東京レイヴンズ~二天龍を従えし者~【本編完結】 作:眠らずの夜想曲
―――一ヶ月後、陰陽塾。
『新塾生のみなさん、入塾おめでとうございます。陰陽塾塾長の倉橋美代です』
いやぁ、俺も先輩ですか。
うれしいな。
この時まではそう思ってた。
この時までは。
『それでは、新塾生代表に……あいさつをしてもらいましょうか』
これが波乱へのカウントダウンだった。
『神童と呼ばれている、大連寺鈴鹿さんです』
「「「はぁ?」」」
俺と夏目と冬児の声がハモった。
おいおい……
まさか……
『はじめまして、みなさん。大連寺鈴鹿です☆』
「「「「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」
「「「「「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」
その瞬間、あたりは悲鳴にもにた叫びが響いた。
だが俺たちは違う。
「「「え……」」」
俺たちは顔が引きつった。
なんで?
仮にも十二神将(笑)だろ。
なんで陰陽塾なんかに……
あぁ、罰ね。
『えへ、あたし今日はすっごく緊張しちゃってぇ―――』
ここで、祭のときを思い出してみよう。
「うっせーよ、ブス!!」
そういいながらチョコバナナを北斗に向けていた。
うわー……
これがかの有名な、ブリっ子か。
もはや二重人格の域だぞ。
『でも、とってもうれしいです』
さらに振り返ろう。
「虫が多いからァ!!」
……女の子、怖ェ……
『同世代の人たちと、陰陽術に取り組むことって……ずっと、あたしの夢だったんです』
もっと振り返ろう。
「ちんこもいじゃうから♪」
……とてもこれを満面の笑みで言ってた人間とは思えない。
『今日、その夢がかないました!!』
両手を広げて満面の笑みで言う。
「あおり、横顔に38°。計算しつくされた角度だ……自分が一番かわいく見えるすべを知り尽くしている」
「おまえもよく知ってるなそんなこと……」
冬児がキメ顔で言っている。
よく知ってるな、本当に。
「ひっ」
それだけ言って夏目は下に隠れた。
どうしたんだ?
「あ……」
目が合ってしまいました。
刃くん、終了のお知らせ?
一瞬鈴鹿の顔が赤くなったと思ったら、一瞬にしてイケナイことを思いついた顔に変わった。
「冬児、間違いない。やつだ」
「…………………」
冬児はキメ顔のままだ。
てかいい加減キメ顔やめろし。
『せーんぱーい!!刃先輩じゃありませんかー』
その一言で生徒が俺の方を向く。
てかよく俺がここにいるのがわかったな。
『あら、彼とはお知り合い?』
ババアが余計なことを鈴鹿に訊く。
『はい、あたしのファーストキスの相手です☆』
この一言で、場の空気が凍った。
だが一瞬だ。
次の瞬間には―――
「「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」」」」」
こうなった。
はぁ、何やってくれてんだか……
悪い子にはO☆SHI☆O☆KIだ。
―――教室。
「神童とファーストキス!?あんた、普通の高校に通ってたんでしょ!?それがどこでどうしてそうなったのよ!?」
京子が顔を真っ赤にして俺に言う。
つか、周りの女子の顔が真っ赤だ。
「そうだよ」「そうよ」「なんでだよ」
などと、いろいろなことを言われる。
「落ち着け、まぁ落ち着け」
「冗談じゃないわ!!」
バッ!!と腕を広げてガー!!っとしゃべってくる。
「おかげで気になってしょうがなかったわよ!!」
「いやいやいや……」
なんで?
なんで気になった?
別によくね、どうでも。
「いいこと刃!!彼女は陰陽庁がイメージガール扱いする業界のアイドル。実力も兼ね備えている!!ぶっちゃけ、塾生のあこがれの的なのよ!!」
うんうん、ととなりでニヤけながら天馬がうなずいている。
ちょっとキモい。
「マジかよ……」
「それが!!どうしてあんたみたいに家柄だけ半端にいいってだけの落ちこぼれ塾生と!!キ、キ、キ、キス!?しかも、一度しかないファーストキスなんてことになるのよぉ!!おかしくない!?おかしんじゃなぁい!?おかしいわよ!!」
「なにがあったか、教えてくれたっていいじゃなーい」
「さぁ答えなさーい!!」
天馬……オカマみたいでキモいぞ。
それに京子もがっつきすぎだ……
「二人は恋人同士なのぉ?」
「ホントにキスだけ?」
「「「「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」
はぁ……
面倒だなぁ。
ボン
コン?
なんで出てきた?
「ねぇなきうえ、大人しくしておれば!!」
コン……おまえは俺の味方なのか。
もうそれだけでいいよ。
「ねぇコンちゃーん。私たち、別に責めてるわけじゃないのよ」
「殺気立っておったではないか!!」
これはコンが正論を言っているぞ。
殺気立ってたぞ。
「気にならなぁい?十二神将の一人が、刃とキスしたって言ってるのよ?キスってわかる?」
「にょぉ?」
「口づけとかぁ、チュとか……」
「チュ……チュチュチュチュチュチュウ!?」
コンまでもか……
真っ赤になって涙目で俺を見てくる。
京子のやつ……覚えてろよ。
このかりは絶対に返す。
「そういや、冬児くん、同じ学校だったよね?知らないの?」
天馬が冬児に話を振りやがった。
「そうだなぁ……キスってのは初耳だがぁ、恐らく……あの祭りの夜だな」
「「「「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」
本当に女子はこういう話が好きだな。
てか、天馬も混じってるし。
その時だった。
バン!!
夏目が机を叩いて立ち上がった。
「失礼……」
全員が震えながら夏目の方を向く。
「刃と……話があるんだ」
ものすごい空気を纏ってそう言ってきやがった。
―――階段。
「だからさぁ、あれはキスじゃねぇって……逆レイ―――」
「そんなことはどうだっていいんです。忘れたんですか?去年の夏。私は大連寺鈴鹿に会っているんですよ?―――彼女は見たはずです。巫女装束の女としての私を」
「あぁ……なるほど」
確かにあいつはそれをネタになにかしてきそうだなぁ……
まぁいざとなったら『写輪眼』、ね?
「入塾式ではとっさ穏業の術で気配を消しましたが……このままだといずれ……」
「しょうがねぇ、とりあえず放課後に俺が話してみる」
とりあえず話してみないとな。
―――放課後。
「帰った?いつ?」
教室に行ってみると鈴鹿は帰ったとの返事が帰ってきた。
「ついさっきです」
「一緒に帰ろっかなぁと思ってたんですけど……」
「なんか話しかけるきっかけが見つからなくて」
あぁ……あいつ独特な雰囲気かもしだしてんもんな。
それにアイドルみたいらしいし。
「それより!!先輩って大連寺さんの元彼だったりするんですか?」
「あいつとは―――」
「あ、今ちょっと間があった!!」
「あいつだって!!」
「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
うるせぇ……
もしかしてしばらくこのままか?
やってられねぇぞ!!
―――廊下。
「あぁ……ファーストキスはねぇぜ。だいたい俺のファー―――」
『ま、まことにさようなのでございますか?』
コンか……
実体化しないまま声出せたんだな。
ボン!!
おぉう、実体化しましたか。
「コン……俺のファーストキスはもっと昔だ」
「昔!?刃様が―――」
……察してくれ。
ものすごく長いんだ。
コンの一言って。
もう八割以上は聞き流すしかねぇ。
「ハッ!?」
コンが急に構えた。
あぁ、なるほど。
誰か来たのね。
「……なんか用か?」
「……幼女……」
……こいつもしかして……同類(ロリコン)か!?
「幼女だわ」
「コンのことか?」
「狐の幼女」
「うぅぅ?」
コンが俺のことを見上げてくる。
俺にどうしろと?
「かわいい狐の幼女」
コンは怯えきってる。
何かを感じ取ったんだろう。
「こいつは俺の護法式だ。で、なんd「かわいい狐の幼女の式神」……」
こいつは俺以上に特殊だ。
「つまりあなたは神浄刃」
「俺のこと知ってんのか?」
「はぁ」
なぜ小首をかしげた。
「おまえは何だよ」
「私はあなたの先輩」
「三年か……まぁ歳は俺のがはるかに上だが」
「私が小さいからね」
「あぁ?」
「私が幼女だからね」
あ、こいつ面倒なやつだ。
「いいのよ、よく間違われるから」
「一年に?幼女にか?」
「私、すごく若く見られるの」
「安心しろ、確実に幼女には絶対と言ってもいいほど見られねぇ」
その瞬間、不自然に震え始めた。
なんなんだこいつ。
本当に面倒だ。
その時だった。
一歩一歩コンに歩み寄っていく。
そして、頭を撫でようと手を出した。
が、コンに怯えられた。
そして、へこむ。
少し離れて三角座りをした。
……もう帰ってもいいよね?
「そんなに幼女が好きなのか?」
「違うわ。土御門の分家の息子がそういう式神を連れてるって知ってたから」
はぁ?
なんで?
それになんの意味があるんだ?
「それは?」
俺の左目尻にある五芒星を指さす。
「いろいろ訳ありだ。まぁ、呪術の―――」
「似合ってない」
……ぶち殺してやろうか?
「じゃあ、またね」
そして最後にコンを撫でようとするがまた怯えられる。
あきらめろよ……
―――図書室。
「ここにもいない、か。しっかしなんなんだ?さっきの幼女好きの幼女は……」
「そこのロリコン」
この声は……
「鈴鹿か……?」
「相変らずの……てか顔変わってない?」
「あぁ、これが本来の俺の顔だ」
「へぇ……なかなかじゃん。それより私のツインテールに熱い視線向けられても、迷惑なんですけどー」
「あ、ごめん。俺ストレート派だから」
「…………………」
「…………………」
無言がこの場を支配する。
先に口を開いたのは鈴鹿だ。
「今朝のどうだった?酷い目に会ってくれてるとーうれしいんですけどー」
「喜べ、大変な目に会ってるとこだ」
「ざまぁ!!」
「……おまえ、猫被るのも大概にしとけよ」
「アタシには立場ってもんがあるのよ」
立場ねぇ……
だったらそれをわきまえろっての。
「そんで?入塾したのなんか理由あんのか?」
「なんでアンタなんかに話さないといけないわけ?」
「つれねぇな……ファーストキスの相手なんだろ?ハニィ」
「なっ!?」
顔を真っ赤にして固まる鈴鹿。
なんだなんだ?
普通にかわいいじゃねぇか。
「はぁ……罰則よ。ペナルティ」
「去年の件か?」
「ホントなら、私はもうこの世にいないはずだったのよ……それが誰かさんのおかげで、みじめなもんよ」
「よかったな、その誰かさんがいてくれて」
バッ!!と一瞬こっちに顔を向けてまた戻した。
一瞬だけだったけど、涙目だった。
なんか、いいな。
『神使』のみんなは涙目になるなんてことがなかなかないからな。
「兄貴は?埋葬してやったのか?」
「ん」
コクっと一瞬うなずく。
「ペナルティっていつまでなんだ?」
「三年か……たった三年か……よかったなそれだけで」
「はぁ!?バカなの!?」
「なんだそれ」
鈴鹿の額にはバッテンがかかれていた。
「呪術?」
「そうよ……私の呪術を封じるね」
「ふぅん……」
俺はよく見るために鈴鹿に近づく。
ふんふん、なるほどなるほど。
解呪は簡単だ。
「ふ、封印は暫定的だし……アンタぐらい余裕で倒せるんだからね!!」
急に立ち上がったと思ったらなんだそりゃ?
つーか、俺を余裕で倒せるとか……ほとんど、いや、全世界で無敵じゃね?
「はいはい……おまえ、まだあの夜のこと気にしてんの?」
「は……はぁ?自意識過剰だっつーの。あぁ、そうそう。土御門家の時代当主の夏目。いまだにこんなとこで講義を受けるけてるようじゃ、アタシの敵じゃないってゆーか」
こいつバカだ。
夏目の正体に気付いてない。
「そういや、私って土御門夏目って見たことないんだけど……ねぇ、本人に会わせなさいよ。頼んだわよ~、ダーリン♪」
……どうしましょ。
―――翌日、教室。
隣では一生懸命伊達メガネで変装しようとしている夏目がいる。
「ははは、それ意味あんの?」
「くっ、だいたい刃はうかつすぎる!!」
「まぁ封印の件は収穫だった。これで夏目の霊気の偽装も、見破られにくくなったな」
だろだろ。
俺っち、頑張りましたよ。
「それにな、どんなに才能があっても根っこのところはガキだ。そうしようもないクズってわけでw「せんぱーい!!おっはよーございまーす♪」…うげぇ」
きやがったな……この諸悪の根源め!!
「穏行穏行」
「はっ!!ししし―――」
冬児に夏目は任せよう。
俺は鈴鹿だな。
俺は鈴鹿の元まで歩いていく。
「久しぶり、か?鈴鹿」
「やだー、昨日も、放課後に、会ったじゃないですかぁ♪あれー?これってもしかしてナイショでしたっけ?二人だけの」
「「「「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」」」」」
全く元気のいいクラスメイトだこと。
「で、なんの用だ?」
「同じ学校に通ってるのに会えないなんてつまんないしぃ……顔だって見たいしぃ……あいさつだって、していないじゃないですかぁ」
そう言いながら俺に抱き着いてくる。
……悪い気はしない。
ただ、そのせいで周りが騒がしくなったけどな。
「そういうことならわざわざ二年の教室に来なくてもいいんじゃないか?」
そう言いながら鈴鹿と教室を出ていく。
出た瞬間に走り出す。
―――階段。
「はぁ……いい加減にしてくれないか?」
「一年の教室って、退屈なのよ」
「友達つくれよ」
「アタシと釣り合うわけないでしょ。もちろんアンタもね☆」
……いやいや、誰も聞いてませんけど?
「だったら新入生にからめよ」
「いやよ、疲れるじゃん」
なんだこのわがまま姫様は……
リアスを思い出すな。
「だいたいおまえは猫被ってるからだろ」
俺は鈴鹿の手首をつかみながら言う。
「手が……痛い……」
「あ、わり」
なんだよなんだよ……普通にかわいいじゃないか。
「そうだ、土御門夏目。同じクラスよねぇ」
「そうだけど」
「どいつなのよ、会わせなさいよ」
どうしよ……最終手段『写輪眼』を出すか?
いや、まだ大丈夫だ。
「今日は休んでる。高熱でだ」
「そう……ならまた今度ね」
おぉう……信じてくれたよ。
―――昼休み。
「せーんぱーい♪お昼一緒に食べましょう♪」
またきやがった。
夏目は冬児に言われて穏行をする。
―――図書室。
「今日はここからここまでの本ででどうだ?」」
夏目が参考書を指さしていく。
そしてやつが来た。
「せーんぱーい♪」
そしてまた夏目は穏行をする。
「やだーもー、なに似合いもしない難しい本を読もうとしているんですかぁ?」
―――書道。
「せーんぱーい♪」
またきやがった。
隣の夏目が思いっきり筆を振り上げて俺の方に墨を飛ばしてきやがった。
が、そこはもちろん俺の結界で防ぐ。
夏目?
なんか穏行して机の下にもぐってるけど?
「あれぇ?この書きかけの書、誰の?」
―――放課後、噴水。
「もう無理です、体がもちません」
夏目が呟く。
「あぁ、そろそろ俺もイラついてきてる」
本当にどうしてやろうか?
―――階段。
「ここは刃が本音で話したほうがいいと思う」
冬児が提案してくる。
「そうか?」
「刃、おまえじゃなきゃ意味がない」
夏目が俺と冬児を交互に見る。
やるっきゃねぇか……
―――翌日、廊下。
「いやーん、せんぱーい♪どこいってたんですかぁ?」
「ん?あぁ、俺もおまえを探しててな」
俺は鈴鹿に近づいていき、そして頭を撫でる。
「ほれ、いくぞ鈴鹿」
「な、ちょ、な、ちょちょぉ///」
俺が肩を抱き寄せながら歩くと、鈴鹿は顔を真っ赤にする。
照れてんのか?
んん?照れてるんだろう。
―――ファーストフード店。
俺の前には顔を赤くしてモジモジしながら座っている鈴鹿がいる。
「どうした?」
「な、なんでもないわよ」
そう言って飲み物をストローでチューチュー吸っている。
もしかして、こういうとこ入るの初めてなのか?
アーシアみたいだな。
「ぁ……あんた今、ちょー生意気なこと考えてなかった?」
「ん?なかなかするどいな。おまえはまだまだかわいいなと思ってたところだ」
「むっかつくー、ザコのくせに」
俺がザコ……
まだまだ修行が足りないのか?
いや、一番最初に百年間みっちり力の使い方は……
あ……使い方は修行したけど練度は……結構上がってるな。
今まで何万年も使ってきたわけだし。
「どうだ?陰陽塾は」
「その上から目線、いい加減にしろっての!!」
俺を指さしながら言う鈴鹿。
人を指さすな。
あ、俺人間じゃなかった。
「まぁなじめてないんだろうけど」
「なじむきないし」
頑固な子だ。
「面白いやつだっていると思うぞ」
「なにそれ、おっさんくさ」
「まぁ俺は歳だけ数えたらもうおっさんもいいとこだ。クソジジイってとこだな」
「はぁ?アンタ歳いくつよ?」
えーっと……
神界で100年過ごして、『箱庭』で1000年。
『リリカル』で50年位に、『D×D』で5万年だっけか?
だから……
「5万1150歳ってとこかな?」
「はぁ!?アンタ嘘つくならもっとまし……な……本当なの?」
俺が真剣な顔をしているからさとったらしい。
「本当だ。ほら、冷めないうちに食えよ」
俺は鈴鹿のハンバーガーをさしながら言う。
「ぁ?ぁ?ぁ?」
右、左、そして前に体を振り、じーっとハンバーガーを見つめる。
食べ方が分からないのか。
俺は鈴鹿のハンバーガーを手に取る。
そしてラッピングを半分くらいむく。
「ほれ」
そして前に出す。
「じ、自分でできたし///」
「そうか」
「もぐぞ、ぜってーもぐ!!」
ナニをもぐんですか?
やめてくれよ……
マジで生きてる価値が半減するから。
鈴鹿はハンバーガーをリスみたいにモグモグ食べている。
「おまえさぁ。クラスでもそんな調子でいればいいのにさ」
「あたしには立場ってもんがあるの」
「おまえにとって、その十二神将って立場はそんなに大事なのか?」
「ぁ……」
ハンバーガーから口をはなして呟いた。
「兄貴のことも決着がついたし、入塾したのもいい機会なんじゃないの?新しい自分が見つかるかもしれないだろ?」
すると、目に見えて暗くなっていく鈴鹿。
ハンバーガーも下に置いてしまった。
「わりぃ……ちと無神経だったな」
「どうして……」
鈴鹿が呟く。
どうした?
「あんた、私のこと恨んでないの?」
「恨む?何をだ?」
「あの時の式神のことよ!!」
あぁ……北斗か。
でも今は冷静だかんな。
それに式神操ってるやつに会えたし。
「あんたの式神潰した時……あ、あ、あたしのことすげー殺そうとしてたじゃん!!」
目に涙を浮かべて言ってくる。
あぁそうか……ずっとそれを気にしてたのか。
はぁ……
「バカめ……あの時のことを気にするのは、選択を間違った俺だけだ。おまえが気に病むことなんかない。変な気をつかうな」
そして本格的に泣き始める鈴鹿。
俺は頭を撫でることしかしない。
髪にそって、やさしく。
「あたし、あたし……」
さらに泣く。
かわいい子の涙はあまり好きではない。
「まぁ、北斗は死んでない。あいつは特殊な式神だったしな。遠くから術者が操っていたんだ」
「え?遠隔操作?簡易式?」
「そうだ。北斗の主は今もどこかにいる。つーか、会ったし」
「なによそれ……あたしが満足すればそれでいいわけだし」
急にどうした?
これだからガキは……
まだ初めて会ったときのフェイトの方が……ってあの世界の子供は精神が以上におとなだったっけな。
「あたしは……新しい自分を……あたしのてで掴むんだ!!チッ!!クソ、覗き見してんじゃねぇ!!」
急に立ち上がって叫ぶ鈴鹿。
「テメェだよ!!穏行ぬるすぎぃ!!」
「ふぁぁ!?」
柱の後ろから出てきたのは夏目だった。
「はぁ……何してんだ夏目……あ」
「夏目?」
あ、まじぃ。
ばらしちまった。
「えぇ?」
じっと夏目を見る鈴鹿。
「あ!!あの時の巫女!?あぁ……これは楽しくなってきたじゃん」
マジで『写輪眼』の出番か?
―――登校時。
「ダーリン♪おはよーがざいまーす♪」
手を振りながら駆け寄ってくる鈴鹿。
「あぁ、おはよう」
俺は普通に返すが、夏目はぐったりしている。
ちなみに、今この場には俺、夏目、冬児、京子、天馬がいる。
「あれー?今日元気ないですねぇ?あ!!土御門夏目さんですかぁ?」
「んん」
ぐったりしながらもうなずく。
その根性は認めよう。
「お会いできて感激ですぅ♪あたしーずっと会ってみたかったんですよぉ」
途中から声のトーンが下がったぞ、おい……
「さっすが夏目くん!!天才には天才を引き寄せる力があるんだねぇ!!」
「すごいわぁ!!」
意気揚々と天馬と京子が言う。
「えっへへ、今日から仲良くしてくださいね。せーんぱい♪」
あーあ……面倒なことになった。