけることだ。コンは式神とはいえ、俺の家族だ。傷つけた分、キッチリとな……」
祢々切丸……それは本来、鵺切丸と言う名だった。
それが徐々に変化していき、最終的に今の祢々切丸と言うなになった。
これは名のまま、鵺を斬るために生み出された刀だ。
だから、ちょうど良くない?
「というわけで、死ね」
俺は鵺に神速で近づき、首を斬る。
鵺は黒いものを出して消えていく。
これぞまさに瞬殺。
あっけねぇ……
これだとすぐになんでも片付いちまうな。
「はぁ……やっぱり規格外だなぁ」
「冬児?それに雪風?」
なんで冬児が雪風と一緒にいるんだ?
しかも……
「なんでツノ出っ放し?」
「似合うか?」
ニッと笑ってサムズアップしてきやがった。
どうやらふっきれたようだな。
いいこと……なのか?
「まぁ、悪くないぞ」
む……
この気は……
「冬児、夏目には先に帰ったって伝えておいてくれ」
「どうしたいきなり?」
「俺はチンピラにちょっとお灸をな」
「あぁ……」
冬児は少し顔が引きつった。
ハハハ、これから何するか分かったんだろう。
俺はチンピラの元に向かった。
―――歩道橋。
「素人共がぁ……しかし皮肉だなぁ……これで土御門夏目の噂は信憑性を増し、夜光信者はむしろ活気づく。それにあの生成り……二年前の大連寺と関係しているようだな……」
「だとしたらどうするんだ?殺すのか?」
「誰だ!!」
チンピラがこっちを向く。
「俺だよ……神浄刃さ」
「なんだテメェか……殺されにでも来たのか?」
「いやいや違うよ……俺が殺しに来たんだ」
「んだ……これ……」
俺は霊気を五割解放させる。
それに伴い、髪の色が白みがかる。
「どうした?」
「テメェなんだこの霊気の量は……俺なんて目じゃねぇ。ヘタしたらアイツよりも……」
「アイツってのが誰だか知らねぇがよ、これでもまだ半分だ」
「これで半分だと!?テメェますます何者だ?まさか―――」
「そこまでにしときぃ」
この声は……大友先生?
チンピラの後ろで何やってんだ?
「誰かと思えば引退した大友先輩じゃないすか」
「ご無沙汰しとるなぁ」
何だ?
知り合いか?
つーか先輩?
ってことは大友先生って元……
これ以上は考えるのをやめよう。
「引退した人が何してるんです?」
「それを答える前に……刃くん、キミはもう戻りぃや」
チッ!!
情報が手に入ると思ったんだが……
ここで何か術式を発動させても感づかれるだろうな。
大人しく引くか。
「どもっす。じゃ」
俺は夏目たちの元に戻った。
―――???。
「おっす」
「ふゃぁ!?」
「あ、先に帰ったんじゃないのか?」
「ん?あぁ、ちっとな」
今ここにいるのは俺、夏目、冬児、コンにミツキだ。
どうやら歩いて帰っているようだった。
その時だった。
一台の車がやってきた。
「閉鎖が解かれた?いや……違う」
俺たちの前で止まる。
そして後部座席の窓が徐々に降りていく。
「刃様!?」
コンが顔を青くして叫ぶ。
「刃……こやつ…」
「あぁ……結構やるな……初めて会ったときの霊夢より二回り強い程度だ」
それにしてもこいつ……人間じゃねぇな。
「少しは回収するはずじゃったが……どうやら跡形もなく払われたようじゃのう。まぁ良いまぁ良い、今宵は実に楽しませてもろうた。楽しみじゃのぅ、実に楽しみじゃ。じゃがお主らは雛も雛じゃ。卵から孵ったにすぎん……まぁそこの小僧は別じゃ」
俺に視線をずらし、そう言った。
「精進するが良い。そして早く……こちらにおいで」
「あ、あなたは誰だ!?」
夏目が怯えながらも訊く。
「儂の名は……蘆屋道満」
なるほどね……
でもまぁ……
「ジジイ……俺の大切に手ェ出したら……『破壊』しつくすからな」
俺は殺気を乗せながら言う。
「ふぉふぉふぉ」
それを何事もなかったようにして、去っていった。
また、厄介なのがきたな。
「や、やいばぁ……」
「安心しろ……おまえに手だししたら……日本ごとあいつを沈めてやる」
「おいおい……」
さて、これからどうなるのか、な?